現場ボイス

 過去の話題は、発信当時の税法、関係諸法令等に基づいて書かれています。法令改正等により、現在は異なる税務会計処理、異なる解釈となっている内容もありますが、発信当時の当初のまま、訂正しないで掲載しております。あらかじめご了承いただきますようお願い申し上げます。
 不明点、疑問点等ありましたら、なんなりとお問い合わせ下さいませ。

相続、贈与の話題

令和5年12月分譲マンションの相続評価にご注意を

 分譲マンションの評価方法が、2024年1月1日以降の相続、贈与から変更されます。従来、通常売買される実勢価格の3割から4割程度であった分譲マンションの評価格は、実勢価格の6割程度に引き上げられます。分譲マンションの相続や贈与をすると、多くの場合で、税負担が増えます。
 一棟まるごと所有している賃貸マンションや、区分登記された二世帯住宅などは評価方法の変更はされず影響はありません。影響を受けるのは、所有者の数が圧倒的に多い、切り売りできる分譲マンションです。
 所得税減税や給付金が大きく報道され注目を集めてますが、その陰でひっそりと、増税への変更が行われてしまいました。
 新しい計算方法は、分譲マンションの築年数、総階数、所有階数、敷地持分面積を加味して複雑な計算をしますが、国税庁は簡単に試算できる計算ツールを準備するとのことです。
 ご自身のマンション評価の試算をお勧めします。

木 村

令和5年11月夫の給料は夫だけのもの?

 夫は勤めに出て、妻は家で家事と子育てにあたり余裕があればパートや内職で家計を補助しているご家庭では、長年にわたって夫名義の財産が多く蓄積されることになります。
 夫名義の財産は夫だけのものでしょうか?妻に炊事・洗濯・育児など膨大なサポートを受けて築かれた財産であり、実質的に妻に帰属する部分が必ずあるはずです。
 妻の貢献を考えて、婚姻期間が20年以上なら、居住用財産の贈与について2,000万円まで贈与税がかからない特例がありますが、なぜ預金や有価証券ではなくて、名義変更の負担が大きい自宅に限定しなければならないのでしょうか。
 年110万円まで財産を贈与しても贈与税を課税しないとする暦年課税の制度で、妻に毎年預金などを移すこともできますが、将来、夫が他界したら、死亡前、最高7年間の贈与価格を夫の財産に加算して相続税がかかります。
 実質的には妻の財産を、全て夫のものと決めつけている現在の税制に大きな疑問を感じます。

木 村

令和5年10月換価分割

 相続人3人で相続した土地を売却し、その売却代金を3人で分けたい場合には、通常、相続による不動産登記によって3人の共有名義とし、その後、3人で買主との売買契約を結んで行います。しかし、この方法では3人とも売買契約に参加しないといけないため、相続人が遠方にいる場合や相続人の数がもっと多い場合には、手続きが煩雑になってしまいます。
 このようなケースでは、売買契約を代表者が単独で行うことができる「換価分割」がオススメです。
 換価分割では、遺産分割協議書において代表者と売却後の売却代金の分け方を決めます。その後、代表者で相続による不動産登記と売買契約を単独で行います。売買代金は、一旦、代表者が受け取りますが、予め決めておいた分け方で代表者から他の相続人に支払います。
 不動産の名義を代表者一人にした後に売却することになりますが、税務上は、実質的な所有者である各相続人が土地をそれぞれ相続し、それぞれ売却したものとして、各相続人に対し、相続には相続税が、土地の売却には所得税と住民税が課税されますので、申告の際は、ご注意ください。

家 田

令和5年9月分譲マンション相続評価見直し?

 分譲マンションの相続評価の引き上げを2024年1月以降にスタートする案が公表されて話題となっています。
 国税庁サンプル調査では、例えば5,000万円の一戸建住宅なら相続税評価は約3,000万円(市場価格の約60%)、分譲マンションなら約2,000万円(市場価格の約40%)の平均値となりました。
 そこで、分譲マンションの相続評価を一戸建並に引き上げて、財産評価すなわち相続税負担の適正化を行いたいとのことです。
 公表案ではマンションの築年数、総階数、所有階数、持分敷地の狭さの4つの指標で評価の見直しをしますが、全国の7割以上のマンションが影響を受けるようです。
 年末に向けて国税庁では具体的な通達案を作っていくようですが、物価上昇で多くの家庭で生活に豊かさが感じられません。廃案となることを強く望みます。

木 村

令和5年8月精算課税適用財産の加算もれ

 相続時精算課税制度は2003年(平成15年)1月以降スタートして、2024年(令和6年)より、制度を利用しやすく、より多くの方に使ってもらえるよう改正が行われます。
 子や孫に対して、最高2,500万円まで財産を贈与しても、贈与の時点では贈与税の納税は不要です。しかし、贈与者に相続が発生した場合には、故人の財産に、過去この制度を利用して贈与した財産価格を上乗せして相続税を計算します。
 過去に、この制度を利用して財産をもらったことを忘れてしまい、相続財産の申告もれになる方が散見されるようです。
 東京国税局では、相続税申告が必要と思われる方へ、過去この制度を利用していた旨の連絡を試験的に始めましたが、早期に全国の国税局で実施して頂きたいと思います。
 誰しも何十年も昔のことを覚えていられません。
 忘れてしまう納税者だけが悪いとは、とても思えません。

木 村

令和5年8月タワーマンション評価方法見直しへ

 タワーマンションなどを購入して相続の際の節税対策とする「タワマン節税」「マンション節税」を防ぐため、国税庁は相続税の計算ルールを見直す方針を固め、評価額を最低でも実勢価格の6割とする見直し案を公表しました。
 相続税や贈与税を算定する際のマンションの評価額は、土地については路線価などをもとにし、建物については固定資産税評価額をもとに決める仕組みとなっていますが、土地の評価額については、タワーマンションなど戸数が多い物件は、1戸当たりの土地の持分割合が小さくなることで市場価格を大幅に下回ることがあり、建物の評価額については、市場価格では総階数やマンション一室の所在階、築年数が考慮されているが、これらの反映が不十分のため市場価格を大幅に下回ることがあります。
 昨年の4月に最高裁判決があった、亡くなる前3年以内に購入されたタワーマンションについて、時価と相続税評価額に約4倍の乖離があったことが、今回の見直しの大きなきっかけのようです。
 この見直しにより不動産市況にも影響がありそうです。

芦 田

令和5年7月家族葬の定着で

 近年、簡素な家族葬が定着してきて、卸売市場では輪菊の販売が大幅に減っているとのことです。
 相続税では、故人の財産から葬式費用は控除して税額を計算しますが、このところお布施も含めて少額になってきたなと感じています。
 葬式費用は控除できるといっても、お通夜と告別式までのものに制限され、又、死後に準備した墓石や仏壇の費用は控除できません。
 ただし、生前に準備していたなら、これらは宗教上の財産として相続財産に含める必要はありません。生前にこれらを準備する人は少ないと思いますが、死亡前と後とで税負担が異なるのはどうなんでしょう。
 控除できる葬式費用の範囲は、従来型の葬儀形式を想定して定められています。葬儀に対する考え方や形式が変化しているなら、税制もこれに合わせるべきではないでしょうか。でないと、国民の生活実態とかけ離れた課税になってしまうのではと思います。

木 村

令和5年6月相次相続控除

 相続税を計算する際に、亡くなった方が過去10年以内に別の方から財産を相続し、相続税を負担していた場合には、今回の相続税から過去に納付した相続税の一部が控除されます。“相次相続控除”というものです。
 例えば、祖父が5年前に亡くなり、父が財産を相続して相続税を納付していたとします。そしてこの度、父が亡くなって父の残した財産にも相続税が再度課税されるようなケースです。
 祖父から父、父から子と財産は承継されるなかで、短期間に同じ財産に相続税負担が重ならないよう、税額控除の制度が設けられています。
 この控除を計算するためには、過去の相続税申告書を確認する必要があります。
 相続申告が終了した方は、申告書の控えを大切に保管しておいて下さい。

木 村

令和5年6月相続土地国庫帰属制度

 不要な土地を手放す方法は、売却・贈与・寄附で他者へ移転するか、相続のタイミングで放棄するかに限られていましたが、令和5年4月27日に国へ引き渡す方法が追加されました。

  • 相続で取得した土地に限られ、境界が明確で争いがない・建物や工作物などがないこと等々の細かな要件があり、現状によっては測量や撤去等の費用がかかる。
  • 半年から1年程度かけて法務大臣の承認を受ける必要がある。
  • 1筆につき14,000円の申請費用と原則20万円の負担金が生じる。(負担金は地目・用途地域によって、面積による計算の場合や隣接する土地との一体計算ができる場合など、計算方法が変わります。)

 以上のような条件はありますが、条件さえ満たせば、引き取り手の見つからない土地でも一筆ごとに個別で国へ引き渡すことができる制度です。
 4月27日以前に相続で取得した土地も対象となりますので、相続税や固定資産税、管理の手間がかかるだけの不要な土地について、売却や地方自治体への寄附といった方法がうまくいかない場合は、本制度も一考の価値はありそうです。

塚 本

令和5年5月相続時精算課税の活用

 2024年より相続時精算課税制度は、年110万円の基礎控除が創設されるなど使い易くなります。
 今回は、評価2,500万円の貸地をこの制度を利用して子に贈与する場合の長所・短所を考えてみます。
<長所>

贈与後、貸地収入は子の収入となり、土地と併せて財産承継をしたことになります。
贈与後、インフレにより貸地の時価が上昇しても、贈与時の安い価額を相続財産に加算します。
年110万円まで他の財産を贈与出来て、相続財産に加算する必要はなく、申告手続きも不要です。

<短所>

不動産の贈与は、相続に比べて登記料が割高で、不動産取得税も課税されます。
贈与後、デフレとなって貸地の時価が下落しても、贈与時の高い価額を相続財産に加算します。
親より子の収入が多いと、貸地収入に対する所得税率が高くなります。

 他にも注意点はありますが、最低これらの長所・短所を比較したうえで、相続時精算課税制度を使うか否かお考え下さい。

木 村

令和5年4月暦年贈与

 従来、相続発生前3年内に生前贈与した財産は、その価額を相続財産に加えて、相続税を計算することとされていましたが、令和5年度改正では、令和6年以降の生前贈与について、順次、最高7年まで逆上って加算することとなりそうです。
 税制調査会でも、生前贈与が資産家の相続税節税に利用されていると分かっていて、不公平を抑えるための改正です。
 税制調査会ではヨーロッパ諸国のように10年分を加算する案もあったようですが、税金徴収の時効が7年となっていることにあわせたようです。
 ただ、生前贈与の期間を長くすることで、相続税負担率と贈与税負担率の差から生じる節税効果は残っています。又、従来相続人以外の人や、財産を相続しなかった相続人への生前贈与は加算の必要がありませんでした。いまのところ、これについての変更は見当たりません。
 根本的に不公平を無くすことは出来ないようです。

木 村

令和5年2月使える相続時精算課税

 令和6年の贈与から相続時精算課税制度が使いやすくなりそうです。この制度は子や孫に、累計して最高2,500万円まで財産を移転しても、条件を満たせば贈与税の負担がありません。しかし、贈与者に相続が発生し、相続財産を集計する際には、この制度を利用して移転した財産価額を上乗せして相続税を計算する制度です。
 従来、一旦この制度を使うとその後は、財産を移転する度に申告をする必要があり、累計2,500万円を超えると超える額の20%を贈与税として納付する必要がありました。
 令和6年以降は、年110万円までは相続財産に加算しないこととなりそうです。
 従来、相続時精算課税制度はメリットが感じられないとして、暦年課税制度(令和6年以降、相続財産への加算期間が従来の3年から7年に延長され、厳しくなりそうです。)で財産を移していた方々にとっては、今後、比較検討する余地が大いにありそうです。

木 村

令和4年12月預金口座の断捨離

 相続税申告では亡くなった方の財産を集計しますが、預金については通常、各銀行支店毎の残高証明を取寄せます。支店毎に戸籍謄本などを提示して、手数料を負担して発行してもらいます。
 又、財産集計、税額計算が終わり遺産分割協議が完了したら、再度各支店にて預金の名義変更を行います。遺産分割協議書と亡くなった方や相続人の戸籍謄本(又は法定相続情報)・印鑑証明などを提示して、手続きします。各支店ではそれぞれ、相続関係書類の確認に時間がかかり、1日で名義変更出来る数は多くありません。
 又、取引のあった証券会社や、各種保険会社とも似たような手続きが必要です。
 仕事のある方は平日に休みをとって、これら作業をすることとなります。
 可能であれば、取引銀行や証券会社などの口座数を整理しておくのも大切な相続対策の1つと実感しております。

木 村

令和4年12月生命保険契約照会制度

 急に相続が発生したり、遠方で疎遠だった方が亡くなられた時などに、その方が加入していた生命保険契約等が全く分からないことがあるかと思います。そのような時に、亡くなられた方が対象になっている生命保険契約の有無を一括で調べる制度があります。生命保険契約照会制度といいますが、この制度は生命保険協会が窓口となり、各生命保険会社に対して亡くなられた方が契約していた保険や、被保険者になっている生命保険契約の有無を調査してくれます。調査してくれるのは生命保険契約の有無のみですので、知らなかった生命保険契約があった場合には、保険会社に生命保険契約照会制度を利用したことを伝え、契約内容の確認や手続きの問い合わせを行っていくことになります。また、照会には1回あたり3,000円の費用が掛かり、(災害が原因の場合を除きます)戸籍謄本等の一定の書類も必要になります。回答までには現在3週間程度の時間がかかるようです。
 最近は保険会社から毎年契約内容の確認の手紙などが送られてくることもあり、保険契約の把握はしやすくなってはいますが、全く手掛かりのないような場合には利用を検討してみてはいかがでしょうか。

青 木

令和4年11月不動産売買契約の途中で売主が死亡した場合の相続税申告

 不動産売買契約では通常、契約時に売主と買主の間で手付金の授受が行われ、その後、売買代金の全額を授受したときに、不動産の引き渡しと所有権移転登記が行われます。
 売買契約の途中で売主が亡くなった場合、「売買残代金請求権」と「不動産の所有権移転義務」が売主の相続人に承継されます。
 亡くなった売主の相続税申告では、通常の相続税評価額(倍率方式や路線価方式)とは異なり、下記の例のとおり、「売買残代金請求権」として相続開始時に買主からまだ受け取っていない金額と、相続開始時までにすでに受け取った金額を課税財産として計上しますので、注意が必要です。

・土地の売買代金・・・3億円
・土地の相続税評価額・・・2億円
・相続開始時までに買主から受領した金額・・・5000万円
 課税財産
・売買残代金請求権3億円-5000万円=2億5000万円
・相続開始時までに買主から受領した金額5000万円
計 3億円

堀 木

令和4年9月暦年課税贈与の改正?

 今年も、雑誌等で“暦年課税による贈与をすることによる将来の相続税節税策が封じられるのでは”との記事を見かけます。
 昨年もこの時期、一部の雑誌が同じような記事を出し、多くの資産家の間で話題となりました。しかし、年末発表の税制改正案には暦年課税改正に関する内容はありませんでした。
 税制調査会の責任者もインタビューの中で、この件は具体的なことは決まっていないし、いったいどこからこのような情報がとび出したか不思議だと答えていました。暦年課税贈与に限らず、年末の税制改正案発表を控えたこの時期、様々な憶測による情報が飛びかいます。
 正式決定されるまでは、参考程度にとどめ、惑わされないよう気をつけて下さい。

木 村

令和4年9月未支給年金の請求

 年金を受け取っている方が亡くなった場合、その方に支給するべき年金のうちまだ支給されていないものは、遺族が本人に代わって受け取ることができます。これを未支給年金と言います。
 例えば、厚生年金をお受け取りの方が9月に亡くなった場合は、8月15日に支給されるのは、6、7月分となります。亡くなった月の分まで受け取ることができますので、遺族は8、9月分を請求することになります。
 受け取ることのできる遺族は、亡くなった方と生計を一にしていた遺族で順位の高い方になります。順位は、1番目が配偶者、2番目が子、3番目が父母、4番目が孫、5番目が祖父母、6番目が兄弟姉妹、7番目が3親等内の親族と決まっています。
 税務上は、相続税の対象とはならずに、受け取った遺族の一時所得の対象となります。一時所得は特別控除額50万円を控除して計算しますので、他の一時所得となるものとの合計が年間50万円を超えるときは、確定申告が必要となる点をご注意ください。

家 田

令和4年9月相続放棄と限定承認の効果について

 被相続人が債務超過となっている場合、相続放棄や限定承認※をすることで、相続人を債務から守ることができます。
 下図の場合、子が相続放棄をすると、被相続人の兄弟に相続権が移転し、改めて兄弟に債務超過の問題が生じてしまいます。子が限定承認をすると、相続権が移転することなく、子の段階で相続手続きを完了させることができます。

相続放棄と限定承認の効果について

※限定承認とは、たとえば相続財産が2000万円、相続債務が5000万円の場合に、相続財産の範囲内(2000万円)だけ弁済の義務を負う、というものです。 

堀 木

令和4年8月相続登記にかかる登録免許税の免税措置が延長・拡大されています

 令和4年税制改正にて相続登記にかかる登録免許税の免税措置が延長・拡大されました。
 令和7年3月31日までに不動産価額(原則として固定資産税評価額になります)が100万円以下の土地の相続登記を行う場合、国に納める登録免許税が免税になります。改正前は不動産価額が10万円以下の一部の指定土地のみが対象でしたので、対象となる不動産が大きく拡大されたことになります。
 免税を受けるには登記申請書に法令の条項を記載する必要があります。司法書士さんに依頼する場合は問題ないかと思いますが、もしご自分で登記をされる場合には記載忘れのないようご注意ください。

青 木

令和4年8月養子縁組で身分が重複した場合

 養子縁組をすると、同一人物に二つの身分が生じる場合があり、法定相続分や相続税を計算する際に注意が必要です。
 たとえば下記図では、孫は「長男の代襲相続人」という身分と、「養子」という身分を有しています。この場合には、代襲相続人としての相続分と養子としての相続分の両方を取得することになります。(昭和26.9.18民事甲第1881号民事局長回答)

養子縁組で身分が重複した場合

※法定相続分:配偶者…1/2、次男…1/2×1/3、孫…(1/2×1/3)+(1/2×1/3)
※相続税の基礎控除額等は法定相続人を3人として計算します。

堀 木

令和4年5月相続税の障害者控除

 相続人に障害のある方がいる場合には、障害者控除が適用されます。
 障害者控除の対象者は、通常、身体障害者手帳や精神障害者保険福祉手帳などの交付を受けている方のほか、交付を受けていない場合であっても、65歳以上の要介護認定を受けた方が、市に申請すると、一定の要件のもと市から障害者控除の対象者として認定を受けることができます。
 障害者控除の金額は、「10万円(障害の程度が重い場合には20万円)×85歳に達するまでの年数」により計算します。例えば、障害のある相続人の方の相続時の年齢が60歳の場合には、控除される金額は250万円(10万円×25年=250万円)となります。
 計算された障害者控除の金額は、まず、障害のある方の相続税から控除しますが、控除額のほうが多くなる場合には、残った控除額を他の相続人(一定の扶養義務者)の相続税から控除することができます。
 年齢によって控除額が多額になることもありますので、相続の際には必ずご検討ください。

家 田

令和4年4月民法の改正により成年年齢が引き下げられます

 令和4年4月1日より成年年齢が18歳に引き下げられます。税務においても様々な影響がありますが、特に贈与税の関係で影響のありそうな項目として下記のものがあります。
① 直系尊属から贈与を受けた場合の贈与税の税率の特例
② 相続時精算課税制度
③ 直系尊属から住宅取得資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税
 ①の直系尊属から贈与を受けた場合の贈与税の税率の特例とは、成人の方が親や祖父母から一定額以上の贈与を受けた場合、それ以外の人からの贈与と比べて低い贈与税の税率を使うことができる制度です。3月までに贈与を受ける場合には、令和4年1月1日時点で20歳以上の方に適用がありましたが、4月1日以降に贈与を受ける場合には、令和4年1月1日時点で18歳以上の方から適用を受けられることになります。
 ②と③の特例も、同じく成人の方が親や祖父母から贈与を受けた場合に選択できる特例です。制度の説明については省きますが、これらの制度も3月までに贈与を受けた場合には20歳以上の方に適用がありますが、4月1日以降の贈与については18歳以上の方から適用を受けられることになります。

青 木

令和4年4月デジタル通帳 相続開始時に口座が見つからない?

 近年、大手銀行では紙通帳からデジタル通帳への移行が進んでいます。紙通帳の発行に手数料がかかる銀行も増えており、三菱UFJ銀行では2022年4月から紙通帳利用手数料が年間550円かかるようになります。昨今の電子化の流れから、今後はデジタル通帳の普及が加速することが予想されます。
 デジタル通帳の普及にあたり、相続があった時に、「被相続人の口座が見つからない」、「口座があることを知らなかった」、といった問題が生じる可能性があります。デジタル通帳をお持ちの方は、エンディングノートや遺言を残すことで、相続人の方にあらかじめ口座をお伝えすることをご検討いただければと思います。

堀 木

令和4年3月相続登記義務化

 所有者不明土地の増加に対処するため土地、家屋の相続登記が義務化されます。
 2024年4月1日以降に亡くなった場合は3年以内に、それ以前に亡くなった場合は、2027年3月末までに相続人に名義変更しなければ、原則10万円以下の罰金となります。
 又、相続登記をするには、相続人全員で遺産分割を決める必要があります。この遺産分割の期日も亡くなってから、原則として10年以内(既に亡くなって10年経過しているケースなどは2028年3月末まで)となります。
 昔亡くなった先代、先々代名義の土地、家屋があるご家族は、相続登記の準備を始めて下さい。

木 村

令和3年10月相続預金の代償分割

 ほとんどの場合、相続財産には複数の銀行預金があります。
 各通帳の残高には差がありますので、各相続人間で均等に分けたい場合は、各通帳残高を複数の相続人で分けることとなり、銀行の手続きが複雑となります。
 そこで代償分割という方法をよく使います。
 各預金残高を一旦、相続人代表に集中して名義変更をします。そのあとで、他の相続人に遺産分けで決めた額を振込む方法です。
 代表者の相続税は、名義変更した預金全額から、他の相続人へ振込んだ金額を控除して、相続財産とします。他の相続人は、代表者から振込まれた金額を相続財産として相続税を負担します。
 預金を全て一旦代表者にしますので、銀行の手続きは大変簡単になります。
 ところで、相続人間で預金が移りますが、贈与税は?
 遺言書や遺産分割協議書で、代償金として支払う旨、記載があれば、相続税のみ課税され相続人間の贈与税は課されません。
 遺産分けの実務上のテクニックです。

木 村

令和3年10月証券会社に預けていない上場株の相続手続き

 証券会社に預けていない上場株の相続の手続きは、その銘柄の株主名簿管理人となっている信託銀行に連絡して進めることになります。株主名簿管理人となっている信託銀行は、配当計算書で確認できます。
 株式の受け取り方は、相続人が開設した証券会社の特定口座に振り替える方法のみとなりますので、特定口座を持っていない場合は、新たに開設する必要があります。
 ただし、売買可能なまとまった株数でないと証券会社に預けることができませんので、預けることができない半端な株数については、信託銀行を通じて、発行会社に買い取り請求することになります。
 例えば、100株単位で取引されている銘柄の株式は、証券会社に預けることができるのが100株単位となり、100株未満の株式については、買い取り請求することになります。
 相続人が信託銀行に依頼すれば、ほかに所有している上場株がないか調べてくれるので、手続きの際に確認するといいでしょう。

家 田

令和3年8月火災保険の相続税

 火災保険の契約者が亡くなった場合、その火災保険は他の財産と同様に相続税が課税されます。評価額は、死亡日における解約返戻金であり、解約返戻金は、保険代理店や保険会社に依頼すると計算してくれます。
 通常の火災保険は掛け捨てですので、積立金はありませんが、保険料を「長期一括払い」している場合には、解約すると先払いした保険料が戻ってきますので、解約返戻金が発生します。
 また、農協の建物更生共済(建更)は、積立型になりますので、積立金が解約返戻金となります。
 火災保険の契約者が亡くなった場合、長期一括払いのものや農協の建更が相続税の対象になりますので、ご注意ください。

家 田

令和3年7月マンション節税高裁でも棄却

 相続税節税目的で取得した高額マンションの相続税評価について、東京地裁での一審に続き東京高裁でも国の主張が認められ、相続人の主張は認められませんでした。すなわち、不動産の評価にあたって、評価通達を利用しないで鑑定評価による時価を採用すること。
 判断基準としては、①評価通達により計算した場合、課税公平が著しく害される場合は、通常取引価格によって評価すべきことは、予見出来たはず。②評価通達価額は、鑑定価額の半分以下であること。③不動産購入の経緯は、相続税引下げ目的が明らかであること。
 としていますが、やはり基準があいまいで本当の理由は、あまりにもマンションが高額で目立ったからではと、勘ぐってしまいます。
 ルールを作る国も、“評価通達によらない特段の事情”をもっと具体的に明確にして頂かないと、申告現場は混乱します。

木 村

令和3年6月質問方法へのこだわり

 税務申告書を作成するには、依頼者の状況を的確に把握する必要があり、様々な質問をさせて頂きます。
 質問にあたっては、依頼者が答えやすいように気を配ります。
 例えば相続申告では、亡くなった方の預金について、死亡時の残高だけでなく、過去数年間の入出金を確認します。多額の預金引出しがあると、使途によっては申告財産額に影響します。
 残されたご家族に、”この出金は何に使いましたか?”と質問しても、ご本人は亡くなってますし、数年前のお金の使途を思い出すのは困難です。
 そこで、質問の仕方を変えてみます。
 ”〇年前の夏頃、×百万円の出金があります。車を購入されたとか、自宅の改修工事をされたとか、お孫さんの学費や結婚資金の援助をされたようなことはありませんでしたか?”
 などと、具体例を挙げて質問することで、思い出すきっかけになり、状況把握がスムーズになります。
 これは以前、成績優秀な営業マンのセールストークを聞いていて、”なるほど”と気付き、それ以来、相手が答えやすい質問の仕方を工夫しています。

木 村

令和3年5月相場のない株式の相続税評価額

 先日、とある一部上場企業の創業者一族に対し、90億円の申告漏れがあったとして、過少申告加算税を含めて約50億円の追徴課税が行われたとの報道がありました。
 この申告漏れは、被相続人が保有していた、資産管理会社の株式の相続税評価額が適正でなかったとの指摘によるものなのですが、この資産管理会社の株式の評価自体は、国税庁が公表している財産評価基本通達に従って算出した評価額であったとされています。
 つまり、「国税庁の指示通りに評価をしたにも関わらず、国税庁によりその評価額が否認された」と見ることができ、とても気になる事例です。このような、財産評価基本通達通りに評価をしたにも関わらず、国税庁によって指摘される事例は、相続の間際に不動産を取得したために、不動産の相続税評価額が実際の取引価額等と乖離した場合などにも見られます。
 財産評価については、財産評価基本通達に従っているからといって安心せず、”適正”な価額となっているかどうか、必ず検討を要するということが再確認できる事例でした。

塚 本

令和3年4月相続登記の義務化に向けた議論

 土地は通常、所有者が亡くなると相続登記により名義変更します。ところが、実際には相続登記をせずに放置しているケースが多数あり、その場合、購入したい人がいても売買契約を締結できないことから、大きな社会問題となっています。
 そこで、政府では兼ねてから相続登記の義務化が検討されています。
 検討されている案としては、遺産分割協議の成立などにより土地の取得を知った日から一定期間内に登記をしなければならないというもので、守らなかった場合の罰金もあります。
 また、登記上の所有者の住所についても変更登記の義務化が検討されています。これは、その登記簿上の住所情報が更新されていないことが、土地の所有者と連絡が取れない原因とされているからで、こちらも一定期間内に登記をしない場合は罰金の対象になるとされています。
 さらに、望まない相続によって取得者が決まらずに放置されている土地は、一定の条件を満たせば、国庫に帰属させることができるようにする制度も検討されています。
 順調にいけば、2023年度に施行される予定で、今後の動向に注目です。

家 田

令和3年2月感染予防中も相続税調査

 昨年末に令和元年に亡くなった方の相続税申告状況が公表されました。
 約138万人が亡くなり、内約11万人の方の財産に相続税が課されました。100人のうち約8人で前年とほぼ同じ割合です。
 財産の内訳として土地、家屋、有価証券が前年に比べ、それぞれやや減少し、預貯金がやや増加したところを見ると、安全性を重視した運用が好まれてきたのかなとの印象です。
 相続税調査(令和2年)は感染予防のため約2,000件減少し、約1万件。相続申告10件に1件の割合で調査がありましたが、1件当たりの追徴税額は増加し、約641万円でした。調査件数を抑えて、1件あたりを重点的に点検したようです。
 話題はコロナ自粛下でも税務署は手を緩めていません。ご注意を。

木 村

令和3年2月転用許可を受けた農地の相続

 相続税の申告にあたって、通常、市街化調整区域の農地については、住宅の建築ができないことから宅地の評価額と比較して低い、農地の単価をもとに計算します。
 しかし、相続発生時点で転用許可を受けていた場合には、造成工事が始まっておらず、見た目が農地のままであっても、宅地の単価をもとに評価することになります。宅地として利用するまでに造成費用がかかる場合には、宅地の評価額からその造成費相当額を控除することはできますが、評価額が大幅に高くなるケースが多いです。
 また、転用許可が農家の分家住宅として行われた場合には、一定の建築制限を加味して減額評価の対象となる場合があります。
 このように、転用許可を受けていた農地は、他の農地とは別の評価をしますので、相続税申告はご注意ください。

家 田

令和2年12月路線価見直しなるか?

 7月1日、令和2年の路線価が公表されました。令和2年の土地の相続税や贈与税の計算に用いられる価格ですが、ウィルス感染が全国に広がる前の時点で算定されていて、その見直しが検討されていました。しかし、専門機関の調査では、見直しの基準となる20%以上下落はなかったようで、とりあえず、令和2年1月~6月の相続贈与については、公表された路線価で申告することとなりました。
 しかし、感染防止の自粛は続いており、更に土地下落の状況となれば、7月以降の相続贈与については、路線価見直しの可能性が残っています。
納税額だけでなく、遺産分割にも影響しますので、注意が必要です。

木 村

令和2年12月配偶者居住権の設定

 令和2年4月以降の相続から配偶者居住権の設定が可能になっています。配偶者居住権を設定することにより、例えば自宅を所有していた夫が亡くなった場合に、その自宅を他の相続人が取得したとしても、妻はそれまで住んでいた自宅に無償で住み続けることができます。
 この制度は本来、例えば自宅以外の相続財産が少ないような場合に、配偶者の相続後の生活を安定させるために作られたものですが、この配偶者居住権を設定することにより相続税の負担が少なくなる場合があるとして注目されています。先ほどの例でざっくりと説明しますと、夫が亡くなった際の相続で妻が配偶者の税額軽減を利用し、相続税の負担なく配偶者居住権を取得します。自宅の所有権は他の相続人、例えば子供が取得しますが、相続税の計算をする際に子供が取得した自宅の所有権の評価額は、配偶者居住権を差し引いた金額になります。その後妻が亡くなった際には配偶者居住権は消滅するため、妻の相続税の計算をする際には、配偶者居住権については現在の税制では相続税の課税対象にはならず、結果として相続税の負担が少なくなる、ということです。
 とはいえ、必ず相続税の負担が少なくなるとはいえず、場合によっては相続税の負担が増えてしまうこともあります。また、自宅の売却に制限がかかるなどデメリットもあり、思わぬ贈与税や所得税の負担が発生する恐れもあります。まだまだ始まったばかりの制度ですが、利用される際には専門家などにご相談の上、十分にご検討をお願いいたします。

青 木

令和2年12月サイン証明

 相続のときには、不動産の名義変更や金融機関の手続など、さまざまな場面で印鑑証明の提出が求められます。しかし、海外に移住した相続人は、住民登録が抹消されると同時に印鑑登録も抹消され、印鑑証明を取得することができません。そこで印鑑証明の代わりに大使館や領事館から発行される「サイン証明(署名証明)」を提出します。
 サイン証明には2種類の形式があります。
 形式1は、署名が必要な書類を領事館等に持参し、領事の立会いのもとで署名し、署名した書類に領事館等の証明書を添付して割印を行います。不動産の名義変更などに必要な遺産分割協議書は、通常、形式1により行います。
 形式2は、領事館等に備え付けの用紙に、領事の立会いのもとで署名し、その署名が本人のものであることを証明します。金融機関の手続には、形式2を使うことが一般的です。
 サイン証明を取得するには、①パスポートなどの日本国籍を有していること及び本人確認ができる書類と、②形式1の場合は遺産分割協議書などの署名すべき書類を、領事館等に持参して、本人が申請する必要があります。費用は1通あたり1,700円で、現地通貨により支払います。
 どちらの形式によるかは、提出先の意向によりますので、先に確認した上で、まとめて取得されるのが良いでしょう。

家 田

令和2年9月売買契約中の土地相続

 相続申告にあたって、土地の財産評価額は、一般に国税庁発表の路線価方式や倍率方式で計算します。
 しかし、相続発生時点で売買契約中で、引渡しが終わっていない土地は、売買契約価額を申告上の評価額とします。その土地の路線価格など、一般的な計算方法による評価額より、高額で契約した場合、相続財産も、相続税も増えてしまい注意が必要です。
 又、土地を売却したことで、売却益が発生する場合には、所得税、住民税の負担も発生します。
 この所得税申告は、亡くなった方(契約時)の所得として申告するか、受け継ぐ相続人(引渡し時)の所得として申告するか選択可能です。
 相続人(引渡し時)の所得として申告する場合、相続申告期限から3年以内の売却として、相続税の一部を取得費に加算して、売却益を計算することが出来ますが、一般的には、亡くなった方(契約時)の所得として申告した方が、翌年の住民税が節約出来るため、節税となる可能性が高いと思われます。
 土地の売買契約に当たっては、相続前後で税負担に差が出ることをおぼえておいて下さい。

木 村

令和2年8月令和2年分の路線価等が公表されています

 7月1日に国税庁より令和2年分の路線価が公表されました。路線価とは相続税や贈与税の計算をするため、土地の評価をする際に用いられる評価額で、その年の1月1日時点での道路に面した土地1平方メートルあたりの評価額になります。今回公表された路線価では、全国の標準宅地の評価基準額は前年に比べて平均で約1.6%上昇し、5年連続での上昇となりました。都道府県庁所在地の都市については前年に比べて38都市が上昇するなど、全体的に路線価は上昇しています。
 ただし、今回公表された路線価は令和2年の1月1日時点での評価となり、新型コロナウイルスによる影響は加味されていない状態の路線価となります。新型コロナウイルスによる影響などにより大幅な地価下落があった場合には、相続税や贈与税の計算をする際に地価下落のあった地域ごとに路線価に補正率を設定して評価するなどの措置が検討されているようです。補正率の設定はまだ検討段階ですので、今後の情報に注目してまいります。

青 木

令和2年8月自筆証書遺言書保管制度スタート

 法務局で、自筆の遺言書を預かってもらえる制度が、令和2年7月10日より始まりました。
 公正証書遺言に比べ、手続きも簡単で、費用も格段に安く出来ますので、是非ご検討下さい。
 ところで、遺言書を書こうとしても、どう始めてよいやら悩んでしまうと思います。最初から完成品を作ろうと考えずに、まずは、ご自身の財産を手帳に書き出してみて下さい。
 自宅 アパート  預金 株式・投信 会員権 保険 など・・・大雑把でいいのです。
 そして、思い出せる範囲で、各財産の内訳や金額を追記して下さい。遺産分けを考えるには十分な、財産目録となります。
 手帳の財産目録を日々眺めながら、たっぷり時間をかけて遺産分けを考えて下さい。
 A案、B案、C案・・・思いつく度に、手帳に書きます。
 どの案がベストか、1年でも2年でも考えて下さい。
 自分の気持ちが決まったら、ようやく遺言書の作成です。法務省から大変分かりやすい案内書が公表されています。事務作業は苦手だなと思われたら、是非ご相談下さい。税対策を含めてお手伝いをさせて頂きます。

木 村

令和2年6月配偶者居住権とは

例えば、自宅所有者である夫が死亡し、同居の妻が自宅を取得したいが、先妻との間に子供がいて自宅の権利を主張してきたら・・・ほかに先妻の子が取得する適当な財産があればいいですが、それがない場合は妻が自宅を取得する代わりに先妻の子にお金を支払うか、泣く泣く自宅を手放すことになるでしょう。
 しかし、令和2年4月から「配偶者居住権」という制度ができたことで、状況は大きく変わりました。
 自宅の所有者が先妻の子となっても、妻は自宅に配偶者居住権を設定し取得することにより家賃を請求されることなく住み続けることができます。先妻の子は、配偶者居住権があるうちは売却することはできませんが、妻が死亡し権利が消滅すると自由に売却できるようになります。
 このように夫を亡くした妻が住んでいる家やその後の生活資金を手放すようなことがないように、配偶者居住権は創設されました。配偶者居住権は配偶者のための新しい権利です。遺産分けにあたって、検討してみてはいかがでしょうか。

家 田

令和2年5月雑種地の評価

 市街化調整区域内の土地は安い。そんなイメージがありますが、資材置き場や駐車場に使われているような雑種地は周辺の農地と比べ、評価額が高くなります。
 比較する機会はなかなかありませんので、市街化調整区域内の農地と、その一部を造成して駐車場としている雑種地という、ある事例を使って比べてみました。
 農地は農業振興地域内農用地区域内農地、いわゆる青地にあたる土地で、駐車場は市の施設の青空駐車場として貸している土地です。

農地 駐車場 倍率
固定資産税評価額 110円/㎡ 15,000円/㎡ 約136倍
相続税評価額 3,500円/㎡ 17,000円/㎡ 約4.9倍

 雑種地については、その周辺の環境や、実際の利用状況によって評価が異なるので、一概にこのような差になるとは言えませんが、今回の事例では、相続税評価額ではおよそ5倍の差となることが分かりました。
 このように、同じ地域の、すぐ隣の土地といっても、その利用方法で評価額が異なってしまうため、注意が必要です。

塚 本

令和2年2月相続税調査実績

 相続税の税務調査実績が公表されました。
 平成30年分では、

相続税調査実績

 となりました。
 平成27年1月以降、相続税の基礎控除が引き下げられ相続申告が必要な方は、亡くなった方のうち、約4~5%であったのが、約8.5%に増加した状況が現れています。
   約11万件の相続申告に対し、家まで訪問してくるような実地調査は約1万件で、約10.7%の割合で、税務署より、申告内容の問い合わせがあることとなります。
 もちろん、他の約90%の相続申告も、税務署では、過去の確定申告や金融機関、その他不動産情報と照合するといった内部調査は行っているようです。
 実地調査があると、約86%の確率で申告もれ等が指摘され、修正申告及び追徴税納付を要求されています。
 実地調査の割合が、約10.7%と低いように見えますが、パソコン・インターネット等の発達で、税務署は無駄のない精度の高い調査をしているようで、気を抜くことは出来ません。

木 村

令和1年12月相続財産評価で厳しい判決

 相続税を計算する基となる財産の評価額は、原則として「時価」とされています。具体的には、土地、建物、有価証券等、財産の種類毎に評価額の計算方法を定めています。国が提示したルールに従って計算しても、その結果が、国が想定する時価と著しくかけ離れてしまった場合、国税庁長官の指示で是正することが出来ることとされています。
 ルールに従って計算した評価額が国が考える時価を大幅に下回っていたため、国と納税者で裁判となり、東京地裁では国の主張が認められました。
 「評価額と時価に約4倍の差があり、相続税負担を避けるための不動産取得であった」との理由だそうです。
 国が作成し、広く一般に採用されているルールに従って計算したにもかかわらず、抽象的な理由で納税者の主張が否定されました。
 国税当局には主観が入らないような明確な基準、ルール作りを急いでいただきたいと感じました。

木 村

令和1年12月妻のへそくりは誰のもの?

 夫に相続が発生し、専業主婦の妻にへそくりがある場合、そのへそくりに相続税がかかる可能性があることをご存知でしょうか。
 財産の所有者は、その名義ではなく実質で判定されることとなります。そしてその判定には、その財産はどのように獲得されたのか、誰が管理していたのか、誰が支配していたのかという点から判定されます。
 過去の裁判事例には「妻に生活費として渡した預貯金があり、『余った分は自由に使ってよい』と言われたとしても、その預貯金の法的性質は、夫婦共同生活の基金であり、妻名義の預金にしても、その性質は失われない。『余った分を使ってよい』という発言が直ちに贈与契約を意味するものではない」というものがあります。
 そのため、夫の給料を妻が生活費として受取り、家計を節約し残った分は妻名義の預金として貯めた場合であっても、その実質は夫の財産ととらえられることがあります。
 もし、へそくりがあまりに高額な場合はご注意いただければと思います。

水 谷

令和1年11月住宅取得資金なら最高3,000万円贈与非課税

 消費税が10%となったことで、子や孫に住宅取得資金を贈与した場合の非課税枠が拡大されました。令和2年3月31日までに、子や孫が新居を取得する契約をすれば、

  ・省エネ住宅の認定があれば 3,000万円まで
  ・それ以外の住宅なら 2,500万円まで
お金を援助しても贈与税が課税されません。
 この制度は、相続時精算課税制度による生前贈与とは異なり、援助した側の親の相続税計算上、相続発生時に残された財産に加算して相続税を計算する必要はありません。
 相続税を心配している方にとっては、大きな節税となります。
 子や孫が家を持つタイミングが合うなら、是非この住宅取得資金の贈与税非課税を活用して下さい。
 なお、子や孫は贈与を受けた年の翌年3月15日までに、この制度を受けるための贈与申告が必要です。
 くれぐれも、相続時精算課税制度の申告と間違えないで下さい。申告内容が似ていますので!

木 村

令和1年10月自筆証書遺言の検認って?

 相続が発生した後、自筆証書遺言がある場合、その発見者や保管者は家庭裁判所に遺言書検認手続きをする必要があります。遺言書の存在を明確にし、偽造変造を予防するなどの目的です。
 手続きは家庭裁判所で「遺言書の検認申立書」をもらい、遺言者や相続人の住所や氏名等、必要事項を記入し、戸籍謄本を添付して提出します。担当官が親切に教えてくれますので、難しくありません。
 この後、担当官と電話で検認期日の打合せをし、検認期日が決まると家庭裁判所から相続人全員に「遺言者検認期日通知書」が届きます。
 検認期日には、遺言書と印鑑や身分証明書などを持って出向き、家庭裁判所の一室で、遺言書を開封し読み上げられます。
 この後、検認手続終了証明書を添付した遺言書が返還され終了です。
 これで、遺言記載内容に応じて、金融資産や不動産等の名義変更が可能となります。
 予想より、ずっと簡単な手続きですヨ。

木 村

令和1年8月遺留分制度の見直し

 2019年7月1日に民法(相続法)改正の一部が施行され、遺留分制度についても変更がありました。遺留分制度とは、遺言書で例えば「すべての財産を長男に相続させる」と書いてあったとしても、長男以外の法定相続人にも一定割合の財産取得を保証するという制度です。
 今回の改正では、その遺留分を請求をされた場合に渡す財産について変更がありました。これまでは遺留分の請求があった場合、原則として各相続財産の持分を渡すこととなっておりました(協議を行い合意が得られればどのような分け方であっても可能)が、これからは金銭で渡すこととなりました。この改正は先代の経営していた会社の株式や事業用の不動産などが複雑な共有状態となり、円滑な事業承継の妨げとなっているという問題を解決することを目的としています。
 またこの改正により、今後は遺留分の請求を受けた者が、金銭ではなく不動産等を渡した場合は、相続でその不動産等を受け取り、その後遺留分請求者に譲渡し、その代金で渡したとして、相続税に加えて、譲渡所得課税も生じることになりますのでご注意下さい。

水 谷

令和1年6月高齢者の預金管理

 近年、銀行の入出金にあたって、本人確認が厳しくなっています。高齢者を狙った振り込め詐欺事件が多く報道されていますので、厳しいチェックは欠かすことは出来ません。
 ただ、体の状況によっては、銀行へ行くことが困難で、やむを得ず家族が代理で手続きすることも多々あるかと思います。代理人となるには、その都度それなりの手続きが必要で、家族の負担も増えてしまいます。
 あるご家庭では、入出金をスムーズに行うため、高齢者の預金をまとまった額、介護をしている同居家族の通帳に移し換えて、お金の管理をされていました。
 このケースの税務上の問題は、預金の移し換えが贈与となり、高額な贈与税が課されるのではないかという不安です。
 贈与税の課税は、財産移転の経緯、理由、当事者の贈与の意思等、総合的に判断して、表面的にも実質的にも贈与である場合に行われます。
 そこで、必要に迫られて預金を移した場合、
  ・専用の通帳を用意する
  ・移した預金は、元の所有者のみのために使う
  ・簡単な借用書を準備し、贈与ではない旨を明確にする    など
 表面的には預金を移したが、実質的には財産が移転していないことを証明出来るように工夫して下さい。
 余分な贈与税を負担しないために。

木 村

令和1年5月ほとんど利用していない通帳

 相続人間で、遺産分けが決まると、各財産の名義変更を行います。不動産については通常、司法書士に依頼し、法務局で名義変更をしてもらいますが、預金、有価証券、保険については、相続人自身で名義変更するケースが多いと思います。
 各銀行、各証券会社、各保険会社から渡される書類に必要事項を記載し、遺言書や分割協議書に戸籍謄本などを添付し、相手先毎に面倒な手続が必要となります。
 ところで、以前利用していた通帳で、現在は入出金をしていないが、少しだけ預金残高が残っている。こんな通帳をお持ちではないですか。
 少額であっても、本来は、面倒な名義変更が必要なのですが、残高によっては手数料のほうが高くついてしまうこともあります。
 又、相続申告の際に、少額ではありますが、気付かずに申告もれとなり、僅かな金額が原因で税務調査に発展する可能性も無いとはいえません。
 利用していない通帳を見つけたら、その都度解約し、金融資産の整理をおすすめします。

木 村

平成31年4月自筆証書遺言の要件が緩和されています

 今年の1月13日から自筆証書遺言の要件が緩和され、財産目録をパソコン等で作成することが可能になりました。(パソコン等で作成したページには署名と押印が必要です)また、2020年の7月10日以降には作成した自筆証書遺言を法務局で保管することが可能になります。現在、自筆証書遺言は自宅の金庫等で保管されていることが多いようですが、法務局で保管することで紛失や変造のリスクを避け、これまでよりスムーズに手続きを進められるようになることが期待されています。
 ただし、自筆証書遺言にはデメリットもあります。一番大きなデメリットとしては、遺言書は形式が厳格に定められているため、書き方を間違えてしまうと無効になってしまう恐れがあります。確実に遺言を残されたい場合には、法律のプロである公証人からのサポートを受けられる公正証書遺言をお勧めいたします。

青 木

平成31年1月住宅ローン控除・住宅取得等資金贈与の特例の併用

 先月11日、国税庁から住宅借入金等特別控除等の適用誤りに関するお知らせが公表されました。平成25年から平成28年分の所得税の確定申告書を提出した方のうち、最大で約1万4,500人に申告の誤りがあったというものです。
 今回公表された申告誤りのケースのうち、もっとも多かったのが所得税の住宅ローン控除と贈与税の住宅取得資金の特例を併用していた際のものです。住宅ローン控除は「住宅の取得価額」と「住宅ローンの年末残高」のうち、低い方の金額を基に計算します。ただし、その住宅の購入の際に両親等から資金の贈与をしてもらい、贈与税の住宅取得資金の特例を受けた場合、その金額を「住宅の取得価額」から差し引いて計算する必要がありますが、今回公表されたケースでは差し引かずに住宅ローン控除額を計算していたというものです。
 税法には様々な特例がありますが、適用を受けられる条件や複数の特例の併用が可能かどうかなどはとても複雑です。ご実行の前に一度専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

青 木

平成30年12月今年の生前贈与。お済みですか?

 12月です。資産家の方々に再確認して頂きたいのは、生前贈与。預金や有価証券なら贈与手続きは簡単で費用もほとんど必要ありません。
 財産をもらう方1人につき年110万円までは贈与税が非課税。30年分は、12月31日が締め切りです。
 贈与をした場合、財産をもらった方は翌年3月15日までに贈与税の申告をして頂くのですが、非課税範囲内なら申告は不要です。
 相続と違って贈与は、相続権のない方、例えばお孫様へも行って頂けます。
 年が明けて、確定申告でお会いし、贈与のことをお聞きしますと、大半の方は「非課税のことは知っているけれど、いつかそのうちやればいいかな。」とおっしゃいます。
 お気持ちは判りますが、せっかくの30年の非課税枠。利用しないのは何とももったいないと思うのであります。

木 村

平成30年11月民法改正「特別の寄与」

 相続申告書を作成するには、亡くなった方の家族構成、財産、債務、葬式費用など調査収集する必要があります。
 一般的には、代表相続人を通じて戸籍、住民票をはじめ、預金、借入金、有価証券の残高証明、保険証書、固定資産税課税明細、賃貸借契約書、葬式費用などなど多岐に渡る資料を準備してもらう必要があります。
 子が相続人代表の場合で、仕事や体調の事情で資料収集が出来ないとなると、通常、その配偶者の方が代わって、作業を手伝ってくれます。
 役所、銀行、証券会社などと連絡を取って、慣れないなかやっと資料集めが終わる頃、一言。「こんなに大変な苦労をしたのに、私には相続する権利が1円たりとありません」と。
 生前も、介護や年金、税金などの事務的なお手伝いを相当やってこられたと容易に想像出来ます。
 こういう話は、昭和の頃からよく聞きましたが、この度民法改正で、その配偶者も相続する権利がようやく、ようやく、ようやく、認められました。
 国民のライフスタイルがどんどん変化しているのに、法律の改正があまりにも遅いと感じるのは、私だけでしょうか。

木 村

平成30年11月民法(相続法)改正

 先般、約40年ぶりに民法(相続法)改正が公布されました。本改正は多岐に渡りますが、改正の一つに預貯金の仮払制度の創設があります。
 金融機関は口座名義人の死亡を確認すると口座を凍結します。すると相続人は遺言書が無い限り相続人全員の署名・捺印がなければ原則として預貯金の引き出しに応じてもらえませんでした。そのため、相続人は被相続人の葬儀費用や借入金の返済のために、一時的に立替えて支払う必要がありました。今回の改正では、遺産分割が整う前でも、その金融機関の預貯金額の3分の1にその共同相続人の法定相続分を乗じた額(上限金額が設定される見込)までは単独で引き出すことができるようになります。また、家庭裁判所で引き出しが必要な金額を証明し、仮払いの必要性があると認められる場合には、前記の金額を超えて引き出すことも可能となります。
 なお、この制度は2019年の7月までには施行されることとなっております。

水 谷

平成30年5月相続登記の登録免許税の免税措置について

 所有者不明の土地が全国的に増加している問題を受けて、相続登記を促進するために登録免許税の免税措置が設けられました。
 この免税措置の適用を受けると、例えば過去に祖父から父が相続した土地が未登記の状態のままで次の相続が発生した場合に、祖父から父への相続登記について登録免許税が免除されることになります。ただし、父から子への相続登記については通常通り土地の固定資産税評価額の4/1000の登録免許税がかかることとなります。尚、この免税措置は2021年3月31日までの間にこの登記を行う必要があります。
相続登記未了による所有者不明土地の存在は、国や市町村において土地の利活用に悪影響を与えます。今回の免税措置により少しでも相続登記の促進に繋がればと思います。

水 谷

平成30年5月生命保険支払調書の改正が開始されています

 平成27年度改正の生命保険会社から税務署へ提出される支払調書の提出基準及び記載内容が平成30年1月より適用されています。
 契約者の死亡により契約者の変更手続きが行われた場合には、保険会社から税務署へ調書が提出されることとなり、新保険契約者・死亡した保険契約者・被保険者の住所氏名のほか解約返戻金の金額や既払込保険料も税務署に把握されます。
 そのほか、契約者の死亡以外の名義変更があった場合でも、保険会社から税務署へ調書が提出されることで、誰がどれだけ保険料を負担したかが明らかになります。
 これにより、税務署は相続税・贈与税・所得税の申告漏れや申告の誤りを容易に把握できるようになります。保険金が入らなくても税金の申告の対象になるかもしれない場合があるので、気を付けなければなりません。

芦 田

平成30年4月小規模宅地等の貸付事業用宅地等の対象が縮小されます

 平成30年度税制改正大綱により、相続税の小規模宅地等の特例における貸付事業用宅地等の対象に制限が加わりました。
 今までの貸付事業用宅地等は、亡くなった方や生計一親族の不動産賃貸業に使われていた土地等で、相続税の申告期限まで親族が貸付事業を続けていた場合に適用することができました。この場合、その土地等の評価額を200㎡まで50%減額することができたのです。
 しかし、平成30年4月1日以降に亡くなられる場合、原則として亡くなる前の3年以内に貸付を開始した土地等は対象になりません。ただし、亡くなる3年より前から事業的規模で貸付事業を行っている場合は対象とすることが可能です。また、平成30年4月1日前から貸付している不動産についても特例の対象とすることが可能です。

青 木

平成30年2月税務調査官の言動

 税務調査を行う国税職員には質問検査権が与えられています。正しい税額を把握するため納税者等に対し質問したり、通帳等の提示を求め検査をしたりすることが出来る権限です。
 調査官の質問に対し、答えなかったり、ウソをついたりすると、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が課されると定められています。
 私の業務の中で、この罰則が適用された経験はありませんが、この規定があるために、任意の税務調査であっても、言動には注意する必要があります。
 ところで調査立会をしていると、調査官の言動に疑問を感じることがよくあります。
 例えば、相続税調査では、明確な必要性を説明しないでご婦人の寝室まで立入りを要求してくるケースがあります。
 適正な税制を維持するための質問検査権でしょうが、人権の一種であるプライバシーの方が優先されるべきです。
 税務調査官には、高いモラルをもって、質問検査権を行使して頂きたいと強く思います。

木 村

平成30年2月配偶者居住権という選択肢

 相続が発生した場合に残された配偶者の生活の安定を目的とした民法改正案が、通常国会に提出される見込みです。改正案では、遺産分割の選択肢として配偶者がそれまでの住居に住み続けられる「配偶者居住権」が創設されます。この居住権は配偶者以外の人が所有権を持っても、配偶者が亡くなるまで住み続けることができるようになるというものです。
 従来から遺産分割により配偶者が所有権を得ればそのまま住み続けることが可能でしたが、その分預貯金などその他の財産の取り分が少なくなり、生活が苦しくなる可能性がありました。所有権よりも財産価値の低い居住権を得れば、配偶者が預貯金などを多く受け取れるようになり、生活の安定につながります。
 この居住権の評価額は平均余命などを基に算出されるそうですが、どの程度の評価額になるのか等、今後注視していきたいと思います。

水 谷

平成30年1月小手先の相続対策が規制

 平成30年度税制改正で相続対策のテクニックのひとつが規制されました。相続人となる子の住居建物を孫や、家族経営法人へ変更することで、子は自宅建物を所有していないように見せかけて、親の居住敷地評価を大幅に減額出来る特例の条件をみたそうとするものです。
 既に実行してしまった方は、5倍の登録免許税や、納める必要がなかった不動産取得税が無駄になってしまいました。
 子の住宅名義を変えることについて、そのご家族にとって税金以外の合理性や必然性があればいいのですが、テクニックのみで節税を考えていたのなら、この相続対策は失敗と言えるでしょう。
 税金第一ではなく、あくまで、ご家族の財産の管理、運用、そして、将来の承継プランをまず税金抜きで考え、その”想い”を壊さない範囲で節税を図る。これぞ相続対策の王道であると強く思います。
 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

木 村

平成29年12月来年から広大地評価が変わります

 国税庁は10月5日に広大地の評価を廃止し、地積規模の大きな宅地の評価に制度を改める改正を公表しました。これにより、平成30年1月1日以降の相続・贈与については面積500㎡(三大都市圏以外では1,000㎡)以上の宅地等については新しい制度で評価していくことになります。
 新しい制度では、適用対象となる土地の地区区分が普通住宅地区及び普通商業・併用地区に限定されたほか、指定容積率400%以上の土地については対象外とされました。また、市街化調整区域や工業専用地域の土地については対象とならないことなどが定められ、制度の対象となる土地が明確になりました。
 また、補正率についても改正があり、面積により違いはありますが改正後は約20%~35%ほど補正率が低くなります。これまで使えなかった不整形地補正率等の各種補正率が加味されるようになるため、一概には言えませんが改正後はおおむね評価額が高くなるといえそうです。
 対象になりそうな土地等をお持ちの方は、一度相続税の試算や納税計画の見直しをご検討ください。

青 木

平成29年11月生命保険の支払調書

 これまでは、保険事故の発生や満期、解約により100万円を超える保険金や満期金、解約返戻金が支払われた場合や、年間20万円を超える年金給付金が支払われた場合に保険会社から税務署に提出されていた生命保険の支払調書が、来年1月からは死亡による契約者の変更があった場合にも提出されることになります。これにより、例えば契約者(保険料負担者)が父で被保険者が長男の保険契約があった場合、解約返戻金相当額が相続財産として相続税の対象になりますが、契約者を父から長男に変更する必要がありますので、税務署はこれを把握するのが容易になるということです。
 また、支払調書の記載項目に過去の契約変更履歴や払込掛金の情報も記載されることになります。これにより、先の例で父の生前に長男に契約者を変更した後に長男が保険金等を受け取った場合には、父が負担した保険料に相当する部分の保険金等は贈与税の対象ですが、これも税務署に把握されるということです。
 今まではこういった保険の課税漏れもあったようで、それをいいことに強引な保険の勧誘なんかもあったのではないでしょうか。来年以降は保険契約者の変更による相続税・贈与税の課税は確実になりますので、今一度対象の保険がないかの確認をされてはいかがでしょうか。

山 下

平成29年10月都市農地はどうなる!?

 「2022年問題」という言葉を耳にした事があるかもしれません。
 生産緑地は1992年に都市部に農地を残す目的で導入されました。生産緑地指定を受けると、30年間営農をする代わりに、宅地並みに課税される固定資産税が一般農地と同様、極めて低い金額に抑えられます。また、相続税の納税猶予を受ける事が可能となるものです。2022年問題とは、この年に生産緑地の約8割が指定後30年の解除期限を迎えるため、営農を辞めて一斉に宅地化が進む恐れがあるという問題です。
 都市部の農地を維持するために、農林水産省と国土交通省は、今後の税制改正で、自身で営農をしなくても、生産緑地を企業やNPO法人に貸借をしても相続税の納税猶予を受けられるよう協議をしていくようです。
 農家の後継者不足の問題も深刻化するため、弾力的な取扱いで農地を維持する事は極めて重要だと考えます。

大 見

平成29年9 月過去に相続時精算課税の申告したっけ?

 2,500万円の財産を子や孫に贈与しても贈与税が課税されない制度として、相続時精算課税の特例があります。贈与した翌年3月15日までに申告手続きを行えば贈与税を納める必要はありません。
 しかし、何年かして、財産をあげた人が他界し、相続税の申告を行う際には、死亡時点の財産に、以前、子や孫にこの特例を使って贈与した金額を加えて相続税を計算する必要があります。
 相続申告をする時になって、何年も前に行った相続時精算課税の申告を忘れてしまうと大変です。相続税に不足が生じ、追加本税の他に加算税や延滞税も納めることとなります。
 税務署はしっかり記録を残しているため、納税者の方も税務署に申告書や届出書を提出するときは、必ず控えも作成し、受付印をもらって、大切に保管して下さい。
 特に不動産に関する申告は、金額が大きくなりやすいのでご注意下さい。

木 村

平成29年9月アパートの空室にご注意

 相続税の節税を視野に入れてアパート経営をしている地主さんにとって、困る判決が出ました。
 一般にアパートの相続評価は借家権の発生により建物は30%、土地は15%以上の評価引き下げが可能です。評価が安くなることで相続税の節税となります。
 しかし、貸室の中で、一時的な空室ならいいのですが、長期にわたって空室となるとその部分については建物も土地も評価減は適用できなくなります。この一時的か長期かで裁判となったわけですが、判決では“5ヶ月の空室は長期”とされました。
 もちろん、空室期間のみで判断されるのではなく
・過去、継続的に賃貸されていたか?
・退去後、すでに入居募集を行っていたか?
・そして空室期間の長さは?
 など、総合的に税務署は判断することになります。
空室のある大家さんは要注意ですヨ。

木 村

平成29年7月法定相続情報証明制度が始まりました

 法定相続情報証明制度が5月29日から開始され、証明書の交付が始まっています。この制度は法務局に戸籍謄本と一緒に相続関係の情報をまとめた図(法定相続情報一覧図)を提出することで、その一覧図に認証文を付した証明書を無料で交付してもらえるものです。これまでは相続関係を証明するため、手続きをする法務局や金融機関ごとに戸籍の束を提出をする必要がありました。そのため戸籍を複数取得したり、取得した戸籍を使いまわしたりなど費用や手間がかかっていましたが、この制度では最初に法務局に提出する戸籍を用意すれば、法務局から手続きに必要な通数を無料で交付してもらえるため負担を減らすことができます。
 金融機関等での手続きに利用できるかはその機関ごとの判断になりますが、すでに一部の銀行等では対応が始まっているようです。今後相続税の申告などでも使っていけるよう法改正や制度の定着に注目していきたいですね。

青 木

平成29年7月家族名義預金と相続税調査

 平成27年より相続税の基礎控除が引下げ(3,000万円+相続人×600万円)られて、相続税申告が必要な方は約1.8倍に増加しました。
 従来、相続税がかからなかった遺産総額5,000万円~8,000万円の方は、節税対策が出来ていないケースが多いようです。
 相続税の相談にこられる多くの方は、預金残高がたくさんあると税金も高くなると考えて、生前に多額の預金を引出して、他の家族の口座へ振替ています。
 しかし、税務署では、死亡時の預金残高のみでなく、実質的に亡くなられた方の預金はいくらあったのかという視点で、生前に振替えた預金にも目を光らせています。
 年1人110万円の非課税範囲で贈与手続を行ったお金ならいいのですが、表面上だけ、他の家族に移しただけの預金は、実質的に亡くなった方のお金として課税されてしまいます。過去のお金の移動は、銀行で簡単に情報収集できますので、隠すことは出来ません。
 今行われている相続税税務調査は、ほとんど家族名義預金にまつわるものです。
 心配な方は是非、ご相談を!

木 村

平成29年4月住民税の減免

 住民税とは県や市に対し前年の所得に応じた税額を支払うものです。例えば昨年の平成28年の所得に対する住民税は、今年の平成29年6月ごろに市役所から送られてくる納付書で納めることになります。平成28年の所得に対する住民税を29年の6月から払い始めるため、所得の発生した時期と納税の時期に半年以上のズレが生じます。そのため、住民税の納税までに亡くなられたり、災害にあわれたりと住民税の納付が困難になる場合もありますが、住民税にはそのような方のための減免の制度があります。
 例えば、一宮市では平成29年に亡くなられた方がいた場合、平成28年中の合計所得金額が「250万円+(50万円×扶養家族の数)以下」であれば減免の対象となります。このような場合は亡くなられた日から30日以内か、亡くなられた後の最初の市県民税の納期限のいずれか遅い日までに申請をすることで市県民税の減免を受けることができます。(市県民税の納付前に限られます)
 減免の対象になる方は市町村によって条件に違いがあります。申請には期限がありますので心当たりのある方はお早めにご確認ください。

青 木

平成29年1月預貯金も遺産分けの対象に変更

 2か月前の“今月注目の話題”で、預貯金も遺産分けの対象になるかもしれません、と採り上げました。そして、昨年12月19日に最高裁判所大法廷で、預貯金は遺産調整に使える財産である事を指摘した上で、「預貯金も遺産分割の対象となる」と判断し、これまでの預貯金は遺産分けの対象外としてきた判例を変更しました。
 これまでも金融機関の実務においては、相続人間の争いに巻き込まれることを回避するため、遺産分割協議書や遺言書を確認して払い戻しをしているということはお話ししました。しかし司法では、預貯金は法定相続分により当然に分けられる財産であった事から、例えば金融機関を相手に訴訟をし、払い戻しの許可を裁判所から受ける等、特別な事情によって金融機関は法定相続分までの引き出しに応じる場合がありました。
 今回の判例変更を受け、今後の法整備次第では、特別な事情による払い戻しも難しくなるかもしれません。

大 見

平成29年1月ウチに限って相続税は関係ない?

 平成27年に相続税の基礎控除が引き上げられた影響で、相続税の申告が必要な方がこれまでの4%程度から8%程度に大幅に増加しています。基礎控除額は現在「3,000万円+600万円×相続人の数」ですので、相続人が配偶者と子供二人となる方は4,800万円以上の財産をお持ちの場合、相続税を納税することになる可能性があります。
 また、相続税がかかる方は、不動産に加えて預金などの金融資産を多くお持ちのようです。金融資産は不動産に比べて次の世代へローコストで移すことができる財産です。年間110万円までの贈与税の非課税枠をうまく活用して、なるべく早いうちから計画的に財産の移転を行い、予期せず相続税を負担するということのないようにしていきたいですね。

山 下

平成28年12月小規模企業共済をご存知ですか

 小規模企業共済とはその名の通り小規模な個人事業主や会社の役員向けに国が作った共済です。事業を廃止したり、退職したりした場合に共済金を受け取ることができるため、経営者の退職金ともいわれています。
 小規模企業共済のメリットとしては、掛金を支払ったときに経費算入や所得控除を受けることができ、節税できることが挙げられます。また、共済金を受け取る際には税負担が発生しますが、退職金や公的年金等として受け取るため税負担を抑えることができます。(退職金や公的年金等には一定の所得控除があります。)
 デメリットとしては、任意解約をした際に、加入期間によっては掛け捨てや元本割れとなる場合があること、毎月の掛け金を支払うため、手許資金が少なくなることなどがあります。
 平成28年4月1日から改正小規模企業共済法が施行され、掛金の減額が任意に行えるようになるなどこれまでよりも使いやすい制度となりました。加入を検討される際にはデメリットや資金繰りもよく勘案した上でご検討ください。

青 木

平成28年11月預貯金も遺産分けの対象に?!

 先日、預貯金も遺産分けの対象になるかもしれない、という記事が出ました。相続を経験された方であれば、預貯金も遺産分割協議書に書いてあるし、金融機関も分割協議書を出せ、とうるさかったとお思いになるでしょう。実は、過去の最高裁判所の判決では、預貯金は不動産や株式と違い遺産分けの対象とせず、法定相続割合に応じて相続人に当然に分けられるとされ、司法の実務ではそうした運用がされてきました。
 金融機関実務では、多くの場合に司法とは異なり、遺産分割協議書や遺言書を確認して、引継ぎや解約をしております。これは金融機関としては相続人同士の揉め事に巻き込まれたくない、ということが主な要因だと思われます。実際の相続の現場でも遺産分けをして頂いております。
 今回争われているのは、相続人の一人が故人から生前に多額の贈与を受けているのに、預貯金を法定相続分で分けるのは不公平だ、と他の相続人が主張したものです。最高裁判決が変わるのかはしばらく注目です。

大 見

平成28年9月ウチに限って遺言なんて不要?

 平成27年より相続税の基礎控除が減らされて、相続税の納税者数が増えました。相続申告のお手伝いをする機会も以前より3倍程に増えております。
 従来の基礎控除なら相続税がかからなかった、遺産総額5000万円程の方々です。
 申告書は税法に従って作成すればよいのですが、問題は兄弟間で遺産分けが決まらないケース。遺言書があればその内容に従って、不動産や預金・有価証券の名義変更が可能ですが、遺言書がないと、相続人全員が遺産分けに同意し、分割協議書に実印がそろうまで、財産の名義変更はできなくなって、結果として相続人の不利益となります。
 相続税の節税に注目が集まりがちですが、遺産分けをスムーズに行うための遺言作成は節税と同じ程度に重要だと実感しております。
 まずは遺言の下書きから始めてみませんか。

木 村

平成28年8月悩む広大地の財産評価

 政府税制調査会のメンバーで東大大学院の中里実教授のセミナーに参加しました。
 「公平な租税制度を追及すればするほど、その仕組みは複雑化する。制度が複雑になるほど、その制度を実行するのは困難となる。公平を追及するあまり、税に関する手間がかかりすぎて、本来の仕事に差し支えるようでは本末転倒である。」とのお話にまったく同感です。
 相続申告のお手伝いをする際、一つ一つの土地の評価額を計算します。「広大地評価」というのがあって、一定面積以上の広い土地で、もし戸建分譲した場合に、公共道路などのつぶれ地が必要な場合、約40%の評価引き下げが可能というものです。
 面積が大きいので税額全体への影響も大きくなりますが、この広大地に該当するかどうか基準が曖昧で、税理士もよく悩みます。市町村の開発課に問い合わせたり、分譲住宅図を描いてみたり、不動産鑑定士の意見を聞いたり…。おそらく税務署にも質問が多数寄せられて担当者も困っているのではないかと想像します。
 相続税申告期限の10ヶ月間、納税者が一番時間をかけたいのが遺産分けです。土地の評価額を決めるのに、あまり時間をかけてはいられません。
 広大地に該当するかどうか、もっと簡単に判断できるよう制度の改正を強く希望します。

木 村

平成28年8月相続の手続きが少し楽になりそうです

 法務省が土地建物の相続登記を促進するため、「法定相続情報証明制度」の創設を目指しています。この制度は戸籍謄本などをもとに、相続手続きの際に必要となる相続関係の情報をまとめた証明書を法務省で発行し、登記などの相続の手続きに利用できるようにする制度です。今までは相続の手続きのために、金融機関や法務局などの機関ごとに戸籍謄本等の書類を何セットも用意する必要がありましたが、この制度の証明書が金融機関等で使えるようになれば、最初に法務局に提出する1セットを準備するだけで済みます。
 今のところ、金融機関等でこの証明書が採用されるかは任意となっていますが、相続税の添付書類や金融機関の手続きに利用できるようになれば、手続きに係る費用や手間が軽減されそうです。制度の活用に期待したいですね。

青 木

平成28年8月住宅資金贈与の拡充延期と住宅ローン減税の延長検討へ

 6月1日に消費増税が延期された事は既にお伝えしましたが、それに伴い政府は住宅資金贈与の非課税枠拡充と、住宅ローン減税の終了をともに2年半延期する検討を開始しました。住宅資金贈与については現在、父母や祖父母から住宅を取得するための資金の贈与を受けた場合、良質な家屋であれば1,200万円、それ以外の家屋であれば700万円まで贈与税がかからない制度です。消費税率アップに際して非課税限度額がそれぞれ3,000万円と  2,500万円まで引き上げられる予定でしたが、延期になるかもしれません。住宅ローン減税については、住宅ローンを利用して住宅等の取得や増改築をした場合に、ローンの年末残高の1%(現行)、10年間所得税から控除できる制度です。この制度については平成31年6月で終了予定でしたが、こちらは終了時期が延期になるかもしれません。
 消費税率アップ時に景気の混乱を避ける目的で既に法整備は終わっていましたが、根底である消費税率アップが延期されたことで、上記制度をはじめとし様々な制度について改正時期の議論の必要性が生じ検討され始めています。制度の内容によっては、今後の私たちの生活に大きく関わるものもあるため、注視する必要があります。

大 見

平成28年7月配偶者の法定相続分が2/3へ?

 相続に関する民法の規定の見直しが議論されています。結婚して20年から30年程度経過している場合に、法定相続分を1/2から2/3に引き上げる案や、相続人以外の人が介護を行った場合に相続人に対して金銭を請求できるようにする案などがあがっています。
 高齢化が進むなかで残された配偶者の生活を保護するなどの狙いがあるそうです。まだまだ異論もあって最終的にどこに落ち着くかはわかりませんが、法務省は来年中に民法改正案を国会に提出する方針のようです。
 改正案には、遺言で自宅を第三者に贈与しても、残された配偶者が住み続けられる権利の創設もあるそうです。これが実現すれば、自宅を含めた相続対策の選択肢が増えるのではないでしょうか。今後の経過を見守っていきたいですね。

山 下

平成28年7月遺言作成を簡単に!

 もっと簡単に自筆証書遺言が作れるようにと法制審議会で検討しているようです。
 遺言を作りたいけれど、公正証書は費用がかかるし、立会人も2人確保しなければならない。一旦作った遺言を変更する場合も同じ困難が発生します。
 そこで、費用も立会人も要らない自筆証書遺言を考えるわけですが、こちらも日付の記載など約束事がいくつかあり、守らないと無効になってしまいます。
 一番問題なのが、全文を本人が書かなければならないことです。「全てを○○○○に相続させる」の一行ならいいのですが、「A不動産は○○○○、B不動産は△△△△、C預金は□□□□・・・」といった具合の内容では文章が長くなり、書き慣れていない方には大仕事となります。
 そこで、部分的にパソコンで作成した遺言を認める案が出ています。
 高齢化が加速していますので、大至急実現してほしいと思います。

木 村

平成28年6月団体信用生命保険をご存知ですか

 団体信用生命保険(団信)とは、住宅ローンの返済期間中にローン契約者の方にもしものことがあった場合、保険会社が住宅ローンの残高を支払い、住宅ローンが完済となる制度です。住宅ローンの借り入れに際して加入が義務となっていることが多いため、住宅ローンを利用している多くの方が加入していると思われますが、ローン債務者の方にもしものことがあったとき重い負担となる住宅ローンが完済となるため、遺された方が安心して自宅に住み続けることができます。
 ちなみに、この団信に加入している方が亡くなられた場合、相続税では団信によって返済された借入金は相続財産から差し引くことはできませんのでご注意ください。

青 木

平成28年6月自社の株価っていくら?

 決算日を3月末日としている会社はたくさんあります。原則として法人税、消費税の申告・納付期限は2ケ月後の5月末日です。申告・納税を終えてホッとされていることと思います。
 ところで、法人税申告書の中にある株主名簿を見てください。通常、社長が筆頭株主として、たくさんの自社株を所有されています。
 社長個人の将来の相続税負担を考えるとき、社長所有の自社株は社長の個人財産として相続税の対象となります。その金額は…額面ではありません。
 同業種の上場会社の株価や、会社所有財産額を基に、特別に計算した金額を株価とします。古くから不動産を多く所有していたり、決算利益が多い会社は、額面より相当高くなります。この自社株があることで、相続税が高額になることはよくあります。
 毎年の法人税、消費税の心配だけでなく、将来の相続税負担も是非考慮に入れてください。3年に一度は自社株価の計算をおすすめします。

木 村

平成28年4月亡くなった父の遺産分割が終わらないうちに母が亡くなった場合

 亡くなった父の遺産分割が終わらないうちに母が亡くなった場合で、相続人である子が複数いる場合には、子が父の財産を相続したものとして分割協議をすることが可能で、その場合の不動産登記は一度で済みますし、母の相続税を計算するうえで父の財産を加算する必要はありません。
 ただし、子が一人しかいない場合には、母が亡くなった後で父の財産を子が相続したものとする分割協議は、不動産登記の際に法務局で受理されないのだそうです。この場合には、父の財産はいったん母と子で相続したうえで、母の持ち分を子が相続したものとして登録免許税が一回分余分にかかりますし、母の相続財産に父の財産の2分の1を加算しなくてはなりません。
 このように、場合によっては余分な税金がかかることがありますので、遺産分割協議はなるべく早く終わらせたいですね。

山 下

平成28年4月地価公示価格が発表されました

 3月22日に、平成28年の地価公示価格が発表されました。三大都市圏である東京・大阪・名古屋は上昇しております。名古屋圏は特に名古屋駅周辺の商業開発が盛んなこともあり、上昇に寄与しています。
 さて、地価公示価格を100%と仮定すると、相続税路線価はその約80%と言われております。当然必ず連動するものではありませんが、地価公示価格が上がれば相続財産も増え、相続税負担も多くなります。平成27年1月から相続税の基礎控除額が下がったことを踏まえると、特に土地を多く所有されている方は是非とも一度相続税の試算をして、早めの対策を講じることをお勧めします。

大 見

平成28年4月タワーマンションで相続税節税!

 タワーマンションの高層階住居を買うと、相続税の節税になるでしょうか?
 分譲マンションは、高層階ほど値段が高くなっていきます。相続税の財産を計算するうえで、マンションの建物は固定資産税の評価格を計上します。
 この固定資産税評価格はタワーマンションの最上階も1階も、建物全体の評価額を各戸の専有面積割合で按分して計算されます。
 つまり、1㎡あたりで考えると、時価の高い最上階の部屋も、比較的割安な低層階と同じ評価額になります。
 財産価値は高いのに相続税の計算上は安い。この相続税節税効果を狙って、高価なタワーマンションが売れているようですが、総務省では次の固定資産評価の見直し(平成30年)に向けて、このままでいいのかどうかの検討が総務省で行われているようです。
 節税目的で購入された方はご注意を!

木 村

平成28年2月相続時精算課税の申告をお忘れなく

 相続時精算課税とは、60歳以上の父母や祖父母から20歳以上の子や養子縁組をするなどして相続人となる孫に対して贈与をする場合に、累計2,500万円まで贈与税を非課税とするかわりに、将来の相続税の対象とする制度です。
 例えば、子が父からある年に1,000万円の贈与を受けたとして、それについて相続時精算課税を選択する場合には、翌年の3月15日までに申告することで、贈与税が非課税となります。この場合、非課税枠が1,500万円残りますが、例えば翌年にも1,000万円の贈与を受けた場合、贈与税を非課税とするには申告期限までに贈与税の申告を行う必要があります。もし期限までに申告をしなかった場合には、20%の贈与税を納めることとなります。
 ですので、非課税範囲内だからと安心せず、前年に贈与を受けていないか今一度確認のうえ、申告に備えましょう。

山 下

平成28年1月相続のあった年に受けた贈与と税金

 相続時精算課税の適用を受けるつもりで親から多額の贈与を受けたが、その年に親が亡くなってしまった場合、税金はどうなるのでしょうか。
 もし、贈与を受けた方が相続で財産を取得すれば、贈与を受けた財産も相続税の対象となり、贈与税を納める必要はありません。
 ただし、その方が相続で財産を取得しなければ、そのままでは多額の贈与税を納めることになってしまいます。ですので、その場合には「相続時精算課税選択届出書」を提出しましょう。そうすれば、贈与を受けた財産も相続税の対象になりますので、贈与税を納める必要はありません。また、届出書の提出期限は贈与を受けた翌年の3月15日か相続税の申告期限のいずれか早い日までですので、忘れずに提出するようにしましょう。

山 下

平成27年12月生命保険契約と相続税

 相続時にまだ保険事故が発生していない生命保険契約で、その保険料を被相続人が負担しており、かつ被相続人以外の方が保険の契約者となっている場合、その保険契約者が相続人である場合には相続により、相続人でない場合には遺贈によりその生命保険契約の権利を取得したものとして相続税の課税対象になります。
 このとき注意していただきたいのが、保険契約者がお孫さんである場合には、その方の納める相続税は2割増となってしまうことです。これは、そのお孫さんが養子となっている場合でも変わりません。(ただし、代襲相続人である場合には2割加算の適用はありません。)
 ですので、保険を契約される場合には、思わぬ税負担を強いられることのないよう、契約者を慎重に選んでいただくことをおすすめします。

山 下

平成27年10月駐車場用地の財産評価

 相続や贈与で財産を評価する際、駐車場として利用している土地は、たとえ他人に有料で貸していたとしても、原則は自用地として評価され、評価額の減額はありません。
 ただし、アパートなどの賃貸住宅を経営されていて、その駐車場を賃貸住宅の入居者専用としている場合は、賃貸住宅の敷地と同様に貸家建付地として評価することができ、自用地として評価される場合に比べて評価額が下がります。
 ここで注意したいのが、駐車場の敷地が賃貸住宅の敷地と一体となっていなければならないということです。道路(公道)によって隔てられている場合は、一体となっているとはいえませんので、駐車場用地が自用地評価となってしまいます。
 また、駐車場の一部を入居者でない人に貸したり、自分で利用したりすると、入居者専用とはいえず、自用地評価となってしまいますので、その場合には、賃貸住宅からいちばん遠いところにフェンス等で区切って利用するなどして、自用地評価となる部分ができるだけ少なくなるように工夫してください。

山 下

平成27年10月先代名義の土地は誰のもの?

 相続申告のご依頼を受けて、故人の財産を見せてもらうと、先代や先々代の名義のままの不動産などが出てくるケースがあります。先代や先々代が亡くなった時に、遺産分けをしないで、名義変更を省略していた財産です。
 相続申告では、先代、先々代の名義の財産であっても、その承継者を遡って決定し、相続財産に上乗せして納税する必要があります。
 ところで、先代、先々代の遺言書が残っていない場合、昭和22年までの旧民法の時代なら家督相続で後継ぎに名義変更することも考えられますが、現民法では相続人全員による遺産分割協議書の作成をしないと名義変更できません。
 既に相続人も他界し、相続権が次の代に移っていることも多いため、相続人数が増加します。親類であってもめったに顔を合わせたことのない人に、財産を説明し、実印を押してもらうのは、大変な作業となります。遺産分けを要求され、もめることも多くなります。
先送りするほど名義変更は困難となります。
 心当たりがある方は是非ご相談ください。

木 村

平成27年8月相続の二重資格(養子と代襲相続人)

 相続人に長男Aと長女Bと長男の子で被相続人の養子Cの3人がいた場合、それぞれの法定相続分は3分の1ずつですが、もし長男Aが被相続人よりも先に亡くなっている場合には、養子Cは被相続人の養子という身分とAの代襲相続人という身分を合わせ持つことになるので、Cの法定相続分は3分の2となります。
 では、Aが先に亡くなっている場合の相続税法上の法定相続人の数は何人になるのでしょうか。CはAの代わりでもあるのでBも含めた3人となりそうなところですが、実際にはBとCの2人となります。つまり、相続税法上は二重資格を考慮しないということです。
 このように、養子と代襲相続人という二重資格の場合には、民法と相続税法では扱いが異なってくるのです。

山 下

平成27年8月遺言控除の新設が検討されています

 遺言控除の新設が検討されているようです。遺言控除とは、相続税の計算をする際に有効な遺言に基づいて相続が行われていれば、相続税額の計算の基となる財産額から一定額を控除する制度です。対象となる遺言の形式など制度の具体的な内容などは決まっていませんが、財産からの控除額は数百万円程度で検討されているようです。
 相続税法改正によりこれまで相続税の課税対象でなかった方でも相続税がかかるケースが増えています。遺言控除制度はまだ検討段階ですが、万が一の時、残されたご家族が慌ててしまうことの無いよう、遺言書の作成の検討を含めて一度ご自身がお持ちの財産額を把握してみてはいかがでしょうか。

青 木

平成27年7月社長借入金と社長の相続税

 設立が古い会社の貸借対照表を見ると、社長やご家族からの借入金が数千万円に蓄積されていることがよくあります。過去、会社が大きな設備投資などをするときに社長個人から資金を借りたり、業績が悪かった年度で運転資金を社長個人から借りたりした資金が、社長に返済されずに長年に渡って蓄積されたものです。
 利益が上った年度で返済すればいいのですが、会社の決算上、借入返済の支出は必要経費とならないため、法人税を節税するため借入は返済しないで、役員給与の増額などの形で、社長に資金を渡すこととなりがちです。
 法人税節税上はこれでいいのですが、社長個人の将来の相続税を考えると問題です。社長の相続時に、会社への貸付金が社長個人の財産としてカウントされ、相続税は大幅に増加することになります。
 この対策としては、会社の欠損金があれば、法人税、贈与税がかからない範囲で債務免除(借金帳消し)をしたり、会社への貸付金を子や孫へ生前贈与をしたりして、金額を減らす方法があります。
 会社決算は、その年の法人税だけでなく、社長個人の相続税も視野に入れて処理することが大切です。

木 村

平成27年6月国税庁「相続税の申告要否判定コーナー

 国税庁のホームページに「相続税の申告要否判定コーナー」が公開されました。画面に従って法定相続人の数や財産・債務を順に入力していくと、相続税の申告が必要かどうか大まかに判定することができます。
 土地の評価については、路線価方式と倍率方式の両方に対応していますし、路線価方式の土地については一方路線だけでなく角地などの二方路線の土地にも対応しています。
 また、入力が終了したら、入力内容が反映された「相続税の申告要否検討表」を印刷することも出来ます。
 所得税の確定申告書を作成するような感覚で使うことができ、初めての方でも使いやすくなっていますので、実際に相続が発生した際の判定に使用するだけでなく、生前の財産額の把握にも役立つと思いますので、一度使ってみてはいかがしょうか。

山 下

平成27年5月相続税額の未成年者控除

 相続人に未成年者がいる場合には、その相続人の納める税額から、下記の未成年者控除額を控除することができます。また、その相続人の相続税額から引ききれない場合には、その未成年者の扶養義務者の相続税額からも控除することができます。
 ただし、未成年者控除を適用するには、その未成年者が①法定相続人であること、②相続又は遺贈によって財産を取得していること、③制限納税義務者でないこと、の3つの要件を満たしていなければなりません。
 また、以前の相続で未成年者控除の適用を受けている場合には、前回の相続で引ききれなかった控除額と、今回の控除額のうち、いずれか少ない方の金額しか控除できません。(ちなみに、今回の相続が平成27年以降に発生している場合、前回の控除不足額の計算には、改正前の6万円ではなく改正後の10万円を用います。)
 あやまって財産を取得していない未成年者に控除を適用したり、以前の相続での控除不足額を超えて適用したりしないように注意が必要です。

<未成年者控除額>
20歳に達するまでの年数(1年未満切上げ)×10万円(平成26年までの相続の場合は6万円)

山 下

平成27年5月生命保険契約のチェックが厳しくなります

 生命保険の保険金を受け取った場合、所得税や贈与税の申告が必要になることがあります。一定額以上の保険金の支払いを受けた場合、保険会社から税務署へ調書の提出が義務付けられており、税務署はその提出された調書を基に、課税漏れがないようチェックしています。平成27年度の税制改正により、生命保険契約に関する調書について、新たな記載や調書の提出がされることになりました。
 新たに提出・記載されるのは次の2点です。
① 死亡による契約者変更があった場合に、その契約者変更情報と、解約返戻金相当額
② 生命保険契約等で一時金等が支払われる時に、その生命保険契約について過去に契約者の変更があった場合には、保険金等の支払い時の契約者の払い込んだ保険料
 ①については、保険契約者(保険料負担者)が亡くなった場合には解約返戻金相当額が相続税の課税対象となります。②については、保険金の受取人でない者が負担していた保険料分の保険金については贈与税の課税対象となります。
 これらの適用は平成30年1月1日以降からとなっています。保険の契約者を変更等される場合等には課税関係についても十分にご検討されることをお勧めします。

青 木

平成27年4月貸家の所有者と貸家建付地減額

 相続や贈与における土地の評価について、土地の上にある家屋を他者に貸し付けている場合(使用貸借を除きます。)には、貸家建付地として自用地の評価額から一定の割合で減額して評価することができます。
 しかし、これは原則として土地の所有者と家屋の所有者が同じ場合に限ります。ですので、例えば父親の土地を無償で借り受けた息子が、その土地の上に家を建て、その家を第三者に賃貸した場合には、土地の使用貸借ということになり、自用地として評価し、減額はありません。(例外として、父親が所有していた土地とその上の貸家のうち、貸家のみを息子に贈与し、息子は土地を無償で借り受けているような場合には、貸家の賃貸が続いている限り貸家建付地として評価されます。)
 このように、土地の上に建つ建物を第三者が使用しているという状況は同じでも、土地所有者と建物所有者の関係や所有権の移動の状況によって土地の評価額が変わってくるのです。

山 下

平成27年4月結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置

 平成27年度税制大綱により新設の非課税制度の内容が詳しく発表されました。
 この結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置は若年層への贈与により将来の経済不安の緩和や少子化の歯止めによる経済効果を目的とした非課税措置で20歳以上~50歳未満までの受贈者へ親、祖父母等の直系尊属が受贈者1人つき1,000万円までの贈与を非課税とする制度です。非課税資金の範囲は結婚に際して支出する費用や住居、引越しに関する費用のうち一定のもの、妊娠、出産に要する費用または子の医療費及び保育料のうち一定のものとされています。この制度は教育資金贈与の非課税制度と同じく金融機関を通じて金銭等を信託することにより適用され、受贈者が50歳に達した時点の残額に応じて贈与税を課税される仕組みです。また教育資金贈与の非課税制度と異なる点として贈与者が死亡した場合が挙げられます。その場合は死亡時の残額を受贈者が贈与者から相続又は遺贈により取得したものとみなされ、贈与者死亡に係る相続税の課税対象とします。この非課税措置の適用期限は平成27年4月1日~平成31年3月31日までとなっています。

安 井

平成27年2月住宅取得等資金の非課税制度の拡大・延長が検討されています

 先日、平成27年の税制改正大綱が公表されましたが、その中で親や祖父母から住宅取得等資金等の贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度の拡大・延長が検討されています。
 税制改正大綱では、平成31年6月30日まで適用期限が延長されています。また、非課税枠も拡大されており、住宅取得の契約を結んだ時期や税率により、最大3,000万円の非課税枠があります。(下の表をご参照ください。)
 この制度は相続税対策としても有用です。通常、相続で財産を受け継いだ人が、相続の時からさかのぼって3年以内にその亡くなった人から贈与を受けていた場合、その贈与がなかったものとして相続財産に足し直して相続税を計算します。しかし、この制度を利用して贈与した場合、非課税枠の範囲内の分は3年以内の贈与であっても相続財産に足し直す必要はありません。つまり、非課税枠の範囲内の分については、贈与税も相続税も負担することなく承継することができます。
 平成27年以降は相続税の大増税も始まります。新たな相続税対策となるか、今後に注目していきたいですね。

住宅取得等資金の非課税制度の拡大・延長が検討されています

青 木

平成27年2月兄弟は他人のはじまり?

 不動産を子や孫に生前贈与や相続で承継する場合、よほど事情がない限り一つの物件を兄弟姉妹で共同で承継しないようにアドバイスしています。
 例えば1筆の土地を兄弟3人で受け継いだ場合、その土地を貸したり、売却したり、あるいは借入金の担保にしようとした場合、3人全員の同意が必要となります。3人の意見が合わない場合、土地の面積が広ければ分筆して各々単独所有地の登記とする方法も考えられますが、現実は分筆するほどの面積がないケースも多いのです。これが元で兄弟仲が悪くなることも十分ありえます。将来、孫の代まで進むと全員同意は更に難しくなります。
一旦付けた土地名義を、兄弟姉妹の間で修正するには所得税や贈与税などの多額の資金が必要で現実には困難です。
 不動産の贈与相続にあたっては、孫の代までその物件の利用者を検討したうえで、実行をお願いします。

木 村

平成27年1月贈与税の非課税制度の新設が検討されています

 先月、政府が新しい贈与税の非課税制度の創設を検討しているというニュースを目にしました。親や祖父母が子や孫へ将来の結婚や出産、育児のための資金をまとめて贈与する場合に贈与税がかからないようにするというものです。現在、既に運用されている教育資金の一括贈与の非課税制度と同様の仕組みで、贈与する親や祖父母が金融機関に専用の口座を作り、そこに贈与する資金を預け入れます。贈与された子や孫は結婚や出産などの資金をそこから引き出すことができますが、一定の期限までに使い切れなかった分については贈与税が課税されます。政府が求めている非課税枠の上限は1,500万円で、2~3年の間のみ使える時限立法となる可能性が高いようです。
 もしこの制度が創設されれば、新しい相続対策のひとつとなりそうです。今後の動向に注目していきたいですね。

青 木

平成26年10月死亡の順番で相続人がかわる!

 被相続人よりも先に相続人が亡くなっている場合には、その相続人の子がかわりに相続することとなり、これを代襲相続と言います。それに対し、被相続人が亡くなったあと、相続手続きが完了する前に相続人が亡くなって相続が続くことを数次相続といいます。
 ここに被相続人Aとその子B、子Bの妻C、BとCの子(被相続人の孫)Dの4人がいるとします(下図参照)。被相続人Aの相続人はBですが、Aが亡くなったとき、既にBが亡くなっていた場合には代襲相続が発生しますので、Aの相続人は孫Dの1人となります。これに対し、Aが亡くなったあとに、相次いでBが亡くなった場合には、Bの相続人である妻Cと孫DがAの相続人になります。
 このように、死亡の順番によって相続人が異なることもありますし、相続手続きに時間がかかると相続人が増えるということもあります。相続手続きがスムーズに終わるように遺言書を用意したり、あるいは必ず相続させたい人がいる場合には養子縁組をしたりするなどの相続対策について、今一度検討してみてはいかがでしょうか。

死亡の順番で相続人がかわる!

山 下

平成26年10月古い通帳を捨てないでください!

 相続申告書を作る場合、必ず亡くなった方の通帳を少なくても過去5年分くらいはみせてもらいます。通帳にはたくさんの情報が詰まっています。

例えば故人の ・収入や生活費の状況
・借入返済の状況
・保険料の支払状況
・各種税金の納付状況
・他の金融機関(証券会社や保険会社)との資金移動
・子や孫への資金移動

など、故人のお金に関していろいろ読み取れます。
これらの細かい情報を積み上げていって故人の金融資産を把握します。
‘そんなところまで!‘と思われるかもしれませんが、税務署側も同じような情報収集をし、分析した上で調査にやってきます。手を抜くわけにはいきません。
ところで古い通帳を捨ててしまった場合は、銀行で再発行をお願いしています。この手数料がかなり高いです。税務署に‘通帳なくした‘といっても税務署は独自に調べ上げてしまいます。税務調査の段階で、税務署の情報量が多ければどうしても納税者は不利になってしまします。古い通帳は捨てないでとっておいてください。

木 村

平成26年9月保険で相続対策

 亡くなった方の財産を集計して相続税を計算しますが、死亡保険金には非課税枠(法定相続人の数×500万円)があります。非課税枠までの保険金を受け取っても相続財産に加算する必要はありません。「所得税の確定申告をする必要はないか?」というご質問をよく受けますが所得税も贈与税も課税されませんので確定申告は必要ありません。
 ある生命保険会社では、90歳まで告知義務なしで終身保険に加入できる商品が発売されたようです。おおざっぱに言えば500万円の保険料で500万円の死亡保険金を受け取れるといった保険ですが、500万円を貯金にしておけば相続税の対象となりますが死亡保険金として受け取るなら非課税となるわけです。
 従来、年齢制限で保険契約できなかった方は相続対策の余地が広がったことになります。

木 村

平成26年9月住宅資金贈与の非課税枠が3,000万円に増額?

 国土交通省は先月、消費増税で落ち込んだ住宅市場を活性化させるため、今年までとなっている住宅資金贈与の非課税措置を、来年以降も延長したうえで最大3,000万円に増額することを要望しました。
 非課税限度額は、省エネ又は耐震等の基準を満たすものは、平成27年が3,000万円、平成28年が2,500万円、平成29年が2,000万円、基準を満たさないものは、平成27年が2,500万円、平成28年が2,000万円、平成29年が1,500万円を要望しているそうです。
 これが実現すれば、住宅の購入を検討されている方は購入しやすくなりますし、住宅市場が活性化すれば景気の回復にも期待が持てます。また、来年10月に予定されている消費税率の10%への引き上げによるショックも和らげる効果があるかもしれません。今後の動向に注目したいですね。

山 下

平成26年8月平成26年分の路線価が公表されています

 先月初めに国税庁から平成26年分の路線価が公表されました。路線価とは相続税や贈与税を計算する際の土地の価格の算定の基準となるもので、今年1月1日時点における1平方メートルあたりの土地価格を示したものです。今年の路線価の全国平均の変動率は0.7%の下落とリーマンショック以降6年連続して下落したものの、下げ幅は前年より1.1%減少しており、下げ止まりの傾向が見られます。
 特に三大都市圏や地方都市では地価改善の傾向が強くみられます。都道府県所在地での最高路線価の上昇のトップは名古屋の10.0%。リニアや駅前の再開発などの影響のようです。
 今回公表された路線価はインターネットで過去6年分まで閲覧することができます。相続税の増税も来年に控えていますので、一度ご自分のお持ちの不動産の路線価を確認されてみてはいかがでしょうか。(路線価の設定されていない地域もあります。)もちろん、当事務所へのお問い合わせも歓迎いたします。

青 木

平成26年8月“自宅敷地は100坪までがお得”

 相続税を計算する場合、「小規模宅地等の特例」を適用することで、節税が可能です。
 この特例を使うと自宅や、事業に利用している土地の評価額を計算する時に、一定面積まで80%又は50%の減額ができます。評価額が安くなるため相続税も、連動して安くなります。
 自宅敷地については、従来240㎡までが特例の対象でしたが、平成27年1月1日以降の相続では330㎡(100坪)まで拡大されます。
 又、従来、特例適用が一部制限されていた二世帯住宅の敷地も、条件が緩和され、減額できる面積が拡大されています。(平成26年1月1日以降の相続)
 この特例を使える相続人は、配偶者や、同一生計親族等の別の制約がありますが、相続対策の一手法として研究してみる価値は十分あります。
 相続対策には、100坪までの自宅敷地が有利です。

木 村

平成26年7月“すし屋で相続税申告もれ”

 新聞、テレビで愛知県のすし屋で相続人が、2億5,000万円もの大金を、相続税申告しなかったとして、大々的に公表されました。
 相続人2人は、隠し通せると思ったんでしょうが、税務署はあまくないですね。税務署は、死亡時点のみの資料で相続申告財産が適正か否か、判断していません。亡くなった方の過去の営業収入状況や、不動産、株式の取引状況、死亡後の相続人の資金状況などから総合判断しています。相続申告のお手伝いをしていると、「相続税がかかるなら現預金を隠してしまえばいいじゃないか」といったことをたまに耳にしますが、税務署は、長年に渡って財産調査のノウハウを積み上げ、それも年々進化しています。
 素人判断は危険です。巨額の罰金のうえ、新聞等で報道されたら「家の名誉」までなくなってしまいます。
 この報道、税務署としては平成27年より改正で相続税申告対象者を増加するに当たって納税者に注意を促す意味もあったのでしょうね。

木 村

平成26年5月“手帳に財産目録を書いてみる”

 今年も固定資産税の納税通知書が届きました。通知書には、土地・建物の価格、課税標準額、税率、税額が表示されています。
 資産家や、会社経営者の皆様は、通知書に書かれた個々の不動産の“価格”に着目して下さい。
 市街化区域内の土地ならば、
       “価格”÷0.7≒通常の売買価格(時価)
       “価格”÷0.7×0.8≒相続税計算上の評価格(相続税評価格)
    言い換えると、1000万円で売買される土地の相続税評価格は約800万円、
    固定資産税の価格は約700万円の関係にあります。
 建物ならば、
       “価格”=相続評価格
 年に一度は、ご自身の手帳に、不動産の価格を書き写してみて下さい。加えて、預金残高、有価証券や会員権の現在価格・保険の解約返戻金・借入残高も手帳に書き込むことで、立派な財産目録が、手軽に作れます。
 これをながめれば次の一年間の方針が立てやすく、お金を使うにあたって失敗もなくなりますよ。

木 村

平成26年3月死亡後の賃貸収入はだれのもの?

 不動産賃貸業の方が亡くなって、その賃貸物件の遺産分けが決まるまで、その間の賃貸収入は、法定相続割合によって、各相続人の収入になります。
 以前は、亡くなった後、遺産分けが決まるまでの間の収入については、明確な規定がなかったのですが、平成25年9月4日の最高裁決定により、各相続人が按分して、受け取ることとなりました。
 このため、所得税の確定申告でも、厳密には各相続人が不動産所得の申告を按分して行うこととなります。
 そして、賃貸物件の遺産分けが決まれば、その後は相続した相続人のみの収入として申告しますが、遺産分けが決まるまでの収入や申告内容を遡って、その相続人に戻すことはしないこととなりました。
 各相続人の申告作業は、大幅に増えます。税務署がこの取り扱いをどこまで厳密に扱っていくのか今後気になるところです。
  心配な方には、亡くなった時から効力が発生する遺言をおすすめします。

木 村

平成26年1月相続時の税金がさらに増税!

 相続申告で困るのが、相続財産のほとんどが、不動産で、預金などの金融資産が少ないケースです。原則、亡くなった日から10カ月以内に、現金納付とされているため、やむを得ず、相続した土地を売却し、納税することとなります。
 このとき、相続税とは別に、土地を売却したことに対する所得税・住民税(売却益の20%)が課税されます。
 相続税と所得税・住民税のダブル負担となるため、現在、相続税申告期限から3年以内の売却なら、売却益を計算する際、相続税の一部を控除して計算し、所得税・住民税を安くする措置が取られています。
 現在、相続税のうち、相続したすべての土地に対応する相続税を控除できますので、ケースによっては、所得税・住民税が0となることもあります。しかし、平成26年度改正案では、平成27年1月1日以降の相続について相続した土地のうち、売却した土地に対応する相続税のみを控除することとなり、土地売却の所得税・住民税は大幅に増加します。
 平成27年1月1日以降は、相続税の基礎控除も引き下げられ、相続税自体、増税となり、さらに、相続税を納めるために土地を売却した場合の所得税・住民税も増税となるわけです。
 相続税の節税だけに目を奪われることなく、納税資金の確保にも、注意を向けて下さい。

木 村

平成25年11月住宅取得資金の非課税の特例

 いよいよ平成26年4月から消費税が8%に引き上げられることが決まりました。これから景気が回復すれば金利と物価の上昇も考えられ、それを見越して今のうちに大きな買い物をと、検討される方もいらっしゃるのではないでしょうか?先日、消費税増税前の駆け込みと思われる需要のおかげで首都圏のマンションの販売数が前年同月比より大幅に販売数が伸びたとのニュースを拝見しました。
 住宅取得をする際には税金の負担を軽くする特例がいくつかあります。その一つとして住宅取得資金の贈与税の非課税の特例があります。これは子が自分の居住用の家屋を取得又は新築する(その家屋の敷地となる土地・借地権も対象)ための資金を父母または祖父母が贈与しても一定額以内(例えば省エネ等耐震住宅の場合:25年は1,200万円・26年は1,000万円)であれば贈与税は非課税とする特例です。この特例は贈与を受けた翌年3月15日までに住宅を取得し居住の用に供することまたは遅滞なく居住の用に供する見込みが確実であることが特例を適用する要件のひとつで、平成26年12月31日までの特例になります。またこの特例は、相続税がかかりそうな方には相続税計算の際の生前贈与加算の対象にならないため、相続税節税の生前贈与としても有効な特例の一つでもあります。この特例を受けるためには他にもいくつか要件がありますので、ご興味のある方は是非ご相談ください。

安 井

平成25年10月基準地価が公表されました

 9月19日に愛知県の基準地価が公表されました。それによると、愛知県は住宅地、商業地とも約0.8%上がり、5年ぶりに上昇に転じました。全国的にみると、大都市圏では地価が上昇に転じる傾向がありますが、地方では下げ幅は縮小したものの、下落が続いています。
 ところで、国などから公表される公的地価としては、基準地価のほか、公示価格、路線価、固定資産税評価額などがあります。公示価格とは標準的な土地の正常な価格を示すものであり、土地の取引における1つの指標となるものです。路線価とは相続税や贈与税を算定する基準となる価格で、公示価格の8割程度が目安となります。固定資産税評価額は、固定資産税や不動産取得税、登録免許税などの算定に利用される価格で公示価格の7割程度が目安とされています。
 今後不動産取引をされる方もあるかと思いますが、その際にはこれらの価格も参考に、売買価格が適正かどうか検討してみてください。

青 木

平成25年9月不動産の相続登記について

 先日、数年前に亡くなった祖父名義の土地について市役所より土地の名義変更をされてはどうですか?という内容のお尋ねがありました。
 相続による土地の名義はいつまでに変更するという期限はありません。しかし、長い間放置してしまうと名義変更に長い時間がかかってしまう場合があります。
 例えば、不動産の相続登記をする際に必要な書類に住民票の除票がありますが、除票は法律で保存期間が5年と定められており期間を過ぎると取り寄せができなくなる場合があります。また誰がどの不動産を相続によりもらうか相続人全員での話し合いが成立した際に作成する遺産分割協議書も、相続登記をする前に相続人が亡くなると相続人の相続人が話し合いに参加することになり住所が遠方であったり、血縁関係が遠くなると話し合いが難しくなるということです。そうすると名義を変更する際に必要な資料が揃わず手続きが煩雑になり時間がかかってしまいます。
 上記のようなケースがあるため、土地の固定資産税の納税者と土地の名義人が長い間異なっている納税者について市役所の係の方からお尋ねがあったようです。長い間相続登記をしていない不動産をお持ちの方は、手続が煩雑になる前に一度専門家の方へ相談されてみてはいかがでしょうか。

安 井

平成25年8月家族の預金残高にご注意!

 相続税の税務調査では家族名義預金に多くの時間を割いて妥当かどうか検討されています。
 亡くなった方の預金残高だけでなく家族全員(子、孫、配偶者まで広範囲に!)の預金残高を点検します。生前贈与手続を経て貯まったものや、自分で稼いだものであれば問題はありません。しかし、亡くなった方の収入がいつの間にか他の家族の口座へ入り込み、亡くなるまでに家族の生活費等で使われることなく、預金として残った場合、この家族名義預金の実質的な所有者は亡くなった方ではないのか?と推測されます。であれば相続財産に加算する必要があるのでは?と税務署から指摘されてしまいます。
 相続税、贈与税の世界では表面的な口座名義だけでなく、その預金が貯まった経過から判断して実質的に家族の中のだれのお金なのかを追及していきます。
 平成27年以降の相続税増税に向けて、家族名義預金の整理をしていく必要があります。

木 村

平成25年7月教育資金贈与で相続対策

 先日の新聞にて、今年の4月1日に施行された教育資金の一括贈与の非課税制度を活用した大手信託銀行の「教育資金贈与信託」の残高が大手信託銀行4社で1,000億円を突破し、契約件数が約15,000件に達した(6月18日時点)との記事がありました。
 直系血族からの教育資金や生活費の贈与は、必要な時に必要な額をすべて費用で使い切る場合は贈与税の課税対象にはなりません。
 しかし、この制度は平成25年4月1日~平成27年12月31日までの期間1,500万円までの金額に相当する部分を一括で贈与しても非課税という点が大きく従来とは違う点で相続対策のひとつとして利用される方もいらっしゃるようです。
 教育資金とあります学校以外の習い事も500万円までなら非課税です。(詳細は文部科学省のHPに載っています。)
 信託銀行によってさまざまなプランがあるようですので、興味のある方は検討されてみるいいですね。

安 井

平成25年7月遺言書作成の注意点

 遺言書を作られる方が増えてきました。遺言の内容は自由にお考えになればいいのですが、相続税申告のお手伝いをしている中で気づいた点を列挙します。

  • 遺言を書く前に、相続税の試算をおすすめします。
     平成27年1月1日以降、相続税の増税が決定していますので、増税後のおおよその税負担を把握してください。
     ご自身だけでなく、配偶者の相続税負担も考え、配偶者への遺産配分を決めることによって節税が可能です。
     相続税は累進税率のため、財産が配偶者に片寄ると思わぬ高い相続税となってしまいます。
  • 不動産に付随する財産を記載してください。
     火災保険や地震保険にも財産価値があります。建物を遺言するとき、その建物の保険契約も併せて記載していただくと、相続手続きがスムーズです。
     賃貸物件ならば、未収家賃や借入金、預り保証金についても併せて記載しておきたいですね。
  • その他の財産をだれに相続させるか?
     通常遺言書には預金や不動産など主だった財産を記載します。しかし相続税申告書には家庭用財産や電話加入権、庭園設備など通常、財産として意識していないものも計上します。これらを遺言書にいちいち記載するのは困難です。そこで、遺言書の最後に「上記以外の財産は○○に相続させる」の一言を盛り込んでください。

 以上。相続申告の現場からのお願いです。

木 村

平成25年5月老人ホームに入居していた方が亡くなった場合

 親子で自宅に同居していて、親が亡くなった場合、同居していた子どもが自宅とその敷地を受け継ぎ、住み続ける場合には自宅の建っている敷地は小規模宅地等の適用対象となります。自宅の敷地について小規模宅地等の適用を受ければ、限度面積までは相続税評価額を80%減額することが出来ます。しかし、以前は親子で同居していたが、親が老人ホームに入居し、そのまま老人ホームで亡くなったような場合、以前同居していた自宅の敷地について、平成26年1月1日以降は次の2つの要件を満たせば小規模宅地等の適用対象とすることが出来るようになりました。

① 亡くなった方に介護が必要なため入所したものであること。
② それまで住んでいた自宅が賃貸に回されたりしていないこと

 これらの要件のうち、①については少しご注意ください。例えば非介護型の老人ホームに入居した場合、適用を受けるためには介護が必要なため入居したことが客観的に認められる必要があります。

青 木

平成25年4月教育資金贈与の非課税特例

 平成25年度の税制改正で直系尊属から教育資金の一括贈与をうけた場合の贈与税の非課税特例の創設が検討されています。この制度は平成27年12月31日までに30歳未満の者が直系尊属から教育資金の贈与を受けた場合、1人当たり1,500万円まで贈与税が非課税となるものです。
 この制度の適用を受ける場合、贈与の方法は①信託会社への信託 ②銀行等への預入 ③有価証券の購入のいずれかの方法とされています。適用を受ける際には、信託等を行うまでに信託会社等に教育資金非課税申告書を提出し、贈与を受けた資金を教育資金の支払いに充てる際には、一定期間内に領収書を信託会社等に提出します。
 この制度を利用して贈与した金額は、相続開始前3年内贈与の加算の対象ではないため、相続税の申告の際に相続財産に加算する必要がありません。また、この制度を利用しても暦年課税の110万円までの非課税枠や、相続時精算課税の2,500万円の非課税枠には影響しません。
 大きな節税効果が期待できる制度ですが、贈与を受けた資金を30歳になるまでに使いきれなかった場合には、残った金額は贈与税の課税対象になります。ご注意ください。

青 木

平成25年2月今年の相続税対策!

 税制改正案では相続税増税が盛り込まれました。平成27年1月以降は基礎控除が現状の60%相当額まで引き下げられる内容で、相続税負担が大幅に増えます。
 今後の相続税節税のポイントはズバリ

  • 従来から対策として実行してきた生前贈与をより計画的に実行すること
  • 従来と同様養子縁組の可能性を検討すること
  • 240㎡から330㎡に適用面積が拡大される小規模宅地等の特例による自宅敷地の評価減を最大限活用すること
  • 子や孫1人あたり1,500万円の教育資金贈与の非課税特例を最大限活用すること。

となります。
 これらの組み合わせで増税分を打ち消すことは十分可能と思われます。
 今年は本格的に相続対策を研究しましょう。

木 村

平成25年1月あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。

 昨年末、選挙で自民党が政権を取り戻しました。インフレ目標を掲げるなど、景気回復を主張する点は好感が持てます。是非、実現してもらいたいと思います。
 政権が交代したばかりで今年度の税制改正が具体的になるのは時間がかかると予想しています。最も気になるのは前政権が掲げた相続税大増税。基礎控除を下げるなどして、従来相続税を納める必要がなかった人たちからも徴収する方向でしたが、これが新政権に引き継がれるのか、はたまた自民党が以前提案して廃案になった遺産取得課税を出してくるのか?遺産取得課税は相続税の計算過程を根本的に変え、特に後継ぎにとっては非常に厳しい増税となる改正案であったと記憶しています。
 今後出てくる改正案から目が離せません。

木 村

平成24年12月贈与税の配偶者控除

 私たちが所有している居住用の家屋及びその敷地(以下、居住用不動産。)の贈与を配偶者に贈与する場合には、配偶者控除の特例があります。
 この特例は居住用不動産またはそれらを取得するための資金を配偶者へ贈与する場合において、一定の条件を満たせば贈与税の基礎控除額110万円とは別に2,000万円までを非課税(贈与税の計算の価額に算入しない)にするというものです。
 この特例は例えば敷地の一部の贈与でも控除が可能で、適用した財産については贈与した人が亡くなった場合も相続以前3年前までさかのぼって相続税の価額に算入する生前贈与加算の対象になりません。
 一般に夫婦のどちらか一方が財産の大部分を所有している場合等には、この特例を適用し住居用不動産を生前に贈与した方が夫婦の相続税合計は少なくなります。
 注意点としては、不動産の生前贈与は、相続による名義変更に比べて不動産取得税や登録免許税が割高になります。相続税の節税額を試算したうえで贈与するか否か、比較検討して下さい。

安 井

平成24年12月月平均1,000件以上の相続税調査!

 平成23年7月から平成24年6月までに行われた相続税調査状況が公表されました。調査件数は13,787件、平均すると毎月1,000件以上の相続税調査が行われました。
 このうち、申告もれ等で指摘を受けたものは11,159件、約80%以上の確率で修正申告を要求されたことになります。申告もれのトップは現金、預金。税務相談を受けると「現預金は隠してしまえば、いくらあるのか解らないのではないか。」といった質問をよく受けますが、税務署は過去の確定申告内容や不動産の取引状況、国内外の銀行、証券会社、保険会社などから収集した資料を基に分析し、いくらぐらい預貯金があったのか本人の通帳を見ないで推測できます。
 また、家族名義の預金についてもだれが稼いだのかといった観点から実質の所有者を割り出してしまいます。
 思っている以上に、税務署の調査能力は進化しています。なめてかからないほうがいいですヨ。

木 村

平成24年11月贈与税がかかる?かからない?

 個人から贈与により財産を取得した場合、基礎控除額110万円を超える額については贈与税を納める必要があります。では、生活していく上で必要な生活費や大学の入学金や学費などの教育費を基礎控除額以上もらった場合は贈与税がかかるのでしょうか?
 それについて相続税法では、「扶養義務者から贈与された生活費又は教育費は非課税」とされています。ここでいう扶養義務者とは配偶者、直系血族(父母・祖父母・子・孫等)及び兄弟姉妹のことで、つまりこれらの人達からもらった生活費又は教育費に充てるための財産は贈与税がかからないということです。しかし、ここで注意しなければならないのは生活費又は教育費に充てた残額を貯金した場合はその残額は贈与税の課税対象となるということです。したがって、生活費又は教育費贈与は必要な都度に必要な額を贈与し全額をそれらの費用にあてなければなりません。その他に贈与された財産で車や土地、家屋等の物を購入した場合や通常必要であると認められる範囲を超える贈与も課税の対象となるので注意が必要です。

安 井

平成24年10月上場株式の贈与で相続対策

 相続対策で生前贈与をされる方が増えているようです。1人当たり年110万円までは贈与税がかかりませんが、上場株式を贈与した場合、その株価は次のように計算します。
 例えば10月15日に贈与した場合、
  ・10月15日の終値
  ・10月の終値の平均額
  ・9月の終値の平均額
  ・8月の終値の平均額
の4つの中から最も安い価額をとって評価し、申告をします。仮に株価が上昇基調にある場合、約2カ月前の株価を用いることによって、株式の評価額を抑えることができます。
 毎年12月31日が贈与税計算の区切りとなります。年末までに生前贈与を検討されてはどうでしょうか。

加 藤

平成24年10月自社株式の価値

 自分が経営する会社の株価を計算したことがありますか?
自社株の相続や贈与等がないと計算する必要がないため、多くの経営者は知らないと思います。1株額面が5万円なので1株5万円と思っていらっしゃる方もみえます。
 税法では、その計算方法を次の3種類定めています。

A 類似業種比準価額方式・・・ 同業者の上場公開企業の株価を基に、配当、利益、純資産を比較して株価を計算する方法
B 純資産価額方式 ・・・ 全ての財産債務を相続税評価で計算し、1株あたりの正味財産額で株価を計算する方法
C 配当還元方式 ・・・ 配当額を基に1株当たりの株価を計算する方法

 経営に直接タッチしない少数株主はCの方法で算定し、株価はそれほど高くなりませんが、経営者一族が所有する株はAやB又はAとBの折衷法で計算し、会社の財産、利益によっては額面の何十倍もの株価となることがあります。
 将来の相続に備えて決算が終わったら自社株価の計算をおすすめします。

木 村

平成24年8月土地の価格

 7月2日、国税庁から平成24年の路線価が公表されました。全国平均は前年比2.8%下落し、リーマンショック以降4年連続で下落が続いています。ただし、下落幅については縮小しており、下げ止まりの傾向にあるようです。
 5月に公表された平成23年分の所得税の確定申告状況でもその傾向が見られます。平成23年の土地の譲渡所得による申告者は約40万人と、前年よりわずかに減少しています。しかし、土地の譲渡による所得金額のある者は約7%上昇、所得金額は約12%上昇しており、土地価格の下落率が縮小していることがうかがえます。
 リーマンショック以降続いてきた地価の下落にようやく底が見えてきたようです。実際の底打ちまでにはまだ少し時間がかかりそうですが、今後の動きにも着目していきたいものですね。

青 木

平成24年7月住宅取得等資金の贈与の非課税制度が改正されました

 平成24年税制改正により、住宅取得等資金の贈与の非課税制度の適用期間が平成26年12月31日まで延長されました。
 住宅取得等資金の贈与の非課税制度とは親から子、祖父母から孫など、直系尊属から住宅購入のための資金や増改築のための資金の贈与があった場合に、その贈与について、一定の非課税枠まで贈与税が非課税になる制度をいいます。
 また、今回の改正では適用期間の延長に加え、非課税枠の拡充がされています。対象の住宅が通常の住宅である場合には非課税枠は1,000万円までですが、省エネ等住宅(省エネルギー対策等級4以上であること、耐震等級2以上又は免震建築物であることを満たす住宅)については非課税枠が1,500万円(平成24年中)までになります。
 ただし、この非課税枠は来年の平成25年になると、通常の住宅の場合は700万円、省エネ等住宅の場合は1,200万円に縮小し、再来年の平成26年には、通常の住宅の場合は500万円、省エネ等住宅の場合は1,000万円までに縮小されてしまいます。この制度の適用を考えられる場合には、お早めにご相談ください。

青 木

平成24年7月遺産分けに立ち会って

 相続申告のお手伝いをする場合、必ず遺産分けのアドバイスを求められます。遺言書があればそれに従いますが、ないケースが多く相続人さんは悩んでしまいます。家族構成や財産内容、将来の予定などによってアドバイスの仕方は変わりますが、一般的な例を紹介します。
 例えば、夫が亡くなって妻と子が相続人の場合、

 第1に配偶者の相続割合を考えます。夫の相続税と妻の将来の予想相続税を見越してトータルで税負担が安くなるよう、妻の相続割合を検討します。
 第2に妻の今後の生活が安定するよう、自宅や金融資産を優先して妻に割り振ります。
 第3に妻の将来の相続対策が行いやすい財産構成を検討します。
 第4に子が複数の場合、将来の子供間の財産バランスを見越して、夫から受ける妻の財産構成を検討します。

 これらを念頭に各相続人さんと何度も打ち合わせを行い、全員納得の上で遺産分けを進めるようにしています。

木 村

平成24年6月相続税課税実績

 平成22年1月~12月に亡くなった方の相続税申告実績が発表されました。
 平成22年に亡くなった方は約120万人(前年 約114万人)で、そのうち相続税課税対象となったのは約5万人(前年約4万6,000人)で、過去10年間で最高の人数となり、今後も増加が予想されます。
 亡くなった方100人中約4.2人が相続税課税対象となった訳ですが、100人中約5.5人が課税対象となった平成7年に比べると、国税庁は少なくなってしまったと考えているようです。政府も課税対象を増やすべく相続税改正を検討中です。
 1人当たり遺産額の平均は2億1,006万円、税額は2,363万円で、財産の内約48.4%が土地、約23.2%が現預金、有価証券は約12.1%でした。
 現預金、有価証券といった金融資産が35%以上ありますので、年1人110万円の非課税枠を使った生前贈与を計画的にすることで、相続税を節税できる余地は十分にあるのではと感じました。
 実際、相続申告のお手伝いをしているなかで財産をみせてもらうと、対策をしていない方が多いと感じています。もったいないですヨ。

木 村

平成24年2月相続税増税の流れ

 昨年より気になっていた相続税の基礎控除引下げ(現行5,000万円+相続人1人1,000万円 → 改正案 3,000万円+相続人1人 600万円 )が「社会保障と税の一体改革素案」の中で再度盛り込まれました。平成27年1月1日以後の相続から適用とのことで、今後、この素案を基に法案が立案されますので、実現するかどうか流動的です。
 もし、改革が実現すると、定年退職後に自宅と多少の金融資産を持っているだけで従来全く相続税の心配が必要なかった方でも相続税負担が必要になるケースが出てきます。
 改正はまだ先の話ですが今から年1人110万円の生前贈与対策をやっておいて損はないと思われます

木 村

平成23年12月相続税の税務調査

 相続税申告の税務調査実績(平成22年7月~平成23年6月実施分)が発表されました。
 実地調査した13,668件の相続申告のうち、11,276件から申告漏れなどが指摘され、修正申告をすることになりました。
 故意に財産を隠したなど、悪質と税務署長が判断した1,897件については、重加算税(追加相続本税の40%)負担をさせられました。
 近年は、海外の預貯金などについても相手国との情報交換により、資料収集を強化していて、過去最高数の申告漏れ(調査件数695件中116件)が発見されました。
 また、地下室金庫に現金や通帳を隠した(昔の映画「マルサの女」をマネたのかな?)金地金の取引書を破棄し、隠したなどの摘発がされたようです。
 税務署の調査能力は年々進化しているようです。相続税を増税する改正案も引き続き議論されています。
 法律違反の脱税ではなく合法的な節税をお願いします。

木 村

平成23年10月遺産分けの注意点

 遺産を分けるときに遺言書があればそれに従いますが、なければ相続人で話し合って遺産分割協議書を作成し、自由に分けることができます。
 ただ、相続税の負担を考えると、配偶者がどれだけ相続するかによって全体の相続税負担はかなり増減します。
 相続税の計算上、配偶者は遺産の半分又は1億6,000万円のいずれか多い額まで相続しても税金がかからないことになっています。遺産が1億6,000万円以下なら全て配偶者が相続すれば相続税は0となります。
 次に考えなければならないのは、将来配偶者に不幸があった場合の相続税です。前述の配偶者の税額軽減は使えません。加えて、相続人が1人少なくなっているため、基礎控除も少なくなり、残った遺産に対し、高率な相続税を負担することとなります。
 さらに近い将来、相続税の増税も検討されています。遺産分けにあたっては、将来の配偶者の相続税負担を念頭に、トータルで節税となるよう配偶者の相続額を決めるといいと思います。

木 村

平成23年9月平成23年末までのかけ込み相続対策

 現在、生前贈与の非課税枠は年110万円ですが、子や孫が住宅を購入する場合に資金を援助するのであれば、年110万円とは別に1,000万円まで贈与税非課税となる制度があります。以前は建物と同時に購入する土地を除いて、建物を購入するための贈与といった条件がありましたが、平成23年1月1日以降は平成24年3月15日までに新築するのならその敷地を購入するための贈与も非課税となりました。
 家を建てるためには当然土地が必要なのに、なぜ今まで建物購入への贈与しか非課税にしていなかったのか不思議ですね。
 土地も対象となったことでこの税制は格段に利用しやすくなりました。新居を検討の方、年末までなら相続対策効果もバツグンですヨ。

木 村

平成23年8月贈与税の非課税対象が拡大しました

 親から子、祖父母から孫に住宅取得資金や増改築資金の贈与があった場合、平成23年中の贈与であれば1,000万円まで非課税とされます。今回この制度の改正が行われ、非課税の対象が拡大されました。
 改正前の制度では、非課税の対象となる土地の取得資金は、いわゆる建売住宅などの家屋と同時に取得した場合に限定されていたため、先に土地だけを取得した場合には非課税の対象となりませんでした。しかし今回の改正により、先に土地を購入し、後から住宅の新築等(贈与を受けた翌年3月15日までに行う必要があります)が行われる、いわゆる注文住宅の場合の土地の取得資金についても対象になることとなりました。
 この制度は平成23年1月1日以後に贈与により取得する資金について対象となります。住宅の新築等をお考えの方は将来の相続税対策にもなりますので是非ご検討ください。

青 木

平成23年2月子・孫への贈与税が安くなる?

平成23年度の贈与税改正では税率構造の変更が予定されています。最高税率を従来の50%から55%へ引き上げ(増税)、子・孫への贈与については適用税率を引下げ(減税)ようというものです。
 しかし、贈与税が0となる非課税枠は従来通り受贈者1人あたり年110万円まで。一般的には贈与税を払ってまで、生前贈与を実行される方は少ないので非課税枠の110万円のアップをしてほしかったのですが・・・。
 今回の改正では相続税非課税枠の40%引下げが予定されています。これにより相続税を負担しなければならなくなる方が大幅に増えます。
 最低でも子・孫一人あたり年110万円の生前贈与を、財産が多い方は将来の相続税率も高いため、今回引下げを予定している子・孫への贈与税率を利用して、少し贈与税を負担してでも早め早めに財産の承継をお考え下さい。

木 村

平成23年1月相続税の課税対象者が激増?

 平成23年度税制改正案で相続税の基礎控除を4割縮小するという内容が発表されました。
現行では、課税対象額の算出時に遺産総額から差し引ける基礎控除は、5,000万円+法定相続人の数×1,000万円でしたが、改正案では、3,000万円+法定相続人の数×600万円に縮小する、とされています。
 例えば、妻と子供が2人いる夫が亡くなった場合には、夫の課税財産が8,000万円までなら、今までは相続税はかかりませんでしたが、もし改正案が通れば、4,800万円より多い場合には、相続税がかかることになります。
 今までは、財産は自宅とその敷地と預金くらいなので、相続税は関係ない、と安心されていた方も、対象になってくる可能性が高くなりますので、今後の動向に注意し、もし可決された場合には、速やかに生前贈与などの対策をしていただくことが大切になります。

杉 野

平成23年1月相続と遺贈の違い

 相続とは亡くなった人の財産を法定相続人(配偶者と一定の親族を指します)が承継することをいい、遺贈は遺言によって法定相続人以外の人が財産を承継することを指します。
 相続、遺贈は同じようなことに思われますが、税負担の面では様々な違いがあります。例えば、登録免許税(不動産の登記のとき、負担が生じます)は、相続の場合、不動産の価格(固定資産税評価格)に対し、0.4%の税率であるのに対し、遺贈の場合は、2%の税率になります。また、不動産取得税は、相続の場合、非課税となり税負担が生じないのに対し、遺贈の場合は課税となり、税負担が生じます。
 同じ財産の承継でも税負担の面では様々な違いがあります。ご注意ください。

青 木

平成23年1月死亡保険金を受け取ったときには、どんな税金がかかるのでしょうか

 被保険者が病気や事故などで死亡し、保険金受取人が死亡保険金を受け取ったときは、被保険者と保険料の負担者及び保険金の受取人の関係によって、所得税の課税対象となるもの、相続税の課税対象となるもの及び贈与税の課税対象となるものの3つのパターンがあります。
 まず、所得税の対象となるのは、保険金の受取人が保険料を負担し、第三者を被保険者としていた場合です。保険金を一時金で受け取った場合には一時所得として、年金で受け取った場合には雑所得として所得税の課税対象となります。
 次に、相続税の対象となるのは、被保険者が保険料を負担していた場合です。この場合には保険金が相続財産となり、他の相続財産と合わせて受取人の相続税の課税対象となります。
 最後に、贈与税の対象となるのは、被保険者と保険料負担者、保険金受取人のすべてが異なる場合です。この場合には受取人が保険料負担者から保険金の贈与を受けたものとして、贈与税の課税対象となります。
 このように、一口に死亡保険金といっても、その被保険者と保険料負担者及び受取人の三者の関係によって、それぞれの場合に応じた税金の課税対象となり、また保険金額によってはそれぞれに応じた申告が必要となりますので、ご注意ください。

山 下

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不動産の話題

令和6年4月高騰するアパート修繕費

 今年も、賃貸アパート・マンションオーナーさんの確定申告をたくさんお手伝いしました。気になったのは、入退居に伴う原状回復工事や外壁塗装工事など、物価高に伴って大変高額となってきたことです。それに対して、家賃収入はそれほど上がっていないので、利益は少なくなっています。
 賃貸経営の中で修繕は必要不可欠ですが、業者さんまかせにしないで、修繕を始める前に工事の見積書を精査し、節約出来る部分がないか粘り強く交渉して頂きたいと思います。
 又、今後借入金利が上がってくることを見越して、新規入居者募集にあたっては、わずかづつでも家賃の値上げを意識して下さい。

木 村

令和5年3月アパート家賃

 賃貸経営では、家賃をいくらに設定するか悩みます。築年数や間取り、快適設備の有無、駅からの距離や周囲の環境など総合的に考えて、募集業者と相談しながら満室となるよう家賃を決めます。
 過去を振り返ると、デフレ期間が長かったこともあり、家賃を下げざるを得なかった大家さんも多かったと思います。
 ところで、2023年度は高齢者が受給する年金が、2%前後増えます。受給額は近年の賃金上昇や前年の物価上昇を基に決められます。
 2023年度、新規入居者募集の家賃を考えるとき、この年金上昇率(つまり物価全体の上昇)を加味して、少し値上げを検討してみてはいかがでしょうか。

木 村

令和5年2月不動産所得の帰属の判決

 以前、「令和4年6月 不動産から生じる所得は誰のもの?」というタイトルで、親子間での土地の使用貸借による駐車場収入が誰に帰属するかの話題について記載をしましたが、大阪高裁での判決は、その前の地裁の判決とは異なる結果となりました。
 土地の所有者が親で、その上に敷設されたアスファルトの所有者は子供であり、その子供が駐車場経営をしている場合には、その駐車場の収益は子供のものと考えていましたが、判決では、①アスファルト舗装は土地の構成部分であるため、アスファルト部分のみを贈与するのは原始的に不能ということ、②アスファルト舗装部分を含めた土地の使用貸借は有効に認められるものの、その収益を生むもととなる資産の真実の権利者は親であること、などを理由に駐車場の収益は親に帰属すると判決されました。
 実質所得者課税については、争訟等になることも多く、実務でもとても重要な論点です。大変参考になった判例でした。

芦 田

令和5年1月家賃滞納による明け渡しで最高裁判決

 大家さんが、入居者に家賃保証会社との契約を求めるケースが増えています。滞納時に、保証会社が一定期間家賃立替払いをしてくれるため安心です。
 しかし昨年12月、ある保証会社が入居者と交わした契約条項について、違法との最高裁判決が下されました。

家賃滞納による明け渡しで最高裁判決

② 3ヶ月以上滞納したら、保証会社は事前告知なしで賃貸契約解除する。
(入居者の生活基盤に重大な影響があるため通告は必要。)

 今後、保証会社が入居者や大家さんとの条件をどのように変更してくるか、注視しておきたい判決です。

木 村

令和4年7月中古一戸建て賃貸

 中古の一戸建住宅を安く購入し、必要に応じて改修し、入居者を募集し、安定収入を得る。アパート、マンション経営となると金額も大きくなり、実行できる方は限られます。しかし、地方郊外なら、自己資金で購入できそうな中古一戸建ても存在します。一戸建てですから、入居者はファミリー層が中心となり、アパートに比べれば、長く住み続ける傾向があります。購入額に対する年間家賃収入が、年10%程度確保できるなら、いずれ必要になる修繕費など考えても、十分利益が出せると思います。
 活用できる土地を持っていない方にとって資産運用といえば、預金、有価証券、保険が主流ですが、一戸建て賃貸を研究してみる価値はあると思います。

木 村

令和4年6月不動産から生じる所得は誰のもの?

 親の所有する土地に子供が家を建てる場合、地代のやりとりはない場合が一般的に多いと思います。この場合に、子供が所有する家を第三者に貸して賃料を得た場合には、その収益は家を所有する子供に帰属します。
 では、親が所有する土地を子供が無償で借りて、その土地で子供が駐車場経営を行い駐車場収入を得た場合には、その収益は親と子供のどちらに帰属するのか。現在も裁判中で気になる事案があります。
 この事案では、親子間で土地の使用貸借契約を締結し、土地の上に敷設されたアスファルト舗装を贈与契約で子供に贈与し、子供が第三者と賃貸借契約を締結して駐車場収入を得ていた内容となっています。
 平成30年10月の国税不服審判所の裁決では、使用貸借契約や贈与契約が親の意思に基づいて成立したものではないから、収益は親に帰属すると判断がされましたが、令和3年4月に大阪地裁は、収益は子供に帰属すると判決を下しています。
 所得税法では、「収益の起因となる資産を実際に所有するものが所得者である」という実質所得者課税の原則が定められていますので、この事案での収益はアスファルト所有者の子供に帰属すると考えますが、こういったスキームを実行する場合、否認されないよう注意が必要ですね。

芦 田

令和4年6月登録免許税と不動産取得税の負担について

 相続や贈与により不動産を取得すると、登録免許税と不動産取得税がかかります。この2つの税金は、固定資産税評価額に税率を乗じて計算します。相続で取得した場合よりも贈与で取得した場合の方が、負担が大きくなっていますので、注意が必要です。

税金の種類 相続で取得した場合 贈与で取得した場合
登録免許税 0.4% 2%
不動産取得税 なし 3%~4%※

※一定の要件を満たした場合には、軽減措置を受けることができます。
※宅地及び宅地比準土地を取得した場合には、固定資産税評価額に1/2を乗じた価額を課税標準額とする特例措置が設けられています。(取得期限:R6年3月31日)

具体例
5000万円の宅地を相続で取得した場合

登録免許税5000万円×0.4%=200,000円
不動産取得税なし

5000万円の宅地を贈与で取得した場合

登録免許税5000万円×2%=1,000,000円
不動産取得税5000万円×1/2×3%=750,000円

堀 木

令和4年4月利益出たのに貯金は増えず

 アパート経営の確定申告では築15年を過ぎると、建築費総額の約30%を占める附属設備(電気、ガス、給排水、衛生設備)の減価償却(耐用年数15年)が終了し、経費が少なくなります。又、借入金返済も返済期間中毎月の銀行への支払い額は同じですが、通常元利均等返済のため、支払額の内訳は返済期間の前半では利息が多く、後半は逆に元本が多くなります。この結果、築15年あたりから、申告上経費になる利息が少なくなります。
 これらが大きな原因となって、毎年の申告上の利益は徐々に増加し、累進税率による所得税負担がのしかかってきます。1年間で通帳残高はさほど増えていないのに、税金ばかり高くなるのです。
 あちこち修理をすれば経費は増え、払った金額の税率分だけ税負担も少なくなりますが、これではいつまでたっても財産が増えません。
 根本的な解決は、借金が残っている間は経費を節約し、余裕があれば少しでも借入金の繰上返済を検討し、早期完済を目指す努力が必要です。

木 村

令和4年1月不動産を「非居住者」から購入した場合の注意点

 非居住者から日本にある不動産を購入した場合には、原則として、不動産の購入者は、売買代金の89.79%を売主に支払い、残りの10.21%(源泉徴収税額)を支払った月の翌月10日までに国へ納付しなければなりません。
 非居住者とは、「海外に住所があり、日本に住んでいる期間が1年未満の人」ですので、海外に移住した日本人は該当しますが、日本に移住した外国人は該当しません。また、単身赴任で日本に来た外国人は、日本にいる期間が1年未満かどうかにより判断します。
 ただし、売主が非居住者であっても、例外的に、①買主が個人である、②売買代金が1億円以下である、③購入した不動産が購入者かその親族の居住用である、の3つの要件をすべて満たしている場合には、購入者は、源泉徴収義務がなく、売買代金の100%を売主に支払うことになります。
 どちらのケースであっても、購入者が支払う金額は変わりませんが、購入者に納税義務が生じるケースがありますので、注意が必要です。

家 田

令和3年11月親族間の不動産売買は慎重に

 親子間など、親族の間で、不動産を売買する場合がありますが、売買価額を決めるにあたっては、注意して下さい。売主は売却益について、所得税、住民税を納める必要があり、又、買主も購入価額を出来るだけ安くしたいとのことで、身内の間で合意出来れば、値段を安くしてしまおうと考えがちです。しかし、税務上は、時価で取引があったものとして、時価と実際の売買価額との差額に、高額な贈与税を課税されることがあります。
 時価は、他人どうしで、一般に取引する場合に成立する値段とされます。時価といっても曖昧で幅があり、困ってしまいます。
 そんなときは、
  土地については、相続税評価額÷0.8
  家屋については、固定資産税評価額や未償却残高
 を計算して、時価(売買価額)決定の一つの目安としてみて下さい。

木 村

令和3年8月親族へマイホームを売却した時の3,000万円控除

 マイホームを売却して利益が出た場合、いくつかの条件を満たせばその利益から3,000万円まで控除することができます。その条件の中にマイホームの売手と買手についての条件があり、親子間や夫婦間での売買には適用できません。このほかにも細かい条件はありますが、例えば親族であっても兄弟や子供の配偶者への売却であれば、生計一でないことや、売却した後にその売却した家で同居しないなどの条件を満たせば3000万円控除を適用することができます。親族に対する売却では適用できないように思われがちですが、ご注意ください。

青 木

令和3年7月グリーン住宅ポイント

 新型コロナウイルス感染症の影響により落ち込んだ経済の持ち直しを図る目的で、グリーン住宅ポイント制度が創設されています。
 グリーン住宅ポイント制度は、一定の省エネ性能など条件に合った住宅取得やリフォーム工事をされた場合にポイントが発行され、そのポイントを使って商品に交換したり、追加工事に充当することができる制度となっていて、令和2年12月15日から令和3年10月31日までに契約したものが対象となります。
 グリーン住宅ポイント制度の前には、消費税の増税に伴う住宅支援として次世代住宅ポイント制度がありましたが、グリーン住宅ポイント制度では対象が拡大し、自宅だけでなく賃貸不動産の購入やリフォームも対象とされています。さらに、ポイントの付与数も増加しているようです。
 ただし、グリーン住宅ポイントで商品を交換したり工事に充てた場合には、交換した日や工事に充てた日の年の一時所得又は不動産所得として課税されますので、申告忘れにご注意下さい。

芦 田

令和3年3月壁クロスの洗浄

 賃貸マンション・アパートの確定申告をお手伝いしていて気になるのが、入退居に伴う回復工事の高額なこと。1室で50万円以上になることも少なくありません。
 大きなウエートを占めるのが壁クロスの張替えですが、本当に張替えまで必要かどうか疑問を感じます。
 ホームセンターでも壁クロス専用の洗剤が安価に販売されていて、自分でも試してみたのですが、かなりきれいになります。張替えれば、大量のゴミも発生し、環境にもよくないのではと思います。
 クロス張替えを100点とするなら、洗浄は80点といったところですが、家賃設定を調整することで、入居者の確保は十分可能と思われます。
 高額な退居修理代に悩んでいる家主さんは、一度検討してみる価値はありそうです。

木 村

令和3年1月令和3年度の土地の固定資産税

 土地の固定資産税は、3年ごとに評価額が見直されます。令和3年度はその見直しの年となっています。
 通常ですと令和3年度からの3年間の土地の固定資産税は、令和2年1月(令和2年3月公表)の地価公示に基づいて課税されることになっています。
 しかし、新型コロナウィルス感染症による負担軽減措置として令和3年度に限っては、税額が令和2年度を上回る場合には、税額は据え置きとなり、税額が減る場合には、そのまま税額が引き下げられることとなりました。
 商業地や住宅地、農地など、すべての土地が対象となっています。
 ちなみに、令和2年1月時点の地価は、県内全体でみると上昇傾向にありましたが、令和2年7月時点では、新型コロナウイルス感染拡大による経済不安が反映され、ほとんどの地域で地価が下落となっています。

芦 田

令和2年10月不動産収入のある場合の持続化給付金

 持続化給付金が申請できるかどうかの判断は、コロナウイルスの影響により、2020年1月から12月の任意の月の売上が前年同月に比べて50%以上減少しているかどうかによります。
 この判断に使う売上に不動産収入を含むかどうかは、法人と個人で異なります。
 法人の場合、不動産収入は、一般的には売上となります。法人の持続化給付金の申請における売上は、決算書上の売上であるため、不動産収入を含みます。
 一方、個人の場合、不動産収入は、申告書上の「不動産所得」の収入となります。個人の持続化給付金の申請における売上は、申告書上の「事業所得」の収入であるため、不動産収入を含みません。
 このように不動産収入がある場合には、個人と法人で売上のとり方に違いがありますので、よく注意の上、今一度ご検討ください。

家 田

令和2年8月家賃支援給付金

 7月14日から「家賃支援給付金」の申請の受付が開始されました。
 この制度は、土地や建物を借りている事業者を対象としており、地代や家賃の負担を軽減する目的で創設されました。
 具体的には、令和2年5月から12月までの任意の月の売上が前年同月と比べて50%以上減少している場合、または、連続する3か月の期間の売上が前年同期間と比べて30%以上減少している場合には、支払っている地代や家賃の金額に応じ、最大600万円(個人の場合は最大300万円)の給付金が受け取れるというものです。
 申請は、インターネットによる電子申請のみですが、電子申請が困難な方は申請サポート会場にてサポートを受けることもできます。申請期間は、来年1月15日までです。
 7月に始まったばかりの新しい制度ですので、給付の対象となるかどうか、検討することをお勧めします。

家 田

令和2年7月令和3年度の固定資産税・都市計画税の軽減措置

 新型コロナウイルス感染症の影響により、事業収入が減少している場合に固定資産税を減免してくれる制度が創設されています。
 内容は、令和2年2月から10月までの任意の連続する3月の期間の事業収入が前年同期間と比べて、30%~50%未満減少している場合は2分の1軽減され、50%以上減少している場合は全額免除してくれるというものです。
 ただし、対象となるのは事業用家屋と償却資産である事業用設備のみとなり、土地や事業用以外の個人の自宅等は対象となりません。
 この適用を受けるためには、認定経営革新等支援機関等から確認を受けて、令和3年1月1日から令和3年1月31日までに固定資産税を納付する市町村に必要書類を提出しなければなりません。
 認定経営革新等支援機関等とは国から認定を受けた機関等で、商工会議所や金融機関等さまざまです。
 市への申請期間は1月しかないため、適用を受ける場合は早めに準備をしておいた方がよさそうです。

芦 田

令和2年7月換気性能

 自宅用、賃貸用を問わず、建物に関しては、従来より防犯対策、震災対策を行ってきました。
 コロナ感染対策で換気を意識するようになって、建物の換気性能が気になっています。暑さに対処するため、オフィス、店舗ではエアコンをつけながら窓を開けていますが、長時間となれば、光熱費やプライバシーの問題が出てきます。又、虫も入ってきます。
 温暖化で、今後も新種のウィルス感染は覚悟しておいた方がよさそうです。
 これからは、建物を建てたり、リフォームを検討する際は、防犯、耐震の他に、“効率的な換気”が出来るよう、予算を配分すべきではないかと思っています。
 壁に穴を開けて換気扇を増設するのは大変ですが、既存の窓に脱着可能な換気扇で防犯性能が高い製品があれば、検討してみたいですね。

木 村

令和2年4月コンテナで土地活用

 空地にコンテナ型トランクルームを設置し、賃貸しているところをたまに見かけます。
このコンテナは、器具備品として耐用年数は材質、大きさによって、2年~7年と短く、早期償却が可能なため、節税効果に注目する経営者が多かったようです。
 しかし、国土交通省より「継続的に使用し、いつでも移動できないコンテナ」は、建築物として建築確認申請が必要との指導をしているとのことです。コンテナといっても倉庫と変わらないということなのでしょう。
 税務当局も、建築確認申請をしたコンテナは「器具備品」ではなく「建物」として耐用年数を適すべきとの指導を始めました。
 「建物」なら構造等によって19年~21年と耐用年数が長くなり、早期償却は不可能で、想定していた節税効果が得られなくなります。
 コンテナによる土地活用を検討するにあたって、このコンテナの移動可能性に注意し、器具備品となるかを検討して下さい。

木 村

令和1年9月書類の保存期間

 今月の上旬に税務署からわが家に突然大きな茶封筒が届きました。中を開けると、平成30年分の確定申告の際の医療費控除について、その制度を利用した者の中から一定の者を抽出して領収書の提示を求めるものという内容でした。思いもよらぬ時期に税務署から封筒が届き、ドキッとしてしまいました。
 医療費の領収書は、平成29年分の確定申告から医療費の明細書を作成した場合には、税務署には提出不要となっていますが、領収書はこういった提示を求められた時に備えて5年間保存しておかなければなりません。
 確定申告の時期になると、帳簿や領収書などの書類の保存期間について尋ねられることがよくあります。書類の保存期間については、法律や書類の種類などによって異なっており、個人の方であれば5~7年、法人であれば7~10年となっています。
そのため、個人の方であれば7年、法人であれば10年保存しておけば安心です。

芦 田

令和1年9月リバースモーゲージ利用者の増加

 老後の生活資金を確保する方法として、リバースモーゲージの利用が増えています。自宅不動産を担保に銀行からまとまった生活資金の借入をし、月々は利息だけ支払います。相続発生時に自宅を売却し、借入金を返済する仕組みです。
 子供たちは自立して、それぞれ自宅を持っているようなケースでは、老夫婦の家はいずれ必要なくなります。
 又、老夫婦の家は古くても中心地に近いなど担保価値の高いケースが多くあるようで、銀行も力を入れているようです。
 最近では、先祖から受けついだ不動産を必ずしも後の世代に残す必要はないと考える方が少しずつ増えています。
 老後の生活費や介護費用に不安な方は、実行するかどうかは別として、1つの選択肢としてリバースモーゲージを研究してみる価値があります。

木 村

令和1年8月給与所得者の不動産投資

 給与所得者が借金で賃貸物件を購入し、節税しながら家賃で収入を増やし、不動産の値上がりを狙う。このような手法は何十年も前からありました。
 最近の異常な低金利と、金余りによる不動産価格の上昇で、特に人気を集めていましたが、ここにきて、融資上の問題や施工不良の問題が取り上げられるようになりました。
 銀行も、不動産投資目的の融資条件を相当厳しくしているようで、当初の計画通り、賃貸物件の買換えや追加購入が困難となっています。
借入条件だけでなく、消費税増税で不動産維持費は上昇し、人口減少で入居率は下落、いずれはやってくる金利上昇、いつ発生するかわからない震災・・・。不安は尽きません。 
 家賃収入と返済額、不動産評価額と借金残高のバランスを再検討し、経営計画、投資計画を大幅に見直したほうがよさそうです。

木 村

令和1年6月固定資産税がかからない?

 固定資産の免税点をご存知でしょうか?
 固定資産税は、毎年1月1日現在に土地や家屋を所有している場合に市町村ごとに課税されます。その税額は課税標準額に税率をかけて計算しますが、課税標準額の合計額が一定の金額(土地合計で30万円、家屋合計で20万円、償却資産税合計で150万円)未満であれば、固定資産税が課税されません。
 これを、固定資産税の免税点といいます。
 免税点の判断は、一人で持っているものと共有で持っているものは、同じ市町村でも別々に判断します。このとき共有で持っているものは、共有者全体の課税標準額で判断します(例えば、合計で課税標準額40万円の土地を1/2ずつ2人で共有で持っている場合、40万円での判断になるので、この場合は固定資産税が課税されます)。
4月以降に固定資産税の納付書が届きますが、昨年中に新たに取得した土地や家屋の固定資産税の納付書が届かなかった、そんなときはこの固定資産税の免税点が考えられます。

家 田

平成31年2月不動産の買い時

 新聞記事で、ある上場企業の経営者のコラムを読みました。
 「2020東京五輪が終るまでは、オリンピック特需で、価格は高騰しているので購入を
控える。五輪が終って、もし、市場が低迷するようなことがあれば、絶好の買い時と考える。チャンスが来たときに十分な資金を確保できるよう、今は、その準備の期間である。」と。
 上場企業のみならず、個人についても投資用不動産に関しては同感です。
 特に、今年10月からは消費税2%の引上げが予定されており、どうしても急いでしまいたい気持ちは解かります。節税対策に有効であることも解かります。低金利融資も魅力です。
 しかし、一度手に入れた不動産は、長期に渡って維持管理をしていかなければなりません。自分だけでなく、子、孫にこの負担が承継されます。
 このコラムは、不動産のプロの本音。財産を増やすにあたって、不動産には買うべき時期と売るべき時期が長期的に交互に訪れることを現わしているように感じました。耳をかたむける価値があると思うのですが。

木 村

平成31年2月空き家を売却した場合の税制優遇

 近年、長期間にわたり使用されていない空き家の増加がニュース等で取り上げられています。適切な管理がなされず、治安や景観の悪化、老朽化による倒壊の危険性などがある物件については問題となっており、各自治体では様々な対策を講じています。
 さて、相続があった場合に、被相続人の住まいとして利用されていた自宅で相続後空き家になってしまった家屋等を売却した場合に、譲渡益から3,000万円を控除する特例が2016年から始まっております。税制改正大綱において、この制度は2023年まで延長され、さらに今後は被相続人が自宅から老人ホーム等に入居した場合であっても一定の要件を満たせばこの特例を受けられることとなる予定です。なお、この特例は昭和56年5月31日以前に建築された一軒家で耐震性を備えているか、家屋を取り壊してから売却するなど要件が多くあります。相続した実家のご売却をお考えの方は、お早めに専門家にご相談いただくことをお勧めします。

水 谷

平成30年10月相続後の居住用3,000万控除を使ってみて

 不動産を売却した場合、売却益に対して所得税、住民税が課されます。売却したのが自宅ならば「3,000万円控除」の特例というのがあって、3,000万円までの売却益には、申告手続きによって課税されません。
 税額を計算するうえで、本宅家屋以外に生活道具を収納する倉庫などがあっても、一体として生活をしていたのなら、本宅以外の家屋の敷地も、居住用財産として「3,000万円控除」の対象とされていました。
 近年は、亡くなった方が住んでいた居宅を相続し、そこに住むことなく売却した場合にも、一定の条件を満たせば「3,000万円控除」が適用されることとなっています。
 相続による空き家をなくすため、適用範囲が拡大されました。
 しかし、相続の場合「3,000万円控除」が適用できるのは、本宅家屋としての敷地のみ。附属的な建物の敷地は適用外となっています。
 どうしてこんな細かい区別をするのか理解に苦しみます。
「空き家は増やしたくない。でも、税収減は困る。」と、いったところでしょうか。

木 村

平成30年8月風通しのいい賃貸物件

 賃貸マンションやアパートを拝見して、貸室が南を向いているかどうか気になります。陽当りはもちろんですが、南北の方向に窓を開けていると、室の換気がとてもスムーズです。東西の方向に窓を開けても、例えば、食事のあとの臭いなど、なかなか外に出ません。
 過去9回、自分の引っ越しを経験しました。住居が5回と事務所が4回。実体験から、室には南と北に空気の通り道が必要であると、強く感じています。
 今から建てるマンションやアパートの計画書でたまに東向きや西向きのプランを目にします。
 賃貸経営の採算性や節税を優先するあまりそうなったのでしょうが、入居者の快適性を考えると疑問です。
 人口減少が始まった今、入居者重視の傾向をより強くする必要があります。
 30年~50年といた長期に渡って安定収入を目指すために、是非、検討をお願いします。

木 村

平成30年7月民泊の課税関係について

 先日、住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行されました。これに伴い国税庁は民泊の課税関係について情報を公表しました。
 今回公表された情報によると、個人が民泊で得た所得は原則として雑所得に区分されるとのことです。その理由は、民泊により宿泊者から受け取る対価には部屋の使用料のほか、清掃費、日用品費などの役務提供の対価が含まれていることや、宿泊日数も年間180日に制限されていること等が挙げられます。ただし、不動産賃貸業を営んでいる方が、空室の発生している期間を活用し一時的に民泊を行う場合などは不動産所得に含めても差し支えないそうです。また、専ら民泊による所得で生計を立てている場合は事業所得に該当します。
 その他にも、住宅ローンで取得した家屋を利用して民泊を行う場合に、家屋の床面積の1/2以上が生活用部分である場合には住宅ローン控除の適用が受けられるとのことです。
今回公表された情報には、必要経費の範囲や消費税の課税関係なども取りまとめられております。民泊を既に行っている方や民泊に関心がある方は参考にしていただければと思います。

水 谷

平成30年7月賃貸物件購入にあたって

 「取引銀行から、新築や中古の一棟賃貸マンションを紹介され、購入を検討しているが、どうだろうか?」といったご相談をたまに頂きます。
 物件資料を拝見して一番気になるのが、物件価額。
 土地は路線価を0.8で割戻し、更に、最近の不動産価額上昇を織り込んで、1.5倍を時価と考えてみます。

路線価÷0.8×1.5=土地の値段  Ⓐ

 物件価額から、土地の値段を差し引けば建物のみの値段となります。

物件価額-Ⓐ=建物の値段  Ⓑ

 Ⓑの値段が、その建物の固定資産評価額の何倍にもなっていると、割高と感じます。
 親族間や同族会社の間で建物を売買する場合、税法では“時価”で取引をしないと、贈与税、所得税、法人税、各々で、余分な税負担が発生します。
 一般的には建物の固定資産税評価額や、建物の未償却残高を時価とみたてて、取引すれば、余分な課税がされていない現実からすると、固定資産税評価額を適正値段と考えたいところです。
「そんなこと言ってたら、不動産を増やすことなど出来ない。」といった声が聞こえてきそうですが、賃貸物件に関しては条件にあう物件が出てくるまで、じっくり何年でも待ってほしいと思います。本当に魅力のある物件はすぐに見つかりません。

木 村

平成30年6月民泊新法施行迫る

 平成30年6月15日、民泊新法(住宅宿泊事業法)が施行されます。
 新法では、一年間の営業日数(宿泊日数)が180日と制限されており、その中で利益を生むことができるのかが、課題となります。この180日という営業日数で諸経費を賄い、さらに利益を生むことは、民泊単体では難しく、他のビジネスとの併用が求められそうです。例えば、
①賃貸業の空き部屋の活用
 不動産賃貸業では、入居者の入れ替わり時期が偏る傾向にあり、機会を逃すと1年間空室のままということもあり、この利益を生まない期間を上手く活用するというものです。経費のみ発生していた期間に利益を生むことができるのですが、家具を備える必要性や、賃借契約への移行時など課題はありそうです。
②宿泊を伴わないスペースとしての利用
 民泊は、宿泊を伴った場合にのみ、営業日数のカウントとなるため、ミーティングスペース・女子会会場などのレンタルスペースとして、別途利用料収入を得るというものです。
新しく生まれ変わる市場で、アイディア勝負となりそうです。懸念も多いですが、オリンピックに向け拡充が求められている市場でもあるため、今後の動向は気になるところです。

塚 本

平成30年6月調整区域の資材置場は税金が高い

 市街化区域は、建物を建てられるエリア。市街化調整区域は原則として建物が建てられないエリア。
 街づくりのため、大きく色分けされています。
 市街化調整区域の大半は、田・畑で、売買するにも購入者の条件が厳しいので、通常値段は安くなります。
 相続の場合の評価額も田・畑であれば、近くにある市街化区域の土地に比べて大変低く設定されています。
 ところが、市街化調整区域にある畑を資材置場や駐車場として業者などに貸すと話は変わってきます。
 登記上は田や畑となっていても、相続税は現況で課税されます。資材置場である以上、通常の宅地と同じレベルの高い評価で相続税を計算する必要があります。調整区域内で、建物建築には厳しい制約があるので、市街化区域の宅地に比べて一般に30%は評価額を下げてはくれますが、それでも田や畑に比べれば数倍の評価となります。
 面積が大きければ相続税は大幅に上昇しますし、又、毎年の固定資産税も上昇します。
 地主さんとしては資材置場にして、賃貸収入が入ってくるのはいいことですが、相続税や固定資産税の値上りを考して、賃料を要求したいところです。

木 村

平成30年5月賃貸マンション収入の分配

 賃貸マンションを家族の共有名義で登記している方は多いと思います。建築資金も連帯債務として共同で借入をしています。
 この場合、賃貸収入や借入返済・修繕費等の支払いは家族の代表者1人の口座で管理しているのではないでしょうか。
 口座の名義人は代表者1人であっても、この残高は実質的には賃貸マンション共有者の共同の資金となります。
 毎月共有者の口座に資金を持分に応じて分配すればいいのですが、手間がかかります。そこで、年一回決算終了時に、一年分をまとめて分配することをおすすめします。
 その口座を、マンション経営の収支のみに利用するのであれば、分配を省略して、常に共同の口座と考えればいいのですが、長年の間に預金残高から持分割合を無視して生活費等を引出すと、共有者の持分残高が解らなくなってしまいます。場合によっては、贈与税負担の問題が生じたり、相続が発生すると、亡くなった方の正確な預金残高を把握できなくなってしまいます。
 代表者名義の口座で賃貸の管理をしている方は再検討をお願いします。

木 村

平成30年4月大切な固定資産税の課税明細書

 事業に利用している土地、家屋の固定資産税は所得税の確定申告で、必要経費とすることが出来ます。
 毎年4月、この固定資産税の納税通知書が送られてきます。表紙には年税額と納期限が表示され、次ページ以降に、土地や家屋の、所在地・面積・評価額などを記載した課税明細書がついてきます。
 この通知書は市町村毎に、所有者毎に送られてきます。
 表紙に記載された固定資産税は、事業用も、事業用でない自宅や農地等も含めて、合計額で表示されています。必要経費となる固定資産税を把握するためには、課税明細書から、事業用の土地、家屋のみの税額を読み取る必要があるのです。
 固定資産税の領収証のみ保管し、課税明細書を捨ててしまうと、内訳が分からず、来年の確定申告で、余分な費用と時間が必要となってしまいます。
 今月届く‟固定資産税課税明細‟、大切に保管をお願いします。

木 村

平成30年4月固定資産の評価替え

 平成30年度は3年に一度の固定資産の評価替えの年度となっております。
 愛知県の地価調査では、平成30年度の県内の基準宅地の価格は、平成27年度と比較すると、およそ半数の市町村で上昇となっているとのことです。不動産所有者にとっては、所有不動産の資産価値が上昇することはうれしい反面、固定資産税などの税負担が増すことは悩ましいですね。
 さて、不動産所有者の方は毎年4月から6月に固定資産課税明細書がお手元に届くと思います。固定資産課税明細書には固定資産税評価額の記載がありますが、この固定資産税評価額は一般的に時価の7割程度を目安として算定されています。そのため、固定資産税評価額を7割で割り戻した価格がおおよその時価となります。
マンション・アパートオーナーの方は、ぜひこの評価替えの機会に、時価に対する賃貸収入・利益の利回りの分析を行い、今後の経営計画を練る上での参考にしてみてはいかがでしょうか。

水 谷

平成30年3月民泊市場拡大に期待

 民泊とはホテルや旅館など宿泊施設の代わりに、住宅の空き部屋に外国人観光客らを有料で宿泊させるサービスです。既に全国で普及しおり、名古屋市内でも多くの物件が民泊施設として稼働しています。
 しかし、これまでは法律上の位置づけが曖昧だったため、法的にグレーな部分がありました。本年6月には民泊法が施行される予定であり、また、名古屋市では住居専用地域での営業を土日祝日に限るなどの条例案が検討されています。
 今後、法整備が進むことにより、民泊は民泊仲介・管理等の関連ビジネスと共に正当なビジネスとしてますますの成長が見込まれます。
 マンション・アパートオーナー様は、新たな収入源として空き部屋対策に民泊を検討してみてはいかがでしょうか。

水 谷

平成29年5月アンバランスな固定資産税

 桜が散りだして、今年も固定資産税の通知書が届きました。
Ⓐ 築28年 床面積155㎡の軽量鉄骨造建物の固定資産税は5万円
Ⓑ 築25年 床面積65㎡の鉄筋コンクリート造建物の固定資産税は8万円
Ⓐは平均的な2階建戸建住宅、Ⓑは8階建ての分譲マンションの1室です。
なんと、空間の狭いマンションの方が高いのです。さらに、築何十年も経った大きく立派な木造のお屋敷には、固定資産税が数千円しかかかっていないものがありました。
 市によれば、木造、鉄骨、鉄筋の順に建築単価が高くなること、耐用年数も、木造、鉄骨、鉄筋の順に長く定められていること。
よって、木造、鉄骨、鉄筋の順に固定資産税は高くなるという理屈を出してきます。
 しかし、実際住んでみると、構造や築年数の違いよりも空間が広いほうが何かにつけ利用価値が高く感じられます。
このままでいいのでしょうか。毎年この時期になるとアンバランスな気分にさせられます。

木 村

平成29年3月大切な不動産売買契約書

 不動産売却の確定申告をお手伝いするとき、困るのは、その不動産を昔、購入したときの契約書をなくしてしまっているケースです。
 不動産の譲渡益に対して、所得税、住民税、復興税が合計20.315%かかります。

譲渡益 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用

の計算をしたいのですが、取得費が不明な場合は、譲渡価額の5%を取得費とみなして計算をしていきます。売却価額のほとんどが、譲渡益となり税負担も多額になります。
 特に、親から相続した土地を売却するような場合、昔、親が購入したときの契約書が見つからず、取得費がわからないといったことはよくあります。
 不動産を売る、売らないは別として、お持ちの不動産の資料は、整理し、大切に保管してください。

木 村

平成29年3月サブリース契約について

 先日、大手のアパートサブリース会社が訴えられました。
その会社はアパートオーナーからアパートを一括で借り上げ、もし空室が発生したとしても、当初10年間は家賃収入が変わらない契約を結んでいました。しかし、約6年でサブリース会社の経営難を理由に家賃の減額を求められ、業績が回復しても家賃が戻されなかったために、家賃増額と減額分の支払いを求められたそうです。
 アパートオーナーにとって、家賃管理は非常に手間がかかり、一度空室になるとその間の収入は少なくなるリスクがあります。保証料は高くとも、サブリース会社に一括で借り上げてもらう事で、家賃が安定的に入る魅力的な契約とも考えられます。しかし、相続対策等によるアパートの建築は増加しています。立地条件によっては空室リスクばかり高まり、家賃の保証が続くとも限りません。以前からそうですが、今後もこの事を念頭に置きアパート経営をすることが重要です。

大 見

平成29年2月立退料の税金

 古い貸家を取壊し、新しいアパートに建替えたり、貸家の敷地を売却する相談が増えてきました。借家人の立退きで、高額な立退料を請求され困っている大家さんもあるようです。
 立退料の課税関係は、個人では次のようになります。

  • 立退料を支払う大家さん
     ①貸家の建替えのケース
       ・・・立退料を支払った年の不動産所得の必要経費となり、所得税・住民税は減少します。
     ②貸家を取壊し、敷地を売却するケース
       ・・・敷地売却の譲渡所得の譲渡経費となり、所得税・住民税は減少します。
  • 立退料を受け取る借家人
     原則として、一時所得として課税されます。

     ( 立退料 - 立退の経費 - 50万円 ) × 1/2 = 一時所得

     として、その年の給与や年金等の収入と併せて、総合課税により、所得税・住民税を計算します。
     立退料が50万円を超えると累進税率のため、税負担が大きくなります。

 貸家の建替えや、売却がうまくいくかは、借家人の立退きに大きく左右されます。
 近い将来、建替えや、売却を検討している大家さんは、是非、立退料の課税も含めて、計画を立ててください。

木 村

平成28年12月高層マンションの固定資産税見直し案の概要発表

 高層マンションの高層階を購入すると相続税の節税になる!?そんな事を聞いたことがある方もいると思います。弊所でも以前“今月注目の話題”で採り上げました。そして先日、まずはこの高層マンションの「固定資産税」の見直し案の概要が発表されました。
 現状は、もし全ての階の床面積が同じであれば固定資産税額が全ての階で同じです。見直し案では、1階上がるごとに税額が増えるようにし、40階建てのマンションなら最上階は1階の10%程度高くするとのことです。政府は、2017年度の税制改正大綱に盛り込み、2018年以降に引き渡す20階建て以上の新築物件の固定資産税を見直す予定です。
 これとは別に国税庁は、2018年度税制改正で高層階の相続税を重くすることを検討しているとのことです。こちらが改正となれば、これまでのような節税策は打ち辛くなります。高層階の購入価格は通常高い事を考えれば、現状よりは実態に即する形になるかもしれません。

大 見

平成28年11月アパート経営のコツ

 相続税節税と毎月の家賃収入に魅力を感じて、アパート経営が人気です。しかし、築15年目ぐらいから経営が苦しくなってくる家主さんがいらっしゃいます。

 その主な原因は次のとおりです。
・ 設備の老朽化により家賃を下げたり空室が増えて、収入が減少します。
・ 新築から15年で耐用年数をむかえる給湯器の取替などで支出が増加します。
・ 新築から約15年で外壁塗装、防水工事で大きな支出が発生します。
・ 電気、ガス、給排水、衛生設備の減価償却が新築から15年で終了します。そして元利均等返済の借入利子が少なくなっていきます。つまり、15年目以降、毎年の必要経費が少なくなり、確定申告で所得税・住民税が想像以上に高額となります。

 新築当初から、15年目以降の状況を想定しないで家賃収入を使い切ってしまうと、15年目以降、確実に経営が苦しくなります。
 家賃収入の全部とはいいませんが、貯金又は借入金の繰上返済をおすすめします。

木 村

平成28年10月民泊って何だ?

 民泊が注目されています。未利用の空き家やアパートの空室を旅行者などに貸出す形態です。
 本来は、旅館業法に基づく許可か一部地域の民泊条例に基づく認定を受けなければならないのですが、条件が厳しく、許可・認定を受けずに営業しているケースも多くあるようです。
 平成28年度中には、条件を緩めた民泊新法が施工される予定です。立地条件や建物の構造が、民泊に適したものであれば、従来より高収益を狙えるかもしれません。もちろん、宿泊者の募集から清掃まで引き受けてくれる代行業者も増加することでしょう。
 賃貸経営をされている方は、ご自身の不動産を民泊に活用できないか、検討する価値はありそうです。
 ただ、民泊が“住宅”なのか“商業施設”なのか、はっきりしない状態です。“商業施設”となれば、固定資産税の負担が大きくなります。税負担が上がれば、割安のイメージの民泊も、料金が高くなってしまいます。
 何とか“住宅”扱いにして頂ければと願っています。

木 村

平成28年5月賃貸契約書ありますか?

 不動産賃貸業を営む方が亡くなって、賃貸業を家族が承継する場合に、過去に賃貸契約書をなくしてしまい、地代家賃の入金期日や預り保証金が解らなくなっているケースがよくあります。
 生前に、入居者との約束内容を後継者に話していたり、何らかの記録が残してあればよいのですが…。借主に契約内容を質問するのも気まずいですね。
 特に保証金は解約時には借主に返金しなければなりません。又、相続税申告上も、財産から減算して、相続税負担を減らすことが出来ます。
 賃貸経営をしている方は、日頃から契約書の整理整頓をお願いします。契約書がない貸物件は簡単な書類でいいので、是非整備してください。

木 村

平成28年2月電力小売りの自由化で電気代を節約

2016年4月に、一般家庭等に向けた電力の小売りが自由化されます。これによって、私たちは電力会社を自由に選択できるようになります。私たちの住む地域の電力を供給している中部電力は顧客を奪われないために、先日4月からの家庭用電力の新料金プランを発表しました。現行よりも最大で5%安くなるとのことです。大手携帯会社は、携帯電話と電気料金のセット割引を実施すると発表しています。今後は電力についても私たち利用者はしっかりと比較し、より有利な選択をして節約をする時代です。

大 見

平成28年1月謹賀新年(減価償却)

 本年もよろしくお願い申し上げます。
 昨年12月に発表された平成28年度税制改正案の中で気になったのが建物附属設備・構築物の減価償却を定額法に一本化する部分です。従来は定率法が選択できました。定額法は定率法に比べて、設備投資額を費用に出来る時期が遅く、実質的な増税と考えられます。
 政府は表向き、法人税実効税率引き下げを大々的にアピールしていますが、中身をよく見れば、しっかり増税項目を潜り込ませています。いつものことですね。
 経営者の方は、今年4月以降の設備投資に注意して下さい。

木 村

平成27年12月空家対策 追加か?

 最近、空家対策として固定資産税を増額するといった話題が散見されますが、今後の税制改正では、さらに相続から3年以内に空家を売却した場合、売却益から3000万円を控除することで、売却に伴う所得税・住民税を大幅に減額することを検討しているようです。
 相続がきっかけで空家が発生するケースが多いので、売却しやすくして、空家の増加をくい止めようとの意向です。
 従来より、相続申告期限から3年以内の相続財産売却には、“相続税の取得費加算”の特例で、売却に伴う所得税・住民税は減額されていました。しかし、近年、土地売却については取得費に加算される金額が縮小され、思ったより税負担が安くならないため、売却しづらくなっていました。
 この3000万円控除案が成立すれば相続後の空家売却はかなりスムーズとなり、不動産取引も活発となってくるのではと期待しています。

木 村

平成27年10月耐震改修の補助金と控除

 自宅の耐震診断や耐震改修を行う場合、自治体によっては無料で耐震診断を受けられたり、耐震診断の一部補助、耐震工事の補助などを受けられたりします。例えば、名古屋市の場合、昭和56年5月31日以前に着工した2階建て以下の木造住宅であれば無料の耐震診断を受けることができ、耐震診断の結果によっては、耐震診断工事を行う際に補助金を受けることができます。
 また、耐震改修工事を行った場合、所得税の税額控除や、その住宅の固定資産税の軽減を受けられる場合があります。所得税では、平成29年12月31日までの間に、昭和56年5月31日以前に建築された住宅に耐震改修をした場合には、一定の金額を控除することができます。固定資産税の軽減については、昭和57年1月1日以前から所在する住宅について、平成27年12月31日までの間に耐震改修工事を完了させるなどの要件を満たせば、該当の住宅について、2分の1の軽減を受けることができます。
 いずれも、確定申告など一定の手続きが必要となります。特に、固定資産税の軽減については、耐震改修工事の完了から原則として3ヶ月以内に書類を提出する必要がありますのでご注意ください。

青 木

平成27年9月超低金利時代のアパート経営

 超低金利が続いています。アパート経営者で、まだ建物のローンが残っている方は、返済計画表で適用金利と、一年間の利息を確認してください。
 2%の金利が1%になれば、一年間に支払う利子も、半分になります。アパートローンは、借入金額が大きいため、経営者によっては、年100万円単位の節約となる方も少なくありません。
 近所にある複数の銀行に相談すれば、借換費用を含めた比較資料を無料で作ってくれます。
 注意しなければいけないのは、現在のローンを借換えるとローンの種類によっては違約金が発生する場合があります。違約金が発生しないよう次の契約更新までまって、借換えるか否か検討が必要です。
 空室の修繕費が高くなってきています。借入利子の節約で、上手な賃貸経営を目指してください。

木 村

平成27年9月相続で取得した減価償却資産の償却

 被相続人が事業や不動産賃貸業に利用していた建物などの減価償却資産は、その事業等を継承された方が引き続き減価償却を行っていきます。そこで注意が必要なのは、取得価額と未償却残高はそのまま引き継ぐことになるのですが、償却方法は被相続人と相続人とで異なることがあるということです。例えば、被相続人が平成10年4月1日から平成19年3月31日までに取得した建物については、旧定額法で償却してきましたが、相続人は定額法で償却することになります。これは、平成19年4月1日以降の取得には定額法が適用されるためで、この取得には相続による取得も含まれます。
 また、個人の場合、償却方法は原則として定額法になります。ですので、被相続人が車両などについて定率法を選択していた場合でも、相続人が新たに「所得税の減価償却資産の償却方法の届出書」を提出して定率法を選択しない限り、相続人は定額法で償却することになりますのでご注意ください。

山 下

平成27年6月不動産仲介料が無料!

 関東では店舗を持たず、インターネットのみで、アパートや中古不動産を紹介し、仲介する新興の不動産業者が勢力を拡大させているようです。ネットでの仲介によりコストを抑え、仲介料を大幅に引き下げることで、人気があるようです。
 現在、不動産業者に義務づけされている重要事項の対面説明や契約書の書面交付などが、店舗でなくてもネット上ですませられるよう国が規制緩和を検討しており、緩和が実現すればこれら新興業者の勢いは更に増し、いずれ全国に拡大するのではないかと思います。
 不動産取引の手続きが簡素化され、手数料が安くなることで、車を買換える気軽さで、不動産取引をする時代が近いと感じています。
 規制緩和による取引形態の変化は、不安もありますが、新たなビジネスチャンスではないでしょうか。アパートオーナーさんも街の不動産業者さんも今後の動きを注視して下さい。

木 村

平成27年4月省エネ住宅ポイントの受付が始まっています

 省エネ住宅ポイントの申請が始まっています。省エネ住宅ポイントとは一定の基準を満たすエコ住宅の自宅を新築したり、エコ住宅にリフォームしたりした場合にポイントが発行され、そのポイントを商品券や地域の特産品との交換や、追加工事の費用に充当することができる制度です。
 発行されるポイントは、新築の場合は30万ポイント、リフォームの場合は工事内容に応じて最大30万ポイントが発行されます。(耐震改修を伴うリフォームの場合は最大45万ポイント発行されます。)
 また、この制度はそれぞれの要件を満たしていれば、すまい給付金との併用をすることも可能です。省エネ住宅ポイントの受付期間は予算の状況によりますが、遅くとも平成27年11月ごろには打ち切られるとのことです。なお、省エネ住宅ポイントは商品と交換したり、追加工事の費用に充てたりした時に一時所得となりますのでご注意ください。(一時所得には合計で50万円までの特別控除があります)

青 木

平成27年4月事業用不動産の買換え

 個人事業者や法人が、国内の不動産を売却して、新しい不動産に買換える場合の“買換特例”は、平成26年12月31日で期限切れとなっていましたが、平成29年3月31日まで延長となります。
 不動産を売却し、売却益が発生すれば、所得税や法人税、住民税が課税されます。
 しかし、代わりに国内の不動産を取得して、事業に使えば“買換特例”を使って、最大1/5の税負担におさえる(課税繰延べ)ことが出来ます。
 買換特例には、各種の買換えパターンがあります。使いやすい買換えパターン(9号)では、
  ・売却した不動産の所有期間が10年超であること
  ・買換えた土地の面積は300㎡以上であり、原則として建物の敷地とされること
  ・原則として売却の翌事業年中に買換えること
 などの条件を満たせば適用されます。
 売却の税負担が少ないため、より大きな物件を購入し、より大きな収益を稼ぐことが出来ます。
 売買契約をする前に是非ご相談下さい。

木 村

平成27年3月「財産債務の明細書」ってなんだ?

 個人が確定申告で2,000万円超の所得を申告する場合、通常の確定申告に加え「財産債務の明細書」を提出しなければなりません。確定申告にはこの年の収入状況中心に記載しますが、「財産債務の明細書」は12月31日時点の預金、有価証券、不動産、会員権、借入金等の財産内容を記載し、かなり面倒な作業です。なぜ2,000万円超の所得だと提出するかは、将来の相続税を思い浮かべていただければ簡単に想像できると思います。
 毎年、所得が2,000万円超の方は慣れていますが、たまたま土地を売って2,000万円以上になった方はよく提出し忘れます。後日、必ず税務署から提出するよう要求されますので気をつけてください。
 ところでこの「財産債務の明細書」。平成28年1月1日以後提出分より、提出対象者が限定されます。

  ① 所得2,000万円超で財産が三億円以上
  ② 所得2,000万円超で有価証券が一億円以上

 の方のみ提出となります☺
税務手続の合理化、もっともっと進めてほしいですね。

木 村

平成27年2月借地権買戻し後の土地売却

 土地を譲渡した場合、譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えるものについては、長期譲渡として譲渡所得に対し所得税、復興税、住民税合わせて20.315%の税金が、所有期間が5年以内のものについては短期譲渡として39.63%の税金がかかります。
 ここで、5年を超えて所有している土地の上に借地権を設定して賃貸している地主が、その土地の借主から借地権を買戻した後5年以内にその土地を譲渡した場合、これは長期譲渡又は短期譲渡のどちらに該当するのでしょうか。
 答えは、5年を超えて所有している底地部分は長期譲渡に、取得後5年以内の借地権部分は短期譲渡に該当し、それぞれ税負担割合が異なることになります。
 また、譲渡所得は譲渡価額から取得費(購入価額+付随費用)と譲渡経費を差し引いて算定しますが、借地権の取得費は分かるのに底地については売買契約書をなくして取得費が分からないという場合には、借地権については実際の取得費を計上し、底地については譲渡価額の5%の概算取得費を計上することができます。
 短期譲渡は長期譲渡に比べ税率が高くなっていますのでご注意ください。

山 下

平成27年1月空家のリスク

 近年空家が増加していますが、政府は倒壊の恐れがあるなどの危険な空家の解体を促すため、そうした家屋が建つ土地について固定資産税の軽減措置の適用をやめる方針を固めました。現在、住宅用地の固定資産税は最大で6分の1に軽減されているので、この措置の適用外となると一気に6倍に跳ね上がる可能性があります。
 また、固定資産税だけでなく、住まなくなってから3年が経過した不動産については、譲渡した場合に特別控除や軽減税率などの特例の適用が受けられないので所得税・住民税の負担が大きくなります。
 さらに、自宅でも貸家でもない空家の敷地は、相続時に小規模宅地等の特例や借家権の減額といったものの適用がないので、相続税も高くなります。
 このように、空家は収入を生まないだけでなく、税負担を増加させる可能性があるので、住まなくなった家はできるだけ早く貸すなり売るなりして、有効に活用してください。

山 下

平成27年1月2015年太陽光発電はどうなる?

 太陽光発電の固定価格買取制度は2012年7月に国内の再生可能エネルギーの自給率を上げる事を目的としてスタートしました。昨年末、2015年の太陽光発電について買取価格が大幅に下がるのではというニュースが流れました。再生エネルギーの買取価格は「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」で再生可能エネルギーの利用の拡大を図るため法施行日から3年間は事業者に利益が出るように買取価格を配慮するように明記されていることもあり2012年から1kWあたり42円でスタートした買取価格は下降傾向にあるものの大幅な値下げはありませんでした。しかし今年から第3者委員会の価格決定にむけた議論により1kWあたり20円台になる見通しとのことです。太陽光発電は昨年に九州電力をはじめ四国電力や東北電力が10kW以上の太陽光発電買取申請を保留し、中部電力も現在は問題ないですが太陽光発電事業は見通しが暗そうです。10kW未満の住宅用の発電力が小さい住宅用の方が電力会社も受入れしやすいということでこちらの方が買取価格の値下げの心配は少ないかもしれません。今後、太陽光発電の取付けご自宅や賃貸住宅に検討中の方は今年の動向が気になります。

安 井

平成26年12月相続財産の売却に係る特例について

 相続(又は遺贈)で取得した土地や建物、株式等の財産を譲渡した場合には、負担した相続税の一部をその譲渡した財産の取得費に加算して所得税・住民税を計算する特例があります。取得費に加算される相続税の額は、土地については相続した全ての土地に対応する相続税額が加算できますが、平成27年1月1日以降に発生する相続からは、他の財産と同様に譲渡したものに対応する相続税額のみが取得費に加算されます。
 つまり、例えば土地A3,000万円、土地B2,000万円、現金預金1,000万円の合計6,000万円を相続して相続税600万円を負担した人が土地Aを譲渡した場合、平成26年12月31日までの相続ならば500万円※1が、平成27年1月1日以降の相続なら300万円※2が取得費に加算されます。
 この特例は、原則として相続開始日から3年10カ月以内に譲渡した場合にのみ適用されますので、相続財産の譲渡をお考えの方は、この期間内に譲渡して所得税・住民税の節税を図りましょう。
  ※1 600万円×(3,000万円+2,000万円)/6,000万円=500万円
  ※2 600万円×    3,000万円    /6,000万円=300万円

山 下

平成26年12月住宅エコポイントが復活?

 先日の経済新聞に 国交省が省エネ基準を満たす住宅を新築・改修した人に対し商品と交換できるポイントを付与する住宅エコポイント制度(現在 仮称エコ住宅支援制度) を再開する検討に入ったという記事がでていました。期限は1年程度とする予定で、所得制限を設けず最大30万ポイント(1円=1ポイント)としてエコ家電の商品や商品券と交換できるという案が浮上しているそうです。消費税の増税により低迷している住宅市場の下支えを目的とされています。住宅の購入だけでなくエコリフォームにも(太陽光発電設備やバリアフリーの手すりなど)ポイント対象となるようですので、この制度が復活して消費税10%増税が先送りされることとなれば検討中の方は良い機会になるかもしれませんね。

安 井

平成26年8月太陽光発電の税金について

 太陽光発電装置は国内の再生可能エネルギーの自給率を上げる事を目的とした固定価格買取制度がスタートしてから、その影響か昨年の確定申告では個人事業主の方で太陽光発電を設置された方がいらっしゃいました。太陽光発電を収益目的として設置した場合にかかる税金はどのようなものがあるのでしょうか?
 まず、売電収入からそれに係る費用(減価償却費や光熱費)を差し引いた所得に所得税が課税されます。
 その他には固定資産税の一種である償却資産税が課税されます。償却資産税はその年の1月1日に所有している資産を対象に1.4%の税率が課税(課税標準額の合計が150万円未満の場合は課税されません。)されるというものです。しかし太陽光発電については課税標準額の特例があり、次の条件に該当する場合には3年間 課税標準額が価格の3分の2に軽減され税額の負担を少なくすることができます。
 ①固定買取制度の認定をうけた発電設備であること。
 ②発電出力が10kw以上の設備であること
 ③平成24年5月29日~平成26年3月31日までに取得した設備であること。
この条件に該当する再生可能エネルギー発電設備の認定通知書の写しを申告書に添付の上、申告が必要となります。今年の1月1日以降に取得した方は来年の申告になりますのでご注意ください。

安 井

平成26年6月不動産取得税の軽減措置

 不動産を取得した際に支払う税金の一つに不動産取得税があります。不動産取得税は毎年支払う固定資産税と異なり取得したとき(相続による取得を除く)に1度だけかかる税金です。不動産取得税は通常の売買や贈与による取得の他に贈与の特例、たとえば婚姻期間が20年以上の配偶者間での居住用不動産の贈与などの適用により贈与税が非課税となった場合にもかかるため注意が必要です。不動産取得税は課税標準額×3%で算出され大きな負担となりますが、一定の要件を満たす場合は軽減措置あります。例えば新築した住宅の場合は延べ床面積が50㎡~240㎡である等の要件を満たせば課税標準額より1200万円控除することができ税負担が軽減されます。この不動産取得税の軽減措置を受けるためには不動産取得税減額申請書に取得した不動産の登記簿謄本などの必要書類を県税事務所に申請します。不動産取得税は取得後4か月から6か月後に納税通知書が届くようです。消費税増税前の駆け込みで購入された方はこれから届くケースもあると思いますので必ず軽減措置の手続きをしてくださいね。

安 井

平成26年5月固定資産税が高くなる?

 先日の日経に固定資産税の負担が2015年から増えるという記事が載っていました。
土地、家屋(以下、固定資産)に係る固定資産税はその年1月1日の所有者に対しその年1年分の税金を納めるもので、固定資産の課税標準額×1.4%(別に都市計画税が0.3%)で納付額が計算されます。この税金の計算の基となる課税標準額は3年ごとに評価替えが行われ次回の評価替えは2015年となっています。この評価は「総務大臣が定める固定資産評価基準」をもとに替えられるのですが、この評価を近年の建築資材の上昇や工事費の上昇などの物価の上昇に伴い高く見積もる方針となったためです。税率はそのままですが基となる課税標準額が上がるため実質的に増税となるだろうということです。消費税もあがり個人の税負担は増えますが、個人所得はまだまだ明るい話はあまり聞きません。今後の税制改革に期待したいです。

安 井

平成26年4月耐震改修投資促進の特例の創設がされました

 平成26年度税制改正で、既存建築物の耐震改修投資税制が創設されました。
 この制度は、改正耐震改修促進法により耐震診断が義務化される建築物について、平成27年3月31日までに耐震診断の結果報告を行った青色申告法人等が、平成26年4月1日から5年以内に耐震基準に適合させるための耐震改修工事を行う場合、耐震改修による建築物の取得価額の25%を特別償却できるものです。
 耐震診断が義務付けられるのは、一定規模以上の病院、店舗、旅館など不特定多数が利用する建築物や、避難路に隣接する建築物等です。耐震診断の結果が耐震基準に適合していなかった場合、所轄行政庁は指導、助言、指示ができ、その指示に従わない場合は公表されることとなっています。
 ちなみに、耐震診断の費用については、一般的なものであれば支出した事業年度の損金に算入することができます。

青 木

平成25年10月白色申告者の記帳義務について

 平成26年1月1日から、すべての白色申告者の方に記帳義務及び帳簿等の保存義務が課せられます。記帳しなければならないのは、売上げなどの収入や、仕入れや租税公課などの経費について、取引の年月日、相手方の名称と金額といった基本的な内容で、記帳にあたっては、簡便的に日々の合計金額をまとめて記載していただいても構いません。それらを記載した帳簿は7年間、領収書等の書類は5年間保存してください。記帳の仕方がわからない方のために、税務署では記帳説明会を行っているそうです。
 初めて記帳される方は大変かもしれませんが、正しい申告のために役立つと思いますので、来年までに是非マスターしてください。

山 下

平成25年9月賃貸事業の税務調査強化!

 東京国税局では、今年7月より不動産賃貸を行っている地主さんのうち、確定申告上、疑問のある方に対して「お尋ね」文書を送り出しました。
 申告上、誤りの多い事項として
  ・礼金収入が申告もれとなっている
  ・自宅分の固定資産税や借入利子が経費に含まれている
 などがあるようです。
 例えば、固定資産税は、同一の市町村にあるものは自宅、未利用地、農地、貸地など所有者ごとに合計金額で通知されます。そのうち必要経費になるのは賃貸をしているものに限られますので通知された合計固定資産税を按分する必要があるわけですが、それをしないで過大に固定資産税を経費にしている方が多いようです。
 「お尋ね」は税務調査ではありませんが、返答をしないと本格的な調査に移行する可能性が高くなります。
 税務署から「お尋ね」が届いたら、質問事項を確認して速やかに返答をしてください。当然、名古屋国税局も「お尋ね」を送ると思います。要注意!

木 村

平成25年6月株の次は不動産投資?

 円安によって株式相場は乱高下をしながらも徐々に上昇してきました。資産家の中には新規で不動産投資を検討され始めた方もあります。具体的には、未利用地への介護サービス付き賃貸住宅の建築や、中古の一棟売賃貸マンションなどデフレストップから将来のインフレに向けた対策です。
 ここで注意点を一つ。新規でも中古でも投資を実行する前に投資利回りを事前に検討してください。
 土地所有者が賃貸物件を新築する場合、建物建築費に対して年間賃料は10%を目標としたいところです。1億円の建築費なら年1,000万円の家賃収入(経費控除前)なら効率がいい投資と考えます。
 また、中古の一棟売賃貸マンションなら土地建物の購入額に対して約10%の年間賃料を目指したいところです。1億円の中古一棟マンションなら年1,000万円の家賃収入といった具合です。
 また、中古の分譲マンションを賃貸用に1室購入する場合も、年間賃料が購入額の約10%入ってくるような物件がいいですね。
 賃貸物件の確定申告をたくさんお手伝いしていますので、契約前に是非相談に来てくださいね。

木 村

平成25年1月都市の低炭素化の促進に関する法律が施行されました

 平成24年所得税の主な改正事項の一つに、住宅借入金等特別控除の改正があります。これまでの控除額の計算方法に加え、新たに認定低炭素住宅の場合の計算方法が加わりました。認定低炭素住宅とは、一言でいうと断熱性や空調等の省エネ性能に優れた住宅で、一定の認定を受けたものをいいます。平成24年12月4日以降にこの認定低炭素住宅で新築又は建築後使用されたことのないものに居住を開始した場合、住宅借入金等特別控除を受ける際の控除限度額が優遇されます。

都市の低炭素化の促進に関する法律が施行されました

 また、個人が平成24年12月4日から平成26年3月31日までに認定低炭素住宅を新築・取得した場合、その所有権の保存登記、移転登記の登録免許税の税率が1000分の1に軽減されます。
 申告に必要となる書類等の詳しい情報はまだ公表されていませんが、該当する方は今後の発表にご注意ください。

青 木

平成25年1月償却資産の申告とは

 毎年1月は償却資産の申告時期となっています。
 償却資産とは、土地・建物以外の事業用の固定資産をいい、たとえば工場の機械、飲食店の厨房設備、アパート経営でのアスファルト舗装や外灯などがこれにあたります。ただし自動車には自動車税が課税されるため、申告の対象にはなりません。
 これらの資産について、前年中に取得した償却資産の取得価額や数量などを申告します。市町村役場では、申告された各償却資産の未償却残高に1.4%を乗じた税額を算定し、毎年4月に納税通知書を発送します。納付期限は、4月末、7月末、12月末、翌年2月末で、税額を4等分して納めます。ちなみに償却資産に対する固定資産税は、法人の場合も個人の場合も必要経費に計上できます。
 提出期限は、1月31日(木)となっています。前年中に何も取得しない場合でもその旨を申告しなければならないのでご注意ください。

加 藤

平成24年12月固定資産税の過徴収

 先日の新聞で、中部9県のほぼすべての市町村で算定ミス等により固定資産税の過徴収があったことが報じられていました。今回明らかになった分については既に修正され、納税者に還付されているとのことです。
 固定資産税は納税者側で申告を行わないため、過徴収があっても気付くのは難しいのですが、今回明らかになった過徴収の原因には、住宅用地に対する課税標準の特例の適用がなされていなかったり、すでに取り壊されている家屋に固定資産税が課されていたりと比較的気づきやすいものもあったようです。固定資産の取得や取り壊しがあった時には、翌年に送られてくる固定資産税の納税通知書はじっくりチェックした方が良いようです。また固定資産の変動のない年であっても、送られてくる納税通知書や支払いの明細をきちんと保存しておかれることをお勧めします。

青 木

平成24年7月LEDへの取替は資産?修繕費か?

 最近、コンビニエンスストアなどでの照明にLED照明を使用している店をよく見かけます。LEDは従来の蛍光灯や電球と比較して消費電力が少なく寿命が長いのが利点ですが、その反面蛍光灯などに比べると数倍も価格が高くなるという特徴があります。しかし長期間で考えて節約のため建物全体やフロア全部の照明をまとめて現存の照明の寿命前にLED照明に取り替えた場合は、その費用は資産でしょうか?費用でしょうか?
このことについて、国税庁は質疑応答事例で修繕費とする回答を示しています。
修繕費とする主な理由としては「電球の交換も不要や節電効果の向上により固定資産の価値が向上していると考えて資産とする考えもあるが、LED照明は照明設備(建物付属設備)がその効用を発揮するための一つの部品であり、その部品の性能が高まったことにより建物付属設備の価値が高まったとまではいえないと考えられるため修繕費が相当である」ということです。
 一度に取り替えると多額な支出となりますが、長期間で見ると交換も不要で節電の効果もあるためいい選択かもしれませんね。

安 井

平成24年5月年間取引報告書が来ない?

 株式の取引をするにあたっては、証券会社で損益の計算をしてくれる「特定口座」を選択する方がほとんどかと思います。特定口座を開設しておけば、年明けに年間取引報告書が送られてくるので、これをもとに確定申告をするかどうか検討することになります。
 しかし、4月1日に施行された平成24年度税制改正法では、1年間取引のなかった特定口座に関しては報告書を交付しなくてもよいこととされました。ただし本人からの請求がある場合には交付しなければならないこととなっています。
 複数の証券会社に口座をお持ちの方は、取引の有無にかかわらずとりあえず送ってもらえるように手続きをしておくと、毎年同じ数の報告書が届くので申告漏れや計算ミスの心配がないと思います。

加 藤

平成24年5月太陽光発電 100%即時償却!

 事業のために太陽光発電設備を設置した場合、平成24年7月から平成25年3月31日までは、取得費を全額取得年度の経費(100%即時償却)出来ることとなりました。
 出力が10kw以上の条件がついていますので、通常の家庭用(約4kw)では対象となりませんが、店舗や工場など毎月多額の電気代を負担している事業者の方にとっては、取得時の大きな節税と、その後の電気代節約に効果がありそうです。
 一方、太陽光発電はまだ高額です。個人的には薄型テレビの急激な値崩れを見ていますので、いくら節税になるといっても導入のタイミングは慎重にならざるを得ません。

木 村

平成24年4月買換特例延長するも厳しい条件

 土地を売却した場合の所得税節税によく利用された買換特例(長期所有土地から土地又は減価償却資産への買換え)が平成24年度改正案では平成26年12月31日まで延長されそうです。平成23年12月31日までは国内の土地や建物、構築物への買換えならなんでも適用可能でしたが、改正後は買換え土地について制限が設けられます。
 土地面積300㎡以上で、原則として事業用建物の敷地に限定されます。
 例えば郊外に持っていた面積は広いけれど採算性の低い土地を売却し、駅周辺の坪単価は高いけれど採算性も高い土地へ買換えるようなことがやりづらくなる訳です。
 建物、構築物への買換えは従来通り、適用可能となりそうなので、今後は節税効果を出すためには、何に買い換えるかよく検討する必要が出て来ます。

木 村

平成24年4月建物の登記と固定資産税

 建物を新たに建てた場合、1ヶ月以内に登記をしなければなりません。登記された情報は法務局から市町村へ送られ、市町村から固定資産税をかけられます。しかし簡易な倉庫などの場合には未登記のままになっている場合も少なくありません。その場合でも、市町村は固定資産税の課税のために実地調査を行っているので、固定資産税は払うことになります。
 逆に老朽化・建て替えなどによって取り壊した場合はどうでしょうか。登記のある建物については、取り壊した旨の登記をすれば、新築時と同様にその情報は法務局から市町村に送られるため、次の年からは固定資産税はかかりません。これに対してもともと未登記だった場合は、新築時のような実地調査で取り壊しを把握してくれるとは限らず、取り壊し済みの建物に引き続き固定資産税がかかる可能性があります。
 余分に納めてしまった固定資産税は、過去5年間までは市町村に対して還付の申し立てができます。毎年4月は市町村が作った台帳を確認することができ、今年は名古屋市の場合4月2日(月)から5月1日(火)までとなっています。車庫・物置・工場など複数の建物をお持ちの方は一度確認してみてはいかがでしょうか。

加 藤

平成24年2月土地と一体になって譲渡される庭木・庭石の注意点

 譲渡する土地には更地だけでなく、その土地の上に建物や構築物等の様々なものがあるケースが多いと思います。ここで注意が必要となるのが、その土地にある庭木や庭石などを譲渡する場合です。
① 土地にある建物や庭木・庭石を、土地とともにAさんに譲渡する場合
 その庭木・庭石は土地の一部として考えられるので、利益が出た時には土地・建物と同様に通常通り分離課税の対象として、所有期間5年超の場合は所得税・住民税を合わせて20%の税率で計算します。
② 土地・建物をAさんに、庭木・庭石をBさんに譲渡する場合
 土地・建物を譲渡するAさんに対しては、①と同様に所有期間が5年超の時は20%の税率で計算します。
 しかし庭木・庭石を譲渡するBさんに対しては、その庭木・庭石は構築物に該当せずに総合課税の対象として、給与所得などの他の所得とまとめて累進課税により税額が計算されます。
 譲渡の方法によって課税区分が変わることで税額も変わってきますので注意が必要ですね。

石 崎

平成24年2月償却資産の申告について

 法人や個人事業者が所有する償却資産には固定資産税が課税されます。償却資産とは、土地や建物及び建物付属設備以外の資産で事業の用に供することができる資産で、その資産の減価償却費が所得を計算する際に、経費として算入されるものをいいます。償却資産を所有している方は毎年1月1日に所有している資産を各市町村に提出する必要があります。土地・建物については市町村で税額を計算し、一方的に納税通知書を送ってきますが償却資産については自主的に申告が必要です。
 では、どのような資産が対象となるのでしょうか??
例えば、不動産貸付業などの場合は貸し付けている部屋のルームエアコンや防犯カメラなどが入ります。その他よくあるのは、事業に使用するパソコンなどもはいります。その他駐車場の舗装路面なども対象となります。
 しかし、上記のような資産であっても耐用年数が1年未満又は取得価額が10万円未満の償却資産については対象外とされています。
 その他、事業に使用されていても土地・建物・建物付属設備(固定資産税が課税されている資産)や自動車(自動車税が課税されている資産)は除外されます。
 償却資産は種類も多いので、償却資産課税台帳と所得税や法人税の申告書の減価償却の明細書とを照合してみるとよいかもしれません。
 償却資産税の申告は1月末になっていますので、まだの方はお急ぎください。

安 井

平成23年11月土地を買うにも源泉徴収?

 従業員に給料を払う場合、金額によって所得税を天引き(源泉徴収)し、国に納める制度はよく知られています。
 ところで、土地を非居住者(住所が国外)から買う場合にも支払代金の10%を預り、国に納める(源泉徴収)よう所得税法で定められています。この源泉徴収をしないで土地を購入した業者に税務当局は源泉徴収税額を納付すべきとの処分をしましたが、業者は、現に100%代金は売主に払っているし、売主が非居住者か否かは調査しきれないとして裁判となりました。結果は一審、二審とも非居住者か否かを調査したうえで土地を買い取るのは当然として業者の負け。現在上告中とのことです。私個人の気持ちとして税務当局はあまりにも徴税の手間を納税者に負担させすぎではないかと思うのですが・・・。
 とにかく、土地を買うときは、相手の住所をよく確かめましょう。

木 村

平成23年11月耐震基準を満たしていますか?

 マイホームを新築した場合の住宅ローン控除はよく知られていますが、他にも、現在の耐震基準を満たさないおおむね築30年以上の居宅には「住宅耐震改修特別控除」という制度があります。これは、県や市の指定区域で自己の住宅の耐震改修を行った場合に、工費の10%の所得税額控除を受けられるというものです(ただし最高20万円となります)。
 さて、今年の税制改正においてはこの耐震改修控除について、3月の震災を受けてか、指定区域による要件が撤廃されて全国どこの居宅でも受けられるようになりました。と同時に、県や市から補助金を受けて工事をした場合には、「工事費から補助金の額を控除して」同控除を受けることとなりました。なお、この改正法は平成23年6月30日以降の工事契約が対象となります。
 備えあれば憂いなし。控除額は小さくなってしまいましたが、まずは耐震診断から、気軽にお住まいの市町村に相談してみてください。

加 藤

平成23年10月マイホームを売った場合の特例

 個人が居住用財産を売った場合には、一定の条件を満たせば、最高3,000万円までの控除を受けることができます。この制度を居住用財産の譲渡所得の特別控除といいますが、譲渡する相手先には注意が必要です。
 買手が配偶者や直系血族である場合には適用が受けられません。また、それ以外の親族であっても生計を一にしている場合や、家屋の譲渡がされた後、売手と買手がその家屋に同居をするような場合には適用を受けることができません。(その他、内縁関係にある場合や特殊な関係のある法人等、一定の場合にも適用を受けることができません。)
 大変有利な制度ですが、適用を受けるための条件も多く、確定申告も必要です。適用を検討される場合には、専門家にご相談いただくことをお勧めします。

青 木

平成23年5月土地売却の有利なタイミング

 相続税の負担は百万円単位、千万円単位になることがよくあります。これに備えて、承継する土地の一部売却を検討する場合、生前の売却と相続後の売却ではどちらが有利でしょうか?
 一般に土地の売却価額が同じなら税金上は、相続後の売却が有利と考えられます。生前に売却する場合、譲渡益に対して所得税、住民税(売却益の20%)を負担し、その後残った売却資金に対して相続税を負担します。
 しかし、相続後、申告期限から3年以内の売却なら、承継した土地について相続税を負担しますが、その後の土地売却の所得税、住民税については“相続税の取得費加算”の特例によってかなり軽減されます。相続財産の構成によっては、所得税、住民税がゼロとなることもありえます。
 土地売却を検討している方は要注意ですヨ。

木 村

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確定申告の話題

令和6年3月申告書の収受印廃止

 毎年確定申告の提出が終わると、事業主の方は借入等をしている銀行に、税務署の収受印のある申告書・決算書を提出し、事業内容を報告し、今後の融資について打ち合わせをします。令和7年1月以降は、窓口提出の申告書等について、収受印が廃止されます。

 電子申告をした場合には、パソコンのメッセージボックスに送られる受付通知をコピーすれば、提出事実を明らかに出来ます。

 しかし、窓口で紙の申告書を提出する場合には、税務署に提出した申告書であることを証明出来なくなりそうです。

 まだ紙の申告書を提出している事業主の方は、今から電子申告に移行することを検討して下さい。時代の流れですネ。

木 村

令和6年3月ご高齢の方の確定申告の課題

 先日、税理士会と税務署が主催する、確定申告無料相談会に相談員として参加しました。午前9時半から開始にも関わらず、数に限りがある整理券を取得するため、8時半ごろには10人ほどの方が悪天候の中並んでいました。

 70歳~80歳のご高齢の方が多く、「40分も歩いて会場まで来た」という方、「昨日は整理券をもらえなかったけど、今日はもらえたから良かった」と安堵する方、「来年は来られるかわからない」と不安を口にする方など、確定申告に大変な手間と時間をかけている印象でした。

 相談会場に足を運ぶのもいいですが、ぜひ、確定申告無料相談センターに電話をかけてみてください(税務署に電話をかけると音声ガイダンスで案内されます)。職員の言うとおりに数字を埋めていくだけなので、来場するよりもずっと手間はかからないはずです。できるだけストレスなく、確定申告を終わらせていただきたいと思います。

堀 木

令和5年12月宝石やアクセサリーの売却にかかる税金

 宝石やアクセサリーの売却は、通常、生活用動産(生活に必要なもの)の売却とみなされ、1個あたり30万円までの売却については課税されませんが、1個あたり30万円を超える売却については確定申告の対象となり、その売却益に対し、所得税と住民税が課税されます。
 確定申告の対象となる売却益は、次のように計算します。

  • ①所有期間5年以内
    課税される所得 =売却価額 -( 取得価額※ + 売却費用 )- 特別控除50万円
  • ②所有期間5年超
    課税される所得 ={ 売却価額 -( 取得価額※ + 売却費用 )- 特別控除50万円}×1/2

  ※取得価額が不明な場合には、売却価額の5%が取得価額となります。

 特別控除50万円がありますので、売却益(  の部分)が年間50万円以内であれば、税金がかからないことになります。50万円を超える場合、上記の所得は給与や年金など他の所得と合わせて確定申告が必要となりますので、ご注意ください。

家 田

令和5年11月確定申告 配当所得等の申告に注意が必要です

 確定申告の時期が近づいて参りました。R5年分の確定申告は、配当所得や株式等の譲渡所得(以下、配当所得等)の申告に注意が必要です。
 R5年分の確定申告では、所得税と住民税の課税方式を一致させる必要があります。つまり、「所得税では配当所得等を申告して、住民税では申告不要にしよう」ということができなくなります。
 その結果、所得税において配当所得等を申告すると、配当控除等を受けられるメリットはありますが、住民税・国民健康保険料・介護保険料・住民税の非課税判定なども配当所得等が含まれた金額をもとに計算されてしまうため、全体的にみると負担が増えてしまう可能性があります。
 申告方法の有利判定は煩雑ですが、確定申告の時期までまだ時間があります。住民税や国民健康保険料等を考慮して、事前に申告方法をご検討いただければと思います。

堀 木

令和5年7月妊娠・出産費用の医療費控除について

 妊娠・出産に伴う費用は、医療費控除の対象となります。ただし、全ての費用が控除の対象となるわけではないので注意が必要です。
 具体的には、定期健診や通院費用、出産で入院する際に利用したタクシー代などが控除の対象となります。一方、里帰り出産のために実家に帰省するときにかかった交通費や、入院に必要な寝間着など身の回り品の購入費用は控除の対象となりません。妊娠・出産に伴う費用の一つ一つについて、控除の対象となるか確認する必要があります。
 また、出産準備で赤ちゃんの鼻水吸引器を購入する方もいらっしゃると思います。鼻水吸引器は医療用器具として、医療費控除の対象となります。鼻水吸引器は1~2万円と高価なものですので、医療費控除を受ける際には、忘れずに申告するようにしましょう。

堀 木

令和4年11月副業節税

 サラリーマンの給料は、給与所得として所得税・住民税が課され、毎月天引きされます。副業をした場合は給与所得とは別に損益を集計して、事業所得又は雑所得として課税されます。
 事業所得が赤字となった場合、給与所得と通算して給与から天引きされた税金が還付されます。雑所得は赤字になっても通算できず、税金還付はありません。
 従来、事業所得と雑所得の境界は曖昧だったため、国税庁はこの8月「収入300万円以下は原則として雑所得」との改正案を発表しました。
 これに対し、納税者よりたくさんの反対意見が寄せられたため、10月になってあわてて、「帳簿をつけていれば原則として事業所得」と修正することとなりました。
 副業による極端な節税を封じる目的だったようですが、一律300万円という数値のみで区別するのは、あまりにも事業実態を無視した安直で乱暴な改正案だったということですね。

木 村

令和4年10月為替差益の申告漏れにご注意を

 ウクライナ危機を発端とした急速な円安の影響で、9月には24年ぶりの円安を記録し、今年の1月からは20%以上も円が下落しました。
 さて、外貨預金をお持ちの方は、このタイミングで外貨を円に替える方も多いのではないでしょうか。
 外貨預金を円に替えて、為替の差による利益が出た場合、〝雑所得″として確定申告の対象となり、所得税や住民税が課税されることとなります。
 為替による損益は、利息と違って、銀行側で計算してくれませんので、自身で計算する必要があります。
 毎年、年末調整のみのサラリーマンの方で確定申告の必要のない方は、為替差益が20万円以下であれば確定申告をする必要はありませんが、為替差益が20万円以下であっても医療費控除などを受けるために確定申告をする場合には、為替差益も申告が必要です。
 今年、外貨を円に替えて利益が出た方は、申告が漏れないようにご注意ください。

芦 田

令和4年7月ふるさと納税の寄附先選び

 ふるさと納税の寄附先を選ぶときは、「返礼品に何がもらえるのか」を見て決めることが多いのではないでしょうか。各ポータルサイトでは、返礼品から選ぶ他に「地域」や「使われ方」で選ぶことができるようになっているのですが、下の方や端の方など見つけにくい場所にあります。しかしながら、ふるさと納税の趣旨を考えると、こちらの方が目的に沿った選び方とも言えそうです。
 このうち「使われ方」で選ぶ方法は、自治体が具体的な使い道を示し、賛同した人がふるさと納税という形で資金援助をするものですが、使われ方も様々で、返礼品も特産品以外にそれぞれの「使われ方」に因んだ返礼品があったりと、使われ方・返礼品に、自治体の思いや、発想の個性が表れており、楽しむことができます。返礼品選びに迷われたときは、「使われ方」から眺めてみるのもおすすめです。

塚 本

令和4年5月所得税基礎控除の適用なし?

 所得税の計算上、最も基本的な人的控除として、基礎控除(48万円)があります。憲法25条の生存権をもとに設定されたとのことです。格差が広がるなか、課税の公平を目的に令和2年分の所得税より、年間2,400万円超の所得があると控除額が減らされ、2,500万円超になると、基礎控除なしと改正されました。
 令和2年、3年と確定申告書を作成していくなかで何人かの納税者は、2,500万円超の所得があり、基礎控除が使えず税負担が上がりました。なかには、通常なら所得は多くないのですが、老後の生活資金を準備するため土地を売却し、臨時的に所得が高くなった方もあり、気の毒です。なんだか憲法で保障されている生存権を否定するような気がして、疑問を感じました。
 改正の主旨は課税の公平とされていますが、基礎控除本来の主旨を離れて、税収確保のつじつま合わせをしているだけに感じます。
 「高所得者は基礎控除なし」の考え方を発展させて、次は財源不足を補うため「高所得者は基礎年金なし」なんて不気味な想像をしてしまうのは私だけでしょうか。

木 村

令和4年2月住宅ローン控除

 昨年の12月に今年の税制改正案が発表されました。その中でも、住宅ローン控除について大幅に内容が改正されています。
 主な改正の内容としては、①控除率が1%から0.7%に減少、②借入限度額の引き下げ、③控除期間は13年の延長、④対象者の所得条件が3000万円以下から2000万円以下に引き下げとなっています。
 これにより、従前と比較すると控除額は下がる傾向にあります。現在の低金利により、ローン返済の利息の支払い額よりも、ローン控除額の方が多い状態となっていることが問題視されていたことが理由のようです。
 借入限度額については、住宅の省エネ性能の違いにより変わるため、減税の恩恵が異なります。今回の改正は、政府が提唱する「2050年カーボンニュートラル」を意識した内容であるなと感じました。

芦 田

令和3年9月個人事業主のポイント利用

 お客様のレシートで、ポイント利用のものを見かける機会があります。
 このポイントについて、プライベートで貯めたポイントを使用した時は、一般的に一時所得となります。一時所得は年間50万円まで所得税がかからないので、ポイントについては申告も納税も意識されないことがほとんどです。
 これに対して、事業経費の支払いで貯めたポイントを使用した時は、一時所得ではなく、事業収入に加算(または経費の減額)として扱うことになっています。
 このような取り扱いの違いから、プライベートで貯めたポイントと事業で貯めたポイントが混在すると、本来は所得税のかからないポイントについても所得税がかかる場合があります。個人事業主の方は、プライベートと事業の間があいまいになりがちですので、ポイントの管理について、ご注意ください。

塚 本

令和3年6月マイナンバーカードの普及が進んできています

 平成28年1月にスタートしたマイナンバーの制度ですが、マイナンバーカードの普及率が全国で30%まで上昇しました。令和2年までの普及率は約16%でしたので、1年で普及率が進んできています。
 普及が進んできた背景には、マイナポイント制度の導入があります。キャッシュレス決済を利用した時に最大5000円のポイントが還元される制度ですが、この制度を利用するには令和3年4月までにマイナンバーカードを取得する必要がありました。
 マイナポイントが付与された場合、そのポイントは所得税法上は一時所得となります。一時所得には50万円の特別控除がありますので、他に保険の満期金などがなければ課税の対象になる金額はありません。

青 木

令和3年5月確定申告のコツ

 令和2年分の所得税確定申告は感染対策で一ヶ月延長され、4月15日で提出期限を迎えました。
 電子申告が徐々に普及しているようで、申告書の提出作業は簡単になり、税務署での長い行列を見ることも少なくなったように感じます。
 その一方、申告書の形式は、年々細分化・複雑化していく所得計算や各種控除に対応するための何ページにも渡って、専門用語が並び、年に一度の気の重い作業となっています。
 そこで、申告に必要になった必要最低限の書類を、記憶が新しいうちにメモにしておいてはどうでしょうか。年間を通じて届く大量の郵便物を、全て残しておく必要はないのです。
 〇給与や年金の源泉徴収票(12月~1月着)
 〇保険の満期明細書(満期後着)
 〇国民年金・健康保険の証明ハガキ(翌年1月着)
 〇生保・損保の控除証明書(10月~11月着)
 〇ふるさと納税証明書(寄付振込後着) などなど
 申告書の控えに一枚メモをつけておくだけで、来年の申告時に白紙の状態から思い出して資料集めをするより、ずっと時間の節約になります。是非お試し下さい。

木 村

令和3年4月純損失の繰り戻し還付

 個人事業主の方が青色申告をされている場合、いくつか特典があります。赤字になった場合の特典として、その赤字を翌年以降3年間繰り越すことができる「繰越控除」の制度がありますが、前年が黒字だった場合には、前年分の黒字と相殺して税金の還付を受ける「繰戻還付」の制度もあります。
 この制度を使った場合、早期に還付を受けることができるため資金繰りの面でメリットがあります。一方、この制度の対象になるのは所得税のみであり、復興特別所得税については還付の対象になりません。(住民税についても繰り戻し還付の制度はありません。)赤字のうちの一部は「繰戻還付」し、一部は「繰越控除」する、ということも可能ですので、適用を考えている場合には、来年以降も含めての比較検討が必要です。適用するための細かい条件などもありますので、適用されたい場合には専門家にご相談されることをお勧めします。
 なお、この制度を使うためには赤字になった年に所得税の申告書と繰戻しの還付請求書を確定申告の期限内に提出する必要があります。赤字であったとしても期限内の提出が必要ですのでご注意ください。

青 木

令和3年3月一時支援給付金

 一時支援給付金とは、2021年1月に発令された緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛により、2021年の1月~3月のどれかの月の売上が、2019年又は2018年の同じ月と比べて50%以上減少した場合には、中小法人には最大60万円、個人事業主には30万円が給付される制度です。
 対象とされる業種については、飲食業の他、飲食業と取引がある業種、それ以外でも幅広い業種が対象となりそうです。
 ニュースでもよく見かけますが、持続化給付金の不正受給が問題となっておりますので、今回の申請では時短営業や外出自粛の影響を示す証拠書類の保存、事業実態を示す証拠書類の保存が必要とされています。この書類については、申請する際には提出は不要となっていますが、提出を求められた場合に必要となり、業種によって証拠書類の保存は多岐に渡ります。
 申請には認定機関の確認を得て、確認通知番号を発行してもらったうえで、webによるオンライン申請をすることとなります。

芦 田

令和3年2月確定申告書への押印が不要に?

 昨年の12月に令和3年度の税制改正大綱が決定しましたが、その中に税務関係書類の押印廃止が盛り込まれています。昨年からさまざまなシーンでの押印の廃止が話題になっていましたが、税務の方でも本格的に動き出すことになりそうです。
 改正後は実印の押印が必要な書類など、一部の書類を除いて押印が必要なくなるため、所得税の確定申告書や法人税の申告書、相続税の申告書などにも押印は不要になります。
 税制改正大綱では、令和3年4月1日以降に提出する書類についての押印を不要としていますが、税務署での運用上は、施行日前に押印のない書類が提出されたとしても改めて押印を求めることはないとのことです。
 今までは押印のために弊事務所までお越しいただいていたこともありました。今回の改正で皆様の負担軽減につながることを期待しています。

青 木

令和3年1月ウィズコロナ時代の確定申告

 昨年の確定申告は、新型コロナウイルス感染症の影響で申告期限が延長されましたが、今年は、延長の情報は出ていないため、例年通り、2月16日から3月15日の間に確定申告を行う必要があります。
 確定申告期間は、各税務署が申告会場を設けて対応をしていますが、大変混雑し、待ち時間も多くなるため、感染拡大防止の観点から、今年は時間帯ごとに会場の入場人数を制限するようです。会場に入るためには、時間枠が指定された「入場整理券」が必要で、「入場整理券」はLINEを使って事前に取得することができるようです。
 会場での当日配布もあるようですが、時間枠が後日になってしまい二度手間になる恐れがあるため、注意が必要です。
 また、今年からは税務署員「ふたば」(チャットボット)が採用され、24時間対応で質問ができるため、パソコンやスマートフォンを使って、家での確定申告を試してみてもいいかもしれません。
 ICT・AIの活用により便利になっていると思いますが、「入場整理券」に電話受付がない点などを見ると、全ての世代が関係する税務においては、使い慣れない人への対応も忘れないでほしいなと感じます。

塚 本

令和2年11月所得金額調整控除

 令和2年より、基礎控除について所得制限が設けられたうえで10万円引き上げられ、併せて給与所得控除・公的年金等控除の金額が10万円引き下げられました。
 引き下げと引き上げが同時に行われているため、税負担への影響がない人も多いのですが、①給与所得金額が850万円以上の人(給与所得控除の控除額の減少が10万円を超える)②給与所得と公的年金の両方がある人(給与所得控除と公的年金控除がいずれも10万円引き下げられる)にとっては、負担が増加する可能性のある改正となっています。
 この負担の増加について、特定の扶養親族がいる場合には、負担を増加させないように調整を図る目的で創設されたのが、所得金額調整控除です。そのため、次のような特徴があります。

控除は給与所得金額(給与所得控除後)から行われる。
特定の(23歳以下又は特別障害者である)扶養親族がある若しくは、本人が特別障害者であることが要件となっている。
扶養控除とは異なり、同じ世帯に該当者が複数いる場合には、同時に適用が可能となっている(23歳以下の子がいる家庭では両親ともに適用ができる)。

 なお、②の給与所得と公的年金に係る所得がある場合、扶養親族は子どもという限定はありませんので、生計を一にするお孫さんがいらっしゃるなど、対象となる可能性があります。

塚 本

令和2年9月ひとり親控除

 令和2年度の税制改正で、ひとり親控除の創設と寡婦(夫)控除の見直しがなされ、性別や婚姻の有無に関わらず、①生計を一にする子(所得の制限あり)がいること、②その年の合計所得金額が500万円以下であること、③事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる者がいないこと、これらの条件を満たす、ひとり親であれば、35万円の所得控除を受けることができるようになりました。
 対して、寡婦(夫)控除については、「事実婚関係と同様にあると認められる者がいないこと」が要件に追加され、これまで所得金額に制限がなかった扶養者のある寡婦についても、合計所得金額500万円以下と制限が付きました。
 この改正は、令和2年分の年末調整・確定申告から適用することとされているため、新しく控除の対象になる方、控除の対象から外れる方で、年末調整を受けられる方は、会社へ申し出る必要がありますので、忘れてしまわないようご注意下さい。
 また、法人の担当者の方については、この申し出があれば、既に提出を受けている令和2年分の扶養控除申告書に、ひとり親控除の対象であることが分かるよう、修正をしていただく必要があります。なお、寡夫控除を受けていた人については、申し出がない場合、ひとり親控除が適用され、控除額が27万円から35万円となる点も注意が必要です。

塚 本

令和2年7月マイナポイント

 消費税率10%の導入から9ヶ月が過ぎ、消費税率の引き上げに合わせて実施されていた、キャッシュレス決済によるポイント還元が6月末で終了しました。
 同じく、キャッシュレス決済にかかるポイント制度である、マイナポイントの、キャッシュレス決済サービスとの紐づけが、この7月より開始されることとなっています。
 マイナポイントは令和2年9月1日~令和3年3月末までの間にキャッシュレス決済又はチャージを行うと、その額の25%相当のポイントが付与される制度です。25%はかなりの還元率ですが、決済(チャージ)上限額が20,000円のため、付与されるポイントとしては5,000円分が上限です。
 このマイナポイントの取得・申込には、マイナンバーカードが必要で、スマートフォンやインターネット、支援端末から申込みできます。未だ普及率の低いマイナンバーカードの普及に繋げる狙いもあるようですが、マイナンバーカードの取得・制度への申込の手間を考えると、5,000円という還元が安いのか高いのかは、意見が分かれそうです。ただ、いずれ作ることになるのであれば、この機会に作成し、還元を受けるのもよいかと、私自身は検討をしております。

塚 本

令和2年3月フリマアプリ等を使用した場合

 最近、ニュースの話題としても取り上げられる、気軽に利用できて人気のフリマアプリですが、物品の譲渡を行うため、原則として所得税の課税対象となります。
 ところが、実際には、このフリマアプリを利用している人の多くは所得税を課せられることも、確定申告をする必要もありません。
 これは、所得税では、自家用車を売却した場合のように、個人の生活用動産の譲渡による所得については、非課税とする特例を設けているためです。多くの人が出品しているものが生活の中で利用した中古品や余り物で、この特例に該当するのです
 ただし、この特例に該当しない、次のような物を売った場合には、所得税の課税対象となり、確定申告が必要となることがあり、注意が必要です。
 ・もともと転売することを目的として購入している物
 ・ハンドメイド品等、自作をした物
 ・貴金属や骨とう品、書画、宝石とみなされる物で30万円を超える物

塚 本

令和2年2月要介護認定で障害者控除?

 要介護認定を受けている方は、障害者控除の対象となる場合があります。
 障害者控除の対象者は、通常、身体障害者手帳や精神障害者保険福祉手帳などの交付を受けている方になります。しかし、交付を受けていない場合であっても、65歳以上の要介護認定を受けた方が、市に申請すると、一定の要件のもと市から障害者控除の対象者として認定を受けることができます。
 市の障害者控除の認定は、介護保険法の要介護認定の基準とは異なり、障害の程度が知的障害者又は身体障害者に準ずるものかどうかにより判断され、受けるためには申請が必要になります。
 “知らないと損する”の典型的なものだと思いますので、覚えておいて損はないでしょう。

家 田

令和2年2月スマートフォン×マイナンバーカードでe-Tax

 今年も所得税の確定申告の時期となりました。所得税の確定申告は2007年からe-taxによる電子申告が開始され、毎年進化を遂げています。
 令和元年分の確定申告からはスマートフォンとマイナンバーカードをお持ちの方であれば、これまで必要であったICカードリーダーが無くても、e-taxによる電子申告が可能となります。ただし、スマートフォンはマイナンバーカード対応NFC搭載でなければならない等の条件があり、全てのスマートフォンが対応しているという訳ではございません。
 これらの条件を満たしいる方は確定申告書を郵送したり、税務署で長い列に並び提出することが不要となりますので、ぜひスマートフォン×マイナンバーカードでe-Taxによる電子申告をご検討いただければと思います。

水 谷

令和2年1月高所得者の節税策の防止

 2019年12月に令和2年度税制改正大綱が公表されました。その中に、高所得者の海外中古賃貸不動産を用いた節税策が封じられることが盛り込まれました。
 この節税策は、主に米国等の海外で中古賃貸用不動産を購入し、その賃貸事業で生じた赤字と他の所得の黒字を通算し、節税を図るという方法です。米国等の不動産は日本に比べ、建物の建替えサイクルが長いと言われており、建物の価値が下がりづらく、土地に対して建物の価値が高いという現状があります。一方で、日本の税制では海外に所有する建物であっても、築23年目以降の居住用木造建物を中古で購入すると、4年で減価償却することが可能です。この4年間に建物の減価償却費を大きく計上し赤字を作り、高所得者はその赤字と他の所得を通算することによって節税をしていました。今回の改正により、この赤字は生じなかったものとみなされ、他の所得と通算できなくなるため、この節税策は封じられることとなる予定です。
 課税の公平の見地から、今後も行き過ぎた節税策は見直されることになると思われます。

水 谷

令和1年7月楽器の減価償却

 先日、音楽ホールの運営や資産管理を行っていた法人が、所有するストラディバリウス等の高価なバイオリンについて、減価償却を行ったところ、税務署から指摘を受け、修正申告を行っていたというニュースがありました。
 一般的な楽器は、事業に使用していれば、減価償却資産に当たり、減価償却費を費用に計上しても、特に問題にはなりません。
 今回の問題点は、バイオリンが特別に高価なものだったことです。減価償却資産は、『時の経過により価値の減少しないものを除く』こととされており、今回のストラディバリウス等のバイオリンは、歴史的な価値や、美術品としての価値により評価されている部分も多く、時の経過による価値の減少はないと考えられ、税務上は減価償却資産としての楽器ではなく、減価償却のできない美術品と判断されてしまうのです。
 また、今回のバイオリンの貸し出しは無償で行われていたとの話もあり、収益に結びつかない資産であることからも、費用としては認められないとも考えられます。
 償却費の額や償却方法だけでなく、償却してもいいのかという点について改めて考えさせられるニュースでした。

塚 本

令和1年7月e-Taxの次はマイナンバーか?

 今年10月より、相続税申告もe-Taxで提出出来るようになります。従来、相続税申告といえば、ページ数の多い申告書に遺言書や遺産分割協議書のコピー、戸籍謄本、印鑑証明など多数の証明書類をつけて提出していました。今後は、これらをPDFファイルとして送信可能となるようです。亡くなった方の住所地の税務署に提出しますので、遠方の場合には、かなり便利さが増します。
 所得税の確定申告からスタートしたe-Tax。当初は、初期登録の面倒さなどから、なかなか浸透せず、システムに予算をかけた国税庁もあせっていましたが、今やその便利さが受入れられて、大半の申告書提出はe-Taxへと移行し、なくてはならないシステムです。
   この流れを思えば、マイナンバーが浸透するのも時間の問題なんでしょうね。

木 村

平成31年4月税金払って、財産増加

 法人税や所得税は、一年間の“もうけ”に対して課税されます。せっかく通帳に蓄った預金から税金を払うのはつらい。
 多くの経営者は何とか節税をと、必要性の低い設備投資や交際費の支出を考えます。この設備投資や交際費が翌年以降の収入にうまく結び付けばいいのですが、無計画にお金を使っても、難しいようです。
 ここで事業を始めた時のことを思い出してほしいのですが、元々、事業を成功させて財産を増やしたかったのではないでしょうか。
 お金や土地といった財産を増やす。又は、借金というマイナスの財産を減らす。どちらも、自分の正味財産を増加させることになりますが、利益が出ないと財産も増えません。利益が出れば必ず税金は発生します。
 その税金を抑えるために、不必要な出費をするということは、当初の目的である財産を増やすということがいつまでたっても出来ないこととなるのです。
 税金を負担しない限り、財産は増えません。
 支払う税額だけを意識するのではなく、一年間で増えた財産に着目して下さい。納税額が多い人ほど財産もたくさん増えていますヨ。

木 村

平成31年3月確定申告のコツ

 個人の確定申告期限まであと2週間。今年も大勢の方をお手伝いしております。
 やはり気になるのは、保険や国民年金など控除証明をなくしてしまい、再発行を依頼されている方がいらっしゃいます。
 毎年10月から翌年1月にかけて送られてくるものですが、他の郵便物に混って、破棄したり、家のどこかにしまい込んで忘れてしまったり。
 そこで提案します。A4サイズで高さ5cm程の安価な箱を最低3つ、ディスカウントストアで購入します。
 1つは「役所、税務署」、1つは「銀行、証券会社」、1つは「保険会社」と名札をつけて下さい。
 一年を通じて郵便物が届いた都度、相手先に応じて箱に入れて保管するだけでOKです。封筒に戻して、保管されているケースが多いのですが、送られてきた封筒は必要がありません。中身だけ保管し、封筒は捨てるのがコツです。
 「医療費の領収証」など、箱の数を増やしてもいいのですが、まずは3つからスタート。
来年の確定申告は、きっとスムーズに出来ますよ。

木 村

平成31年2月レシート捨ててしまっていませんか?

 平成29年分の確定申告より、医療費控除の特例であるセルフメディケーション税制が開始されていますが、平成29分の確定申告でセルフメディケーション税制の利用率は、たったの1%だったようです。
 まだまだ認知度が低いようですが、私自身は、平成30年分の確定申告でセルフメディケーション税制を利用しました。
 元々、病院を利用することがほとんどなく、体調が悪い時でも市販薬で完治させていた為、もしかしたら、セルフメディケーション税制の利用ができるのでは?と考え、今まで保管せずに捨てていたドラッグストアのレシートを取っておき、計算してみたところ、年間で5万円程、対象となる市販薬を購入していました。
これにより、3万8千円の所得控除がうけられ、所得税と住民税の減額につながりました。
 ただ、この税制を利用するには、レシート以外に健康診断の結果通知表やインフルエンザの予防接種の領収証など、健康の保持増進及び疾病の予防に関する一定の取組をしていることを示す書類が必要です。
医療費控除とセルフメディケーション税制はどちらか有利となる方を選び申告することが出来ますので、年間分の計算が終わるまでは、病院や薬局の領収証もドラッグストアのレシートも全て取っておくことをおすすめします。

芦 田

平成30年12月キャッシュレス決済の普及なるか?

 2019年10月に予定されている消費税増税に伴う景気の落ち込みを和らげるため、政府では様々な経済対策が検討されています。中でも議論を呼んでいる対策の一つとして、東京五輪までの9か月間に限り中小の小売店でクレジットカードやスマホなどでキャッシュレス決済をした場合に、増税分を上回る5%のポイント還元を受けられる施策が挙げられます。これは経済対策のほかにも、海外に比べて大きく遅れたキャッシュレス決済の普及を後押しする狙いがあります。
 また、民間ではIT各社や銀行連合がスマホ決済サービスに本格的に乗り出す見込みです。IT各社はスマホアプリの使い勝手を武器に、銀行連合は信用力を武器に今後顧客獲得競争が過熱していく見込みです。
 日本では、現金志向が強いためキャッシュレス決済比率は現状2割にとどまっております。しかしながら、東京五輪開催等によっても大いに期待される訪日外国人客のインバウンド消費を促すためには、キャッシュレス決済の整備が不可欠であると思います。

水 谷

平成30年12月豪華な返礼品はふるさと納税の対象外に?

 ふるさと納税について、返礼品が換金性の高いものであったり、返戻割合が3割を超えたりする自治体については、今後ふるさと納税の控除の対象外とする見直しが検討されています。
 近年ふるさと納税は自治体間での寄付獲得競争の過熱化が問題視されていました。総務省では、返戻割合を3割以下にすること、地場産品等に限ることを各自治体に要請してきましたが、すでに見直す意向がないとして回答した自治体を含む12自治体の名前を公表しています。
 これらの報道があったためか、最近はふるさと納税の駆け込み寄付も急増したようです。ふるさと納税には控除を受けられる限度額があり、ざっくりいうと住民税の2割程度となります。詳しい限度額をお知りになりたい方はお問い合わせください。

青 木

平成30年9月QRコードを利用してコンビニで納税

 皆様は所得税や法人税等の国税をどのように納付されていますでしょうか。現在では様々な納付方法を選択することができます。具体的には、従来から一般的な金融機関等の窓口で納付する方法のほか、電子納税を利用する方法、バーコード付き納付書を利用してコンビニで納付する方法、平成29年から開始したクレジットカードで納付する方法などです。
 さらに、平成31年1月4日からはQRコードを利用してコンビニで納付することができるようになる予定です。これは納税者が電子申告を行うと、税額等の情報が記録されたQRコードがPDFとして表示されます。納税者がスマートフォンなどで表示されたそのQRコードをコンビニの読み取り端末にかざすと、税目や税額が印字された書類が発行され、レジで税金を納めることができます。
 選択肢が増え、利便性が向上することは喜ばしいことです。ご自身にあった納付方法を選択いただければと思います。

水 谷

平成30年9月NISA。はじめてのロールオーバー

 上場株式の配当や譲渡益が5年間非課税となるNISA。平成26年1月より当初年100万まで、平成27年改正で現在年120万円までの上限となっています。
 平成26年に投資したNISA口座は、平成30年で非課税期間が終了しますが、口座のある証券会社に「非課税口座内上場株式等移管依頼書」を平成30年中に提出することで、平成26年投資分を平成31年の投資分として、置き換え(ロールオーバー)が可能です。つまり、又、5年間非課税が続くことになります。
 証券会社からは、10月頃通知があるとのことですが、手続きを忘れると、課税扱いの「特定口座」や「一般口座」に自動的に移管されてしまいます。
 10月、証券会社からの郵便物は中身をしっかり確認して手続きをお願いします。
 定期的な残高報告と混同して、捨ててしまわないで下さい。

木 村

平成30年8月iDeCoご存知ですか?

 iDeCoとは、個人型の確定拠出年金のことで、将来受け取る公的年金に上乗せして支給を受ける私的年金です。平成29年1月から20歳以上60歳未満のほぼすべての方が加入できるようになり、加入者が増加したそうですが、NISAに比べると、ご存知ない方も多いのではないでしょうか?
 iDeCoのメリットは、毎月の払った掛金が所得から控除できることで、所得税と住民税が軽減されること、運用益が非課税であること、60歳になって受け取るときにも税金面で有利であることです。また、加入者が亡くなった場合に相続人が、死亡一時金で受け取るときは500万円の非課税枠の適用ができるので、相続税対策にも有効です。
 ただし、デメリットもあります。60歳まで掛金を引き出せないこと、運用手数料がかかること、運用する金融商品によっては元本を下回ることなどです。
 現在は、NISAや積立NISAなども含め、税制面でメリットがある商品が複数ありますので、自分に合うものを上手に活用したいものです。

芦 田

平成30年6月「ドローン」の耐用年数は

 数年前からドローンで空撮された映像をテレビなどでよく目にするようになりました。ドローンは現在、物流、災害対応、インフラ設備の点検、測量など幅広い分野で活用されており、今後益々の活用が見込まれています。
 さて、このドローンを事業で使用する場合の税法上の耐用年数は何年でしょうか?
 税法上の耐用年数は固定資産の種類、規模、構造、用途によって規定されています。税務通信という税務の専門誌によると、現時点ではドローンの耐用年数について公式的な見解は示されていないそうです。しかし、その規模、構造、用途から判断すると、例えば建設現場などの空撮用であれば耐用年数は5年、農薬散布用であれば7年、開発研究用であれば4年又は7年になることが考えられるとのことです。
このように同じ名称の資産であっても耐用年数は異なる場合がありますのでご留意ください。

水 谷

平成30年3月元利均等返済の弱点

 賃貸物件の取得にあたってほとんどの方が元利均等返済を選択して資金を借入れます。
 返済開始から完了まで、毎月同じ金額を銀行に返していきます。返済額の中に元本と利息が入っていて、始めのうちはほとんどが利息で、返済が進むにつれて、元本のウェイトが多くなっていきます。
 決算書を作ると、借入期間の前半では、経費に計上出来る利息が比較的多く、利益も少なめに算定され、税負担もあまり気になりません。
 しかし、借入期間の後半になると、銀行への支払い額は同じでも、その中に含まれている利息がどんどん少なくなるため、経費が少なくなり、税負担も年を重ねるごとに高くなります。
 元利均等返済の特徴をよく理解し、借入期間の前半で税金が安いからと安心せずに、節約に努め、余剰資金が出来たなら、こまめに繰上げ返済をして頂くことをおすすめします。

木 村

平成30年3月医療費控除の変更点について

 平成29年分の確定申告がスタートし、申告期限まで残り半月となりました。
 確定申告書作成のお手伝いをしていると、毎年多くの方が医療費控除を受けるために沢山の医療費の領収書を持参されます。これまで、確定申告書を書面で提出する場合で医療費控除を受ける際には、税務署に領収書を添付又は提示する必要がありました。しかし、平成29年分からは「医療費控除の明細書」の添付が義務付けられ、その代わりに領収書の添付又は提示の必要がなくなりました。ただし領収書については、税務署から問い合わせがあった際に提出又は提示できるように、確定申告期限から5年間はお手元に保管する必要があります。期限前に破棄されないようご注意下さい。

大 見

平成30年2月仮想通貨の儲けは雑所得

 最近、仮想通貨に関するニュースや記事を良く目や耳にします。仮想通貨については数年前から取引が始まっていますが、最近は仮想通貨を巡るインフラも少しずつ整備され始めた事もあり、値動きが激しくなっています。
 さて、仮想通貨で儲けが出た場合の所得税の申告についてはどうすれば良いのでしょうか。これについては、平成29年12月に国税庁が仮想通貨の所得の計算について具体的な計算方法を公表しました。これにより、仮想通貨の儲けは所得税を計算する上で、「雑所得」として計算する事としています。
 仮想通貨の儲けの計算については、収入から取得費等を引いて出しますが、雑所得に分類された事で損失については他の所得と通算が出来ません。また、損失の繰越しもありません。つまり、儲けが出ればキッチリ税金が取られる訳です。仮想通貨消失事件もありますので、慎重にお取引する事をお勧めします。

大 見

平成30年1月クレジットカードで納税は・・・できます!

 現在多くの方がクレジットカードをお持ちだと思います。そして、買い物をする際や高速道路を利用する際など、生活のあらゆる面で利用されています。
 平成29年1月から、クレジットカードでも所得税や法人税、消費税をはじめとして、多くの税金の支払いができるようになっています。クレジットカードで税金支払いをする場合は、電子申告を事前に行う必要があり、納税には決済手数料も必要ですが、クレジットカードによってはポイントが付与される場合もあります。
クレジットカードで支払う場合、現金と違って引落し当日、口座に残高が無ければ延滞となってしまうため注意が必要です。しかし、納税の手段の一つとして選択肢が増えた事はありがたい事ですね。

大 見

平成29年12月個人事業、決算のコツ

 年末が近づいて、新聞等では来年度の税制改革案の話題が増えてきました。個人事業主の皆さんはこの12月に、是非、来年3月15日の確定申告にむけて準備をして頂きたいと思っています。まだ早いじゃないかという声が聞こえてきそうですが、まったく帳簿をつけていない方でも、決算書を手早く作成するコツが12月にあります。
 決算の中で最も重要な数字は年間売上高です。12月中の入金になった分までという計算では間違いです。12月中に仕事が終って来年1月以降に入金になる分まで、平成29年の売上としてカウントして下さい。売上が確定すれば、あとは領収書などから、必要経費を拾い出し、損益計算書に記入していけば、決算書の80%以上は完成してしまうのです。
 これらの作業を、来年の3月になってやろうとすると、既に、平成30年の売上入金や、経費の領収書が混ざっている状態で、どうしても時間と手間が余計にかかるのです。
 翌年1月になれば、新しい商いの勝負がスタートします。前年の決算は手早く終わらせて、平成30年の商いに集中できる準備をお願いします。

木 村

平成29年12月給与所得者また増税か?

 いよいよ12月、師走となり皆さま多忙極まる時期に突入しているのではないでしょうか。毎年この時期になると国の税制調査会というところでは、次年度の税制改正の議論が行われます。
 今回特にニュースなどで話題となっているのは、給与所得者の給与所得控除の縮小見直しです。年収1,000万円を超える方を軸に控除を減らし、今よりも税金が高くなるようにする検討を始めました。そして、年収2,500万円から3,000万円より高収入の方については、給与所得控除自体をゼロにしてしまう案も出ています。給与が少しずつ上がれば本来は手取りが増え、それを使って消費が拡大して景気も上向くものです。もちろん、高い所得の方には高い税金を負担してもらう事は公平と言えますが、後々、景気回復の遅れの原因の一つだったとならないように配慮して頂きたいものです。

大 見

平成29年10月医療費控除の添付書類が見直されています

 国税庁から平成29年分確定申告の医療費の明細書添付の義務化のお知らせが公表されています。
 これは平成29年度税制改正により、これまで医療費控除の適用を受けるために医療費の領収書の添付が必要とされていたものが、原則として医療費の明細書の添付へと変更されたことを周知するものです。添付する医療費の明細書には医療を受けた方の氏名や病院・薬局などの支払先の名称を記入しますが、氏名や支払先ごとにまとめて記入することも可能です。また、健康保険組合等から年に何回か送られてくる医療費のお知らせなどを添付すれば、お知らせに記載されている分については明細の記入を省略することができます。
 医療費の領収書の添付は必要なくなりましたが、5年間は保管する必要があります。申告書の控えや事業の領収書などと一緒に保管されることをお勧めします。

青 木

平成29年9月配偶者控除の改正

 以前に今月の話題で取り上げさせていただいた配偶者控除についてですが、廃止となるのか新設となるのかなどかねてより議論されていましたが、配偶者控除が適用される金額が拡大される形で決定したようで、平成30年1月1日から適用されます。
 現行では配偶者の給料収入が103万円以下の場合に38万円の所得控除がうけられる制度で、よく103万円の壁と言われていますが、新制度では給料収入が150万円まで引き上げられることとなり、150万円の壁に変わりました。
 ただし、その納税者本人の収入には制限があり、1,120万円を超えると控除される金額が38万円ではなく、段階的に減額されていき、1,220万円を超えた場合は控除される金額はゼロとなります。
 また、配偶者特別控除も同様で、納税者本人の収入が影響され、控除される金額が変わっていきます。
 夫婦で今後の働き方を検討する必要がありそうですね。

芦 田

平成29年8月車の買換え時は?

 私の愛車は、新車で購入してから12年が経ちました。走行距離は21万kmを超えています。10万kmを超えてからは、あちこち順番に不具合がおきて、車検、タイヤ、オイル交換など通常の維持費の他に、平均年10万円程度の修繕費が必要です。新しい車に買換えた方が得かな?という気持ちがない訳ではありません。でも次のように考えています。
 例えば300万円の新車を購入して、5年後に150万円で下取りに出す場合、5年間で150万円(1年あたり30万円)の価値減少です。
 私の愛車は10年経ったことから、下取りは0円、車自体の価値はこれ以上落ちません。しかし、年10万円の余分な修繕費が必要です。
 つまり乗り続けた方が、年20万円得!
もちろん最新の車には、より高い安全性、より経済的な燃費、さらに減価償却による節税など考えると、その差は、縮まってくるでしょう。
 でも、12年の経験から、長く長~く乗った方が金銭的には絶対お得だと断言します。

木 村

平成29年6月積立預金より、積立NISA!

 超低金利が続いて、金融資産運用に困っている方は多いと思います。平成30年より積立NISAが始まります。現行の元本年120万円まで配当と譲渡益が非課税となるNISAとの選択適用で、元本年40万円まで20年間に渡って非課税とされるものです。
 投資対象は、金融庁の条件に合った株式投資信託に限定されるそうで、長期的な分散投資に向いています。
 株や投信は元本が変動するので嫌いな方が多いですが、自分の経験では金融資産の10%~20%を長期的に投資ずつであれば、株価の急変にもあわてる必要はなく、預金利子より有利な配当が得られ、経済にも詳しくなります。
 積立NISA。特に20代、30代の若い人たちは、是非チャレンジしてほしいと思います。

木 村

平成29年5月レジで預金の引出しが可能に!?

 先月、銀行や信用金庫が参加する日本電子決済推進機構は、来年4月からスーパーなどのレジでも、キャッシュカードを利用して預金の引出しが出来るようにすると発表しました。これは、現金が無くてもキャッシュカードで物が購入できる「デビット機能」と呼ばれるものを拡充するもので、仕組みとしては、レジにある端末に暗証番号を入力すると、店員から1回5万円程度を限度にお金を受け取る事が出来るとのことで、今後開発を進めるようです。金融機関やATMが少ない地域にとっては便利になるかもしれませんが、都会などでは強盗対策と言った防犯の観点も開発段階から考慮して頂きたいものです。

大 見

平成29年4月総務省がふるさと納税の返戻品の上限通知へ

 「ふるさと納税」という言葉は今ではすっかり馴染み深くなっています。個人の方が市町村に寄付をした場合、所得税については所得控除が、住民税については税額控除が受けられる制度です。
 多くの市町村では寄付者に対して返戻品を送付しています。しかし、昨今この返戻品の寄付額に対する比率が高まっており、高い所では寄付額の7割相当の返戻品を贈るなど、競争の様を呈しているため問題視されています。そこで先日総務省は、全国の自治体に対し、返戻品の寄付額に対する比率を3割までとする通知を4月1日付で出すと発表しました。
 寄付をする事でお米やお肉を頂ける有難い制度ではありますが、その分自分が住む市町村の税収が減っている事を十分認識する必要があります。寄付はあくまで寄付の精神が大切ですね。

大 見

平成29年4月始まったマイナンバー

 平成29年3月の確定申告が終了しました。マイナンバーを記載した始めての申告書でした。税務署では今回マイナンバーの記載がなくても申告書を受理しましたので、多くの方がナンバーを省略して提出した様です。
 まだ写真付のカードに変更してない人が多く、その場合、通知カードの他に本人確認のための運転免許証等が必要で、さらに、免許証など写真入りの証明を持っていない人は、健康保険証など二種類の身分証明書が必要といった具合に、大変面倒な手続きとしてしまったことが原因と思われます。
 政府もこの部分は反省し、改善を急ぐべきとおもっています。
 ただ、ある銀行はマイナンバーカードで住宅ローン手続きを簡単に出来る様にするそうです。民間でもマイナンバーの活用は徐々に広まっています。
 早目に写真入りのマイナンバーカードへの変更をおすすめします。

木 村

平成29年2月新しい個人型確定拠出年金(iDeCo)がスタートしています

 平成29年が始まり早1か月が経ちました。1月から新しい「個人型確定拠出年金(iDeCo)」がスタートしました。これまでの個人型確定拠出年金は、加入できる方が自営業者や勤務先に企業年金が無い方に限られていましたが、法改正により勤務先に企業年金がある会社員の方、公務員の方、主婦の方まで加入することが可能となりました。
 個人型確定拠出年金とは、加入者が予め用意されている金融商品の中から、運用先を選択して毎月掛金を積立ていき、60歳以降に年金か一時金で受け取りができる公的な制度です。ポイントは、国民年金や厚生年金とは異なり、「自分で金融商品を選択する」ところです。つまり将来受取る金額は自分次第ということです。掛金は全額所得控除の対象となります。また、受取時には年金形式の場合は公的年金等控除が、一時金として一括で受取る場合には、退職所得控除が使え、節税効果は高いと言えます。
 将来の年金額は運用次第ですが、検討する価値は十分にありそうです。

大 見

平成29年2月セルフメディケーション税制

 2017年1月より新しくセルフメディケーション税制が始まりました。これは、医療費控除の特例で、定期健康診断や予防注射などを受けている人が、特定成分を含む医薬品(OTC医薬品)を年間1万2000円を超えて購入した際に、1万2000円を超えた部分の金額(上限金額:8万8000円)について所得控除を受けることができる制度です。
 普段病院にかかる機会が少ない方やこれまでの従来の医療費控除(1年間に支払った医療費の合計が10万円を超えた場合に超えた金額が所得から控除される制度)の適用を受けることが出来なかった方には嬉しい制度ですね。
 ただし、セルフメディケーション税制と従来の医療費控除との併用はできませんので、確定申告される場合は、有利な方を選択することとなります。どちらにしても必ず領収証の添付は必要ですので、病院の領収証のほか、薬局やコンビニでご自身で購入された薬の領収証は取っておかないといけません。

芦 田

平成28年12月簿記って何?

 簿記。言葉はよく聞くけど、具体的に何を学ぶかイメージ出来ない方は多いと思います。
簿記とは、日々のお金の動きを記録し、一年間の決算書を作成するまでの方法です。
決算書は〝商い″の健康診断書で、基本は2つです。1つは損益計算書で、一年間の取引量と利益を表します。もう1つは貸借対照表で、一年間取引をしてきた結果、決算日の資産や負債がどうなったかを表します。
簿記を学ぶと決算書が出来上る過程が解り、経営判断や節税・株式投資など個人の資産運用に大変役に立ちます。
 日本商工会議所が主催する簿記検定は、簡単な4級からマニアックな1級までありますが、平成29年春より4級を廃止し、新しく〝初級″クラスが設けられます。なんと、インターネットで毎年受験可能となる予定です。
簿記にはパズル的な要素もあります。たくさんの方に楽しみながらチャレンジして頂きたいと思います。

木 村

平成28年10月配偶者控除から夫婦控除に!?

 少し前に「配偶者控除がなくなる」というニュースが世間をにぎわしていましたが、かねてより議論がされてきた配偶者扶養控除の廃止ですが、今回は廃止が濃厚のようで、新たに夫婦控除という制度が導入される見通しのようです。
 配偶者控除とは、配偶者が収入のない主婦(主夫)や給料収入が103万円以下の場合に所得税と住民税の計算をするときに、所得税なら38万円、住民税なら33万円が引けて、税金が下がるという制度ですが、配偶者控除がなくなる場合、仮に所得税10%(所得税は累進税率のため所得に応じて変わります)、住民税10%(住民税は一律、税率10%)とすると71,000円の増税となります。
 一方、新たな夫婦控除とは、女性の働く意欲を促すため、妻の収入にかかわらず一定額を夫の所得から控除する共働き世帯が優遇される新しい制度のようですが、ボーダーラインは年収800万~1000万円の範囲で検討されているようです。実際にどのくらい控除を受けられるのか・・・、もしくは控除が受けれないのか・・・。私自身も共働きの家庭のため、非常に気になるところです。

芦 田

平成28年6月仮想通貨 ビットコインの流通量が増加

 ビットコインをご存知でしょうか?以前マウントゴックス社が不祥事を起こしたことで一躍有名となりましたが、インターネット上で流通している「仮想通貨」です。仮想通貨であるため、紙幣や貨幣は存在しません。しかし昨今は、日本のみならず世界中でビットコイン決済に対応しているお店などが増えていることや、送金手数料が格安であることもあって、ビットコインの流通量が大幅に増加しているとのことです。
 ビットコインの特徴の一つは、外国為替のように取引所を通じて変動相場により買ったり売ったりします。つまり、決済の手段としても儲けの手段としても使うことができるのです。日本国内もそうですが、国をまたいで色んなモノを買われる方で、投機も好きだという方にとっては今後有効な手段の一つになりそうです。

大 見

平成28年3月マイナス金利

 今までも低かった金利が、日銀のマイナス金利導入で、さらに低くなってきているようです。
 賃貸マンション・アパート経営で多額の借入金がある方、住宅ローンが残っている方は、是非銀行に相談してみてください。銀行も他行に借り替えられると大切な収益が減りますので、金利引き下げに応じてくれる可能性があります。
 返済予定表を見れば、現在の利率が書いてあります。そして、月々の返済額の欄を見れば、毎月の支払額のうち、いくらが金利なのか解ります。払っても払っても借入元本が減らずに、利子ばかり払っていることに気づくはずです。
 預金の利子も今後、更に減っていきますので、借入金の繰上返済も併せて検討してください。

木 村

平成28年1月新たな医療費控除が創設されそうです

 昨年の12月16日、平成28年度税制改正大綱が正式に決定されました。その中で新たな医療費控除の創設が盛り込まれています。
 新しい医療費控除では定期的に健康診断を受けたりしている人が、薬局で自分や家族のスイッチOTC医薬品を購入した場合、年間の購入額が12,000円を超えれば、超えた分の金額をその年の総所得金額から控除するというものです。スイッチOTC医薬品とは、もともとは医師の処方箋が必要だった医薬品が、処方箋なしで薬局で購入できるようになったものです。ただし、スイッチOTC医薬品は従来の医療費控除の対象でもありますが、従来の医療費控除と新しい医療費控除の両方の適用を受けることは出来ません。ご注意ください。

青 木

平成27年11月亡くなられた方の確定申告

 個人事業や不動産賃貸業などを営み、青色申告をしている方が亡くなられた場合、亡くなる時までの事業の所得について申告が必要になります。この手続きを所得税の準確定申告といいます。準確定申告の結果、納税となる場合には亡くなられた時から4ヶ月以内に準確定申告書を提出する必要があります。還付となる場合には5年以内に提出すれば還付を受けることができます。ただし、還付となる場合でも事業等で赤字となった場合には注意か必要です。事業等の赤字で純損失となり、前年、前々年の所得税の繰戻し還付を受ける場合には4ヶ月以内に準確定申告書、還付請求書の提出が必要となります。また、亡くなられた方で発生した純損失は、事業を引き継いだ方が引き継いで控除することは出来ません。ご注意ください。

青 木

平成27年6月ゴルフ場利用税とは

 ゴルフのシーズンが到来したこともあり、接待等で利用されたゴルフ場の領収書をよく目にするようになってきました。もしゴルフ場を利用されて領収書や明細書を受け取られた場合、中身をよくご覧いただくと、その中にゴルフ場利用税が記載されていることがあります。ゴルフ場利用税とはゴルフ場を利用する時にかかる税金で、ゴルフ場の規模や整備状況により、1日当たり300円~1,200円前後が課税されます。ゴルフ場の利用者が負担する税金であるため、プレー代金等と一緒にゴルフ場に支払い、ゴルフ場を通じて納税します。平成27年度税制改正で廃止が検討されていましたが、存続することが決定しています。
 ところで、接待などでゴルフ場を利用した場合、ゴルフ場利用税はプレー代金などとともに交際費となります。しかし、ゴルフ場利用税については消費税の課税対象外であるため、課税仕入れの対象となるプレー代金等とは分けて仕訳する必要があります。また、緑化基金や振興金が含まれている場合もありますが、これらも消費税の課税対象外となります。

青 木

平成27年5月マイナンバー始まる!

 マイナンバーの導入で、平成27年の年末調整は、従業員を雇用する企業や、事業主の作業が大幅に増えます。
 毎年11月頃、従業員から回収する扶養控除申告書に、従業員だけでなく扶養家族1人1人についてもマイナンバー(平成27年10月全国民に通知予定)を記載してもらい、マイナンバーの通知カードとの照合を行う必要があります。(扶養家族については従業員が通知カードを確認するため、扶養控除申告書回収には、従業員本人分のみの照合で足ります。)
 又、企業や事業主が、従業員の通知カードの写しを保管する場合、この情報安全性について、確保する義務も発生します。
 過去を振り返ると政府は、法人税申告書や、個人の確定申告書にOCR様式を導入し、その後、eTAX(電子申告)の普及を促進してきました。今度は、国民全てに、ナンバーを付け、管理していきます。
 納税者の想像以上に、政府の徴税管理は急激に進化しています。納税者の意識も、時代に合わせて変革が必要です。

木 村

平成27年4月NISA

 NISA(少額投資非課税制度)が昨年の1月からスタートして、1年以上経ちました。すでにNISA口座で株等の運用をしている方や、これから開設しようか悩まれている方など多々あると思います。
 現在NISAの投資枠の上限は、年間100万円までとなっています。投資枠内での譲渡益や配当金は非課税とされ、長期の資産運用に有利です。
 この上限が来年以降(2016年1月から)、年間120万円までに増枠されることになる予定です。
 また、現在NISA口座は20歳以上しか開設できないですが、新たに0歳から19歳までを対象とする「こども版NISA」が誕生する予定です。(2016年4月から)
 「こども版NISA」の投資枠の上限は、年間80万円までになります。
 NISAは2023年までを期限としています。まだNISAを利用していない方は、一度検討してみてはいかがでしょうか。

安 田

平成27年3月要介護認定をうけておられる方の障害者控除

 障害のある方は障害者控除をはじめ、税法上さまざまな特例を受けることができます。例えば、所得税では所得税法に規定する障害者に該当する方お1人につき、27万円の所得控除を受けることができます。(特別障害者の方の場合は40万円)。
 ところで、最近確定申告で、障害者手帳をお持ちでない方で、介護保険法の要介護認定の通知書を資料としてお持ちいただき、障害者控除を受けられるかとのお問い合わせをいただくことがあります。残念ながら、要介護認定だけでは障害者控除を受けることができません。これらとは別に各市町村の発行する障害者控除対象者認定書というものが必要になります。
 この障害者控除対象者認定通知書は、各市町村が障害者に準ずるものとして認定をした方に発行するものです。認定の要件は市町村によって異なりますのが、要介護以上に該当している方は認定をうけられる場合があります。まずはお住まいの区役所等の福祉課にご確認いただき、認定をうけられる場合には申請をして頂く必要があります。(概ね1週間程度の期間が必要なようです)また、お住まいの自治体によっては、申請をしなくても認定の対象となる方に年末から年明けごろに認定通知書が送られてくることがあります。もし送られてきた場合には、確定申告の際に必要となりますので、他の資料と一緒に保管しておいていただきますようお願い致します。

青 木

平成27年2月ふるさと納税のメリットがアップ

 今年も確定申告の季節となりました。今年の確定申告ではふるさと納税による寄付金控除を受けられるお客様が増えたように思います。ふるさと納税は2千円を超える部分について一定額まで所得税と住民税の寄付金控除できる他、市区町村により地域産品がもらえることもありとても人気です。そのふるさと納税についても以下のように平成27年の税制改正が発表されました。
①従来は寄付金控除を受けるためには確定申告が必要でしたが、手続きが簡素化され確定申告を行わない場合は寄附を行う際に申請すれば寄附先の自治体が本人に代わり居住地の自治体に寄附金控除を申請することができます。
②税金が軽減されるふるさと納税の寄附の限度額が(住民税の所得割の1割⇒2割)引き上げられます。
上記は平成27年4月1日以降の寄付について適用となる予定です。
しかし、これらの改正は6つ以上の自治体に寄附する場合は従来通り確定申告が必要となりますのでご注意ください。
ふるさと納税がより身近なものになりそうです。

安 井

平成26年11月NISAで外国株

 今年からNISAが開始していますが、2015年度の税制改正でその拡充の要望が検討されるなど、今後さらに利用が増えていきそうです。NISAでは国内株だけでなく外国株の取引をすることも可能ですが、NISA口座で外国株を取引きした場合、課税関係はどのようになるのでしょうか。
 まず、NISAを適用せずに取引した場合です。売却益については、米国株など主要な外国株に関しては租税条約が締結されているため、外国では課税されません。国内で申告分離課税により、約20%(所得税約15%、住民税5%)の税率で課税されます。配当金に関しては、原則として外国において源泉税が徴収され、その徴収された後の残額に対し、再び国内で課税されます。その際に外国において徴収された源泉税について一定額を所得税や住民税から控除できる外国税額控除の制度があります。また、配当控除は適用できません。
 続いてNISAを適用して取引きした場合です。売却益については、国内の株を取引きしたときと同様に非課税となります。配当金に関しては、国内で課税される分については非課税になりますが、外国で徴収される源泉税については、課税されます。また、外国税額控除や損益通算を適用することはできません。

青 木

平成26年7月配偶者控除の廃止見送り

 世帯単位課税の導入とともに議論されていた配偶者控除の廃止・見直しは今回の政府の「骨太の方針」では見送られることとなりました。女性の就労拡大の議論の中でやり玉に挙がったわけですが、配偶者控除の改正で解決できるものではないとの結論に達したようです。ただ、これで安心というわけではなく、今後も廃止や見直しの議論は断続的に続くものと予想されます。
 消費税率の引き上げや給与所得控除の段階的引き下げなど、個人に厳しい税制改正が相次いでいますから、今後の動向が気になるところですね。

山 下

平成26年7月NISA拡充案について

先日、NISA を拡充する方針というニュースを見ました。
 導入から6か月が経過したNISA。金融庁の調査によりNISAの総口座数が650万を超えたそうです。(3月31日時点)
 日本は預金率が他国と比較して突出して高く、それらの眠っている資金を投資へ回すことがNISAの狙いの一つですが、年間100万円と非課税枠の上限があり非課税期間も5年となっているため分散投資が難しい側面があります。そこで、年間100万円の非課税枠を200万円~300万円へ拡充する案が出ているそうです。その他にも非課税期間を5年から延ばす案もあり、早ければ2016年からの実施を目指すとのことです。これらの拡充案が実施されれば今よりも個人で資産形成のひとつとしてNISAを活用しやすくなります。
 NISA口座は約60%が60歳以上とのことでこれらの拡充が実施され若年層の方の利用も拡大するといいですね。

安 井

平成26年6月車の購入に伴う税目ごとの取扱い

 車を購入した場合、本体価格・付随費用・付属品等は車両運搬具の取得価額として計上されます。
 この取得価額は、全額購入時の費用にしないで、耐用年数(新車の普通自動車の場合は6年)にわたって按分して各期の費用にします。これを減価償却と言います。
 ところで、消費税は原則として一事業年度の受け取った消費税から支払った消費税を差引(仕入税額控除)し、差額を納付します。車購入に伴って支払った消費税は按分することなく、全額、購入した日の属する課税期間の仕入税額控除として取り扱われます。

所得税・法人税 車の取得価額→耐用年数によって按分して費用に計上(減価償却)
消費税 車の消費税→車購入年度で全額税額控除

 税目によって取扱いが異なり、間違いやすいですね。

上 地

平成26年6月子育て世帯臨時特例給付金

 平成26年4月からの消費税率の引上げに伴い、子育て世帯の家計への負担を減らすために、「子育て世帯臨時特例給付金」の支給が予定されています。
 支給対象者は、平成26年1月分の児童手当受給者のうち、平成25年の所得が児童手当の所得制限に満たない方が基本となります。支給金額は、児童手当の対象となる児童一人につき1万円です。また、支給を受けるためには申請が必要となります。
 請求に必要な書類は、名古屋市は6月以降、一宮市は7月以降に対象者の方に順次発送予定とのことです。申請期間は原則として受付開始から3ヶ月を予定(名古屋市)とのことですので、書類の紛失や申請忘れにご注意ください。また、児童手当の現況届の提出期限も6月30日となっております。対象の方はこちらもお忘れのないようお手続きください。

青 木

平成26年5月すまい給付金制度の申請が開始されています

 すまい給付金制度とは、消費税率引上げによる住宅取得者の負担を緩和するために導入された制度です。住宅を取得した時の負担軽減策としては他に住宅ローン控除もありますが、条件を満たしていれば2つの制度を併用することも可能です。
 すまい給付金は、消費税の税率引き上げ後に自宅を取得した方で、収入が一定以下の方が対象となります。住宅ローンを利用せず、現金で取得された方でも、収入の条件に加えて50歳以上であれば対象となります。給付額の例としては、収入が年約425万円以下であれば、住宅の価格等に関係なく30万円の給付金を受け取ることができます。
 申請は窓口又は郵送での申請で、4月1日から開始されています。国土交通省のホームページでは、自分の収入から給付金額のおおよその金額がわかるシミュレーションも公開されていますので、ご自宅の取得をお考えの方は是非こちらの制度もご活用ください。

青 木

平成26年4月年金をもらうようになったのだけど確定申告は必要かな?

 国民年金や厚生年金等の公的年金については、受給者の負担軽減のため平成23年からその年中の公的年金の収入金額が400万円以下でかつ公的年金以外の所得が20万円以下の場合は確定申告が不要となりました。しかし、公的年金の他に、個人年金も受け取っている場合は、次のようになります。
 個人年金については「保険料負担者=個人年金受取人」である場合は公的年金以外の雑所得となり所得税が課せられます。計算方法としては「受け取った年金の額-その金額に対応する既払保険料」の金額で計算します。よって、公的年金の年間収入額が400万円以下でかつ上記の算式で計算した個人年金の雑所得の額が20万円以下であれば申告不要となります。
 なお、住民税については、公的年金受給者の方で住民税の納付義務のある方は平成21年より公的年金より引き落としが始まっていますので確定申告は不要となります。
 退職後も年金を受給しながら引き続き働かれている方もたくさんいらっしゃると思います。そのような方は給与所得と個人年金の所得を合算して20万円超える場合は確定申告が必要になりますのでご注意ください。

安 井

平成26年4月貸し渋り・貸しはがし復活か?

 中小企業の資金繰りを助けるため、2009年12月にスタートした中小企業金融円滑化法。この法律によって、借金返済を猶予してもらい何とか経営を続けてきた企業はたくさんあります。金融庁も銀行に対して貸し渋りや貸しはがしをしないよう強く指導してきました。
 この法律は、2013年3月に終了していますが、その後、急に返済条件等を変更することなく約一年が経ちました。
 今後、金融庁は中小企業延命の方針を転換し、転業や廃業を促す方向で検討を始めました。
 円滑化法に頼っていた企業経営者は、今後の経営計画(返済計画)を早急に見直す必要があります。ご注意ください。

木 村

平成26年3月復興特別所得税に注意

 平成25年分の所得税と贈与税の申告・納税期限は平成26年3月17日(月)(所得税の振替納付日は4月22日)です。また、消費税の申告・納税期限は平成26年3月31日(月)(振替納付日は4月24日)です。申告・納税共に期限に遅れないように、お早めにお済ませください。
 さて、今年の所得税の確定申告ですが、復興特別所得税(所得税額の2.1%)の記載漏れが目立っているようです。復興増税分を加算せずにすでに申告書を提出してしまったという方も、申告期限前ならば再度申告書を提出していただければ問題ありませんので、今一度申告書の確認をお願いいたします。

山 下

平成26年3月個人住民税の均等割が引き上げられます

 3月17日は所得税の確定申告の申告期限ですが、所得税の確定申告書を提出した方は、そのデータが税務署から各自治体へ送信されます。このデータに基づき、個人の方の住民税が各自治体によって計算され、平成26年度の個人住民税として課されることとなります。
 この個人住民税ですが、平成26年度から道府県民税・市町村民税ともに均等割が500円ずつ引き上げられます。「東日本大震災からの復興に関し地方公共団体が実施する防災のための施策に必要な財源の確保に係る地方税の臨時特例に関する法律」によるもので、平成26年度から平成35年度までの10年間引き上げられる予定です。
 例えば、名古屋市にお住まいの方の場合、名古屋市の市民税の均等割は2,800円から3,300円へ、愛知県の県民税の均等割が1,500円から2,000円へとアップします。
 平成26年度分の住民税は、個人で納められる方は6月頃に役所から納付書が送られてきます。給与所得者で特別徴収されている方は、6月分の給与から天引きが始まります。

青 木

平成26年3月NISA口座の開設だけでは非課税になりません

 今年の1月からはじまったNISA。セミナー等もひらかれ、年代問わず注目を集めています。NISAはある一定額までの株の譲渡益と配当金に係る所得税が非課税になる制度ですが、NISA口座で買い付けた株式の配当金の所得税を非課税にするには配当金の受け取り方法を「株式数比例配分方式」を選択する必要があります。これは口座で配当金を受け取る方法です。いつも配当金領収書や銀行振り込みを選択されてる方はご注意ください!

安 井

平成26年2月ゴルフ会員権の損益通算が廃止になります

 平成26年度の税制改正大綱でゴルフ会員権を売却した際の譲渡損失の損益通算が廃止される条文が盛り込まれました。これは平成26年4月1日以後に譲渡されるゴルフ会員権について適用される予定です。
 現行ではゴルフ会員権の譲渡損が出た場合は、事業所得や給与所得などの他の所得と通算することができ所得税の負担を少なくすることが出来ました。ゴルフ会員権の価額が購入時より大きく値下がりしている方で売却予定の方は平成26年3月31日までの売却が有利です。

安 井

平成26年1月給与所得控除が段階的引き下げ

 平成25年から給与収入が1,500万円を超えると245万円で頭打ちとなった給与所得控除ですが、先月発表となった税制改正大綱では、平成28年には給与収入1,200万円を超えると控除額230万円で、また平成29年以降は収入1,000万円を超えると控除額220万円でそれぞれ頭打ちとなるように段階的に引き下げられることが発表されました。この引き下げは、他国に比べて多く、かつ給与所得者の実際の必要経費と比較しても過大とされる給与所得控除の適正化を目的としているそうですが、消費税の増税ともあいまって個人に厳しいとされる税制改正が景気回復の妨げとならないことを祈りたいですね。

山 下

平成26年1月クレジットカードで支払った医療費は医療費控除の対象となるか?

 医療費控除とは、ご本人やそのご家族(配偶者もしくは親族)の医療費を支払った場合、支払った年の所得税の課税所得金額(源泉徴収票に記載されている「給与所得控除後の金額」-「所得控除額の合計額」)から、支払った医療費のうち次の算式の金額を限度として控除できる制度のことを言います。

クレジットカードで支払った医療費は医療費控除の対象となるか?

 ここで注意する点は、平成25年に治療を受けたけど、その治療にかかる医療費の支払いが平成26年になってしまうという場合です。その場合は、平成26年分の確定申告時(平成27年3月に申告)で医療費控除を受けることになります。例えば、治療を受けた日と支払いの日がずれてしまうクレジットカードを使って支払った医療費はどうなるのでしょうか?これは、医療費控除の対象になりません。なぜなら、クレジットカードで支払った医療費はクレジット会社が医療費の立替えをしたとなるからです。この場合、立替えをしたクレジット会社が、そのクレジットカードにより病院等の支払いを精算した年の医療費控除として申告することになりますので、医療費控除により医療費の負担を軽減しようとしている方は注意が必要です。

上 地

平成25年12月年金の確定申告は必要か?

 国民年金や厚生年金等の公的年金については、受給者の負担軽減のため平成23年からその年中の公的年金の収入金額が400万円以下でかつ公的年金以外の所得が20万円以下の場合は確定申告が不要となりました。
 個人年金については「保険料負担者=個人年金受取人」である場合は公的年金以外の雑所得となり所得税が課せられます。計算方法としては「受け取った年金の額-その金額に対応する既払保険料」の金額で計算します。公的年金の年間収入額が400万円以下でかつ上記の算式で計算した額が20万円以下であれば申告不要となります。
 その他住民税については、公的年金受給者の方で住民税の納付義務のある方は平成21年より公的年金より引き落としが始まっていますので確定申告は不要となります。知らなかった方は個人年金の所得計算は生命保険会社からの年金の支払調書でも確認できますので一度確認してみるといいですね。
 しかし、退職後も年金を受給しながら引き続き働かれている方は給与所得と個人年金の所得を合算して20万円超える場合は確定申告が必要になりますのでご注意ください。

安 井

平成25年12月税務調査が減少!

 国税庁より平成24年度(平成24年7月~平成25年6月)の税務調査実績が公表されました。
 実地調査の件数は法人・個人ともに約30%減少しました。国税通則法の改正で、調査をするうえで税務署員の手続きが増えたことや、税務署員の研修時間が増え、調査にかける日数が減ったことが原因です。
 今後はお尋ね等の書面照会など、実地調査以外の方法で、自主申告を促していくようです。
 調査で目立つのは、
 ・海外で得た利益を適正に申告しているか
 ・インターネット取引で得た利益を適正に申告しているか
 ・復興特需で得た利益を適正に申告しているか
 ・金地金の売却益を適正に申告しているか
 といった内容で、最近の経済動向に合わせて調査の力点を置いているようです。
 まあ、適正に申告、納税している人にとっては、調査が減るのはありがたい話ではあります。

木 村

平成25年12月国外財産調書制度が始まります

 平成25年より、12月31日時点での国外財産が5,000万円を超える個人(居住者)の方は、翌年の確定申告期限までに「国外財産調書」を提出しなければならないこととなりました。
 国外財産に該当するかどうかは、不動産ならその所在地、預金なら預け入れた金融機関の営業所の所在地、株式なら保管されている口座を開設した証券会社等の営業所の所在地で判断します。5,000万円を超えるかどうかは、12月31日時点での時価を同日の外国為替相場で円換算して判定します。
 この調書を故意に提出しなかったり、嘘の記載をした場合には、罰則が設けられています(平成27年以降に提出すべきものより適用されます。)。
 調書の提出義務者の方は、うっかり提出を忘れることのないよう、充分ご注意ください。

山 下

平成25年12月ふるさと納税をご存知ですか

 最近テレビなどでふるさと納税の話題をよく聞くようになりました。ふるさと納税とは納税という名前が付いていますが、実際には各自治体への寄付のことをいい、寄付金額のうち2,000円を超える部分について、所得税と住民税から全額が控除される制度です。(控除額は住民税の約10%が上限)
 例えば、夫婦2人世帯の給与収入500万円の方が30,000円の寄付を行った場合、所得税と住民税合わせて約28,000円の控除が受けられるため、実質的な負担は約2,000円ということになります。
 寄附する自治体は自分の生まれ故郷でなくてもかまいません。もちろん自分の生まれ育ったふるさとに寄付することも出来ますし、自治体によっては寄付金の使いみちを明示していたり、寄付金額によって特産品を送っていたりするところもあります。
 実際にふるさと納税の制度を利用される場合には、寄付を行った後に各自治体から発行される領収書を保管しておき、確定申告を行う必要があります。控除額の計算は年単位で行いますので年末近くに寄付される場合にはご注意ください。

青 木

平成25年9月NISAって?

 最近よくNISAという言葉を耳にします。これは、「非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置」のことで、平成26年から上場株式等の配当所得と譲渡所得に係る税率が10%から20%(ともに復興特別所得税を除く。)に引き上げられるのに合わせて設けられる制度です。概要を簡単に説明しますと、平成26年から平成35年までの間に、年間100万円、合計500万円を上限として非課税口座で取得した上場株式等について、その配当等や譲渡益が、最長5年間非課税となるものです。
 この非課税口座内で年間に取得できるのが100万円までで、かつ譲渡損が出ても一般口座などで出た譲渡益との損益通算ができないので、短期的な売買を目的としたものやリスクの高いものよりも、低リスクのものを中長期的に保有するのに向いているといえます。
 この制度の適用を受けるためには、すでに証券口座をお持ちの方も、別途非課税口座を開設する必要があります。制度の詳細や適用条件など、詳しくは証券会社などでご確認ください。

山 下

平成25年7月所得税の予定納税の時期が近づいています

 所得税の予定納税の時期が近づいています。今年の予定納税は第1期の納期限が7月31日(水)第2期の納期限は11月30日(金)となっていますので、資金のご準備をお願いいたします。
 予定納税が必要になる方は、おおまかに言うと平成24年の確定申告での給与や事業、不動産所得などの経常的な所得に対する所得税額から、これらの所得から徴収されていた源泉所得税額を差し引いた金額(予定納税基準額といいます)が15万円以上の方です。土地を売ったりして一時的に所得が大きく増えたような場合には、その分の所得に対する所得税額は含めません。予定納税は年2回ありますが、先ほどの予定納税基準額の1/3ずつをそれぞれ納めることになります。
 もし、所得が前年より少なくなりそうな場合には、7月15日または11月15日までに減免の申請書を税務署に提出し、承認を受けられれば予定納税の額を減額することもできます。

青 木

平成25年6月ゴルフ会員権の売却について

 2012年末、安部内閣が発足し安部首相がデフレ脱却を目指し掲げた経済政策(アベノミクス)により近年では見ないほど株式市場が賑わっています。株価の上昇と共に関東の方ではゴルフ会員権の平均相場も上昇しているそうです。(関東ゴルフ会員権取引業協同組合調べ)平均相場の上昇でゴルフ会員権の売却を考えている方もいらっしゃるかもしれません。では、ゴルフ会員権を売却した場合はどのような税金がかかるのでしょうか?
 ゴルフ会員権を売却した場合は、今のところ総合譲渡所得として売却による収入からそのゴルフ会員権の購入価額と売却にかかった費用を差し引いた残額に所得税がかかります。5年以上所有していた場合はその購入価額と諸費用を差し引いた残額に1/2を乗じた残額に所得税がかかります。
 平均相場が上昇したといっても購入価額の方が大きく差し引いた残額がマイナスになることも多いでしょう。その場合は確定申告で他の給与所得や事業所得等の他の所得と損益通算することができます。(ただし、ゴルフ場経営法人が破綻した場合は除く。)事業、給与所得が多い方は所得税・住民税を還付され損失を一部穴埋めできます。
利用していない会員権をお持ちの方は税制が変わらないうちにご検討下さい。

安 井

平成25年5月金の売買にかかる税金は?

  今年の2月に東京商品取引所で金が上場来最高値を記録し、近年金の取引は注目を集めています。金は市場価格があり価格が変動する投資対象のひとつで金を対象とする金融商品も取り扱われています。では、金の売買にはどのような税金がかかるのでしょうか?
 金地金や金貨を売買する際は消費税がかかります。例えば1g5,000円の金地金を購入の場合、250円の消費税をあわせて支払います。そして売る場合も消費税分もあわせて受け取ります。消費税率が同じであれば売買時の消費税は相殺されますが、国内で消費税増税になった場合は消費税が5%時に購入し→8%時に売却すると消費税の3%分が多く受け取れます。(ただし、金の価格が変わらない場合です。)
 では個人で売買した場合で、金の売却価格(税込)が購入価格+購入費用を差し引いて利益がでたときは?
その場合は総合譲渡所得として、原則譲渡益に所得税が課せられます。所有期間が5年超の場合は譲渡益から譲渡所得特別控除50万円(他の総合譲渡所得がない場合は譲渡益が50万円以下の場合は非課税)を控除後に1/2できますので所得税の面では長期保有がお得となります。

安 井

平成25年5月株式投資の節税

 アベノミクスで株式市場も不動産市場も活況のようですが、資産家にとってはこれでデフレが止まり、資産価値が少しずつ上がっていけば・・・といったお気持ちではないでしょうか。
 不動産売買の税制は今のところ大きな変更予定はないようです。しかし株式については要注意!
 平成26年1月1日以降は上場株の配当や売却益の税率が、現在の10%から20%に引き上げられます。
 そこで、現在所有する株で値上り益が出ている株を、平成25年中に税率10%で一旦売却してはどうでしょうか。
 その後、持ち続けたい株ならば即、買い戻せば株の取得原価を引き上げることが出来、来年から税率が20%になっても、買い戻した後の値上がり分についてのみ20%の税率が適用され、株式運用がやり易くなります。
 手間と手数料は必要ですが、効果は高いと思いますヨ。

木 村

平成25年4月確定申告を振り返って

 平成24年分の所得税、消費税の確定申告が終了しました。
振り返ってみますと、申告に必要な資料をなくしてしまった方が見受けられました。申告に必要な資料は取引先や役所、生命保険会社、損害保険会社、病院などから一年を通じてバラバラと送られてきますのでなくしてしまうのも無理はないと思います。
 例を挙げると
・固定資産税の領収書は保管しているけれど、不動産ごとの内訳明細は捨ててしまった。(事業用と家事用に按分が必要です。)
・建物修理の領収書は保管しているけれど、工事の内訳明細は捨ててしまった。(工事内訳によって節税が可能です。)
・役所から届いた医療費通知のハガキは保管しているけれど、病院の領収書をなくしてしまった。(領収書の原本が必要です。)
・生命保険、地震保険の契約書は保管しているけれど、控除証明書は捨ててしまった。(毎年10月~11月に送られてくる控除証明書の原本が必要です。)
・個人年金、満期保険の振込通知書をなくしてしまった。(過去に払い込んだ保険料を確認できなくなります。)
・公的年金の振込通知書は保管しているけれど、源泉徴収票をなくしてしまった。(翌年1月20日ごろハガキで届きます。天引きされた所得税や介護保険などが確認できなくなります。)
などが思い浮かびます。
 平成25年もすでに3か月終わって、4月には平成25年度の固定資産税通知書が送られてきます。「節税と利益アップの第一歩は情報の整理整頓である」と考えています。
必要かどうか迷ったら捨てないでください。

木 村

平成25年3月平成25年の税制改正大綱が発表されました

個人所得税では主な内容として以下の点の改正が盛り込まれました。
①平成27年より所得税の最高税率が40%から45%(摘要課税所得は4,000万円超)に引き上げ。
②住宅ローン減税についての適用期限が平成25年12月31日から平成29年12月31日へ4年間延長。
さらに住宅ローン減税については消費税の5%から8%の引き上げに伴い平成26年4月からは住宅購入者への消費税負担の軽減を目的として借入限度額を2,000万円から4,000万円(一般住宅の場合)へ引き上げ、各年の控除限度額も20万円から40万円(10年間で最大400万円までの控除額)引き上げられます。住宅ローン減税は控除額よりその年の所得税が少なかった場合はさらに住民税からも控除できます。

安 井

平成25年3月株式投資の非課税口座

 上場株の配当や売却益に対して、平成25年12月31日まで所得税、住民税合わせて10%の低率で課税されます。が平成26年1月1日以降は20%の税率に引き上げられる予定です。
 増税による株式市場への悪影響を抑えるため平成26年1月1日より非課税講座制度を始める予定です。
 平成26年より毎年100万円までの新規投資についてその後5年間、配当と売却益が非課税となります。
 近年、安定株主を確保するため、配当を増やす企業が増えています。銀行預金の利子が低空飛行を続けていますので、この非課税制度をきっかけに年2%から年5%の配当を狙える株式投資を検討したいですね。
 もちろん、元本保証はありません。そこで短期的な値上がりを追及するのではなく、長期的に保有し、少しずつ株を追加取得して年間配当収入を徐々に増やしていくような投資なら面白いと思います。
 ちなみに500万円の株式で4%の配当なら年20万円!
  定期預金ではとても無理です。

木 村

平成25年3月もうすぐ確定申告期限です

 みなさん、確定申告はもうお済ですか。平成24年分の所得税と贈与税の申告・納税期限は平成25年3月15日(金)です。また、消費税の申告・納税期限は平成25年4月1日(月)です。申告・納税共に期限に遅れないように、お早めにお済ませください。
 また、振替納税を利用されている方の口座振替日は、所得税が平成25年4月22日(月)、消費税が平成25年4月24日(水)となっています。口座の残高不足とならないようご注意ください。

山 下

平成25年2月医療費控除、ここに注意!

 今年も確定申告の時期がやってまいりました。そろそろ取り組まなければ、と考えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。そこで、確定申告において医療費控除の適用を受けようとされている方に、主な注意点をお伝えします。
 平成24年分の確定申告で医療費控除の対象となるのは、平成24年中に支払った医療費です。入院費などで、請求は平成24年中でも支払いが年明けの場合、それは平成25年分の医療費控除の対象となります。また、入院等に際して保険金が下りた場合や、高額療養費として還付を受けた場合には、その金額を支払った医療費から差し引かなければなりません。なお、予防接種の費用や薬局で購入した医薬品などは医療費控除の対象にはなりませんのでご注意ください。
 また、医療費控除の適用を受けるためには、確定申告書への領収書の添付(電子申告の場合には5年間の領収書の保管)が必要となります。医療機関等で領収書の発行を受けたら、確定申告まで大切に保管してください。
 申告と納税の期限は3月15日(金)です。期限に間に合うように、お早めに取りかかってください。

山 下

平成25年1月所得税のかからない所得は?

 新年になりもう少しで平成24年度の確定申告の時期になります。
所得税は個人の1年間の所得すべてに対し原則として課税となりますが、所得の中には所得税の対象とならない非課税の所得(以下、非課税所得)があります。
では、どのような所得が非課税所得となるのか確認してみましょう。
 非課税所得は社会政策上の観点及び課税技術の観点から所得税が非課税となっています。例えば、社会政策上の観点から非課税になる所得では近年でいうと子供手当や定額給付金などがこれにあたります。
 その他よく質問であるのですが生活用動産の譲渡による所得も非課税とされています。これは生活に使っていた家具、衣類等、生活に必要なもの(単価が30万円を超える骨董や美術品、宝石等の高額品は除きます。)を売って得た所得は非課税ということで、リサイクルショップに中古本や衣類を売ったりネットオークションで売っても生活動産を売ったお金であれば所得税は非課税となります。
 なお、非課税所得は申告等の手続きも必要ありません。

安 井

平成24年12月年末調整で控除できるもの、できないもの

 今年も年末調整の時期がまいりました。年末調整で控除できるのは、扶養控除・配偶者(特別)控除・障害者控除等の扶養に関するものと生命保険・地震保険・社会保険等の保険料に関するもの及び住宅借入金等の特別控除(2年目以降)です。
 寄付金控除や医療費控除等上記以外の控除を受ける場合及び住宅借入金等の特別控除を初めて受ける場合は確定申告が必要です。
 これらの控除を受けるにあたっては、証明書等の添付又は提示が必要な場合があります。証明書等の種類によっては来年1月末ごろに届くものもあります。郵送等によりお手元に届きましたら、年末調整又は確定申告が終わるまで大切に保管してください。

山 下

平成24年12月特定口座の確定申告はすべき?

 特定口座で上場株式の取引をする場合、源泉徴収ありの口座を選択しておくと、基本的に特定口座の分は確定申告をする必要はありません。では、あえて特定口座も含めて確定申告をした場合、どんなメリット・デメリットがあるでしょうか。
 まずメリットとしては、儲けが出た口座の他に損失が出た口座があれば両者を相殺して、儲けから源泉徴収された税金の還付を受けることができます。また、損失しかない場合でも、確定申告することにより、損失を繰り越して将来の儲けと相殺することができます。
 逆にデメリットとしては例えば、妻や子が特定口座の分を確定申告する場合に、給与所得など他の所得との合計が38万円を超えてしまうと世帯主の扶養に入れなくなります。すると世帯主の税負担が増えるため、特定口座の分の還付額が小さいと家族全体の税額がかえって大きくなってしまう可能性があります。その他にも、70歳以上の方の病院窓口での医療費の負担割合は年収によっても変わるため、現在1割負担の方が特定口座の分を確定申告に含めると、次の年の負担が3割に上がってしまうことも考えられます。
 源泉徴収された額や次の年に繰り越す損失がわずかであれば、あえて確定申告しないという選択も考慮する必要がありそうです。

加 藤

平成24年11月もうすぐ年末調整です

 12月には年末調整があり、翌年1月には源泉所得税の納付があります。源泉所得税の納期の特例の承認を受けている場合には、7月~12月までの半年間の源泉所得税を、それ以外の方は12月の源泉所得税を納めることとなりますが、納期の特例の承認を受けている方は今年から納期限が変わっています。
 源泉所得税を毎月納めている方は、今までと同じように翌年の1月10日が納期限ですが、源泉所得税を半年ごとに納めている方は翌年の1月20日が納期限になります。(今年は、翌年の1月20日が日曜日のため、平成25年1月21日が納期限となります。)。給与の額等によっては納付額が多額になる場合もありますので、ご準備をお願いいたします。
 また、来年1月からは復興特別所得税が課されるため、源泉所得税と併せて復興特別所得税を徴収する必要があります。来年の1月以降、当事務所への報酬を毎月引き落としでお支払いいただいている方は、引き落とし額が変わる場合があります。ご不明点等ございましたらお気軽にお問合せいただきますよう、お願い申し上げます。

青 木

平成24年10月生命保険料控除の改正が適用されます

 10月に入り、あと2か月ほどで年末調整の時期になります。年末調整の際には生命保険料控除を行いますが、今年からはその生命保険料控除の制度が新しくなりました。平成24年以降に結ぶ生命保険契約については、これまであった生命保険料、個人年金保険料に加え、新たに介護医療保険が対象となるようになったほか、平成24年以降に結ぶ契約については、控除額の上限が各5万円から各4万円となっています。
 この改正に伴い、年末調整の際にご記入いただく給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書の形式も変更されました。新たに介護保険料を記入する欄が追加されたほか、保険料の合計額の欄も新制度、旧制度別に合計するなど、かなり細かくなっています。年末調整でご記入いただく際には、ご不明点等ございましたらお気軽にお問合せ下さい。
 また、10月以降、役所や生命保険会社から、社会保険料や生命保険料、地震保険料に関する書類が届いてくるかと思います。年末調整や、確定申告に必要な書類になりますので、大切に保管をお願いいたします。

青 木

平成24年8月国民年金の追納と社会保険料控除

 国民年金には納付免除や30歳未満の納付猶予の制度があり、これらの適用を受けた保険料は過去10年分までさかのぼって納付できます(ただし納期限から2年を超えたものには年1%余りの加算があります)。では、就職等により免除・猶予分を追納した場合、社会保険料控除にはどう影響するのでしょうか。
 社会保険料控除は「本年中に支払った額」が対象になるので、追納した年に24年分とあわせて追納分も控除を受けることができます。また、追納に際して余計に支払った追納加算額も「保険料として納めた額」とされるため、もともとの保険料部分と同様に控除を受けることができます。
 実際に一度に払うとかなりの額になるケースもあるので、追納の予定のある方は今後の課税される所得とのバランスをとりながら数年にわけて追納をすると、加算額を加味しても節税になりそうです。

加 藤

平成24年7月住民税が高くなった?

 今年の4月1日から岐阜県で「清流の国ぎふ森林・環境税」という税がスタートしました。個人の場合、24年度の支払分から県民税に一律に年額1,000円が上乗せされ、森林の整備や都市緑化の推進などの事業に使われることとなっています。愛知県ではすでに「あいち森と緑づくり税」という同様の趣旨の税が21年度から運用されており、こちらは個人の場合年額500円となっています。
 愛知・岐阜ともに開始から5年間の限定措置で、その後効果の検証と見直しをするとのことです。
 豪雨や酷暑といった近年の異常気象などを考えれば、環境保護活動は待ったなしの状態まで来ていますが、このような税を新たに創設するからには現在の歳出の方にも徹底的な見直しを進めてもらいたいと思います。

加 藤

平成24年5月給与所得控除の改正

 4月1日に平成24年の税制改正法案が国会で成立し施行されました。この税制改正法案の成立により個人所得税において以下の点が改正されました。
 給与所得控除が改正されました。その年の給与等の収入が1,500万円を超える場合の給与所得控除について上限を245万円とする事となりました。その反面、特定支出控除の範囲が拡大されました。特定支出控除とは、
 ①通勤のために必要な支出
 ②転居のための支出
 ③職務に直接必要な技術獲得のための支出
 ④資格の取得のための支出
 ⑤単身赴任などの場合勤務地又は自宅の間の旅行のための支出
 ①~⑤の支出で通常必要であると認められる支出のうち給与の支払者が証明したものをいいます。この度の租税措置法の改正により上記④については弁護士・税理士等の資格の取得費、職務に関連する図書の購入費や衣服費・交際費の支出も控除できることになりました。
 更にこれまでは特定支出控除が給与所得控除を超えなければ特定支出控除の適用をうけるメリットはありませんでしたが、特定支出控除の額が給与所得控除の2分の1(給与収入1,500万円超は125万円)を超える場合にその超えた金額を給与所得控除に加算することができる事になりました。
これらは平成25年分以後の所得税・平成26年以後の住民税に適用されます。
 また平成25年1月1日より収入に関係なく復興特別所得税も徴収され、高収入の方には厳しい改正となりました。

安 井

平成24年1月退職所得課税も強化?

 先日発表された平成24年税制改正案の中に退職所得課税の改正が盛り込まれています。
勤続年数が5年以下の法人等の役員については、退職所得の2分の1課税を廃止するというものです。短期間の在職する役員が、給与を繰り延べて退職金に上乗せし受給することで、所得税負担を回避する例が指摘されていたためです。
 現在、退職所得に対する所得税額は次のように計算します
  退職所得=(収入金額―退職所得控除額)×2分の1
  所得税額=退職所得×※税率

   ※5%~40%で退職所得額に応じた税率
 今回の改正が成立すれば、勤続年数が5年以下の役員については、退職所得計算時の2分の1が無くなります。そのため、収入金額が退職所得控除額を超える場合には、退職所得額が現在の2倍になるだけでなく、その金額に乗じる税率についても高くなる可能性があります。その場合、税負担は今までよりもかなり大きなものになります。
 併せて退職所得に対する住民税についても、10%税額控除が廃止されるため、税負担はより大きくなる可能性があります。(住民税の10%税額控除は、勤続年数や役職に関わらず、一律に廃止されます)

青 木

平成24年1月今後の所得税の増税

 23年度税制改正で保留となっていたもので、東日本大震災等の財源確保を目的とした復興特別所得税が導入され、平成25年度から所得税額に2.1%を乗じた金額を上乗せすることが決定しました。
 また、政府与党の24年度税制改正大綱で、平成25年度の所得税から、給与収入が1,500万円を超える時の給与所得控除が245万円で頭打ちになるとの案が発表されました。
 さらに今後、社会保障と税の一体改革のもと所得税の最高税率を現在の40%から45%に引き上げることも検討しているようで高所得者に対して負担を迫っています。
 政府の言い分としては、消費税増税の導入によって生じる高所得者層と低所得者層の不公平感を解消するための配慮だそうです。増税によって社会に還元され、今後経済が回復し高所得者の人も今以上に潤えばいいのですが。私には取りやすい所から取ると思えてなりません。

石 崎

平成24年1月謹賀新年

 平成24年の年頭に当たり、謹んで新年の御挨拶を申し上げます。
 年々複雑化する税制に対し、納税者の皆様にとって少しでも有利な判断ができるようスタッフ一同努力していく所存でございます。
 さて、昨年末に平成24年税制改正案が政府より公表されました。この中で気になったのは「毎年末に国外に5,000万円以上の財産を持っている人は、翌年3月15日までに税務署にその内容を報告しなければならない」という国外財産調書制度がこっそり新設されていることです。円高もあって、今後国外に財産を移す人も増えるだろうと、情報収集を強化し将来の相続税など取りっぱぐれがないようにとの思惑がうかがえます。
 改正案通り法律が成立するかどうかまだ不明ですが、資産家の方は要注意ですね。
 では、本年もよろしくお願い申し上げます。

木 村

平成24年1月給与所得者でも確定申告は必要か??

 新年になりもう少しで平成23年度の確定申告の時期になります。
 個人事業主の方はもちろん申告が必要となりますが、給与所得者の方はどのような方が申告必要となるのでしょうか。

年間の給与収入が2,000万円を超える方。
2か所から給与を受けている方で年末調整していない方の給与と各所得(給与所得、退職所得を除く)の合計が20万円を超える方。
給与を一箇所から受けていて給与所得、退職所得以外の各所得が年間20万円以上超える方。
退職所得のある方。

上記のような所得のある方が必要となります。
 給与所得、退職所得以外の各所得とは、例えば保険料の支払いと受け取りが同じであった場合、満期保険金を一時金や年金で受け取った所得がこれに含まれます。
その他には懸賞や福引などの賞金や競馬等の高額払戻金も含まれます。では、宝くじはどうでしょうか?これは、所得税は非課税になります。宝くじ場合は購入時点で購入金の一定割合が各発行自治体の収益となり当選の有無に関係なく税金を納めていることになるからです。
もし、その他申告するべき所得かどうかわからない方は是非当事務所へお問い合わせください。

安 井

平成24年1月還付申告書は1月から提出可能!

 サラリーマンの方などは、会社で年末調整をしてもらえば改めて確定申告に行く必要はありません。しかし多額の医療費や寄付金を支出した場合、確定申告をすれば医療費控除などを受けられます。このような場合の確定申告は、控除を受けて税金を還付してもらうための「還付申告」であり、通常の確定申告(2月16日から3月15日までの1か月間)よりも一足先に、1月1日から確定申告書の提出ができます。
 去年に関しては、特に震災関連の寄付金に特別措置がなされ、寄付金控除の対象となるものが以前よりも多くなっています。
 申告期限間近の税務署はたいへん混雑します。還付申告の予定のある方は早めに確認の上、申告されることをおすすめします。

加 藤

平成23年12月平成23年分の所得税から、扶養控除が改正されました

 今年の所得税において、扶養控除が大きく改正されています。扶養控除の改正点は次の3点です。

年齢16歳未満(平成8年1月2日以降生まれ)の扶養親族(以下、「年少扶養親族」といいます。)に対する扶養控除が廃止されました。これは、子ども手当を受け取ることができるためです。
高校の授業料が無償化されたことなどの理由で、年齢16歳以上19歳未満(平成5年1月2日から平成8年1月1日生まれ)の人の扶養控除の上乗せ部分(25万円)が廃止され、これらの人に対する扶養控除の額は、一般の控除対象扶養親族と同じ38万円となりました。
 これに伴って、特定扶養親族(控除額63万円)の範囲が、大学生などを想定して、年齢19歳以上23歳未満(昭和64年1月2日から平成5年1月1日生まれ)の扶養親族に変更されています。
上記の扶養控除の改正に伴って、扶養親族が同居の特別障害者(障害者手帳1級、2級の方など)である場合の、扶養控除の額に35万円を加算する従来の措置は廃止されました。そのかわり、同居特別障害者である扶養親族に対する障害者控除額が、従来の40万円から75万円に引き上げられました。

 なお、これら以外の扶養控除・障害者控除はこれまでどおりであり、年少扶養親族が障害者である場合には、扶養控除の適用はありませんが、障害者控除の適用は受けることができます。
 年末調整や確定申告の際は、扶養控除・障害者控除の適用の有無・控除額にご注意ください。

山 下

平成23年12月税金と社会保険の扶養家族は異なります!

 奥さんのパート収入は年103万円以下にしておかないと税金が高くなる、とよく言われます。所得の合計が38万円(パートのみならば103万円-給与所得控除65万円)を「超えた年」はご主人の税金計算上、配偶者控除を受けられないためです。
 一方、社会保険の扶養家族になれる収入基準は年130万円以下(60歳以上の方は年180万円以下)となっています。こちらは所得税計算での配偶者とは異なり、この基準を「超える状況が続くか」によって判断します。従って例えば、年の途中で退職して専業主婦になった場合は、その年にすでに130万円以上収入を得ていても将来の収入の見込みはないため、退職したときから届出によって扶養家族になれます。また、不動産の売却等があった場合も、この収入は一時的なので、扶養家族からは外れません。なお、扶養家族を外れる場合には、奥さん単独での国民健康保険・国民年金への加入が必要となり、負担が増加します。
 このように、所得税と社会保険では扶養家族の基準が異なり、控除対象配偶者を外れても社会保険では扶養家族になれるケースがありますので、おぼえておくと便利です。

加 藤

平成23年12月確定申告が必要な控除

 サラリーマンの方はそろそろ扶養控等申告書と保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書を書かれる頃と思います。これらは年末調整のための書類ですが、その記載内容によって税額が決定し、日々の源泉徴収額と精算されます。記載漏れの無いよう、正確な記入をお願い致します。
 さて、サラリーマンの方はほとんどの方が年末調整で課税関係を終了させていると思いますが、3月には確定申告という手続きもあります。この確定申告には、年末調整では受けることのできない控除があります。医療費控除、寄付金控除、雑損控除、住宅ローン控除(初年度のみ)等が挙げられますが、これらの控除は年末調整を受けられた方でも、確定申告を行うことで控除を受けることができます。例えば、高額な医療費を払った場合(おおむね年10万円以上)や、特定の寄付金を支払った場合(東日本大震災の義援金も含まれます)には確定申告を行うことで、節税することができます。
 今年は東日本大震災の義援金を拠出された方など、これらの控除を受ける方が多いのではないでしょうか。ただし、これらの控除を受けるためには領収書等の必要な添付書類があります。ご注意ください。

青 木

平成23年11月予定納税の減額申請ができることをご存知ですか?

 原則として、前年分の所得金額などを基に計算した所得税額(予定納税基準額)が15万円以上の方は、その年の7月と11月にその所得税額の1/3ずつをあらかじめ納付(前払い)しなければなりません。これを予定納税といいます。
 ただ、その年に事業を廃止したり、災害にあって住宅などに損害を被ったり、多額の医療費を支出したり、あるいは扶養親族が増加したりなどしたときは、予定納税の額がその年の所得税額を超えることがあります。このような場合でも、確定申告を行えばその超えた部分の金額は還付されますが、予定納税の減額申請を行えば前払いする税額を減額することができ、資金繰りに余裕を持たせることができます。
 予定納税の減額申請を行うには、その年の6月30日の状況で年間の所得税額を見積もった上で7月15日までに「予定納税の減額申請書」を所轄税務署に提出する必要があり、これが認められれば7月と11月の予定納税額がともに減額されます。なお、7月の予定納税額をすでに納めた場合でも、10月31日の状況で同様に見積もった上で11月15日までに申請を行うことにより、11月分の予定納税額を減額することができます。
 前年よりも所得が減少し、予定納税を負担に感じている場合には、この減額制度を活用してみてはいかがでしょうか。

山 下

平成23年11月平成24年から生命保険料控除が変わります

 平成22年の税制改正により、平成24年以降に結ぶ生命保険契約の生命保険料控除は現行の生命保険、個人年金に加え、介護医療保険が対象となります。また、控除額の上限金額が現行の各5万円(生命保険5万円、個人年金5万円の計10万円)から各4万円(生命保険4万円、個人年金4万円、介護医療保険4万円の計12万円)へと変更になります。
 平成23年12月31日までに結んだ契約については、平成24年1月1日以降も現行の制度が適用されますが、平成24年1月1日以後に結ぶ生命保険契約については新制度が適用されます。生命保険契約への加入を検討中の方や、見直しを考えている方はご注意ください。(平成23年12月31日以前に結んだ契約であっても、転換、特約の付加等の契約内容の変更を行った場合、新制度の適用対象となります。)
 また、10月以降、保険会社から生命保険や地震保険の控除証明書等が届いているかと思います。年末調整や確定申告に必要なものになりますので、それまで大切に保管をお願いいたします。

青 木

平成23年11月FX(外国為替証拠金取引)に関する税制改正が行われます

 23年度の税制改正では、近年話題となっているFX(外国為替証拠金取引)についても改正がありました。
 従来では“くりっく365”と呼ばれる取引以外は、その利益を雑所得として総合課税により申告し、損失があった場合でも翌年以降に繰り越すことは出来ませんでしたが、24年1月1日から差金決済で生じた利益に対して、地方税を含めた一律20%の申告分離課税へと一本化されることとなりました。申告分離課税となったことで、その他の先物取引に係る雑所得との損益通算が可能となり、また先物取引に係る雑所得等の金額の計算上で損失が生じた場合には翌年以降3年間にわたって損失を繰り越すことができます。
 これにより利益が生じた場合、他の給与所得などと合算して高率な累進課税を課せられることはなくなります。また損失が生じた場合も、翌年以降3年間の利益と通算することで節税が可能となり、損失の一部補てんが可能となります。FXを行っている方にとってはありがたい改正ですね。

石 崎

平成23年9月個人型確定拠出年金をご存知ですか?

 個人型確定拠出年金とは、国民年金第1号被保険者(自営業者等)などが加入できる年金で、運用先・運用方法を自ら選択することができます。
 税制上のメリットとしては、掛金の全額が所得控除の対象となり所得税及び住民税が軽減されること、年金資産の運用によって生じた収益に対して税金がかからないこと、受給する年金は公的年金等に該当するため公的年金等控除の適用があることの3点があげられます。
 将来受け取る年金は年金資産の運用成績に左右されるため、元本割れのリスクは伴いますが、老後のために長期での資産運用をお考えの方は、個人型確定拠出年金を選択肢の一つに入れてみてはいかがでしょうか。

山 下

平成23年9月1年間の医療費はいくら?

 確定申告での医療費控除は通常、1年間の医療費が10万円を超えると適用できます。この「医療費」とは、支給された保険金等を差し引いた額とされています。では例えば、長期入院での入院給付金が1年間の医療費の合計を上回ってしまった場合には医療費控除は受けられないのでしょうか。
 実はここでの保険金等は1年間全ての医療費からではなく、支給原因となった医療費のみから差し引けばよいとされています。一例として入院費10万円・入院給付金30万円・他の医療費15万円がかかった場合を考えてみます。この場合、総医療費25万円よりも入院給付金の方が多いために医療費控除が受けられないというわけではありません。入院給付金の30万円は入院費のみから引けばよいので入院費がゼロとなり(残った20万円は他の医療費から差し引く必要はありません)、他の医療費15万円が1年間の医療費となります。従ってここから10万円を引いた5万円の医療費控除を受けられるのです。
 保険金や給付金の支給のあった方も医療費控除を受けられる可能性があるので、保険金の出た医療費の領収書とそうでないものを区分して保管してください。

加 藤

平成23年7月特定震災指定寄付金をご存知ですか?

 特定震災指定寄付金(以下「特定寄付金」といいます。)とは、震災関連寄付金のうち、‘社会福祉法人中央共同募金会の「災害ボランティア・NPO活動サポート募金」として直接寄附した義援金’及び‘認定NPO法人に対し、東日本大震災の被災者支援活動に特に必要な資金に充てるために行った寄附金(その募集に際し、国税局長の確認を受けたものに限ります。)’をいいます。
 個人の方が震災関連寄付金を支出した場合に寄付金控除の適用を受けられることはご存知かとは思いますが、特定寄付金の場合には、寄付金控除にかえて税額控除を選択することができます。税額控除額は、特定寄付金の支出額から2千円を控除した金額の40%です(ただし控除を受ける寄附金額は総所得金額の80%が限度で、税額控除額はその年の所得税額の25%が限度です。)。一般的に寄付金控除よりも税額控除のほうが有利になります。例えば、課税所得金額600万円の方が3万円の特定寄付金を支出した場合、寄付金控除を適用すれば5,600円の所得税額の減額になりますが、税額控除を選択した場合には11,200円の減額になります(他の税額控除の適用がない場合)。税額控除の適用を受けるためには、確定申告書への記載と領収書や振込金受領証などの添付又は提示が必要です。
 特定寄付金となる認定NPOの一覧や震災関連寄付金についてなど、詳しくは国税庁ホームページ(http://www.nta.go.jp/)をご覧ください。

山 下

平成23年7月市県民税の寄付金控除で注意!

 東日本大震災の義援金の配布が始まっています。
 私たちが国や地方公共団体に寄附をすると、所得税の確定申告で所得控除を受けられます。そのほかにも、例えば国境なき医師団等に代表される「認定NPO法人」に対してした寄附も、同様に所得控除ができます。一方、このような法人への寄附は市県民税の計算において税額控除を受けることもできます。
 ただし、認定NPO法人については、所得税の所得控除は国税庁が認定した法人への寄附が対象になりますが、市県民税の税額控除に関しては都道府県・市区町村の条例で対象の法人を独自に決めています。したがって対象となる法人の範囲が異なっている可能性があるため、確定申告に当たっては注意が必要となります。
 控除の対象になるかどうかは、都道府県・市区町村のホームページで確認できますので、NPO法人に寄附をされる方は、一度確認してみましょう。

加 藤

平成23年6月介護費の医療費控除に関して

 高齢化社会で、介護関連支出が増えてきました。介護費は確定申告することで、原則として年10万円を超える金額を所得から控除でき、所得税を節税することができます。
 例えば介護老人保健施設を利用した場合、支払った金額(介護費、食費、居住費なども含む)の全額が医療費控除の対象となります。特別養護老人ホームを利用した場合では、医療以外の通常の生活費も含まれることから、支払った金額の2分の1が医療費控除の対象となります。通常は発行される領収書に医療費控除の対象となる金額が記載されているため、注意して見て下さい。
 また訪問看護、訪問のリハビリテーションに加え介護予防訪問のリハビリテーション費用も医療費控除の対象となります。
 医療費控除を受けるためにはいずれの場合も領収書を添付する必要があるので、確定申告に備えて領収書の保管をしましょう。

石 崎

平成23年5月子ども手当が廃止されたら?

 平成23年度の子ども手当は、東日本大震災の復興財源優先のため10月以降の支給が不透明になってきました。
 この子ども手当の創設に伴い、今年度の1月から16歳未満の扶養親族に対する扶養控除が廃止され、16歳以上の扶養親族に対する扶養控除の上乗せ部分も廃止されました。子ども手当により収入も増えましたが、扶養控除の廃止により税金の負担も大きくなりました。
 しかし、東日本大震災の復興財源優先のため子ども手当が廃止となった場合はどうなるのでしょう。子ども手当が廃止となった場合、恒久法の児童手当法に基づき自動的に児童手当が復活しますが、児童手当には所得制限があり手当を受けようとする者に一定以上の所得があった場合は支給されません。つまり、手当も支給されず、税金の負担だけ増える方もでてくるのです。子ども手当が支給されている方は、自分の場合はどうなのか所得をもう一度確認されてみるといいですね。

安 井

平成23年5月個人住民税について

 個人事業者や給与所得者など、一定額以上の所得がある方は、お住まいの県及び市町村に県民税及び市町村民税(あわせて「住民税」といいます。)を納付しなければならないことはご存知かと思います。この住民税は、「所得割」と「均等割」の2種類からなっています。所得割については、平成23年度は、平成22年の一年間の所得に対して県民税4%及び市町村民税6%のあわせて10%を納付することになります。均等割については、所得にかかわらず一定の額を納めます(名古屋市にお住まいの場合、愛知県1,500円及び名古屋市3,000円のあわせて年間4,500円)。
 住民税の納付時期については、年金所得のみの方は4月分から翌年2月分までの年金から源泉徴収となり、給与所得のみの方は6月から翌年5月にわたって給与から源泉徴収されます。年金及び給与以外の所得がある方は、6月、8月、10月及び翌年1月の4回に分けて納付することになります(6月一括納付も選択できます。)。源泉徴収となっていない個人事業者の方などは、納め忘れのないように資金繰りにご注意ください。

山 下

平成23年3月地震保険は有効か?

 この3月、確定申告を振り返ると、地震保険控除を適用される方が増えてきました。他方、地震保険は保険料が高い割に、保障が少なく、とても建替えの役には立たないと加入しない方もたくさんいらっしゃいます。
 被害にあった場合、健康面、精神面や収入面で元の状態に回復するまで予定外の出費がかさむことになります。
 私自身、保険金があれば、建替えるまでは出来なくても急場の出費の足しになるのではと割り切って考えるようにしています。もっとも、保険会社の経営努力で保障を大きくしてもらうことを強く要求したいのですが・・・。
 税制面でも数年前より地震保険控除を拡充してきました。今一度、火災保険と地震保険のバランスを見直されてはいかがでしょうか。

木 村

平成23年3月振替納税のお知らせ

 平成22年分の所得税の確定申告をされた方及び消費税の申告をされた個人事業者の方で預貯金口座からの自動振替納税の手続きをされている方は、所得税の振替日は平成23年4月22日(金)、消費税の振替日は4月27日(金)となっておりますので、預貯金の残高をご確認ください。
 所得税には、「毎年5月15日現在において確定している前年分の所得金額や税額などを基に計算した金額(予定納税基準額)が15万円以上である場合、その年の所得税の一部をあらかじめ納付する」という制度がありこれを予定納税といいます。
 予定納税は予定納税基準額の3分の1の金額を第1期(7月1日~7月31日)と第2期(11月1日~11月30日)に納付します。予定納税基準額が15万円以上になる方はその年の6月15日までに所轄の税務署長より書面により通知されますのであわせてご確認ください。

安 井

平成23年3月義援金を支出した場合には…

 今回の震災を受けて、義援金の支出をされた方や、これから支出しようと考えていらっしゃる方々も多いと思います。そこで、義援金に関する税務上の取り扱いについてお伝えします。
 まず、個人の方が義援金を支出した場合、その義援金が「特定寄付金」に該当するときには、寄付金控除の対象となります。この場合、今年中に支出した特定寄付金の額の合計額から2千円を差し引いた金額が、所得の金額から控除されます。ただし、特定寄付金の額の合計額は、所得金額の40%が限度となります。
 ここで、特定寄付金の例を紹介しますと、国や地方公共団体、日本赤十字社の「東北関東大震災」口座、中央共同募金会の「各県の被災者の生活再建のための義援金」に直接寄付した義援金や、報道機関に直接寄付した義援金で最終的に国や地方公共団体に拠出されるものなどが該当します。
 寄付金控除を受けるためには、確定申告書に寄付金控除に関する事項を記載するとともに、郵便振替時の半券(受領証)や領収書などの寄付を証明する書類の添付が必要となりますので、来年の確定申告時まで大切に保管しておいてください。
 また、法人が上記の例のような義援金を支出した場合には、支出額の全額が損金算入の対象になります。寄付金の損金算入の適用を受けるために、確定申告書への記載と領収書などの保存を行ってください。
 被災者の方々の一日も早い復興のために、私達もできる限り協力したいものですね。

山 下

平成23年2月個人事業で車両を売却した場合

 平成22年に個人事業主の方が事業用の車両を売却して売却益が出た場合の確定申告での注意点です。
 期首簿価20万円の車両を40万円(売却までの減価償却費は5万円とします)で売却したとします。この場合、車両の売却益は40万円-(20万円-5万円)=25万円となります。この売却益は固定資産売却益として事業所得に含めると考えがちですが、個人事業主の資産の売却は、譲渡所得になるため、事業所得に含めません。経理上は売却収入と車両の未償却残額を事業主勘定へ振り替えて事業所得の決算から除きます。
 個人の場合、所得(もうけ)の種類によって別々に計算するため、この25万円は譲渡所得(総合課税)として確定申告をします。総合課税の譲渡所得は、譲渡益を限度として最高50万円の特別控除がありますので、このケースだと譲渡所得は0円になります。
 しかも、譲渡があった日において所有期間が5年を超える車両の場合、特別控除後の金額の1/2が譲渡所得の金額となります。事業所得より少し得ですね。

杉 野

平成23年1月子ども手当が増税で消える??

 いよいよ平成23年から、子ども手当の財源として所得税と住民税の扶養控除の一部が廃止されます。改正は、所得税の扶養控除は0歳~15歳は子ども手当の創設に伴い38万円の控除が廃止に、そして16歳~18歳は63万円から38万円に引き下げられるといった内容です。
 この扶養控除の一部廃止によって負担する税額はどのように変わるのでしょうか?
 例えば年間所得が195万円以下の方でも、子ども(15歳以下)1人につき約19,000円の所得税が増税となります。そして、住民税は約33,000円の増税となります。所得税は所得が増えれば適用する税率もだんだん高くなっていく累進税率を採用していますので、課税所得が大きくなれば逆に子ども手当よりも所得税と住民税の増税分が大きくなる場合もあります。
 子ども手当を受給されている方は、今後の増税をあわせて家計予算を組む必要があります。

安 井

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法人経営の話題

令和6年1月賃上げ促進税制の改正

 12月14日に令和6年度の税制改正大綱が決定されました。その中でいわゆる「賃上げ促進税制」について、いくつかの改正が加えられた上で、適用期限が3年延長されています。
 「賃上げ促進税制」とは、前年よりも給与等の支払いが増えた場合に、その増えた分の一部を税額控除として法人税(または所得税)から控除できる制度です。
 大きな改正としては、控除額を計算する際の控除率が、現在の15%から10%に引き下げられ、控除率の上乗せ措置についても改正が加えられます。また、中小企業向けの措置の見直しとして、改正前は控除額を使いきれなかった場合には切り捨てとなっていましたが、改正案では5年間繰り越すことが出来るようになっています。
 繰越控除できるようになれば、これまで制度を使う機会のなかった企業でも減税を受ける機会が増えそうです。今後の改正の動きについて、注目していきます。

青 木

令和5年5月貸付金を放棄すると贈与税が発生する?

 同族会社の場合、オーナー社長は、その経営している法人に対して資金繰りの関係などから資金を貸し付けているケースは多いです。
 貸付金を放棄して法人に債務免除益が計上されても、繰越欠損金との相殺で法人税が課されない場合や、社長の相続対策のためにといった目的で、貸付金を放棄するケースがありますが、これはみなし贈与となり、贈与税が発生することがあります。
 通常、贈与とは財産を渡す側と受け取る側が同意をした上で無償で財産を渡すことをいいますが、みなし贈与とは当人同士は贈与をしたという意識も意図もない行為について、贈与と判断されることをいいます。
 社長が法人に対して債権放棄を行った場合にみなし贈与に該当するのは、株主が複数いる場合です。会社は、債務免除による経済的利益を受けることで株価が増加しますので、株主は、社長から間接的に株式価値の移転を受けたものとみなされるのです。
 ただし、債務免除後も法人が債務超過の状態にあり、株価が0円のままなどの場合には、贈与税の心配はございません。

芦 田

令和4年10月節税と貯蓄

 決算では収益から経費を差引し、利益を計算します。利益が出れば、法人であれば原則として約37%の法人税、住民税、事業税を負担しなければなりません。
 そこで多くの経営者は経費を増やして、利益を少なくし節税を工夫します。100万円の経費を増やせば、約37万円の税負担が減ります。
 しかし、経費は物やサービスの購入ですから、当然お金が出ていきます。やたらと節税ばかりしていると、預金はいつまでたっても増えません。
 経費を使って、将来それ以上の売上になってはね返ってくればいいのですが、“税金を払うくらいなら経費を使ってしまえ”となると売り上げに結びつかない支出となって、節税以上にお金が減って、会社の体力は落ちていきます。
 不安定な経済環境が続いています。いざ経営状況が悪化すると、頼りになるのは貯金です。
 節税と貯蓄のバランスが大切です。

木 村

令和4年3月事業復活支援金の受付開始

 事業復活支援金の受付が1月31日から始まりました。コロナの影響で売上げが下がった個人事業主や中小企業を対象にしています。上限額は、中小企業は250万円、個人事業主は50万円となっています。
 給付対象の要件は、①新型コロナウイルスの影響を受けた事業者、②対象月の売上が基準月より「30%以上50%未満減」か「50%以上減」になったこと、が挙げられています。
 申請はR4年5月31日までですので、要件に当てはまる事業者の方はお早めに申請をご検討いただければと思います。

※対象月…2021年11月~2022年3月のいずれかの月
※基準月…2018年11月~2021年3月の任意の同じ月

堀 木

令和4年2月消耗品大量購入で節税?

 事業に使う消耗品については、1個又は1組で10万円未満なら購入年度で必要経費に出来ます。又、20万円未満の場合には3年間で1/3づつ経費にする特例や、30万円未満なら年間300万円まで購入時に必要経費にする特例があります。
 これらの計算規定は、事業者の節税でよく使われます。しかし、令和4年の改正案では、“貸付け(主要な事業として行われるものを除く)の用に供したものを除外”となっています。
 1基10万円未満や30万円未満の賃貸用ドローンなどを大量購入して経費を作り、税負担を減らす手法を封じるためのようです。
 過度に不自然な節税策は規制されます。節税をうたった勧誘にはご注意下さい。

木 村

令和4年1月給付金申請の準備

 一昨年の最高200万円の持続化給付金に続き、今年もコロナウィルスの影響で経営が厳しくなった事業者に対して、最高250万円の給付金を準備するとのことです。細かい条件は発表まちですが、一昨年の給付金申請で感じたのは、会計帳簿を月々こまめに整備することの重要さです。「前年や前々年と比べて売上が〇〇%減少」などといった条件を確認するためには、事業年度の途中であっても毎月の売上を正確に計算しておく必要があります。
 しかし、決算の時に一年分をまとめて計算する小規模事業者も多いようです。本業に時間をとられて経理は後廻しといった具合です。
 給付金申請も遅れ、また、急ごしらえの帳簿を基にしたのでは、給付金審査にあたっても悪影響が出るのではと思います。
 今年は、会計帳簿の整備に、より時間を割いて申請準備をお願いします。

木 村

令和3年12月所得拡大促進税制が改正されています

 令和3年度税制改正で所得拡大促進税制の改正がされました。令和3年4月1日以降に開始する事業年度から適用されています。
 所得拡大促進税制とは、ざっくり言えば従業員の方に支払うお給料の額を前期より増やした場合、増やした金額の一部を税額控除できる制度です。今回の改正では大企業向けと中小企業向けで制度の内容が変わることになりましたが、中小企業向けの改正では控除を受けられるかどうかの判定が今までよりも簡単になりました。
 改正前は、控除を受けられるかどうかの判定、つまりお給料の額が増えたかどうかの判定に2種類の金額の比較が必要でした。改正後は基本的に従業員の方に支払ったお給料の総額が前期に比べて1.5%以上増えていれば対象になります。控除額については以前と変わらず、増えた金額の15%分になります。(法人税額の20%が限度になります。また、場合によっては上乗せすることも可能です)
 この制度は以前にも改正が行われていますが、改正前の制度は適用要件が非常に複雑なものでした。今回の改正で要件が簡素になり、使いやすい制度になっています。最近取りざたされる賃上げ税制ですが、今後の動きにも注目していきたいですね。

青 木

令和3年10月電子取引データの保存

 2022年1月から改正電子取引制度が開始されます。この制度が開始されると電子データで取引に関する情報をやり取りした場合、今までは紙に印刷して保管することが認められていましたが、電子データのままで保存することが必要になります。電子取引というとあまり馴染みがないかもしれませんが意外に身近になっており、例えばインターネットバンキングでの取引やネット通販などのホームページ上で請求書や領収書を発行する場合なども対象になります。(紙の請求書や領収書が送られてくる場合を除きます)
 では、どのように保存すればよいのでしょうか?法律では細かく定められていますが、一般的なパソコンを利用している場合に問題になりそうなのが、①保存したデータの削除や訂正ができないこと、②取引の年月日、取引金額、取引先で検索できることの2つになります。このために新しくシステムを導入するのは大変ですので、一番手軽なのが、①については訂正削除の防止に関する事務処理規定の備え付けをする(国税庁のHPにひな形があります)②については保存するデータの名前に連番を付け、エクセル等で検索できるような一覧表を作成する(このエクセルファイルも国税庁のHPにひな形があります)、または電子データのファイル名に取引等の年月日、取引金額、取引先を入力するなどの方法があります。
 来年の1月からのスタートです。できるところから準備を始めておかれることをお勧めいたします。

青 木

令和3年9月社長の給料はいくら?

 会社の決算書が出来上ると、併せて次の一年間の役員報酬を決める必要があります。翌期の経営成績や財政状態を予測して、節税も考えながら決めますが、原則として一年間維持することで、必要経費となります。増額、減額、賞与等、変動があれば、その分は経費とは認められなくなります。
 次の一年間、大幅に利益アップが見込める場合、役員報酬を上げて、法人税の節税を考えるケースはよくあります。では、いくらまで上げるのか?
 法人税等の税率は、原則が約37%ですが、中小企業は年800万円までの利益であれば約26%ですみます。 一方、役員個人の所得税、住民税は課税所得金額(給与収入から給与所得控除や基礎控除など各種所得控除を差し引いた、税率を掛ける直前の金額)が900万円を超える部分の所得については所得税、住民税合わせて43%~55%もの高税率で課税され法人税より高くなります。
 役員報酬決定にあたっては、①法人利益が800万円以下、②役員の課税所得金額が900万円以下の2点を目安として検討されてはいかがでしょうか。

木 村

令和3年7月スマホ片手に法人設立

 「法人を設立する」と聞くと、多くの手続きがあって、いくつもの書類をそれぞれの機関へ提出しなければならないような、大変な作業が思い浮かびますが、法人設立ワンストップサービスを利用すると、法務局・税務署・各市町村・年金事務所・ハローワーク・労働基準監督署への提出書類を一括して作成・提出が可能になります。
 この時、必要なものは、代表者のマイナンバーカードとマイナポータルの使用できる環境のみなので、対応するスマートフォンさえあれば、いつでもどこでも手続きができ、窓口時間の制約や、郵送・移動といった手間を省くことができ、法人の設立のハードルが下がりました。
 設立がしやすくなるとはいっても、法人は設立がゴールではないため、メリット・デメリットについては、変わらず慎重に検討して頂きたいと思います。
 同サイト内では、法人設立の手順について、フローチャートや簡単な問診を通じてその都度やらなければならないことの確認もできるなど、検討段階で確認してみるのもよいのではないかと感じています。

塚 本

令和3年6月月次支援金

 月次支援金とは、4月以降の3度目の緊急事態宣言に対応する新しい事業者向けの支援金です。
 概要は以下の通りです。

対 象 月: 4月、5月、6月
給 付 額: 売上の減少額(法人:20万円/月、個人事業者:10万円/月が上限)
要  件: ①緊急事態宣言やまん延防止等重点措置に伴う、飲食店の休業、時短営業、外出自粛等の影響を受けていること
②この影響を受けて、月間売上が2019年又は2020年の同じ月と比べて50%以上減少しているこ

 申請は、1か月ごとにしますので、仮に3か月とも要件を満たせば、最高60万円(個人事業者の場合、最高30万円)の給付が受けられます。
 申請の期限は、4月分、5月分が8月中下旬までとなる見込みで、6月分が8月31日までとなりますので、申請できるかどうかの確認は早めにされるといいでしょう。

家 田

令和2年11月令和2年の年末調整

 今年も年末調整の季節が近づいてきました。今年は税制改正の影響により変更点などがたくさんあります。
 その変更点のうち、まず1つ目は基礎控除額の引き上げです。
所得税の計算においては、去年までは基礎控除額は一律38万円でしたが、今年からは48万円となっています。ただし、所得金額が2,400万円を超えるとその所得金額に応じて控除額が逓減していき2,500万円を超えると0円に変更となりました。
 続いての変更点ですが、給与所得控除額の引き下げです。
給与所得控除とは給与収入から差し引かれるものとなりますが、一律10万円引き下げられ、上限額は220万円から195万円に変更となりました。
 最後に、所得金額調整控除という新たな制度についてです。
上記の変更点などから、影響を受ける人を少なくするために設けられた制度ですが、給与収入が850万円を超える方で一定の要件を満たす方は最大15万円が控除されます。
この制度は、給与と年金の両方の収入がある方にも適用がありますが、年末調整では適用は受けられません。
 その他にも変更点はありますが、所得税や住民税について影響を受けるのは収入の多い方となりそうです。

芦 田

令和2年11月税務調査もデジタル化

 相続税の税務調査に立会って、税務署側から指摘される問題点で最も多いのが家族名義預金です。
 生前のお金の移動状況を確認し、残された家族の名義の口座に入っているお金であっても、実質的には亡くなった人のもので、相続申告をすべき財産に含めるべきではないかといったものです。
 従来、税務当局から疑問のある申告書について、各金融機関に照会文書を送付し、金融機関でも顧客情報等と照らしてその回答書面を返送するといった大変手間と時間のかかる手順を行っていたそうです。
 これが令和3年以降、順次オンラインで照会ができる体制を整えていくとのことです。
 相続申告に限らず、法人税、所得税、消費税の計算上、収入の計上もれなどの調査も、格段にスピードアップが図られることとなります。
 税務署の調査能力は年々パワーアップしつづけています。

木 村

令和2年10月地方法人税の税率が変更されています

 令和元年10月1日以降に開始する事業年度から法人が納める地方法人税や法人県民税、市民税の税率等が変わっています。トータルの税率は同じになるため、税金の負担は原則的に変わりませんが、税金の納付先などが変わることになります。
 具体的には、地方法人税率は4.4%から10.3%へと5.9%引き上げられています。一方法人県民税の法人税割は2.2%、法人市民税は3.7%引き下げられ、合計で5.9%引き下げられています。また、地方法人特別税が廃止されており、代わりに特別法人事業税が創設されていますが、それに伴って法人事業税の税率も変更されています。
 これらの変更は令和元年10月1日に開始する事業年度からの適用ですので、1年決算法人の場合は令和2年9月の決算から適用されることになります。日々税制は変化していきますので、見落とすことの無いよう注意深く業務にあたってまいります。

青 木

令和2年10月持続化給付金の条件

 持続化給付金は、前年同月と比べて、売上が50%以上減少した法人に200万円、個人事業主に100万円支給されています。申請上の注意は、売上が50%減少しただけでなく、この減少原因が、「コロナウィルスによる影響」で「単なる季節変動ではない」ことが条件となっています。
 既に申請に添付が必要な確定申告書を偽造するなどして不正受給者が逮捕されたとの報道も出ています。
 売上減少が「コロナウィルスの影響」なのか、「単なる季節変動」なのか判別が難しいケースもあるかと思います。既に給付を受けた方も、今から申請する方も、給付金の条件を、しっかり認識しておいて下さい。

木 村

令和2年6月新型コロナ関連の助成金は課税される可能性があります

 新型コロナウイルス感染症に関連して、国や地方公共団体から助成金等を受け取った場合、所得税や法人税は課税されるのでしょうか。
 主な助成金等について、例えば愛知県・市町村新型コロナウイルス感染症対策協力金や雇用調整助成金、持続化給付金などは事業収入や益金として所得税や法人税が課税されます。一方、個人の方が受け取る一人当たり10万円の特別定額給付金については非課税となっており、所得税は課税されません。(消費税については、これらの助成金や給付金は課税されません。)
 助成金や給付金という名称ですと課税されないように思われるかもしれませんが、収入計上が必要なものは多くあります。ご注意ください。また、愛知県の新型コロナウイルス感染症対策協力金は6月末ごろが申請期限になっています。対象の方は申請もお忘れないようご注意ください

青 木

令和2年6月コロナウイルス後の経営方針

 振り返れば、牛BSE、鳥インフルエンザ、豚コレラなど感染症によって関連事業者の方は多大な悪影響を受けてきました。
 そして、今回のコロナウイルス。自粛要請で、大半の業種で、経営が大幅に悪化しました。
 各種給付金、助成金や特別融資が用意されましたが、混乱によって申請からお金が届くまで時間がかかり、あてに出来ません。
 災害時に頼りになるのは、手許にある自分のお金。
しかし、事業者の方は、余裕資金があれば、すかさず、全て設備資金や運転資金にあててしまい売上と利益の最大化を目指しがちです。
 感染症のみならず、温暖化による集中豪雨や地震などの災害は、今後も発生するでしょう。
 今後は、いざという時でも、経営を続けられるよう、あえて経営拡大のスピードを抑えて、少しは、資金を温存する経営計画に転換すべきと考えます。

木 村

令和2年5月コロナ緊急融資

 日本政策金融公庫では、「新型コロナウィルス感染症特別貸付」の申込が始まっています。
最近一ヶ月の売上が、前年又は前々年の同期と比べて5%以上減少した事業者に、設備資金、運転資金として最高6,000万円までの緊急融資をしてくれます。
内、3,000万円までの融資利率は、3年間、基準金利より0.9%引き下げられ、更に条件によっては、後日、利子の補給をする旨の検討をしているとのことです。
 コロナウィルスの影響で売上が減少し、資金繰りが圧迫された事業者は緊急融資を検討して下さい。
 但し、過去を振り返ればリーマンショック時、緊急融資を受けたものの、その後売上が回復せず、返済不能となって倒産した会社がたくさんありました。
 借入が出来たとしても、その資金の使い道には、慎重に検討して頂く必要があります。

木 村

令和2年5月コロナの影響による役員報酬の期中減額について

 新型コロナウイルス感染症の影響により、休業や時間短縮などの理由で売上が減少し、役員報酬の減額を検討される会社も少なくないのではないでしょうか。大企業においてはすでに役員報酬の減額を実施している会社もあります。
 役員報酬は利益操作を排除するために、原則として期中に増額・減額の変更をした場合には、その差額分については税務上、費用にすることができません。ただし、一定の事由に該当する場合は除かれます。
 業績悪化に伴って役員報酬を減額する場合の事由を「業績悪化改定事由」といいますが、業績悪化改定事由に該当するには、ちょっと利益状況が芳しくないという程度では認められるものではなく、客観的に会社の経営状況が著しく悪化し、やむを得ず減額せざるを得ない状況をいいます。
 では、新型コロナウイルス感染症による業績の悪化とはどのようなケースなのかが国税庁から例示されていますが、すでに経営悪化が生じていて家賃や従業員への給与の支払いが困難である場合、資金繰りが困難な場合以外に今後の経営状況の著しい悪化が不可避なケースも該当するとしています。
 従って、新型コロナウイルス感染症の影響を受けたことにより業績が悪化し、役員報酬を減額せざるを得ない場合には、期中において役員報酬の減額した場合の差額についても費用とすることが可能です。

芦 田

令和2年4月4月以降の社会保険料

 令和2年4月からいくつかの社会保険関係の変更があります。
まず健康保険についてですが、愛知県の協会けんぽの場合、令和2年3月分から健康保険料の料率は下がり(9.90%→9.88%)、介護保険料の料率は上がっています。(11.63%→11.67%)介護保険第2号被保険者に該当するのは40歳以上64歳までの方ですので、該当の方は社会保険の負担が上昇することになります。
 また、雇用保険についても令和2年3月までは65歳以上の方の雇用保険は免除されていました。4月以降は雇用保険の負担が生じることになります。
 社会保険の変更は源泉所得税の計算にも影響を与えることになります。該当する場合にはご注意ください。

青 木

令和2年3月法人設立ワンストップサービス

 マイナポータルというマイナンバーカードを利用した政府運営のオンラインサービスで、2020年1月20日から、新たに「法人設立ワンストップサービス」が開始されました。これは会社を設立する際の届出を、一度にまとめてインターネットで行うことができるサービスです。
 これまで会社を設立したり、従業員を雇う場合には、税務署や年金事務所、ハローワークなどそれぞれの行政機関ごとに各種の手続きが必要でした。このサービスを利用すると税金に関しては国税・地方税に関する設立届のほか、青色申告の承認申請書や消費税・源泉所得税の届出も可能となります。また、雇用に関しても年金・健康保険・雇用保険・労働保険の届出がオンラインでまとめてできるようになりました。
 さらに、これらに加えて2021年2月からは定款認証や設立登記まで可能となる計画だそうです。ビジネス向けの環境を整え、起業や投資を促す成長戦略として効果が出ることを期待したいと思います。

水 谷

令和2年3月個人経営か法人設立か

 定年退職後、それまでの経験や人脈を生かして、小規模でいいから事業を始めようと考える方は多いと思います。
 個人事業とするか、法人を設立するか、迷うと思いますが、まずは個人事業でスタートすることをおすすめします。
 法人となると設立費用や、毎年均等割という市県民税が最低でも約7万円必要となります。
 それに、法人税申告書は個人の所得税申告書と比べ難易度が高く、会計事務所に頼めば毎年それなりの費用が必要となります。
 さらに、社会保険の加入が必要となり、出費が重なります。
 もちろん、法人として活動することで、信用度が増し業績アップは狙えるといった長所もあります。
 人によって基準は異なると思いますが、私自身は年商1,000万円以下・利益が500万円以下なら個人事業で行った方が費用対効果は高いと考えています。
 会社の設立登記の前に、一度ご相談下さい。

木 村

令和1年12月領収書の印紙税

 10月から消費税が10%になりました。同時にキャッシュレス決済を行った場合のポイント還元事業も開始されています。先日伺ったお客様はクレジットカードの利用が増えたとのこと、キャッシュレス化が進んでいくのか気になるところです。
 ところで、5万円以上の買い物をされた方にレシートや領収書を発行する場合、印紙の貼付が気になるかと思います。現金でお買い物をされた方に発行する場合には印紙の貼付が必要になりますが、クレジットカードで決済された方に発行する場合には、発行する領収書にクレジットカード利用である旨を記載すれば印紙の貼付は必要ありません。一方キャッシュレス決済でもデビットカードやプリペイドカード等で決済を行った場合には5万円以上であれば印紙の貼付が必要になります。
 印紙の貼付が必要になる場合には、消印の押印もお忘れなく!

青 木

令和1年10月年金事務所に死亡届

 個人が年金を受け取っていた場合、年金事務所に年金受給者死亡届を提出しなければなりません。この提出により、年金事務所は年金の支払いを停止します。また、死亡届の提出者に対し、個人に係る年金の源泉徴収票の発行を行います。
 源泉徴収票の発行には、手続きを行ってから2か月以上かかる場合もあります。個人の確定申告をする場合、相続人は原則死亡した日から4か月以内にその申告をしなければなりませんので、手続きが遅れると申告に間に合わないことも考えられます。
 提出期限は、厚生年金が10日以内、国民年金が14日以内です。
 年金受給者が死亡した際に年金事務所に死亡届の提出が必要となることを押さえておくといいでしょう。

家 田

令和1年9月フードバンクへの食品提供

 日本において、まだ食べられるのに廃棄される食品は年間約650万トンと推計されています。これは国民全員が毎日ご飯を茶碗1杯分廃棄する計算になります。一方で、福祉施設や養護施設などでは食事に困っている方々がいます。そこで、フードバンクでは余った食品を廃棄する企業や家庭から受け取り、必要としている方々に橋渡しをする活動をしています。
 国税庁は2018年12月に、企業からフードバンクへの食品の提供は一定の要件を満たす場合、廃棄と同じように全額損金算入を認める旨を発表しました。以前は、寄附金として取扱われ、一部損金算入されず、寄附をするよりも廃棄した方が税金上有利となっていました。
 今回の発表により、企業はフードバンクへの食品提供のハードルが下がっていくものと期待されます。廃棄をしないことによる環境負荷の削減や社会貢献による企業価値の向上などが見込まれるため、食品業界の企業様は十分に検討する価値があるのではないかと思います。

水 谷

令和1年8月名古屋市の企業寄付促進特例税制

 名古屋市では、平成31年3月31日まで法人市民税について5%の減税が行われていましたが、平成31年4月1日から5%の減税は廃止され、その代わりとして企業寄付促進特例税制が2年間の時限措置で創設されています。
  この特例は名古屋市独自のもので、平成31年4月1日から令和3年3月31日までの間に終了する事業年度に、名古屋市や共同募金会などに5,000円以上の寄付を行った場合、寄付金額の69%または法人市民税額の2.5%のどちらか少ない金額まで減免を受けることができる制度です。
 この制度の適用を受けるためには、法人市民税の確定申告書の提出期限までに企業寄付促進特例税制に係る法人の市民税減免申請書を名古屋市に提出する必要があります。
 名古屋市の法人の方で、該当する寄付をされた方は減免申請書の提出をお忘れなく!

青 木

令和1年6月納付書は平成のまま?

 2019年5月1日、新天皇が即位され、元号が変わり令和元年が始まりました。
そこで、改元前に税務署から届いた書類で既にお手許にお持ちのものや、最近お手許に届いたものについて、元号の変更がされず「平成」と表記されているものはどうなるのでしょうか。
 国税庁から公表された「改元に伴う源泉所得税の納付書の記載のしかた」によると、令和が始まった後においても、源泉所得税の納付書において「平成」が印字されたものや、年度欄の記載が「31」のものでも、「平成」や「31」を二重線により抹消したり、「令和」や「1」を追加記載するなどの補正をしていただく必要はないとのことです。
 尚、令和が印字された納付書の交付はまだまだ先になりそうで、10月以降を予定しているそうです。

水 谷

平成31年3月罰金の取り扱い

 障害者雇用の水増し問題について、先日、「官民で対応が異なるのは問題」という声をうけ、民間に合わせ、法定雇用率を満たしていない場合に罰金を科す対象に行政機関を加えることが検討されているとのニュースがありました。
 そこで、民間の場合におけるこの罰金(過料や科料といったもの)は税務上、どのように取り扱われるのかを考えてみました。
 支払者が個人事業主である場合、所得税法では事業主個人の支出として取り扱われるため、事業における経費にすることはできず支払により現金が手元からなくなるのみとなります。
 支払者が法人である場合、科せられた罰金が誰に対するものかによって取り扱いが異なります。
 法人(業務中の役員・従業員)に対して科せられたものを支払ったときは、法人税の計算上、法人の事業経費とはならず除外されるため、こちらも支払により現金が手元からなくなるのみとなります。(役員・従業員が個人的に支払うべきものを法人から支払った場合には、取り扱いが異なります。)
 なお、罰金としては身近な交通反則金ですが、駐車違反などで併せて支払うこととなるレッカー代や車の保管料などは、罰金ではないため、事業経費とすることができるということになっています。

塚 本

平成30年9月扶養控除の注意点

 平成30年も残すところ1/3となり、年末調整・確定申告に向け、扶養控除の適用のため、所得金額の調整を考えるパートタイマーの方や、アルバイトの方もいらっしゃるかと思います。
 これまで、103万円・130万円の壁と言われてきましたが、平成30年については、103万円の壁が、150万円の壁と言われるようになっています。
 昨年までは、Aさんの配偶者の所得(給与所得のみの場合)が103万円以下の場合、Aさんの所得から38万円が控除(配偶者控除)され、配偶者の所得が103万円を超えると、控除額が減っていき、141万円を超えると、控除が0となっていました(配偶者特別控除)。⇒103万円の壁
 対して、平成30年は、配偶者の所得が103万円以下の配偶者控除と、150万円以下の配偶者特別控除でAさんの所得から控除される最大控除額がいずれも、38万円となっています。⇒150万円の壁
 “最大”というのは、昨年までと異なり、Aさんの合計所得に応じて、控除額が逓減していくためです。配偶者の所得だけではなく、Aさんの所得にも影響されるため、給料の調整をお考えの場合は、昨年までとは違った注意が必要です。
 また、この150万円の壁、対象は配偶者のみのため、お子様等の扶養控除については、これまで通り、103万円の壁が目安となりますので、ご注意下さい。

塚 本

平成30年7月所得拡大促進税制が改正されています

 平成30年度税制改正により所得拡大促進税制が改正され、適用要件や控除額等が変わることになりました。
 中小企業者等の場合、前期と当期の各月全てに在籍している従業員(役員の親族等を除きます)への給与支給額を比較し、1.5%以上増加している場合には給与総額の増加額の15%分の税額控除を受けることができるようになります。さらに増加割合が2.5%以上で、教育訓練費が10%以上増加するなどの要件を満たした場合、控除額は最大で増加額の25%となります。
 新しい制度は平成30年4月1日以降開始事業年度から適用されています。賞与の支給によっても適用条件を満たすことはできますので、もう少しで適用が受けられそうな場合などには検討してみても良いかもしれません。ご相談ください。

青 木

平成30年1月扶養親族等の数え方が変わっています

さて、年も明けて平成30年となりました。この1月より、源泉徴収に係る扶養親族等の数え方が変わっています。注意が必要なのは、税制改正があった配偶者の数え方です。

(1)給与所得者本人の平成30年の給与収入の見積額が1,120万円以下の場合
 ①配偶者の平成30年の給与収入の見積額が150万円超
   ・・・0人(配偶者が障害者に該当する場合も含む)
 ②配偶者の平成30年の給与収入の見積額が150万円以下
   ・・・1人(配偶者が障害者に該当する場合で見積額が103万円以下の場合は2人)

(2)給与所得者本人の平成30年の給与収入の見積額が1,120万円超の場合
 ①配偶者の平成30年の給与収入の見積額が103万円超
   ・・・0人(配偶者が障害者に該当する場合も含む)
 ②配偶者の平成30年の給与収入の見積額が103万円以下
   ・・・0人(配偶者が障害者に該当する場合は1人)

 給与から徴収する際の源泉所得税にはご注意下さい。

芦 田

平成29年11月法人契約の生命保険

 会社経営者から生命保険の相談が増えています。
 法人契約で経営者に生命保険を掛け、掛金の一部又は全部を経費にして、法人税の節税を図ろうとするものです。
 しかし、将来、保険期間が満期になるなどして、解約金や保険金収入を入金した時点で、過去に経費にしてきた部分が、一時に収益として計上され、その時は法人税負担が大幅に増えます。
 これを避けるため、役員に高額な退職金を支給し、これを経費とすることで法人税負担を引下げます。
 一方、役員個人は、生前の退職金であれば所得税が発生しますが、大きな退職金控除がありますので、税負担は少なくなります。相続が発生した後の、死亡退職金であれば相続税の対象ですが、今のところ、一定の非課税枠があります。
 これらの税効果を狙って、契約をしようかどうか迷っておられるようです。
 私は、本来、保険は金で安心を買う取引と考えています。金額も大きな買い物です。節税に目が行きがちですが、手許に余裕資金がある状態と、保険料支払いで資金不足の状態を思い浮かべてどちらがいいか比べてみて下さい。本当にその保険は必要でしょうか?

木 村

平成29年11月マイナンバーを意識する時期です

 残り2か月で平成29年も終わります。年末になると、年末調整の手続きの時期となります。そしてマイナンバーを彷彿させる時期でもあります。昨年1月からマイナンバー制度が施行され、少しずつ慣れて来た方も多いかもしれません。このマイナンバーについては、年末調整後に税務署や市町村に提出する源泉徴収票に記載が義務付けられているため、従業員の方などは会社に提出が必要です。昨年は、国が国民に周知徹底するためにテレビCM等を頻繁に放映していましたので、何度も気に掛ける機会があったかと思います。しかし、今年は回数も減って忘れかけている方が多いのではないでしょうか。
 マイナンバー情報は厳格に管理する事が会社には義務付けられていますし、会計事務所も頂いた情報を厳格に管理しております。マイナンバーを税務書類記載する事は義務ですが、一方で記載が無い事に現状罰則等はありません。しかし提出については、なるべくご協力頂けますようお願い致します。

大 見

平成29年9月交際費の特例措置が延長されるかもしれません

 例えば企業が取引先を接待するために飲食をした場合や、取引先にお中元やお歳暮を贈るために支払ったものについては、通常交際費として会計処理をしていきます。交際費については法人税を計算するにあたり、原則は全額経費として認められません。しかし現在特例措置として、大企業では交際費の50%までを税務上経費として、一方中小企業については、交際費の50%までか、年800万円までのいずれか有利な方を税務上経費として認めています。
この措置は現状平成30年3月31日までに開始した事業年度であれば使える事となっていますが、国はこれを2年間延長する方向で検討に入ったようです。延長されたからと言って、バンバン交際費を使う!と言うものでは無いかもしれませんが、延長されれば今後も業績向上のために交際費を上手く活用する事は必要です。

大 見

平成29年8月最低賃金がまた上がる?!

 最低賃金という言葉をお聞きになった事があるかもしれません。最低賃金とは、使用者が労働者に対して最低支払わらなければならない賃金で、地域別・特定産業別に1時間あたりの金額で定められています。ここ数年最低賃金額は上昇し続けており、愛知県では845円となっております。
 先日新聞紙面にも掲載されましたが、平成29年度改定(通常10月頃)では、全国平均で25円引き上げる方針が示されました。愛知県では26円の引き上げが予定され、871円となるかもしれません。今後も使用者負担は増していく事が予測されます。人材の効率化による生産性向上について、これまで以上に追求していく事が重要です。

大 見

平成29年7月厚生年金適用漏れを強化!?

 現在、社会保険に加入している法人や個人事業主の元には、算定基礎届という書類が日本年金機構から届いています。
 ところで、厚生年金については法人と、個人事業主で従業員を5人以上雇用している場合には加入しなければなりません。しかし、実態としては加入していない事業所が多くあります。こうした事態を重く見た厚生労働省と日本年金機構は、3年程前から春と秋の年2回、国税庁から源泉徴収の情報を受取り企業に加入の交渉を進めていますが、今秋をめどに情報を受取る回数を年2回から毎月に強化するようです。
 今後はこれまで以上に厚生年金に未加入の企業対してチェックが厳しくなる事が予想されます。

大 見

平成29年6月役員報酬の定期同額給与の改正

 2017年4月より役員報酬の改正が行われました。
 この改正の内容は、これまでの定期同額給与に加えて、役員報酬の手取り額(源泉税・社会保険料・住民税を控除した後の金額)が同額であっても定期同額給与として損金の額に算入されるというものです。
 手取りを同額にする場合は、控除額が増える時はその分だけ額面が増え、これまでよりも損金算入額が増えることになり、会社としては、多少の節税をすることができるようになります。
 また、受け取る側としては、受け取れる金額があらかじめわかっているので、生活費等のやりくりがしやすいのではないのでしょうか。ただ、支払う側は、逆算をしなければならないので、計算がちょっとややこしくなりますね。

芦 田

平成28年10月厚生年金保険料率が上がっております

 厚生年金保険料率は平成16年10月から平成29年9月まで、毎年9月に引き上げられることになっています。今年もその時期が来たか、とお思いの経営者様も多いのではないでしょうか。一般の被保険者の厚生年金保険料率は、今年の8月まで17.828%だったものが、9月からは18.182%と0.354%上がっております。保険料は労使折半のため、各々0.177%の負担増ですが、たくさんの役職員が在籍する企業ではその金額も莫大となります。
 また、給与をもらう側については、手取りが今までよりも少し減ります。多くの中小企業では給与水準が一気に上がることは珍しいため、毎月少しずつの手取りの減少でも、生活への影響は少なからずあるものと思います。
 将来私たちが貰える公的年金は一層減ることが予想されます。日々の生活は決して楽ではありませんが、税制を利用して公的年金以外の手段(個人年金や確定拠出年金)による運用を検討してみてはいかがでしょうか。

大 見

平成28年5月被災者に対する義援金を支出したときは

 先月九州で発生した地震では熊本県を中心に大きな被害が出ており、被災者に対して義援金をすでに支出したり、これから支出を考えていらっしゃる方も多いと思います。義援金の税務上の取り扱いは、次のとおりです。
 熊本県・大分県の災害対策本部や日本赤十字社の「平成28年熊本地震災害義援金」口座、またはメディア等が募集する義援金で日本赤十字社を通じて被災者に送られるものに支出した場合、個人なら確定申告をすることで2,000円を超える金額が寄付金控除として所得から控除され、法人なら全額が損金に算入されます。
 その際、募金団体が発行する受領証や預り証、もしくは振込票とその振込先口座が義援金専用であることがわかるようなホームページのコピーなどが必要となり、個人の方は確定申告書に添付又は提出の際に提示し、法人の場合は手許で保管して頂くことになりますので、なくさないようにご注意ください。

山 下

平成28年5月企業版ふるさと納税がスタート

 4月20日に地域再生法が一部改正されたことにより、企業版のふるさと納税である地方創生応援税制がスタートしました。これは、個人版とは異なり地自体が提案をして、地域活性化の効果が高いと政府が認めた事業に対して企業が寄付をする制度で、寄付額の約6割分の減税を受けることができます。ただし、とりわけ1件あたりの寄付額が大きくなる企業版で個人のような返礼競争が起きること、不正等につながる可能性が高く、それらを防止するために、寄付に対する補助金交付や自治体による低利融資、入札や許認可での優遇、不合理な低価格による土地の譲渡などを禁止することを決定しました。「寄付」という言葉の意味からすれば、このような見返りは本末転倒です。ただし寄付することで税金は安くなりますので、節税の手段には利用できるのではないでしょうか。

大 見

平成28年5月4月から健康保険の標準報酬月額の上限が引き上げられています

 平成28年4月から健康保険の負担額を計算する基になる標準報酬月額が、これまでの全47等級に3等級追加され全50等級になりました。これに伴い、標準報酬月額の上限もこれまでの月額121万円から139万円に引き上げられており、高額な給与所得者と雇用する会社の負担が増加することとなっています。
 また、傷病手当金の計算方法も変更されています。傷病手当金とは病気などにより会社を連続して3日以上休み、会社からもらう給与が一定額以下となった場合に健康保険から給付される手当金です。これまでは、休む直前の月の給与額の約3分の2が手当金として支給されましたが、改正後は休む前の1年間の給与の平均額の約3分の2が手当金として支給されることになります。
 7月には社会保険関係の申告及び納付手続きが必要になります。資金繰りも含めて今からご準備頂くようお願い致します。

青 木

平成28年4月小企業の設備投資の新たな特例が検討されています

 中小企業者等が新品の機械装置を取得した場合、その固定資産税を3年間半減させる特例が検討されています。
 この特例は、中小企業者等があらかじめ経営力向上計画を策定し国の認定を受けていた場合、その策定した計画に沿って一定の機械装置を取得すれば、その機械装置に課される固定資産税が3年間半減されるというものです。固定資産税は赤字・黒字に関係なく課されるため、赤字であっても軽減の効果を受けることができます。対象となる機械装置は、取得価額が160万円以上のもので、販売開始から10年以内など一定の要件を満たすものですが、取得価額以外の要件については、工業会が確認し証明書を発行するため、納税者が判定を行うことにはならないようです。
 この特例が創設された場合、適用を受けるためには事前に経営力向上計画を策定し、国の認定を受ける必要があります。この特例に限らず、設備投資には様々な特例がありますので、実行される前にぜひご相談ください。

青 木

平成28年2月法人に対する利子割が廃止されています

 平成28年1月以降、法人が受け取る預金等の利子について、利子割の課税が廃止されています。
 この利子割とは、銀行等から預金や公社債の利子等を受け取る際に源泉徴収されていた税率5%の地方税です。利子割という形での徴収は廃止されましたが、その分は法人税割額として法人税の申告時に課税されるため、最終的な税負担は変わりません。ただし、利子等の受取を帳簿に記入する際に、徴収されていた税金を租税公課や仮払税金として受取利息との両建てで記帳していた方は、1月以降の受け取り分から徴収額が変更(20.315%→15.315%)されていますのでご注意ください。

青 木

平成27年12月マイナンバー制度のためのシステム改修費用

 いよいよ来年の1月より、マイナンバー制度の運用が開始されます。法人のマイナンバーや個人のマイナンバーも11月後半ごろから届き始めており、制度の運用開始に向けた対応も佳境を迎えているようです。
 ところで、マイナンバー制度に対応するため、給与計算のシステムなど既存のシステムを改修したり、セキュリティのための新規のシステムやソフトを導入したりした場合、その費用はどのように取り扱われるのでしょうか。ざっくりいうと、制度に対応するため既存のシステムを改修した場合は修繕費として一括で経費計上、新規のシステムやソフトを導入した場合には原則として資産計上することとなります。ただし、新規のシステムやソフトを導入した場合であっても、一定の要件を満たせば、特例により特別償却や税額控除の適用が可能です。大がかりなシステムの改修、導入をお考えの場合には、実際の導入前にぜひご相談ください。

青 木

平成27年11月法人名義でアパート建設

 個人の土地に賃貸建物を建てようとする場合、法人を設立して法人名義としたら、と考える方は多いようです。
 個人の土地に法人名義で建てる場合、借地権について余分な税金がかからないよう“無償返還届”を税務署に提出します。
 家賃収入は法人に入りますので、法人の出資者を子にすることで、金融融資を自動的に子が承継することとなり相続税の節税となります。
 また、他に所得が多い個人の場合、法人へ所得が移る分、所得税・住民税の節税にもなります。子・孫が法人を引き継ぐことにより、何世代にも渡って、長期間、節税効果が得られます。
 ただ、節税効果を得るには長期間かかり、法人の維持費もかかるため、長所だけではありません。
 長所・短所を比較研究してみる価値は十分にあります。是非ご相談を!

木 村

平成27年11月会社の設立と出資者

 多額の不動産所得がある場合、不動産管理会社を設立してその会社に対し毎月管理費を支払うことで、毎年の所得税の節約を図るという手法はよく取られています。
 ここで、会社の出資者は誰にするのが良いのでしょうか。会社には、毎月管理費が入ってきますので、だんだん現金が蓄えられ、それが株式という財産の評価に反映されることになります。ということは、不動産所得のある方ご本人が出資者になってしまうと、不動産に加えて管理会社の株式も相続税の課税対象になってしまいます。
 ですので、出資者をお子様やお孫様など、後継者の方にされることで、毎月の管理費の支払がそのまま資産の移転となり、相続税の節税も図ることが出ます。もちろん、贈与税もかかりません。現在は少ない資本金で会社を設立することができますので、不動産管理会社設立の際には、是非後継者の方の出資を検討してみて下さい。
 ただし、毎月の管理費は管理会社の行う仕事に見合った金額での設定をお願い致します。

山 下

平成27年9月退職者の年末調整と源泉徴収

 社員の方が退職した場合、退職するときにそれまでに支払った給与の年末調整が必要かと思われるかもしれません。しかし、通常は退職時までの給与について、退職した時点では年末調整は行いません。最終に支払う給与についても通常通り源泉徴収を行って支払います。
 ただし、社員の方が死亡により退職した場合は、退職した時点で年末調整を行う必要があります。この場合、年末調整の対象とするのは亡くなる前までに支給の時期が到来した給与です。亡くなった後に支給の時期が到来する給与は相続税の課税対象となるため、所得税が課税されないのでその分については年末調整の計算に含める必要はありません。
 また、退職した方に退職金を支払う場合には、通常の退職であれば退職者の方に在職期間等を記載した「退職所得の受給に関する申告書」を提出してもらい、それをもとに源泉徴収を行います。死亡した方に死亡退職金を支給する場合には相続税の対象となるため、「退職所得の受給に関する申告書」の提出や源泉徴収は必要ありません。

青 木

平成27年8月スキャナ保存で事務所スッキリ!

 決算書、帳簿、請求書、領収書、契約書・・・。事業者が保存しなければならない書類は多くあります。税法上、原則として7年間保存とされており、事業者の大きな負担となっています。
 特に量が多いのが各種契約書、請求書、領収書。以前より税務署に申請することにより、3万円未満の書類についてはスキャナで読み取り、電子保存することが認められていましたが、平成27年9月30日以降の申請より3万円以上の書類も電子保存可能となります。
 書類作成者、スキャナ作業者、検査者を別人にしたり、タイムスタンプ(電子文書作成時刻及び内容が改ざんされていないことを証明)が必要だったりと導入には多少コストをかける必要があります。
 事務所スペースに余裕のない事業者の方は検討してみる価値がありそうです。
 本音をいえば、コストの面でタイムスタンプの条件は今後撤廃してほしいのですが・・・。

木 村

平成27年7月国民健康保険の賦課限度額が引き上げられています

 国民健康保険の賦課限度額が昨年度に続き、2年連続で引き上げられています。国民健康保険については51万円から52万円に、後期高齢者支援金分は16万円から17万円に、介護納付金分は14万円から16万円に引き上げられ、最大で4万円の引き上げとなります。
 ところで、国民健康保険の徴収をされるとき、保険「料」として徴収される自治体と保険「税」として徴収される自治体があるのをご存知でしょうか。これは自治体が国民健康保険に要する費用を国税徴収法に基づき保険料として徴収するか、地方税法に基づき保険税として徴収するかを選択することができるためですが、多くの自治体が地方税法に基づき保険税として徴収しています。保険税とした場合の方が、徴収権の消滅時効が長かったり、過去の滞納分に対して遡及して請求できる期間が長かったりと徴収の上で有利な面が多いため、主に地方の自治体などが多く採用しているようです。
 国民健康保険の通知書や納付書は既にお手元に届いているかと思います。ご納付される際に一度ご覧になってみてはいかがでしょうか。

青 木

平成27年5月社会保険の加入条件が緩和される?

 最近、友人と2016年10月から厚生年金と健康保険の加入対象の条件が変更される(2016年10月)という話がとてもよく出ます。友人は今のままの短期労働だと社会保険の加入対象者になるため雇用先よりお知らせが来たとのことでした。どのように変更されるのでしょうか?
 今現在は厚生年金の加入条件は収入が年間130万を超える場合や週の労働時間が30時間以上(社員の労働時間の3/4を超える)場合は対象となりますが、以下のように変更されます。
 ・週20時間以上の労働
 ・月額8.8万以上(年106万以上)
 ・勤務期間が1年以上を見込む場合
 ・従業員501人以上の企業
 ・学生は適用除外されます。
 1~5をすべて満たす場合とのことです。
この変更により社会保険の加入対象者が新たに400万人増える見込みとのことです。
短時間労働者にとってはとても大きな変更点なので今後どのような働き方をしたいかというのを改正までに今一度考えてみると良いかもしれません。

安 井

平成26年12月国民年金保険料の前納制度をご存知ですか

 先日、国税庁から、2年分の国民年金保険料を前納したときの社会保険料控除の取扱いが公表されました。国民年金保険料の前納制度とは、6ヶ月や1年など一定期間の保険料をまとめて前納することにより、保険料が一定額割引される制度です。平成26年4月から口座振替を利用している場合のみ2年分の前納が可能になりました。平成26年4月に前納制度を利用した場合、2年間で約14,000円の年金保険料が割引されます。
 この2年前納を利用した場合の社会保険料控除ですが、①納めた年に全額控除する ②各年分の保険料に相当する額を各年に控除する のどちらかを選ぶことが出来ます。
 ①の納めた年に全額控除する方法を選んだ場合には、社会保険庁から送られてくる年金控除証明書に記載された金額をそのまま使用します。②の各年分の保険料に相当する額を各年に控除する方法を選んだ場合には、社会保険庁が発行する年金控除証明書に併せて、ご自分で社会保険料控除額内訳明細書を作成し添付する必要があります。(社会保険料控除額内訳明細書は日本年金機構のホームページにも用意されています。

青 木

平成26年11月退職者と年末調整について

 年末調整の対象となる方は、年末まで勤務している人と、退職者のうち①12月に給与の支給を受ける方、②死亡によって退職される方、③著しい心身の障害のために退職される方、④本年中の給与の支給額が103万円以下の方(③④の方については、今年中に再就職の見込みがない場合に限ります。)のどれかに該当する方です。在職者については年末に、上記に該当する退職者については退職時に年末調整を行います。
 退職者のうち、上記に該当しない方については年末調整を行いませんので、退職時までの給与の額を記載した源泉徴収票を交付したうえで、ご本人で再就職先に提出してもらうか、または確定申告を行ってもらってください。

山 下

平成26年11月傷病手当金について

 先日、母が犬の散歩中に足首を複雑骨折し手術のため1ヶ月以上入院をしました。入院中の母にかわり事前に高額医療の申請等の保険関係の手続きをする為色々と問い合わせたところ、親切な健康保険協会の方が長期に会社を休まれるご予定でしたら傷病手当金も申請されてはいかがですか?と教えて下さいました。
 傷病手当金は健康保険の被保険者が病気やけがで会社を休む場合次の条件に当てはまる場合支給されるそうです。
① 業務外の理由による病気やけがの療養のため休むこと。
② 仕事に就くことができない状態であること。
③ 業務外の病気やけがにより連続して3日間休み4日以上(連続した3日を含む)休む場合。
④ 休んでいる期間に給与の支払いがないこと
 1日につき、その方の標準報酬日額の2/3に相当する金額が最長で1年6か月まで支給されます。支給には健康保険傷病手当金支給申請書とその他添付書類が必要となります。
就業中のけが等については労災より支給があるのは知っていましたが、就業外のけがで健康保険協会から支給があるとは全く知らず大変助かりました。
 ちなみに、傷病手当金は失業手当金や育児休業手当金と同じく所得税は非課税となりますので確定申告は不要とのことです。

安 井

平成26年11月アートで節税

 オフィスに飾ってある絵画などの美術品。従来は作者が美術年鑑に掲載されていたり、1点20万円以上の作品は価値が減らないものとして減価償却(事業の経費)できませんでした。
 それが、平成27年1月1日以降は1点100万円未満の作品は原則減価償却(今のところ金属製10年、その他5年)ができることとなる予定です。ただし、古文書、出土品など歴史的価値や希少価値の高いものは従来通り減価償却できません。
 平成27年以降に購入するものだけでなく現在所有している絵画なども減価償却可能とのことでアート好きの経営者にとっては大きな節税のチャンス到来となりそうです。

木 村

平成26年10月保険料はいつまであがるの?

 今年も先月9月より(10月納付分)厚生年金の保険料が改定され引き上げられました。
 私が当事務所に働き始めた約5年前にはすでに毎年上がっていた記憶があります。引き上げられる額は少額でも毎年上がり続ければかなりの負担増となります。保険料はこの先いつまであがるのでしょう?
 厚生年金の保険料は平成16年の改正により平成29年まで保険料率18.3%を上限に毎年0.354%ずつ引き上げられています。(国民年金は月16,900円まで引き上げ予定)その後、平成29年以降は18.3%で固定される予定です。
この引き上げにより、給与月額が30万円の被保険者では月額531円で1年間6,372円の増額となりこれに賞与増加分の保険料を加算すれば負担はさらに大きくなります。給与明細をしっかり確認し家計のやりくりをお願いします。この増額は保険料を折半している会社の負担も同じで大きなものです。経営者は会社負担額を再確認してください。

平成26年10月休眠会社・休眠一般法人の整理作業が告知されています

 法務省から休眠会社・休眠一般法人の整理作業の告知がされています。
休眠会社とは、最後の登記から12年を経過している株式会社のことをいいますが、平成26年11月17日時点で、この休眠会社に該当する会社等は,平成27年1月19日までに登記所に「まだ事業を廃止していない」旨の届出又は役員変更等の登記の申請をしない限り,解散したものとみなされ,登記官に職権で解散の登記をされてしまいます。
 たとえ12年以内に登記事項証明書や代表者の届出印の印鑑証明書の交付を受けていたとしても、届出や登記を行わなければ解散の登記をされてしまいます。該当する会社には登記所から通知が送られてきますので、その通知に必要事項を記入し、登記所に郵送または持参することで「まだ事業を廃止していない」届出を提出したことになります。
 また、特例有限会社の場合は今回の整理作業は関係ありません。
 ご自分の会社をお持ちの方は、この機会に休眠会社に該当していないか、また、役員変更等の登記がきちんとなされているかのご確認をおすすめします。

青 木

平成26年9月法人住民税・法人事業税・地方法人特別税の税率が改正されます

 平成26年度税制改正により、法人住民税、法人事業税、地方法人特別税の税率が改正されました。主な改正点は次の2点です。
①法人市民税・県民税の法人税割の税率が引き下げられ、代わりに地方法人税(国税)が創設されます。
②平成21年度税制改正により、法人事業税から移行された地方法人特別税の一部(約3分の1)が法人事業税へ復元されます。
 改正後の税率は平成26年10月1日以後に開始する事業年度から適用されます。納める税金の合計額は変わりませんが、納める先や税目が変わってくることになります。
 改正後の税率については、愛知県の場合、次のようになっています。

法人住民税・法人事業税・地方法人特別税の税率が改正されます

青 木

平成26年8月法人実効税率の引き下げ

 法人実効税率とは、法人税と法人市民税及び事業税をひっくるめた法人の実質的な税負担率を言いますが、これを現在の34%台(中小法人の軽減税率の適用がない場合)から5年程度の期間で29%台への引き下げが検討されています。
 そしてこのほど、政府は来年度の実効税率を2%程度引き下げる方針を固めたようです。この2年間復興特別法人税で負担が増していただけに、復興増税の1年前倒しでの廃止と併せて景気の底上げが期待されます。
 ただ、税率の引き下げと同時に課税ベースの拡大として、外形標準課税の中小法人への適用も検討されているようです。
 今後の法人課税の動向を注視していきたいですね。

山 下

平成26年8月交際費と寄付金の区別

 会計処理をするときに交際費にするのか、それとも寄付金にするのかで迷ったことはありませんか?そんな間違いやすい交際費と寄付金の違いについて説明します。
 交際費とは、取引先など事業に関係のある会社や個人に対する接待・贈答・供応・慰安などの費用をいい、その相手からの見返りを期待して行われるものです。寄付金とは、お金や物その他経済的利益を贈与したり無償で供与することをいい、事業に直接関係のない相手に対して、その相手からの見返りを期待しないで行われるものです。なので、一般的に寄付金・拠出金・見舞金などと呼ばれるものは寄付金になります。
 税金を計算する際、交際費と寄付金の取り扱いは異なるため、区分を間違えると、税金の金額も変わってしまうので、交際費と寄付金の違いを知っておくと、迷った時に役に立つかもしれません。

上 地

平成26年7月定額小為替をご存知ですか?

 遠方の市役所等へ固定資産の評価証明などを取り寄せる場合、郵便でやり取りして必要な証明書を発行してもらうという方法があります。この場合に、証明書の発行手数料は定額小為替というものを使って支払うことが出来ます。
 定額小為替とは、ゆうちょ銀行・郵便局の郵便窓口で入手できます。1,000円以下の現金(50円、100円、150円、200円、250円、300円、350円、400円、450円、500円、750円、1000円)を定額小為替証書(あらかじめ金額が印刷された金券のようなもの)に換えて送付する送金方法です。この定額小為替証書は発行されてから使用するまでは金計上、現金として取り扱うため、現金で現金を買ったという状況になるので仕訳は不要ですが、発行する際に手数料(1枚につき100円)がかかるので、発行時の仕訳は手数料についてのみとなります。
〈仕訳 発行時〉  支払手数料/現金 ×××(←100円×枚数) 
 なお、この定額小為替を使用した場合には、その使途で勘定科目(仕訳の○○○)が決まります。例えば、定額小為替を使用して切手を購入した場合には通信費、市役所等で証明書を発行した場合には支払手数料となります。
〈仕訳 使用時〉    ○○○/現金 ×××
 定額小為替は使用するまで勘定が分からないので、発行時に手数料以外の仕訳をして、その後使用したときにも仕訳をすると、現金や費用が2重で計上されることになるので注意して下さい。

上 地

平成26年7月外形標準課税とは

 先日、政府税制調査会が、外形標準課税の中小企業への導入を検討しているとのニュースを耳にしました。現在は資本金が1億円を超える法人に対してのみ導入されている制度ですが、そもそも外形標準課税とはどういったものなのでしょうか。
 外形標準課税とは、ざっくり言うと県に納める事業税の計算の方法のひとつで、自治体の行うサービスに対する対価として、法人の行う事業活動の大きさをもとに税額を計算することです。法人の行う事業活動が大きければ、その分自治体からのサービスも受けているため、負担するべき税額も大きくなるという応益負担という考え方に基づいています。そのため、法人の行った事業の成果である利益に応じて税額を計算するのではなく、役員や従業員の数や事業所の大きさ、資本金の額などにより法人の事業活動の大きさを評価し、それにより税額を計算します。事業活動の大きさにより税額を計算するため、赤字の法人であっても一定の税負担が生じることとなります。
 今回の法人税改革案では、ほかにも租税特別措置法による減税の見直しなども検討されているようです。今後の審議をしっかり見守っていきたいですね。

青 木

平成26年6月地主さんが会社を作って節税?

 不動産賃貸業をされてる地主さんが興味を持たれる節税方法に、管理会社の設立があります。
 会社を設立し、不動産の管理を委託することによって、地主さんから会社に管理料を支払うことで、必要経費が増え、所得税・住民税・事業税の引き下げ効果があります。
 一方、管理会社が受け取った管理料収入には、法人税がかかりますから、これを避けるため、役員に給与を払って経費とします。
 この一連の流れの中で注意すべきは、
  ・管理会社が管理料を受け取るだけの実質業務を行っているか
  ・会社の役員は、給与に見合う業務をこなしているか
  を、税務署に資料を示して、説明出来る必要があることです。
 実態のないペーパーカンパニーでは、税務上、否認されます。又、会社を設立し、維持するには、それなりの費用もかかります。本来、節税目的だけで会社を設立するのは好ましくないのですが・・・。会社を設立する前に、まずご相談を。

木 村

平成26年5月地球温暖化対策税の増税

 4月からガソリン価格が高くなったと感じている方が多いと思います。これは、消費税増税と同時に、ガソリン価格に含まれている税金のうち、地球温暖化対策税も増税されたことが原因となっています。
 地球温暖化対策税とは、化石燃料の利用に伴う二酸化炭素の排出抑制や、地球温暖化対策の財源確保を目的として平成24年10月に導入されたもので、全ての化石燃料に対し、CO2の排出量に応じた税率を石油石炭税に上乗せするものです。
 この地球温暖化対策税の増税により、消費者の負担はさらに増えます。エコカーへの関心はますます高くなりそうです。

上 地

平成26年5月軽自動車税の増税

 平成27年4月以降に新車登録する軽自動車について、市町村税である軽自動車税が増税されます。増税額は、自家用の乗用車で7,200円が1.5倍の10,800円に、営業用の軽トラックで3,000円が1.25倍の3,800円などとなっています。
 今回の増税は、軽自動車の性能の向上による普通自動車との価格の是正と、平成27年10月に消費税が10%に引き上げられるとともに自動車取得税が廃止される予定ですので、その税収の減少分を補う目的があるようです。
 自動車取得税が廃止されても、消費税の増税もあいまって軽自動車ユーザーの税負担は減りそうにありませんね。

山 下

平成26年2月復興特別法人税を1年前倒しで廃止へ

 平成24年4月より3年間の予定で始まった復興特別法人税ですが、平成26年の税制改正大綱にはそれを1年前倒しで廃止することが盛り込まれました。これが実現すれば、3月決算法人ならば来月の決算について納める復興特別法人税が最後となります。ただし、税制改正大綱には、今年の10月1日以降開始事業年度からの「地方法人税(法人税額の4.4%)」という新しい税の創設と、法人事業税の増税も織り込まれています。やはりうれしい話ばかりではありませんね。とはいえ、復興特別法人税の創設に合わせて引き下げられた法人税率は、予定通り3年間継続されるようなので、そこは一安心でしょうか。

山 下

平成26年1月領収書の金額の書き方

 4月1日以降、消費税率が8%に上がります。システムの変更や取引先との折衝など皆様ご準備にお忙しいことと思います。その消費税の増税に合わせ、領収書などの「金銭又は有価証券の受取書」の印紙税の免税点が4月1日以降、現行の3万円未満から5万円未満に引き上げられます。
 ところで、領収書や不動産の売買契約書、請負契約書などは、記載されている金額によって納める印紙税の額が決まります。その際、原則的には消費税込の金額で印紙税の額を判断することになるのですが、消費税の課税事業者の方は、金額の記載方法によっては税抜価格で判断することができます。税抜価格で判断するためにはその金額に含まれている消費税額を示す必要があり、具体的には、次のいずれかの方法で記載することとなります。
①消費税額を区分して記載する (例 52,920円(内消費税額等3,920円) )
②税込価格と税抜価格を記載する (例 52,920円(税抜価格49,000円)  )
 例で示したような場合は、税抜価格で判断することとなり、記載された金額が5万円未満となるため、4月1日以降であれば印紙税の納付は必要ないということになります。
 消費税率が8%になれば、納める印紙税の額などに関わる場面も多くなりそうです。一度領収書などの金額の記載方法を見直しておかれることをおすすめします。
 ちなみに、印紙を多く貼りすぎてしまった場合は、5年以内であれば税務署で手続きをすることで還付を受けることができます。印紙を貼った文書、印鑑、振込のための口座の情報をもってお近くの税務署までお出かけください。

青 木

平成26年1月大企業の交際費損金算入の特例

 平成26年度税制改正大綱の中に大企業の交際費損金算入についても盛り込まれました。
 これは消費税増税による景気の落ち込みを緩和するためで、現行では資本金1億円以下の中小企業は交際費を800万円まで経費とすることが認められていますが、資本金1億円以上の大企業の交際費は支払をしても必要経費には認められませんでした。改正案では、大企業も接待で飲食のために支払う費用(その社内の役員・従業員に対する飲食費、社内接待費は含まない)の50%を経費とすることが可能になる予定です。この特例は平成26年4月1から平成28年3月31日までの間に開始する事業年度において適用の予定です。なお、中小企業については現行の特例を2年間延長し大企業の特例と比較し有利な方を選択適用が可能になります。
 夜の街に活気が戻ってきそうです。

安 井

平成25年12月領収書の救世主

 領収書のまとめ方に困っている人にきれいにまとめるコツを提案します。
 まず最初に全ての領収書を内容ごとではなく日付順に並べていきます。(これは出納帳を作成するためのものなので、内容ごとに分けず日付順にしてください。)そのとき、全ての領収書を現金払いのものか預金からのものか区別すると分かりやすいです。
 次に領収書を下のように貼っていきます。このときに注意することは、のりをつける部分と、領収書をきれいにそろえて貼っていくことです(図1)。また、領収書を貼るページに○月現金や○月預金と書くと月ごとにまとめられるため、現金で1ページ、預金で1ページ使うとより分かりやすいでしょう。

領収書の救世主

 それから、領収書のほかに納品書や請求書があると思います。これらは、領収書とは日付がずれていることが多いため、それぞれ穴をあけてひもを通してまとめたり、ファイルを用意してまとめておきます。
領収書は毎日スクラップブックに貼っていけば後で日付順にする必要がないため、手間が省けます。毎日出来なくても1週間や1ヶ月といった区切りで領収書を整頓し、スクラップブックに貼っていくことをおすすめします。

上 地

平成25年11月年末調整の時期到来

 そろそろ生命保険や地震保険の控除証明書や国民年金保険料の控除証明書、借入金残高証明書などのはがきや書類が届きはじめているのではないでしょうか。これらの証明書は、年末調整の際に原本の添付が必要となりますので、なくさないようにしてください。
 ちなみに、年末調整で控除できるのは、扶養控除・配偶者(特別)控除・障害者控除等の扶養に関するものと生命保険・地震保険・社会保険等の保険料に関するもの及び住宅借入金等の特別控除(2年目以降)です。寄付金控除や医療費控除等上記以外の控除を受ける場合及び住宅借入金等の特別控除を初めて受ける場合(1年目)は確定申告が必要です。確定申告の際にも、寄付金や医療費の領収書等の原本の添付(電子申告の場合は保管)が必要ですので、大切に保管をお願いします。

山 下

平成25年11月所得拡大促進税制の拡充が検討されています

 10月1日に決定された「民間投資活性化等のための税制改正大綱」で所得拡大促進税制の適用要件の一部見直しや適用期限の延長が図られています。
 所得拡大促進税制とは、一言でいうと平成25年度から平成28年度までの間に従業員への給与の支払額が増えた場合、その増えた額の10%を税額控除できる制度です。もう少し詳しく説明すると、現行法での適用のための要件は次のようになっています。
 ① 平成24年度の給与総額よりも給与総額が5%以上増加していること
 ② 前年度の給与総額を下回らないこと
 ③ 前年度の平均給与額を下回らないこと
この3つの要件をすべて満たした場合に、平成24年度と比べて増えた額の10%を税額控除できるということになります。
 今回決定された大綱では大きな改正点として、①の給与総額の増加率を、適用当初である平成25年度、26年度は2%に引き下げ、段階的に5%まで引き上げていくようになります。この大綱が国会を通過すれば、適用を受けられるケースも増えそうです。
 実際の適用のためには詳しい判定等が必要になります。適用を受けられそうな場合にはぜひご相談下さい。

青 木

平成25年10月土地重課の停止期限が切れる!

 土地重課制度をおぼえていますか?法人が土地を売却した場合、通常の法人税に、土地売却益の5%又は10%の追加税額を上乗せするというものです。
 もともと土地バブルを抑えるために出来た制度ですが、その後のデフレにより、平成10年1月1日から平成25年12月31日までは、その制度は停止されていました。
 よって、制度の停止期間中は法人が土地売却益を出しても、本業が赤字であったり、繰越損失が売却益以上にあれば、法人税負担は、発生しませんでした。
 この土地重課は、土地売却益から本業の赤字や、繰越損失を控除しないで、単純に、5%又は10%の課税をする制度です。この制度が復活すると、いくら赤字を補うための売却でも、法人税負担が発生してしまい、法人には大きな負担となります。
 今から年末にかけて来年度の税制改正の議論が活発になり、来年3月には決定されることになりますが、この土地重課制度の停止も延長してほしいと思います。

木 村

平成25年10月今年の年末調整

 先日、国税庁より「平成25年の年末調整のしかた」の公表がありました。年末調整の時期にはすこし早いですが、昨年と比較して以下の点が変更されました。
・平成25年1月から給与(賞与も含みます)・退職手当より復興特別所得税が源泉徴収されています。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、源泉徴収される所得税の2.1%の復興特別所得税が所得税と併せて給与より源泉徴収されています。
・給与収入が1,500万円を超える場合の給与所得控除額が定額245万円になりました。
改正前は、1,500万円超える場合 給与収入×5%+170万円でしたが、定額245万円となり
高額給与所得者の給与所得控除が少なくなり、所得税の負担が大きくなります。
・特定役員に対する退職手当等の退職所得を計算する際の退職所得控除を差引いた残額に2分の1する措置が廃止されました。
特定役員とは役員等の勤続年数が5年以下である人のことをいいます。この廃止により退職所得の金額が多くなるため特定役員の退職手当等の所得税の負担が大きくなります。
 景気回復の為、法人に対して復興特別法人税の前倒し廃止や法人税の減税など減税案が出ていますが来年からはいよいよ消費税も増税となると個人の税金の負担も大きくなるので、賃上げや個人の税負担軽減の措置などが次年の税制改正に盛り込まれることを期待したいです。

安 井

平成25年8月印紙税の非課税範囲が拡大されます

 平成26年4月1日以降に作成される「金銭又は有価証券の受取書」に係る印紙税の非課税範囲が拡大されます。「金銭又は有価証券の受取書」とは、例えば領収書やレシートといったような、金銭等を受領した者がその受領事実を証明するために作成し、相手方に交付する書類のことをいいます。現在は記載された受取金額が3万円未満のものが非課税とされていますが、平成26年4月1日以降に作成されるものについては、記載された受取金額が5万円未満のものまで非課税とされることとなります。
 ところで、小売店舗等を経営されている方は、クレジットカードで買い物をしたお客様から要望があった場合に領収書を発行することもあるかと思います。その場合、領収書を発行する時点ではお客様からの金銭等の受領は行われていませんので、その時に発行する領収書にクレジットカード利用であることを明記すれば、非課税範囲を超える金額であったとしても印紙を貼付する必要はありません。ご注意ください。

青 木

平成25年7月源泉所得税について

 源泉所得税の納期の特例を受けている方は、今年の1月分から6月分について(毎月納付の方は6月分について)、今月10日(水)が納付期限となっています。納め忘れのないようにご注意ください。
 また、平成25年より復興特別所得税が始まったことで、源泉徴収税額が変更となっています。賞与については、税率が小数点第三位までと、細かくなっています。今一度今年の源泉徴収税額表をご確認ください。

山 下

平成25年6月住民税の特別徴収

 平成25年度の住民税の特別徴収が、この6月に支払う給与から始まります。市役所から届いた徴収税額の一覧にしたがって、所得税とともに従業員の方の給与から徴収してください。徴収した住民税は、毎月納付の事業者は翌月10日、納期限の特例の適用を受けている方は6月分から11月分までをまとめて12月10日までに納付してください。
 なお、平成24年度の住民税の特別徴収については、最後の5月分(納期特例の場合は12月分から5月分まで)の納付期限が今月6月10日となっていますので、経営者の方は忘れずに納付をお願いします。

山 下

平成25年6月社会保険、労働保険の申告をお忘れなく

 6月1日から労働保険、雇用保険の年度更新の手続き期間が始まります。期間は6月1日から7月10日までとなっており、この期間中に申告書を金融機関又は所轄の労働局及び労働基準監督署に提出して頂き、申告と納付を行う必要があります。  源泉所得税の納期特例の適用を受けている場合には、同じ時期に半年分の源泉所得税の納付が必要な場合もありますので、資金繰りも含めてお早目のご準備をお願い致します。
 また、7月は社会保険料の算定基礎届の提出月にもなっています。4月から6月までの報酬額の平均を基に、今後1年間の社会保険料を決定するための手続きになります。こちらの提出期間は7月1日から7月10日までとなっていますので、この期間中に申告書を所定の年金事務所又は事務センターまでご提出ください。

青 木

平成25年4月法人税率が変更されています

 平成24年4月1日以降に開始する事業年度、つまり年一回の決算法人ならこの3月決算から、法人税率が変更されています。
 普通法人の場合、法人税率は30%から25.5%へと4.5%引き下げられています。ただし、復興特別法人税(法人税額の10%)を加味すると、前期と比較して1.95%の引き下げ率となります。
 また、中小法人は所得800万円までの部分は18%から15%に引き下げられ、復興法人特別税を加味すると16.5%となり、前期との比較で1.5%の引き下げとなります。
 決算の際はご注意ください。

山 下

平成25年4月法人税の交際費損金不算入の特例

 平成25年の税制改正に盛り込まれた法人税の交際費損金不算入の特例が、平成25年4月1日より施行になる見込みです。
 この特例により資本金1億円以下の中小企業の交際費の制限が緩和されることとなります。具体的内容としては、
①損金算入額が年間600万円から800万円まで引き上げられます。
②交際費600万円のうち10%の損金不算入措置が、廃止されます。
つまり、年間800万円までは全額損金として算入できることになります。
交際費は多くの企業が計上している損金なので、その拡大は税負担の軽減も期待できますね。
なお適用時期は、平成25年4月1日から平成26年3月31日までに開始する事業年度とされています。

安 井

平成25年2月自動車取得税がついに廃止?

 自動車取得税について、平成27年4月に予定されている消費税の10%への引き上げに合わせた廃止が、平成25年度の税制改正大綱に盛り込まれました。
 自動車取得税とは、50万円を超える自動車を購入する際に都道府県に支払う地方税です。税額は普通自動車の購入の場合、車種などによって決められた価額の5%となっています。自動車の購入の際にはこれに加えて消費税もかかるため、自動車取得税は消費税との二重課税になっているとの批判が前々からされていました。
 ただし、年間約2,000億円にのぼる自動車取得税の廃止分を補てんする財源はまだ明確になっていないため、今後の動向に注目する必要がありそうです。

加 藤

平成25年2月雇用促進税制の拡充が検討されています

 先日、平成25年税制改正大綱が決定されました。その中に雇用促進税制の拡充として雇用者の数が増加した場合の所得税額の特別控除制度の新設が検討されています。
 制度の概要としては、青色申告書を提出する個人で、その年と前年に離職者がなく、前年と比べて5人以上(常時使用する従業員の数が1,000人以下の場合は2人以上)雇用者が増えるなど一定の要件を満たした場合、その年の所得税額の10%(常時使用する従業員の数が1,000人以下の場合は20%)までその増えた雇用者の数に20万円を乗じた金額の特別控除が出来るというものです。
 今まで、法人税については同様の制度がありましたが、今回の改正で所得税についても同様の制度の新設が検討されているようです。雇用の予定のある個人事業者の方は助成金の活用なども含めて気に留めておいて下さい。

青 木

平成25年1月平成25年1月より源泉所得税額が変わります

 平成25年1月から平成49年12月までの25年間、所得税に加えて復興特別所得税が課されることとなります。復興特別所得税の税額は、所得税額の2.1%です。
 また、年間1,500万円を超える給与収入がある方は、平成25年以降の給与所得控除額が245万円で頭打ちとなるために、所得税額の負担が上昇します。
 これにより、源泉徴収義務者の方は、1月より徴収額が変更になりますのでご注意ください。ただし、納税の手間はこれまでと変わりません。国税庁が発行している平成25年分の源泉徴収税額表は、復興特別所得税額を含んだ額となっていますので、これまでと同じように税額表にしたがって徴収を行い、翌月10日までに(納期限の特例を受けている方は1月から6月までの分を7月10日までに)納めていただければ結構です。
 源泉徴収税額をお間違えのないように注意してください。

山 下

平成24年11月法人の予定納税について

 3月決算の法人は今月(11月)が予定納税の期限となっています。予定納税を行わなければならないのは、前期の決算で確定した法人税の年税額が20万円を超えている場合です。予定納税で納付する金額は、前期の年税額の半分となります。
 ただし、当期前半の業績が前期に比べて振るわなかった場合、仮決算を行い、その仮決算に基づく中間申告書を提出することによって、納付額を減額する(損失の場合は、なくす)ことができます。ですが、仮決算には通常の決算と同様の手間がかかるうえに、仮に当期の決算で今回の予定納税額の還付を受けることとなった場合、金融機関で預けるよりも有利な利子が付きますので、資金繰りの都合上やむを得ない場合を除いて、仮決算によらずに予定納税を行うのがよいかもしれません。
 なお、予定納税又は中間申告も、決算と同様に納付期限までに納付されないと延滞税がかかりますので、ご注意ください。

山 下

平成24年11月住民税の特別徴収を行っていますか?

 住民税には、自宅に送られた納付書で納付する「普通徴収」のほかにも、給与所得者に対する「特別徴収」の制度があります。そして、会社も個人事業者も給与を支払う際には原則としてこの特別徴収をしなければならないこととなっています。
 特別徴収とは、例えば会社の場合、5月頃までに会社に通知される各従業員の住民税額を、6月から翌年5月までの毎月の給与から天引きして翌月10日までに会社から納めるという方法です。給与からの天引きは従業員の負担を減らすために12回に分けて行いますが、市町村への納付は従業員が9人以下の場合、納期の特例制度を利用することで6か月分をまとめて1度に納付でき、支払の手間を省くことができます。
 給与所得者の住民税については、もともと特別徴収が法律上のルールであるので、税金の徴収にかかるコストを減らすため、そして徴収自体の漏れを防ぐため、厳しく特別徴収のルールを適用して、より確実に税金を徴収してゆくようです。今年まで普通徴収を選択してきた会社では、今年の年末調整を機会に、来年以降の特別徴収の説明を従業員の方へ早めに行っておくとよいと思います。

加 藤

平成24年10月災害用の備蓄品の損金算入時期は?

 いつ来るともわからない東海大地震。いざという時に備えて非常食や懐中電灯、毛布などを購入された方や購入を考えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
 さて、これらを事業所に備え置く場合、経営者の方が気になるのは「いつ損金の額に算入されるのか」ということではないでしょうか。結論から言えば、それは「購入した日」ということになります。非常食や毛布などは消耗品あるいは少額の減価償却資産(一つ10万円未満の場合)に該当しますが、これらは事業の用に供した日に損金算入されます。そして災害用の備蓄品は事業所などに備え置くことで事業の用に供したこととなり、結果として購入日に損金算入されるというわけです。
 備えあれば憂いなし。十分な備えをして、できるだけ被害を最小限にとどめたいものですね。

山 下

平成24年9月領収証のみでなく 納品書、請求書も重要です

 法人や個人事業主の方が支払った経費を決算で計上するためには領収証が必要だということは広く知られています。一般に領収証には金額を中心に表示しているのみで、具体的な取引内容までは書いていないので、税務調査では領収証のみで経費可能かどうか判断をしていません。その領収証のもとになった取引の納品書や請求書で取引の具体的な内容を吟味し、業務に関係あるかどうかというレベルで判断します。
 しかし納品書や請求書は量が多く整理、保管も大変なため、領収証や銀行振込明細のみ残して納品書、請求書は処分してしまうケースも多いようです。税務調査を有利に対応するためにも日付順に整理、保管をお願いします。

木 村

平成24年9月役員報酬の決定は慎重に

 一度定めた役員報酬の改訂は、期首から3か月以内の株主総会行うのが通常です。しかし減額する場合には業績悪化による改訂がルール上可能となっています。ただし、「経営の状況が著しく悪化したこと」が前提となっており、例えば業績が前年実績を下回った場合や、資金繰りの都合から減額した場合には、それだけでは著しい悪化があったとは認められないとされています。前例としては、経常利益が前年比で6%減少した場合に、著しい悪化とは認めなかった裁決が公表されています(平成23年1月25日裁決)。
 経営状況の著しい悪化に該当するかどうかは具体的基準がなく、事例によって個別に判断されるので、改訂にはたいへん慎重な姿勢が求められます。あとになって税務署に認められないと税額も大きく変わってしまうので、できれば次の決算後の株主総会まで減額を見送るのが無難といえそうです。

加 藤

平成24年9月給与に変動があった場合の社会保険手続き

 事業主の方は原則として、毎年1回7月1日現在の従業員の方で社会保険の被保険者の月額算定届を提出する必要があります。これは社会保険の保険料を算定するための基礎となる標準月額報酬をあらたに決定し直すためです。この月額報酬はその年の4月~6月の3ケ月を対象として計算されますが、それ以外の時期に毎月の給与が大きく変動した場合はどのように届出すればよいのでしょうか?
 その場合は月額変更届けを提出します。月額変更届は以下の条件を満たす場合に提出されます。

給与の変動(昇給又は減給)があること。
その変動が3ケ月以上継続し、月額算定届で届け出た標準月額報酬と比較し2等級以上の差があること。
月に17日以上の支払日数があること。

 上記の3つを満たす場合は月額変更届けを提出します。届出だけで特に添付書類等は必要ありませんが、大きく月額報酬が下がる場合には(具体的には5等級以上下がる場合)届出の他に賃金台帳のコピーと出勤簿の添付書類が必要になります。対象者が役員だった場合は源泉徴収簿など毎月の給与の分かるものと役員給与改定を定めた議事録などのコピーの添付が必要となります。保険料の徴収もれを防ぐため?大きく下がった場合はその事が分かる書類を提出するのですね。該当する場合は提出の際ご注意ください。

安 井

平成24年9月印紙税の納付忘れにご注意ください

 印紙税とは、契約書や領収書などの取引等に関連して作成される文書に対して課される税金です。この印紙税は文書の作成時に印紙を貼り付け、消印を押すことで納付しますので、通常は申告等を行いません。そのため、貼り忘れ等の不納付のある場合には、罰則が科せられています。
 例えば、調査等で税務署の職員から貼り忘れを指摘された場合、原則として本来の納付額の3倍の税金を納めることになります。この時支払う税金は過怠税という税金になり、全額損金になりません。自分で貼り忘れに気づき、申出た場合には1.1倍の過怠税で済みますが、やはりこちらも全額損金にはなりません。
 経済活動を行う上で文書の作成は避けて通れません。高額な取引では印紙税の額も高額になりますので、十分にご注意ください。

青 木

平成24年8月貸倒損失が計上できる場合(法人税)

 法人税法上、貸倒損失が計上できる(または、計上する)主な場合とその条件等は以下の通りです。

  • 金銭債権が切り捨てられた場合(強制)
     民事再生法等の規定による場合や債権者等の協議による場合、又は書面により債務免除した場合(債務者に資力がある場合を除く。)には、その事実が生じた事業年度に計上します。
  • 金銭債権の全額が回収不能となった場合(任意)
     債務者の支払能力等から「全額」回収不能が明らかとなったときは、その明らかとなった事業年度に計上できます。ただし、担保物がある場合には、その担保物の処分後でなければ計上できません。
  • 継続的な取引停止後1年以上経過した場合(任意)
     最後の取引や弁済等のうち最も遅い時から1年経過した場合に、その経過した事業年度に計上できます。ただし、対象となるのは売掛債権のみで、貸付金等は含みません。また、担保物がある場合は計上できません。さらに、備忘価額(1円)を残さなければなりません。

 このように、貸倒損失の計上には厳しい条件があり、代金が回収できなくても条件が整うまでは一旦税負担が発生します。そのため、取引相手の支払能力等には注意が必要です。

山 下

平成24年7月貸倒引当金制度の改正について(法人税)

 貸倒引当金の計上額のうち一定額を損金に算入できる法人が、主に中小法人(期末資本金1億円以下の法人で、一定の要件を満たすもの。)に限定されることとなりました。これにより、制度の適用がなくなる法人は、段階的な縮小を経てからの廃止となります。
 具体的には、平成24年4月1日から平成25年3月31日の間に開始する事業年度は、従来の損金算入限度額の3/4までが損金に算入され、その後1年ごとに2/4、1/4と縮小されて、平成27年4月1日以降開始する事業年度から一切の損金算入が認められなくなります。
 制度の適用対象外とされた法人は、今後貸倒引当金の計上について注意が必要です。

山 下

平成24年6月法人が行う寄付金の損金算入限度額が変更になりました

 一般寄付金の損金算入限度額が、下記の通り従来の半分に減額されました。その一方で、一般寄付金について減額された分だけ、特定公益増進法人に対する寄付金の損金算入限度額が増額されています。今回の改正は、社会福祉法人や認定特定NPOなど、特定公益増進法人への寄付を誘導する目的があるものと思われます。なお、寄付先が特定公益増進法人に該当するかどうかは、寄付の領収書等でご確認ください。この改正が適用されるのは、平成24年4月1日以降に開始する事業年度からになります。

法人が行う寄付金の損金算入限度額が変更になりました

山 下

平成24年6月1人当たり5,000円以下の飲食代

 交際費は、取引等を円滑に進めるために払う飲食代等を指しますが、その損金算入には制限が設けられています。中小企業(資本金1億円以下の法人)の場合には、年600万円までは90%を損金にすることができますが、600万円を超えた部分は損金になりません。
 ただし、取引先等との飲食代でも、飲食店1軒の支払につき、その支払金額を参加人数で割った金額が1人当たり5,000円以下になる場合、その金額は交際費に含めないで会議費とすることができます。その場合には、その支払金額の全額を損金にすることができます。この判定は、飲食店1軒への支払いごとに判定するので、2次会などで何軒かのお店をハシゴしたような場合でも、1軒ごとの支払金額で判定します。
 ただし、この規定を使うには次の項目を記載した書類を保存しておかなければなりません
①飲食のあった年月日 
②飲食等に参加した得意先、仕入先等の氏名又は名称及びその関係 
③飲食等に参加した者の数 
④その費用の金額、飲食店、料理店等の名称及びその所在地
 通常は領収書に①と④の項目が記載されていますので、領収書の裏面等に②、③の項目を記載し保存しておくことが多いようです。これらの記載がないと交際費となってしまいますので、領収書をもらったらその日の内に書いておかれることをお勧めします。

青 木

平成24年5月法人の青色欠損金の繰越控除制度が改正されました

 改正点は次の2点です。
 一点目は、繰越控除期間がこれまでの7年から9年に延長されたことです。この規定が適用されるのは平成20年4月1日以降に生じた青色欠損金となりますので、実際にメリットが受けられるのは平成28年4月1日以降に終了する事業年度からになります。
 二点目は、大法人は青色欠損金の繰越控除が、繰越控除前の所得の80%に制限されることです。この規定が適用されるのは平成24年4月1日以降に開始する事業年度からです。大法人とは主に資本金1億円超の法人をいいますので、株主が個人のみの資本金1億円以下の法人にはこの改正の適用はありません。
 大法人以外の法人は繰越控除期間が延長されたのみとなりますので、うれしい限りですね。

山 下

平成24年4月法人税率が引き下げられます

 平成24年4月1日以降に開始する事業年度から、法人税率が引き下げられることになりました。期間は3年間(平成27年3月31日までに開始する事業年度まで)です。
 普通法人の場合、現行の30%から25.5%へと4.5%引き下げられます。ただし、同じく平成24年4月1日からの3年間は復興特別法人税(法人税額の10%)が上乗せされますので、実際には28.05%の負担率となり、現行と比較すると1.95%の引き下げ率となります。
 同様に、中小法人は現在、所得800万円までの部分は18%の税率となっていますが、これが15%に引き下げられ、復興法人特別税を加味すると16.5%となり、現行との比較で1.5%の引き下げとなります。
 今回の税率の引き下げは消費税の増税をにらんでのことですが、経済の活性化につなげることはできるのでしょうか。

山 下

平成24年4月欠損金の繰越控除制度が見直されています

 昨年12月に公布された法人税の改正の中で、青色申告書を提出した事業年度の欠損金等の繰越期間の延長がされました。
 改正前の制度では、青色申告書を提出した事業年度に欠損金が生じた場合、その欠損金を7年間繰り越すことができましたが、改正後の制度では、9年間繰り越すことが可能になります。ただし、欠損金の繰越控除(青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除制度及び災害による損失金の繰越控除制度)の適用を受ける条件として、欠損が生じた事業年度の帳簿書類を保存することが追加されました。
 この改正が適用されるのは平成20年4月1日以後に終了した事業年度に生じた欠損金です。この改正が適用される事業年度に欠損金が生じた場合には、必ず帳簿書類の保存をされるよう、お願い致します。

青 木

平成24年2月平成24年度より復興増税が始まります

 昨年12月に復興財源確保法が施行され、平成24年度より順次法人税と所得税の増税が実施されることになりました。
 法人に対しては、平成24年4月1日から平成27年3月31日までの3年間、基準法人税額(所得税額控除などの適用前の法人税額)の10%が、復興特別法人税として本来の法人税額に上乗せされるかたちで課税されます。
 また個人に対しては、平成25年からの25年間、所得税額の2.1%が本来の所得税額に上乗せされて課税されます。
 政府は、復興増税により5,305億円の税収の増加を見込んでおり、この増加分が復興のために使われていることを明らかにするため、平成24年度より復興特別会計を創設し、一般会計と区別して復興庁に管理させるようです。
 増税を実施するからには、スピード感を持って復興にあたってほしいものですね。

山 下

平成23年10月街路灯で自社アピール

 野球場などの施設に名称をつける権利である命名権の売買が活発になってきました。ここ東海地方では昨年名古屋市が売り出した歩道橋の命名権が有名です。その名古屋市では今秋に5万本の街路灯の命名権が新たに売り出されるそうですが、いざ命名権を取得した際にはどう会計処理すべきでしょうか。
 一般的に命名権は年間対価と期間を取り決めて取引されます。そして、取得者である会社やその商品のアピールの一環として利用されることから、広告宣伝費として処理することになります。1年限りよりも2年以上にわたって契約がなされることが多いようですが、当初に一括払いした場合でも、期間の経過に応じて費用とすることとなります。
 街路灯の例では電気代相当額で命名権を手に入れられるそうです。自社の宣伝をしながら地域の安全にも貢献!検討の価値はありそうです。

加 藤

平成23年9月退職金を支払う場合には・・・

 退職者の方に退職金を支払う場合、税務上どのような手続きが必要になるのでしょうか?
 まず、退職者の方から「退職所得の受給に関する申告書」の提出を受ける必要があります。 退職金は、給与と同じように源泉徴収の必要がありますが、もしこの申告書の提出を受けなかった場合には、支給額に対し一律20%の税率で源泉徴収します。申告書の提出を受けた場合には、まずその申告書に記載された勤続年数等に基づき、退職所得控除額を計算します。その後、退職金の支給額から退職所得控除額を引いて退職所得金額を計算し、税率を掛けて源泉徴収の額を計算することになりますが、退職所得控除額があるため、源泉徴収額が0となり、源泉徴収されないこともあります。
 もし、退職者の方が亡くなったために死亡退職金を支払うのであれば、その退職金は相続財産となり、相続税が課税されます。よって源泉徴収は不要ですし、源泉徴収票についても、退職所得の分は必要ありません。

青 木

平成23年8月マイカー通勤手当の課税強化

 今年度の税制改正は、私たちの通勤手当にも少なからず影響を与えそうです。
 これまで電車等を利用して通勤していた方は、運賃分の通勤手当が給与とならずに非課税とされていました。一方でマイカー通勤の方には距離に応じて決められた上限の範囲内で手当を支給しますが、もしも電車等を利用した場合の運賃相当額の方が大きければ、その額までは非課税枠に上乗せできることになっていました。
 ところが今回の改正では24年1月1日以降の支給分についてこの上乗せ措置が廃止されることとなったので、
    ・電車等は定期券などの購入額までが非課税、
    ・マイカーについてはガソリン負担額までが非課税、
となり、ともに通勤にかかった実費が限度額となりました。
 ガソリン代でなく公共運賃相当額の方を基準にマイカー通勤手当を支給している会社は一度、現在支給している額が通勤距離による上限の範囲内となっているか調べてみる必要がありそうです。

加 藤

平成23年6月防災用品購入は必要経費か?

 震災関連情報が連日報道されるなか、災害対策の見直しとして防災用品の買い出しに出ようという方も少なくないと思います。ところで会社でこれらを一括して用意した場合、費用を一気に損金にできるのでしょうか。
 通常、防災用品は器具等として減価償却の対象になります。しかしヘルメット等の単品はもちろん、防災セットとして揃えても通常少額(一組10万円未満)にとどまることから、これらは少額減価償却資産として「事業の用に供したとき」に全額必要経費にできることになっています。そして「事業の用に供したとき」とは、通常は使用したときを言いますが、防災用品は万一に備えるためのものなので、購入して備え付けたときに事業の用に供したとみて、必要経費にできることになるのです。
 なお、非常用食料品や電池等についても同様に、備えたときに必要経費にできることとされています。
 節税しながら地震対策! 一度ご検討ください。

加 藤

平成23年6月中古車で節税!

 「今期は利益があがりそうなので車を買って節税しようかな」というのはよくある話です。新品の普通車は耐用年数が6年。つまり、6年かけて少しずつ経費にしていきます。それも期中に買えば、決算月までの月数按分が必要で、買った年の減価償却費はほんのわずか。購入代金としてお金はしっかり払ったのに税金はあまり下がりません。
 ところが、新車登録から3年10カ月以上経過した中古普通車を買うと、定率法では中古見積耐用年数はなんと“2年”!購入金額は備忘価額1円を残し、たった2年で全額経費となります。これは節税に使えますね。ただし程度のいい中古車でないと修理代の方が高くついてしまいますので要注意。

木 村

平成23年6月会社名義の自宅

 会社の役員が住宅を購入する際、通常は役員個人として購入しますが、会社の資金で購入し、役員に貸し付けるという形をとることもできます。
 会社で購入した場合には、その建物の減価償却費、借入金の利子、不動産取得税、固定資産税などの各種の税金、また、将来的に生じる修繕費等の費用を会社の経費とすることが出来ます。ただし、役員は税法で定められた以上の家賃を支払う必要があり、その家賃は会社の収益に計上しなければなりません。金額が少なかったり、払わなかったりした場合、役員に対する給与として法人税や所得税が余分に課税されることもありますのでご注意ください。

青 木

平成23年3月被災者へ自社製品を無償提供した場合には・・・

 災害の支援のため、街頭で義援金を募る声が良く聞かれます。個人の方では災害支援といえば、義援金やボランティアが主な手段になるかと思いますが、法人の場合には、自社製品の無償提供をするということも考えられます。その場合、その無償提供のための費用はどうなるのでしょうか。
 通常、法人が自社製品を無償で提供した場合には、広告宣伝目的等の場合を除き、寄附金に該当することになります。寄附金は損金算入の額に制限が設けられているため、一部が損金の額に算入されないことがあります。しかし、今回のような被災者の方に対する支援の場合には、人道的な見地から行われているものですので、損金算入に制限のある寄附金にすることはせず、全額を損金の額に算入することが出来ます。(物品提供だけでなく、被災者のかたにサービス提供をした場合でも、同様の取扱となります)。

青 木

平成23年1月雇用促進税制の新設が検討されています

 長引く不況による雇用情勢の悪化からか、今回の税制改正の案には雇用促進制度として2つの制度の新設が検討されています。
 そのうちのひとつ、税額控除制度は青色申告法人で公共職業安定所に雇用促進計画の届出を行った法人を対象に、雇用保険一般被保険者(週20時間以上労働し、31日以上の連続した雇用が見込まれる人をいい、条件を満たせばアルバイト等の非正規雇用者も含まれます)が 前年度より①10%以上増加、かつ②5人以上増加(中小企業者等の場合、2人以上増加)した場合にその増加した人数に20万円を掛けた金額まで法人税額の控除をするというものです。(ただし、法人税額の10%(中小企業者等は20%)までを限度とします)
 もし、この改正案が成立すれば、平成23年4月1日以降開始の事業年度より適用されます。またこの他にも助成金などの制度もありますので、雇用の予定のある事業者の方は心にとどめておいて下さい。

青 木

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消費税の話題

令和5年11月ETCのインボイス対応

 高速道路料金の支払いについて、ETCを利用されている方も多くいらっしゃるかと思います。そのETCの支払いについて、ETCクレジットカードを使っている方は10月から始まったインボイス制度に対応するために注意が必要です。
 クレジットカードを利用して支払う場合、カード会社から利用明細書が届きますが、このカード会社からの利用明細書はインボイスに対応していません。そのため、ETCの利用分についてはウェブ上で「ETC利用照会サービス」に登録し、「利用証明書」をダウンロードする必要があります。
 この利用証明書は本来、利用した分すべてをダウンロードする必要があります。ただし、高速道路を多く利用する場合など、すべての利用証明書を保存することが困難な場合には、高速道路会社ごとに1回分のみの保存で済ませることも出来ます。その場合には、クレジットカード会社から送られてくる利用明細書と、高速道路会社等ごとに保存した利用証明書(任意の1回分)を併せて保存しておく必要があります。この任意の1回分については毎月取り直したりする必要はありませんが、高速道路会社ごとに1回は保存が必要なため、普段使わないような高速道路会社の区間を通った場合には、改めて取り直す必要があります。

青 木

令和5年9月一方的な通告は独禁法違反の恐れあり

 インボイス制度の導入にあたって、一部の事業者が取引先に対し免税事業者のままであるなら、価格を消費税分引き下げると一方的に通告し、独占禁止法違反に該当するとして公正取引委員会から注意されたことが話題になりました。
 公正取引委員会では、取引上優位な事業者が免税事業者であることを理由として、取引先に対し次のような行為をした場合、独占禁止法等で問題になると注意喚起しています。
 ①値下げの強要、②商品等の受取拒否、③一方的な取引の停止、④登録事業者となることの強制。取引価格を維持する条件として⑤別途の費用負担の要求・⑥物品等の購入要求をすること。
 取引上優位な事業者が行う行為が問題とされ、上記行為が全て違法となるわけではありませんが、インボイス制度開始にあたって条件変更が必要な場合は、消費税分の値下げ一辺倒ではなく、インボイス制度の経過措置・昨今の物価上昇等の現状を踏まえたうえで協議することが求められています。

塚 本

令和4年6月ようやく、インボイス制度説明会

 消費税インボイス制度が令和5年10月からスタートします。影響を受ける消費税免税事業者にお会いする度、次のような説明をさせて頂いておりますが、大半の方が“初耳”といった状況です。

      
  • 消費税計算のしくみと申告方法、納税時期
  •   
  • インボイス制度の内容と手続き
  •   
  • インボイスナンバーを取得した後の税負担
  •   
  • インボイスナンバーを取得しなかった場合の長所・短所

 いままで消費税申告の意識がなかった方に、正しく理解して頂くのは、1回の説明では困難です。
 国税庁ではオンラインで5月下旬より、各税務署では7月より説明会を始めます。(遅すぎますヨ!)現在免税事業者の方にとって大切な影響があります。国をあてにしないで、早目の情報収集と準備をおすすめします。

木 村

令和4年3月インボイスと振込手数料

 代金の支払いを受ける際、請求金額から振込手数料が差し引かれて振り込まれることがあります。この場合、振込手数料分の値引きとして売上を差し引くか、差額分を振込手数料として経費計上する処理がされますが、令和5年10月から始まるインボイス制度の下では、単純にこのような処理をするだけでは済まなくなります。
 インボイス制度の下では、値引き処理をするのであれば、値引きをしたことにより受け取る消費税の額が減少する証明として、適格“返還”請求書(返還インボイス)の発行を行う必要があり、振込手数料として経費計上をするのであれば、支払い主がもつ金融機関発行のインボイスを取得する(ATMでの支払いはインボイス交付義務がないので、ATMからの支払いであること先方に確認して帳簿に記載する)必要が生じます。
 この点、インボイスとしての必要事項が記載された契約書に振込手数料の金額、税率等が記載されていれば、振り込まれた際の面倒はありません。契約の時点や請求の時点で振込手数料の負担について明確に指定しておく必要がありそうです。

塚 本

令和4年1月農業で収入あり!インボイス制度はどうしたらいいの?

 農協を通して野菜の販売をしている農家の方は、適格請求書の発行が免除されています。インボイス制度の特例で、農協が適格請求書に代わる書類を発行してくれますので、野菜を購入したレストランなどの事業者は、その書類を保存することで仕入税額控除を受けることができます。(※農家の方が免税事業者の場合には、これまでどおり、消費税を納める必要はありません。)
 では、農家の方が、直接レストランに野菜を販売した場合にはどうなるのでしょうか。この場合は、免税事業者の農家の方は適格請求書を発行することができませんので、レストランでは仕入税額控除を受けることができず、消費税の負担が増えてしまいます。
 農協から野菜を購入するよりも、価格が安いからと地元の農家さんから直接購入していたレストランも、R5年10月のインボイス制度開始以降は、「仕入税額控除ができるから農協から購入しよう」、という意見が出てくるかもしれません。
 免税事業者のままでいくか、適格請求書を発行して消費税を負担するか、比較検討をお願いします。

堀 木

令和3年12月適格請求書発行事業者に登録しなくてもいい人とは?

 令和5年10月1日からインボイス制度が開始されます。今年の10月1日から適格請求書発行事業者となるための申請も開始されました。インボイス制度って何だろう?適格請求書発行事業者に登録しないといけないの?もう少し周りの様子を見てから決めようかな、と悩んでいる事業者の方も多いのではないでしょうか。

 適格請求書の発行ができないと、困るのは取引相手、つまり売上先です。インボイス制度は「適格請求書を保存しなければ消費税の仕入税額控除を受けることができない」というルールになっていますので、売上先に対して適格請求書を発行しない場合には、売上先で仕入税額控除ができなくなってしまいます。

 裏を返せば、「仕入税額控除がそもそも問題とならない人」、「消費税の計算をしない人」に対してばかり売上げがある事業者の方は、適格請求書を発行する必要はありません。つまり、売上先が一般の消費者や、免税事業者である場合です。一般の消費者に対して売上げがある美容院や、街角の八百屋さんは、適格請求書発行事業者の登録をする必要はないということですね。

 インボイス制度について不安に思われている事業者の方に向けて、わかりやすく解説した記事をアップしていきます。ぜひご確認くださいませ。

堀 木

令和3年11月不動産賃貸業と消費税

 不動産賃貸業に関わる消費税は、契約内容等によって取り扱いが変わる、少し複雑な仕組みとなっています。原則的な取り扱いを整理すると次のようになります。
〇家賃、共益費、礼金、敷金・保証金の償却額

  • 賃借人の居住用に貸している場合については、消費税の対象となりません。
  • 賃借人が事業を行うために(店舗や事務所などとして)貸している場合については、消費税の対象になります。

〇駐車場代

  • 消費税の対象になります。

〇土地を貸している場合の地代

  • 地代は、居住用や事業用のような目的を問わず消費税の対象になりません。

 なお例外として、例えば敷金・保証金のうち、居室の修繕のために返還しなかった金額は消費税の対象となりますし、駐車場付きの一軒家を貸していて、駐車場代が家賃に含まれている契約となっている場合には、消費税の対象にならないこととなっています。
 今後、賃貸契約を結ばれる際には、消費税も念頭に置いて、契約書を作成していただければと思います。

塚 本

令和3年9月令和5年10月から開始されるインボイス制度

 売手が買手に対して、どの商品が8%で、どの商品が10%か、それぞれの合計金額と消費税額はいくらか、を伝える請求書などのことをインボイスといいますが、買い物した時にもらうレシートがそのようになっています。
 令和5年10月からは、売手は請求書などの発行時に「適格請求書発行事業者」(消費税の申告書の作成が必要な事業者)の登録番号の記載の追加が必要です。
 買手については、登録番号のある請求書などを7年間保存することで、消費税の申告の計算をする際に仕入税額控除(売上げ時に預かった消費税額から仕入れ時に支払った消費税額を差し引いて消費税の申告の計算をすること)の適用を受けることが出来ます。
 制度の変更により、売手は、請求書や領収書の表現を変更する必要があります。
 手間や費用がかかってくることを考慮に入れておいて下さい。

芦 田

令和3年8月税収トップは消費税

 財務省より、2020年度税収が公表されました。総税収約61兆で、そのうち消費税は約21兆と約1/3を占めています。
 税率を10%に上げたこともあり、基幹税目の所得税、法人税を抜いて消費税がトップとなりました。
 国税当局では、国家予算の大黒柱である消費税を更に強化すべく、調査がやりにくかった、輸出品の免税手続きを電子化することで、課税もれを無くします。
 又、2023年10月からは、インボイス制度を導入します。これにより課税売上1,000万円以下の消費税免税事業者の多くは、消費税納税を覚悟する必要がありそうです。
 新聞やテレビニュースでは滅多に取り上げられませんが、水面下では税収アップの準備が進んでいます。

木 村

令和3年5月適格請求書発行事業者の登録について

 R5年10月1日から開始されるインボイス制度の適格請求書発行事業者の登録申請の受付が今年の10月1日より開始されます。
 インボイス制度とは簡単にいえば、取引内容や消費税率、消費税額などの記載要件を満たした請求書などを発行・保存しておくという制度で、要件を満たした請求書や領収証などを保存しておくことで、仕入れ側は消費税の仕入額控除を受けることができます。
 仕入税額控除を受けるには、適格請求書発行事業者の登録番号の記載がある請求書などであることも要件の1つです。
 適格請求書発行事業者の登録については、課税事業者でも免税事業者でも申請は出来ます。ただし、免税事業者が登録を受けた場合にはR5年10月1日から課税事業者となり納税義務が発生してしまいます。
 免税事業者の方は、取引先相手が主に課税事業者である場合には登録をしないと相手が仕入税額控除が出来なくなりますので、メリットやデメリットを踏まえ登録するかどうかを検討する必要があるでしょう。

芦 田

令和2年1月金地金を利用した不動産投資の消費税還付スキーム封じ

 課税事業者である消費税の申告の計算をする場合、原則的な方法では、売上げの際に預かった消費税から仕入れや経費の支払いの際に支払った消費税を差し引いた差額を納付する仕組みとなっています。
そのため、支払った消費税の金額の方が大きい場合には、還付を受けることが出来ます。
 アパートやマンションなどの居住用賃貸建物を購入した時は、その支払った消費税に含めて計算をすることが可能でしたが、令和2年10月1日以降に購入した1千万円以上の居住用賃貸建物については、それが出来なくなります。
ただし、建物が完成するのが令和2年10月1日以降であっても令和2年3月31日までに契約したものは除かれます。
 住宅家賃は、消費税が非課税であるため、金地金などの売買を繰り返して課税売上を意図的に増加させて、建物の購入にかかった消費税の全額の還付をうけるというスキームを封じるためです。
 これまで還付スキームについては何度も見直しがされ改正が繰り返されており、まるでいたちごっこだなと思いました。

芦 田

令和1年5月消費税増税と軽減税率

 2019年10月には消費税率10%への引き上げが予定されています。同時に飲食料品と新聞については軽減税率が適用されますが、世界各国には様々な軽減税率制度があります。
 例えば、日本で予定されている軽減税率制度と同様、外食については標準税率、テイクアウトは軽減税率とする国の他、嗜好品や贅沢な食料品については標準税率、それ以外の食料品については軽減税率とする国や、食料品や教育、医療などは非課税とする国、何種類もの消費税率がある国など様々です。しかし、軽減税率制度導入には事務手続きの煩雑さや、行政コストの増加、税収の減少など問題点もあります。
 日本の消費税率の現状は、世界の国々と比較すると低い方で、今後増え続ける社会保障費などを賄うためには、さらなる増税の必要性も一部では指摘されています。今後の税制改正には、効率的で持続可能な社会の実現をするための税制改革が進められることと思います。

水 谷

平成30年11月インボイス制度とは?

 安部首相が、来年10月より消費税10%への引き上げを表明したことで、ここ最近、消費税についてのニュースが多かったですね。
 インボイス制度とは、適格請求書等保存方式の略で、消費税の複数税率制度に対応して買い手側が仕入税額控除を受けるための制度のことをいいます。その適格請求書等とは、国税庁の登録を受けた適格請求書等発行事業者である売り手側より交付を受ける請求書等をいいます。
 この適格請求書等発行事業者となるには、事業者自身が登録申請をする必要があり、免税事業者は適格請求書等発行事業者となれません。
 そのため、免税事業者や適格請求書等発行事業者の登録を受けていない課税事業者からの仕入れについては、仕入税額控除ができません。
 インボイス制度は平成35年10月以降からとなりますが、導入後6年間は経過措置が設けられており、導入後3年間は免税事業者等からの仕入れについてはその金額の80%を税額控除の計算の基礎とし、その後3年間は50%となっています。
 まだまだ先の話ですが、この制度により免税事業者も課税事業者も被る負担等がどの程度なのか不安なところです。

芦 田

平成30年10月消費税の増税と軽減税率

 2019年10月1日から消費税率が10%に引き上げられる予定です。同時に軽減税率制度が実施され、飲食料品や新聞については8%のまま据え置かれます。飲食料品の中でも酒類、外食やケータリング等については原則として軽減税率の対象外となります。一方で、テイクアウトや宅配については軽減税率の対象となります。
 標準税率(10%)と軽減税率(8%)の両方の商品を販売する事業者の場合、販売する商品が標準税率か軽減税率かをご確認いただき、複数の税率に対応するためレジ改修等が必要となってきます。また、飲食料品や新聞を取り扱っていない事業者においても、贈答用の食品、会議や接客時の茶菓の購入などは軽減税率の対象となります。そのため、受け取った領収書等をご確認いただき、標準税率と軽減税率の区分経理をする必要が生じることとなります。

水 谷

平成29年8月給与を外注費に偽装で消費税を脱税?

 先日、タイトルのような方法で脱税を行った会社が告発されたとのニュースがありました。なぜ、そのようなことが可能なのでしょうか。消費税は、原則として売上とともに預かった金額から、経費とともに支払った金額を差し引いた残りを納めます。給与には消費税が課税されませんが、外注費には課税されますので、偽装することで差し引く金額を増やし、結果として消費税の納税額を不当に減らしていたというわけです。
 ちなみに、脱税というわけではありませんが、アルバイトなどをした際、給料としてではなく「報酬」として金銭が支給されることがあり、これも業者が消費税の納税額を減らすためにあえてそうしているものと考えられます。
 報酬を受け取った方は1,000万円を超えない限り消費税を納める必要はありませんが、給与所得控除のメリットがないため、給与として支給されたほうが嬉しいですよね。

山 下

平成28年7月消費税率UPの陰に隠れて

 6月1日に、平成29年4月に予定していた消費税率の引上げを再延期することが決定されました。我々会計事務所の中心顧客は中小企業や個人事業主であるため、再延期は正直ホッとしているところです。
 ところで、消費税率のUPばかりが取沙汰されていますが、消費税の簡易課税制度のみなし仕入率が以前、変更となったことを覚えていらっしゃいますか。不動産業について言えば、消費税が課税される売上高に対する事業区分が、原則、平成27年4月1日から開始する事業年度から(個人事業者の場合は平成28年1月1日から)、これまでの第五種から新たに設けられた第六種に変更となっております。これによって、簡易課税制度の適用を受けている不動産業の方は、これまでは預かった消費税の50%を支払った消費税として差引計算して納税していましたが、今後は預かった消費税の40%を支払った消費税として差引計算して納税することとなります。率に換算すると、納税額はこれまでより20%UPすることになります。消費税率UPの陰に隠れて、一部の事業者についてはしっかりと増税がされております。

大 見

平成28年6月消費税の増税延期へ

 来年4月に予定されていた消費税率10%への引き上げは、再度延期されることが濃厚となりました。増税時期は2年半先送りされて平成31年10月になるとみられています。増税による景気悪化が懸念されていたので、ほっとされた方も多いのではないかと思います。
 2年前に消費税率が5%から8%に引き上げられた際にも、値札の付け替え作業などの膨大な手間に泣かされたのに、今回はさらに軽減税率の導入も検討されていたわけですから、予定どおり増税が行われていたら大きな混乱を招いていたかもしれません。
 かといって、あくまでも消費税の増税が延期になっただけですので、いずれ訪れる増税に向けて、心積りだけはしておかないといけませんね。

山 下

平成28年3月住宅の新築・購入を考える時期です

 平成29年4月から、消費税率の引き上げが予定されています。また、ご存知のようにマイナス金利導入により預金金利はもちろん、住宅ローンをはじめとした融資金利も一層低下しています。住宅の取得について借入れをした場合、一定の条件を満たせば税額を控除してもらえる住宅借入金等特別控除を受けることもできます。現在の消費税率の時に低い金利で、なおかつ税制上のメリットも活用して住宅を新築や購入をすれば、将来の負担軽減を図ることができ、豊かなライフプランを描けるのではないでしょうか。お考えの方は是非今の時期にご検討下さい。

大 見

平成28年2月軽減税率の怖さ

 平成29年4月からの消費税率10%引き上げが近づいています。酒以外の飲食料品や一部の新聞については8%の税率とすることとなりました。
 ピザを例にすると、レストランで食べれば外食ですから10%、宅配なら食料品の購入として8%です。味も値段もそれほど違いがないとしたら、宅配を選択する方が増えるのではないでしょうか。
 飲食店経営は8%への消費税率引き上げ時、売上が減少し、最近の円安で食材の仕入値が高くなって苦しい状況が続きました。
 今後更に税率2%の引き上げに加えて、税率の差による顧客減少をどう食い止めるか、アイデアを練る必要があります。

木 村

平成27年12月非課税取引と免税取引の違い

 消費税の取引には、非課税取引と免税取引というものがあり、どちらも消費税がかかりません。しかし、非課税取引と免税取引は「なぜ消費税がかからないのか」という部分が異なります。
 非課税取引は、消費税の性格に合わないことや社会政策的な配慮から消費税がかけられません。例えば、建物は使えば使うほどどこかが壊れてきて消費しますが、土地はいくら使っても消費することはありません。つまり土地は消費税の性格に合わないため非課税となるのです。また、車イスなどの資産に消費税をかけると可哀想ですよね。車イスなどの資産は社会政策的配慮から非課税となっているのです。
 一方、免税取引は0%の消費税がかかっていると考えます。これは、免税取引は本来は消費税をかけるべき取引なのですが、消費税をかけてしまうと外国にいる方々が日本の消費税を払うこととなり国際問題となってしまうため、0%の税率をかける、ということにしているのです。
 非課税取引も免税取引も消費税はかかりませんが、非課税取引であるか免税取引であるか消費税の計算が違ってくるため両者の区別はとても大切です。

木村公子

平成27年11月軽減税率の問題点

 最近、消費税の税率が8%に上げられ、近々10%に上げられようとしています。ヨーロッパ諸国の付加価値税(日本でいう消費税)の税率は、どの国も大体20%ほどありますし、日本の借金は約800兆円に膨れ上がっていることを考えれば仕方がないことなのかもしれません。
 さて、税率を上げるのと同時に軽減税率を導入しようという動きがありますが、これは食品や衣服など、生活に欠かせないものについては低い税率をかけて、消費者の負担を減らそうとするものです。
 しかし、これには大きな問題が伴います。たとえば「食品を軽減税率の対象とする」としたとき、米やパン、野菜に低い税率がかけられるのは理解ができます。では、キャビアやフカヒレ、高級ステーキに低い税率がかけられるのはどうでしょうか。お金持ちの人が低い税率で高級ステーキを食べていたら納得できませんよね。
 同じ食品でも、どこまでを生活に必要なものとし、どこからを高級品とするのか、そしてその線引きは何をもって行うのか、これは大変難しい問題です。
 軽減税率が今後どうなっていくのかに注目したいですね。

木村公子

平成27年7月事業用の土地の収用と消費税

 事業用の土地を収用され、土地については対価補償金を、その土地の上にある建物については移転補償金を、事業の休業については収益補償金を受け取った場合、消費税の課税関係はどのようになるのでしょうか。
 この場合、事業用の土地の対価補償金は非課税売上に、建物の移転補償金と休業の収益補償金は不課税売上となります。ですので、課税売上に計上されるものはありませんし、これらの補償金を受け取っても、納税義務の判定に影響を及ぼすことはありません。
 ただし、課税事業者の場合、土地の対価補償金は課税売上割合を引き下げることとなり、消費税の納税額を増やす要因となります。
 もし、土地の対価補償金が多額で、課税売上割合が事業の実態にそぐわない場合には、「消費税課税売上割合に準ずる割合の適用承認申請書」を提出することによって、より実態にそった割合でもって納税額を計算することができます。その場合、その事業年度の末日までに承認を受ける必要がありますので、時間に余裕を持って申請書を提出して下さい。

山 下

平成27年6月消費税の総額表示の義務

総額表示の義務は平成15年度の税制改正により創設され、翌平成16年4月1日から施行されていました。

この制度は、 ① 課税事業者が
② 不特定多数の消費者に対して資産の譲渡等を行うに当たって
③ あらかじめ価格の表示をするときは
④ 税込価格により表示しなければならない 
というものです。

 消費者に対して商品を売る際には税込価格で行いましょうということです。ただし、総額表示を行わなかった場合の罰則規定等はありません。
 この総額表示の義務に対して、昨年8%への増税を機に特別措置が施されています。理由は、2度にわたる消費税率の引上げに際して、事業者による値札の張り替え等の事務負担に配慮する観点などによるものです。
 事業者は表示する価格が税込価格であると誤認されないための措置を講じていることを要件に平成30年9月30日まで適用されることになっていますが、できるだけ速やかに税込価格を表示するよう努めなければならないものとしています。
 税抜価格から税込価格へ戻るのは遠い未来ではありません。その際の事務負担を軽減できるように、今から対策をしていく必要がありそうですね。

安 田

平成27年5月消費税10%への再増税と軽減税率

 3月31日に増税延期法案が可決・成立しました。当初の予定では、今年の10月より消費税率が8%から10%へ引き上げることになっていましたが、その再増税が1年半の延期になりました。これは、昨年7月~9月期のGDPが目標の値に達していないとの判断によるものです。また、この法案からは景気が悪化した場合に増税を停止できる「景気条項」は削除されています。したがって2017年4月の10%への引き上げは、ほぼ確実ということになりました。
 さて、10%への引き上げにあたって検討されているのが「軽減税率」です。生活必需品、食料品などの消費税率を低くしようとするこの考え方は、それら品目の線引きがとても難しいです。
 例えばコンビニの弁当は外食かどうか。持ち帰って食べるから外食ではないといえますが、最近はコンビニの中で食べることができる店舗も多く見られます。パン屋さんでも同様のことが言えますね。
 具体的な品目の決定まではまだ時間がかかると思いますが、私個人としては、税率が低い品目が多くなるよう祈っています。

安 田

平成27年3月消費税の簡易課税制度について

消費税の簡易課税制度について、平成27年4月1日以降に開始する課税事業年度から、現在の第5種事業のうち、不動産業が第6種事業とされ、控除割合が現行の50%から40%に引き下げられます。
つきましては、不動産賃貸業に係る課税売上のある方で簡易課税制度の適用を受けられている課税事業者の方は、今一度原則課税の場合との有利不利を見直してみてください。
特に、3月決算法人については、原則課税への変更を希望される場合には今月中に届け出が必要になりますのでご注意ください。

山 下

平成26年12月消費税納付額を見てビックリ!

 消費税10%への増税は平成29年4月まで1年半延期となるようです。財政再建への不安はあるものの、消費税を集計し納税することとなる事業者にとっては‘ほっとひといき‘といったところでしょうか。
 平成26年4月以降、消費税は5%から8%へと引き上げられ、仕入その他の支出は増大し売上は消費冷え込みによって思うように上がりません。10%への増税が延期されるといっても手放しでは喜べません。
 ところで、平成26年4月以降決算を向えた法人は4月以降の売上について増大した消費税納税を体験しています。個人事業者は注意が必要です。来年3月の消費税申告で初めて8%の納税を体験します。
 従来5%の消費税率で年100万円の事業者は、税率8%になれば年160万円の納税!
一取引毎の3%の差は小さく感じますが一年集計すると大きな差となります。数ヵ月後の消費税申告時に慌てることのないよう資金繰りに注意して下さい。

木 村

平成26年6月消費税の簡易課税制度の経過措置

 平成27年4月以降に開始する課税期間から、消費税の簡易課税制度における不動産業(不動産賃貸業も含む)のみなし仕入率が現行の50%から40%へと引き下げられることとなりましたが、今年の9月末までに簡易課税制度の選択届出書を提出した場合には、簡易課税制度が強制適用となる最初の2年間は、現行のみなし仕入率50%が適用されます。
 つまり、現在一般課税が適用されている個人事業主の方は、今年の9月までに選択届出書を提出すれば平成28年の一年間のみなし仕入率は50%になりますが、10月以降に届出書を提出した場合には平成28年のみなし仕入率は40%となり、届出書の提出時期により納税額が異なることとなります。
 ただし、今年すでに簡易課税制度の適用を受けている個人の方は、平成28年は強制適用期間が過ぎていますので、みなし仕入率は40%となります。
 簡易課税制度の適用には、基準期間の課税売上高が5,000万円以下でなければならないなど要件がありますが、平成27年からの適用をお考えの方は、お早めにご検討ください。

山 下

平成26年4月未成工事支出金の仕入税額控除

 建物の建築代金は通常着手金、中間金、清算金といった具合に分けて支払います。これらの支払いは支払の都度、未成工事支出金として経理し、完成引き渡しを受けた時点で、未成工事支出金から仕入勘定へ振替えます。
 未成工事支出金として計上した課税仕入れについて、目的物を引き渡した期に仕入税額控除を行っている方も多いのではないでしょうか。さて、そんな方が、平成26年3月までに計上した未成工事支出金について、平成26年4月以降に目的物を引き渡して仕入に振り替える場合、仕入税額控除は何パーセントになるのでしょうか。答えは5%です。4月以降に引き渡しの場合、売り上げに係る消費税は8%を受け取ることになりますが、仕入については3月までに完了しているのですから、5%が適用されます。
 このように、一連の取引について2つの税率が入り混じることがありますので、消費税額の計算については注意が必要です。

山 下

平成26年4月消費税非課税取引も値上げ!

 4月からの消費税率引き上げに伴い、介護保険サービスも大半が1回あたり数円の利用者負担増となります。
 本来、介護サービスには消費税が課税されません。消費税増税によって施設や事業者の仕入れコストが増える分の補填措置として介護報酬(サービスの対価として国から事業者に支払われる報酬)が全体で0.63%引き上げられるためです。今後、施設によっては、利用者が自費で負担している食費など(介護サービスに含まれているので消費税はかかりません。)の値上げが検討されていきそうです。
 生活費全般が上がってきているので、収入・支出の点検をこまめに行って下さい。

上 地

平成26年2月消費税分値上げと価格カルテル

 価格カルテルとは、2014年4月~2017年3月までに提供される商品やサービスを対象とするもので、1989年の消費税導入時にも行われ、その目的は、価格交渉で立場の弱い中小・零細の企業が増税分を上乗せしやすくするためのもので、大企業から増税分の値下げを頼まれても断ることができる制度です。この制度は、事前に公正取引委員会に届出をし、所定の届出書や添付書類の提出をすることにより受けることができます。なお、届出をした翌日に公正取引委員会のHPに届け出先や届出者名の公表がされるため、まずは取引先との関係を強化することが大切になってきます。

上 地

平成26年2月消費税の簡易課税のみなし仕入れ率の変更が検討されています

 平成26年度税制改正大綱で、平成27年4月1日以後に開始する課税期間から、消費税の簡易課税制度の「みなし仕入率」を、金融業及び保険業は50%(現行60%)に、不動産業は40%(現行50%)とすることが検討されています。
 みなし仕入率は、消費税の税額を、簡易課税制度を利用して計算する際に用いられます。簡易課税制度では消費税の計算をする際に、実際の仕入れ税額を計算するのではなく、売上に対して一定の割合の仕入れがあったものとみなして消費税額を計算します。ここで用いられるのがみなし仕入れ率です。以前からこのみなし仕入率は実際の仕入れ率より大きすぎのるのではないかとのことで問題視されてきており、今回の改正でみなし仕入れ率の縮小を図ろうということのようです。
 平成27年10月からは消費税率が10%に上がることも予定されていますので、場合によっては消費税の納付額が大きく増えることも懸念されます。今後の審議を見守っていきたいものです。

青 木

平成26年2月海外からのネット配信に消費税課税!

 現在、海外の通販サイトで買い物をすると、税関で消費税を納めることになります。しかし、海外からネット配信される音楽や、ソフトウェアには消費税がかかりません。
 国内の企業が配信した音楽や、ソフトウェアには消費税がかかり不公平な状態となっています。
 消費税がスタートした1989年当時、インターネットはまだ普及しておらず、ましてや、海外からインターネットを経由して音楽等を買えるなどと、想像がつかない状態で税法を作ったためです。
 今のところ2015年10月には消費税が8%から10%へ引き上げられます。このタイミングに間に合うよう、海外からのネット配信取引に消費税をかけられるよう具体策を検討していくようです。

木 村

平成25年11月高齢者向け賃貸住宅。消費税に注意!

 高齢化社会に備えて、介護施設のある高齢者向けグループホームを建築される地主さんが増えてきたように思います。従来、地主さんは、将来の相続税節税を意識してアパートを建ててきましたが、サブプライム、リーマンショック以降、入居率や、家賃の低下に悩まされてきました。そこへもって、将来の高齢化です。なんとかニーズにあったものをというお考えでしょう。
 高齢者向けグループホームも、建物を第三者に貸すのであれば、アパートと同じように、相続税の節税効果がでます。
 注意が必要なのは、消費税です。住居として貸すのであれば、消費税は非課税ですが、施設の一部をデイサービスとして、その建物に住まない、外来の利用者に提供し、収入を得た場合、この収入は、消費税の課税対象となってしまいます。消費税率が5%から8%そして10%と引き上げられる予定のなか、大きな税負担となりますので、高齢者向け施設の経営計画に充分注意をして下さい。

木 村

平成25年9月消費税率引き上げの経過措置

 消費税率引き上げの判断時期が秋ごろとされる中、最近では消費税関連のニュースが増えてきました。
 ところで、消費税の税率の引上げに際しては、旧税率と新税率の適用関係についてさまざまな経過措置が取られます。この経過措置は任意適用ではなく強制適用となるため、新旧どちらの税率を適用するか注意が必要です。
 例えば資産の貸付についてですが、通常の賃貸借契約の場合、事業者が平成8年10月1日から平成25年9月30日までの間に締結した契約について、平成26年4月1日の前から資産の貸付を行っている場合には、その契約が次の①②に該当する場合には、平成26年4月1日以降に行う資産の貸付に係る消費税について、引き続き旧税率(5%)が適用されます。

当該契約に係る資産の貸付期間及びその期間中の対価の額が定められていること。
事業者が事情の変更その他の理由により当該対価の額の変更を求めることができる旨の定めがないこと

 ただし、平成25年10月1日以後に賃貸料の変更等が行われた場合には、変更後の資産の貸付については新税率(8%)が適用されます。
 一般的な賃貸借契約では「賃料が物価の変動等によって不相当となったときには、協議のうえ賃料を改定することができる」というような文言が入っていることが多いかと思われます。このような場合には②に該当しませんので、新税率(8%)を適用することとなります。
 消費税率の引き上げが行われることとなれば、約半年ほどで引き上げの時期になります。その時期に慌てることのないよう今から準備を進めておきたいものですね。

青 木

平成24年9月消費税増税法案が成立

 皆さんもご存知のように、消費税増税法案が成立しました。これにより、平成26年4月には8%、その一年半後の平成27年10月には10%へと消費税率が引き上げられます。
 消費税の増税について問題となっているのは、所得の低い人ほど負担が重くなる消費税の逆進性についてです。これに対しては、複数税率の導入や給付付き税額控除の導入が議論されていますが、今のところこれらの導入については不透明な状況となっています。
 消費税の逆進性対策については、今後の動向が注目されます。

山 下

平成24年8月消費税の中間申告について

 消費税の課税期間は原則1年とされていますが、中間申告という制度が設けられています。これは前年(法人の場合は前事業年度)の地方消費税を除く消費税が年税額48万円以上の方が対象となっています。中間申告の回数は納めた年税額に応じて48万~400万円の方は年に1回(半年ごと)、400万円~4,800万円の方は年に3回(3か月ごと)、4,800万円超の方は12回(1か月ごと)が中間申告対象期間となりその対象期間の末日の翌日から2か月以内に申告、納付することとなっています。(ただし課税期間の特例制度を適用しているものは除く)
 納付額は前年の地方消費税を除く年税額を基に試算され
 (地方消費税を除く年税額)×中間申告対象期間/12 で計算されます。この額に地方消費税を加算した金額が納付額となります。
 年1回の中間申告の方は24年1月から6月が中間申告対象期間となりますので申告、納付期限が今月8月31日までとなります。消費税は金額が大きくなりやすいので資金繰りにご注意ください。

安 井

平成24年2月消費税課税事業者の判定が改正されています

 平成23年6月に消費税法の一部が改正されました。前々年(法人は前々事業年度)の課税売上高が1,000万円以下の場合でも、特定期間(個人の方の場合は前年の1月1日から6月30日までの期間、法人の場合は原則として前事業年度開始の日以後6か月の期間)の課税売上高が1,000万円を超える場合には課税事業者に該当することになります。ただし、課税売上高の代わりに給与等支払額で判定を行うこともできるので、特定期間の課税売上高が1,000万円を超えていても、給与等支払額が1,000万円以下の場合には免税事業者となります。
 表に表すと以下のようになります。

消費税課税事業者の判定が改正されています

 この改正は平成25年1月1日以後に開始する年(事業年度)から適用となります。課税事業者に該当する場合には実務的な負担も増えるので判断ミスのないよう注意したいですね。

青 木

平成23年10月外注費か給料か???

 労務に対し支払う費用として外注費と給与があります。同じ費用項目ですが、消費税においてその取り扱いは大きく違います。消費税の計算は、原則「預った消費税」から「支払った消費税」の差額を納付します。消費税上において外注費は消費税がかかりますが、給与は消費税の課税対象外のため消費税がかかりません。よって支払いを外注費とした場合大きな節税効果があるのです。
 しかし、人に支払う費用をすべて外注費として処理していいとういうわけではありません。外注費と給与には明確な線引きが税法上に設けられているわけではありませんが、一定の基準を基に次のように実態で判断します。

  • 契約で決めた役務提供を他人が代替することを認められるかどうか。(○外注費:×給与)
  • 報酬の支払者から指揮監督を受けるかどうか。(○給与:×外注費)
  • 納品前の完成品が不可抗力のため滅失した場合等においても、役務提供分の報酬の請求をすることができるかどうか。(○給与:×外注費)
  • 役務の提供をする場合、材料又は用具等を供与されているかどうか。(○給与:×外注費)

 また、報酬の支払は役務提供が請負契約に基づくものであっても、契約の形式よりも実態が重視されますので、このような基準を参考に作業内容をしっかり把握しておくことが大切です。

安 井

平成23年8月消費税の免税基準が厳しくなります

 平成23年度税制改正で、消費税に関して事業者免税点制度の見直しが実施されることとなりました。従来では個人の方は前々年、法人は前々事業年度の課税売上高が1,000万円以下で免税事業者となっています。しかし今回の改正で前期半年間の課税売上高が1,000万円を超える場合には事業者免税点制度の適用はないこととされました。
 個人事業者の方では、平成24年の1~6月の課税売上高が1,000万円を超える場合に25年分から課税事業者となります。3月決算の法人の場合では、平成24年の4/1~9/30の課税売上高が1,000万円を超える場合に平成25年度分から課税事業者に該当します。
消費税の課税事業者に該当するか否かで、実務的・金額的にも大きく影響しますので注意が必要ですね。

石 崎

平成23年7月収入印紙に消費税課税?

 収入印紙とは、印紙税の支払いや登録免許税の納付の際に使用されるもので、通常郵便局等で購入します。平成23年4月1日からは登記手数料についても収入印紙で納付することとなったため、使用する機会の増えた方もいらっしゃるのではないでしょうか。(登記手数料については、当面の間は登記印紙もお使いいただけます。)
 さて、収入印紙の購入の際に郵便局等を利用した場合、その取引は、消費税法上、非課税取引とされ、消費税は支払いません。ただし、この収入印紙を金券ショップ等(郵便局、郵便切手販売所又は印紙売りさばき所等を除きます)で購入した場合には消費税の課税取引となり、消費税を支払うこととなるため、消費税での節税効果を生むことができます。
 消費税課税事業者の方は収入印紙使用の際、お近くに金券ショップ等があれば、節税のチャンスですのでご検討ください。(収入印紙の在庫のない場合もあります)

青 木

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エトセトラ

令和6年5月NISAはどうですか?

 株式、投資信託など投資経験のない方からNISAはやったほうがいいですか?といった相談が多くなっています。
 財産運用については人によって考え方が異なりますので良い・悪いを一概には言えませんが、税金面だけに限れば一定額まで配当や売却益が非課税になる点は大変助かります。
 しかし、元本は日々変動し、時には大きく値上がりや値下がりするのも事実です。
 そこで、全金融資産の1割から2割、300万円の貯金がある方は30万円~60万で有価証券投資(NISA)を始めてみてはどうでしょうか。値上りを追求するのではなく、自身の生活の中で必要な会社を応援するつもりで配当を楽しみに長期に持ち続けるといった具合です。
 全体の1割~2割なら、少々値下がりしても大きなダメージはなく心穏やかに生活できます。定期的に経営状況の報告も届き、経済の勉強にもなります。
 全金融資産の何割までなら自身が心穏やかでいられるか検討したうえで、NISA、始めてみてはどうでしょう。

木 村

令和6年5月名古屋税理士会の税務相談室について

 先日、名古屋税理士会の税務相談室に電話相談員として参加しました。毎週火曜日の13時半~16時半(最終受付は16時)に実施されており、誰でも無料で利用することができます。
 所得税や相続税の申告では、自分に申告義務があるのか、どのような書類を準備したらいいのか、税理士に依頼すべきかどうか、など、悩まれる方が多いと思います。税務相談室では、そのような相談も受け付けていますので、お気軽にご利用いただければと思います。
 確定申告が落ち着いた今の時期は、電話が繋がりやすくなっています。相談事がございましたら、今の時期に利用することをオススメいたします。
(名古屋税理士会 税務相談室 TEL:052-752-7211)

堀 木

令和6年4月一時保育の利用について

 多くの保育園や子育て支援センターでは、一時保育を実施しています。申し込みをすれば誰でも利用することができ、赤ちゃんの年齢に応じて3000円~4000円で8時半~16時半ごろまで預かってもらうことができます。
 少し料金は高いですが、在宅勤務でどうしても一時的に預かってほしい、週2~3日のパートの日だけ預かってほしい、など、毎日でなくてもちょっとだけ預かってほしいという親御さんに需要があるようです。
 施設によって、1か月前までに予約が必要であったり、預けられるのは週3日まで、など利用方法が異なりますので、事前に確認しておくとスムーズです。
 仕事と育児の両立にあたり、保育園に通わせる以外にも、一時保育を利用する、という選択肢もありますので、働き方に合わせて利用をご検討いただければと思います。

堀 木

令和6年2月所得税・住民税 定額減税

 令和6年度 税制改正案の中で多くの方に影響があるのは、所得税・住民税の定額減税です。
 令和6年分の合計所得金額が1,805万円以下であれば、本人と同一生計配偶者・扶養親族について、1人あたり所得税から3万円、住民税から1万円の減税がされる予定です。
 減税は令和6年6月から令和7年3月にかけて給与所得者、年金受給者、自営業者に応じて、順次、本来納める金額を減らす形で行われます。
 給与明細や源泉徴収票、年金の通知書にこの内訳が示されることとなります。
 給付金と違って、減税はこれらの明細をよく観察しないと実感がわかず、いつのまにか家計費や事業費に消えてしまったということになりがちです。
 1人4万円、いまからその資金の使いみちについて作戦を立ててはどうでしょうか。

木 村

令和6年2月保育園の情報収集はお早めに

 保育料は3歳から無償化されているため、3歳から保育園に通わせよう、と考える親御さんは多いと思います。しかし、高い保育料を負担してでも1〜2歳から入園させた方が良い場合がありますので注意が必要です。
 保育園によっては、1〜2歳から通っている園児で募集定員の枠が埋まってしまい、3歳の募集をほとんど行わない場合があります。その結果、自宅から遠くの保育園しか空きがない、兄弟で別々の保育園になってしまうなど、予期せぬ事態に陥る可能性があります。
 1~2歳の保育料は、所得に応じて月2〜6万円と大きな負担ですが、希望の保育園に入れるために、あえて入園させることも選択肢に入れた方が良いと思います。
 また、1歳から入園させる場合には、出産後、間もなく保育園の申込みをしなくてはなりません。出産前から事前に保育園のリサーチをすることをおすすめいたします。

堀 木

令和6年1月新NISA始まる

 今年から新しいNISA制度が始まります。成長投資枠では年間240万円、累計1,200万円まで追加投資が可能で、配当等について無期限で非課税となり、大変魅力を感じます。
 昭和、平成と余裕があれば土地に投資する風潮が長く続いてきましたが、人口減少が増々進む今後を展望すると、不動産と金融資産のバランスを意識して資産形成を行う必要を強く感じます。
 一方で、平成2年のバブル崩壊、平成20年のリーマンショックの苦い経験から、投資は恐いとの潜在意識が体にしみついているのも事実です。
 値上りを期待するのではなく、自分が好きな会社や生活に必要な会社があったら、配当を楽しみに、細く長く応援するような投資がいいと思っています。
 まずは少ない金額からチャレンジしてはどうでしょうか。

木 村

令和6年1月戸籍の広域交付制度について

 令和6年3月1日から、本籍地以外の市区町村の窓口でも、戸籍証明書・除籍証明書を取得できるようになります。
 今後は、市区町村役場の職員が全国の戸籍を確認できるため、婚姻届の手続きでは、戸籍の添付を省略できるようになります。さらに、児童扶養手当認定手続きやパスポートの申請でも、順次、戸籍の添付が省略できるようになる予定です。
 ただし、広域交付制度は電子化された戸籍が対象となります。たとえば、相続税申告では出生から死亡までの戸籍が必要になりますが、そのような古い戸籍が必要な場合には、本籍地の市区町村から入手する必要がありますので注意が必要です。
 遠方に引っ越した場合などは、戸籍の取得は大変煩雑なものでした。戸籍の電子化は平成6年から始まっていますので、少し遅い対応のように感じています。今後、戸籍が必要なあらゆる手続きが簡略化されることを期待したいと思います。

堀 木

令和5年12月育児休業給付の引き上げ案について

 先日、厚生労働省が育児休業給付を引き上げる案を新しく提出しました。男性の育休取得を促すことを期待するもので、具体的には、両親が育休を14日以上取得すると手取り収入の10割が給付される、というものです。(現状では、手取り収入の8割が給付されます。)
 里帰り出産をしない場合、産後の身体が思うように動かない状態で、買い出しやゴミ捨てなどの日常業務をしなくてはなりません。特に、第二子を出産予定の女性からは、上の子の面倒を見ながら家事や赤ちゃんのお世話ができるだろうか、と不安の声を聞くことがあります。
 2022年度の男性育休取得率は17.13%と少しずつ増えてはいますが、まだまだ少ない印象です。男性が育休を取得することで、産後の身体の早期回復や、出産後の様々な不安の解消が期待できます。職場の理解などハードルはありますが、男性の育休がより浸透して柔軟な子育てができる社会になることを期待したいと思います。

堀 木

令和5年10月値引それとも一時所得?

 マンションや車の購入にあたって本体価額の値引がないかわりに、品物等のサービスを受けることはよくあります。
 この度、マンション購入にあたって商品券等を受けとった場合、マンション価額の値引ではなく、一時所得になるとの国税不服審判所の裁決がありました。
 “マンションの値引”か、“マンション取引とは別の一時所得”かどちらの見方も出来そうですが、マンションの売買契約書に金品等の提供に関する記載が無かったことで、一時所得となったように感じられます。
 マンションの値引なら値引き分についての税負担はありませんが、一時所得となると利益から50万の控除をし、更に1/2をして他の所得と合算し所得税、住民税を計算(つまり、50万円以下なら税負担はありません。)します。
 契約書の書き方やサービス内容によって判断は変わってきますが、高額商品を購入するときの高額サービスには注意が必要ですネ。

木 村

令和5年10月賃貸住宅のLPガス料金について

 賃貸住宅では、ガス会社が不動産オーナーとLPガスの契約を結ぶ際に、給湯器などのガス設備を無償で提供し、その設備費を入居者の月々のガス料金に上乗せして請求する、という商慣習があります。この慣習は、取引内容が不透明、ガス料金高騰の原因になっている、などと長年問題視されていました。
 経済産業省はこの度、賃貸住宅向けのLPガスの料金に、ガス料金とは関係のない設備費を上乗せして請求することを禁止する方針を発表しました。さらに、ガス会社からオーナーに対する過度な利益の供与を禁止する措置を検討しているようです。
 これら方針により、今後はガス設備の費用をオーナーが負担するようになることが予想されます。オーナーにとっては費用負担が増えてしまうデメリットはありますが、入居者のガス料金が下がることで短期解約のリスクが減少する、というメリットもあると思われます。
 今後、ガス会社と不動産オーナーとの長年の商慣習が是正されるのか、どのように変化していくかを注目していきたいと思います。

堀 木

令和5年9月育児休業中の社会保険料免除について

 育児休業法に基づいて、満3歳未満の子を養育するために、従業員が育児休業を取得した場合には、従業員と事業主の双方が、育児休業期間中の社会保険料の支払いを免除されます。この場合、将来受け取ることができる年金額に影響はありませんので、安心して制度を利用することができます。
 ただし、この制度は育児休業法に基づいて育児休業を取得した場合に限ります。事業主と個別に取り決めた育児休暇や有給休暇などには適用されませんので注意が必要です。
 令和4年10月には育児休業法が改正され、産後すぐに父親が2週間の育児休業を取得できる「産後パパ育休」など、父親についても育児に参加しやすい制度づくりが進められています。
 これらの制度を積極的に活用して、上手に仕事と育児の両立をしていきたいですね。

堀 木

令和5年8月ChatGPTと、マイクロソフトの検索エンジンbingについて

 昨今、ChatGPTが話題になっています。ChatGPTは、対話型AIシステムです。自然な文章での質問に、AIが自然な文章で回答してくれるというもので、アメリカの司法試験に合格してしまうほどの性能だそうです。しかし、ChatGPTは2022年9月までの情報しか持っていないため、古い情報をもとにした回答となっています。
 一方、マイクロソフトは、もともとあった検索エンジンbingにChatGPTの技術を取り入れました。bingのAIチャットはインターネットにアクセスできるため、最新の情報をもとにして回答することができます。また、ChatGPTは無料版と有料版があるのに対し、bingは無料で使用することができます。
 今後、ChatGPTのようなシステムが様々なサービスに取り入れられることで、私達の生活が大きく変わると言われています。対話型AIシステムの動向に注目していきたいですね。

堀 木

令和5年7月税金の納付に手数料?

 税金や社会保険料などの納付の際に、お近くの銀行の窓口で納付されることも多いかと思います。ところが、近年大手銀行を中心に、一部の地方自治体の納付書について、窓口での取り扱いを終了したところが増えてきました。取り扱いを終了したといっても、窓口で納付が出来なくなるわけではなく、納付の際に所定の手数料がかかることになります。
 手数料がかからずに納付できる金融機関は、納付書の裏面などに記載があります。自治体によって手数料無料の金融機関が異なるため、市県民税の特別徴収税額の納付などで遠方の自治体に納める場合、近所にそれらの金融機関がないこともあります。今のところ、ゆうちょ銀行であれば近くの自治体は無料の場合が多く、また遠方の自治体でも窓口で書類を提出することで無料で納付できることが多いようです。
 思わぬ手数料の負担にならないよう、納付の際にはご注意ください。

青 木

令和5年6月出産一時金増額と出産費用について

 令和5年4月に、出産一時金が42万円から50万円に増額されました。先日、一宮市の産院で第一子を出産したのですが、一時金を差し引いた実質負担額は37000円でした。当産院の一時金増額前の実質負担額は10~13万円とのことでしたので、一時金のおかげで出産費用の負担をかなり減らすことができたと実感しています。
 一部の産院では、一時金増額に伴う出産費用の便乗値上げが問題視されています。また、地域や産院によって妊婦健診や出産費用の金額が異なりますので、産院を選ぶ際には注意が必要です。
 最近では、岸田総理大臣が出産費用の保険適用について、「令和8年度をめどに検討を進める」と発言しています。今後の出産費用の在り方に注目していきたいですね。

堀 木

令和5年5月クレジットカードによる納税

 所得税や法人税などの税金も、クレジットカードが利用できます。そして、カード会社が行うポイント還元の対象になるのが一般的なため、クレジットカードで納めてポイントを貯め、少しでも負担を減らしたいと考える方も多いのではないでしょうか。
 しかし、そこで注意したいのが「決済手数料」です。
 決済手数料は、通常のショッピングであればお店側が負担しますので利用者の負担はカードの年会費くらいですが、納税の場合には利用者が納付額に応じて決められた決済手数料を負担しなければなりません。例えば、納付額が100万円の場合は、決済手数料が8,360円となり、これを割合にすると納付額の0.836%となります。
 手続きは、納税の都度必要ですが、インターネットの「国税クレジットカードお支払サイト」により納税額やクレジットカードの情報を入力すれば、誰でも簡単にできると思います。その際に、サイト内で納税額を入力すると、決済手数料を計算してくれます。
 ポイントの還元率は、カード会社によって異なりますので、検討の際はよく確認することをおすすめします。

家 田

令和5年4月スマホアプリで納税

 令和4年12月からスマホアプリで所得税や贈与税などの納税が出来るようになっています。納付額の上限が30万円であることや、領収書が発行されないことなどいくつか注意点はありますが、決済手数料無料で、金融機関の窓口に並ぶことなく納付することができます。現時点で対応しているサービスはPayPay、d払い、au PAY、LINE Pay、メルペイ、Amazon Payで、ポイントが付くサービスもあるようです。ただし税金や公共料金でのポイント付与は縮小傾向にあるため、今はポイントが付くサービスでも今後はなくなる可能性もあります。あくまで利便性目的で利用するのがよさそうです。
 利用にあたっては住所氏名や税目、課税期間などをご自身で入力していただく場合があります。利用される際は申告書をお手元にご用意いただき、ご不明な点がありましたら弊事務所までお問い合わせくださいませ。

青 木

令和5年4月マイナポイントの申請期限がさらに延長される方針

 マイナポイントの申請期限が、5月末からさらに延長される方針のようです。詳細は決まり次第発表される見通しとのことです。
 総務省が公表している「年齢別のマイナンバーカード交付率」によると、2月末時点で、20~39歳の交付率は61~64%となっています。一方で、75~79歳の交付率は全年齢の中で最も高く、72.9%となっています。
 マイナンバーカードやマイナポイントの取得には煩雑な手続きが必要となるため、ご高齢の方にはなかなか普及しづらい印象でした。思いがけず、若い方よりもご高齢の方の方が積極的に申請手続きをしているようで、とても驚かされました。
 2月末のマイナンバーカード申請期限には、申込が殺到し、サーバーがダウンするなどのトラブルが生じたようです。まだマイナポイントを申請されていない方は、余裕をもってお手続きをすることをご検討いただければと思います。

堀 木

令和5年3月海外口座にご注意ください

 国税庁は令和5年1月に「令和3事務年度における租税条約等に基づく情報交換事績の概要」という資料を発表しました。
 この資料によると、国税庁はCRS(共通報告基準)によって令和3年7月から令和4年6月までの1年間に、約250万件の国外にある日本人の金融口座情報を取得したとしています。CRSは参加国同士で相互の国の居住者の金融情報を提供し合う枠組みで、国税庁には自動的に108の国や地域から口座情報が集まってきます。つまり国税庁は、集めた口座情報から推定できる所得税申告や相続財産の漏れについて、特段の手間やコストをかけずに発見できます。
 海外口座の管理運用にあたっては、税務署から申告漏れなどを指摘されないよう、ご注意ください。

塚 本

令和5年3月東京都 0~2歳の第2子について保育料無償化の方針

 東京都は2023年10月から、0~2歳の第2子の保育料を無償化する方針を固めました。都内在住の全世帯が対象で、所得制限は設けないとのことです。
 全国的に、3歳児以降の保育料は無償となっていますが、0~2歳児については依然として保育料がかかっています。0~2歳児のお子様をお持ちの方の中には、パートや時短勤務で働きたくても、保育料と相殺されて手取りが少なくなってしまうため、就労を諦めてしまう方が一定数いらっしゃるようです。
 今回の東京都の支援策はそのような方にとって、とても有効だと考えています。東京都をモデルケースに、全国的に0~2歳児の保育料無償化が進んでほしいと思います。
 一方で、東京都は待機児童数が全国1位となっています。0~2歳児の保育料が無償化されれば、待機児童がさらに増えることが予想されます。そのような問題とどのように折り合いをつけていくのか、今後の東京都の政策に注目していきたいですね。

堀 木

令和5年2月電気・ガス代が軽減 LPガスは対象外!?

 昨今の燃料費高騰に対応するため、政府の経済対策で2023年1月使用分から2023年9月使用分まで、電気・ガス代が軽減されます。標準的な家庭で、おおよそ電気代は月2000円、ガス代は月900円軽減される見込みのようです。
 ただし、LPガスは価格が安定しているなどの理由で、軽減の対象外となっています。約半数の世帯がLPガスを使用していること、もともとLPガスは料金が高いことから、不公平との声が上がっています。
 LPガスは自由料金制となっていますので、ガス会社によって料金設定が異なります。石油情報センターというサイトで、LPガスの一般小売価格を確認することができますので、ご自身が契約しているガス会社の料金と比較してみてください。一般小売価格よりも料金が高い場合には、ガス会社を変更することで、ガス代を大きく削減できる可能性があります。

堀 木

令和5年1月新型コロナウイルスに感染した場合の傷病手当金

 従業員が新型コロナウイルス感染症に感染し、会社を休んだ場合には、その従業員は傷病手当金を受け取れる可能性があります。傷病手当金は、従業員が加入している健康保険組合に請求することになりますが、ここでは「協会けんぽ」の場合を説明します。
 協会けんぽによると、傷病手当金は、次の条件をすべて満たした場合に支給されます。

  • 業務外の事由による病気やけがの療養のための休業であること
  • 仕事に就くことができないこと
  • 連続する3日間を含む4日以上仕事に就けなかったこと
  • 休業した期間について給与の支払いがないこと

 病気が新型コロナウイルス感染症で「陽性」又は「陰性や検査未実施のケースでも発熱等の症状がある」場合には、通常の傷病手当金の申請にあたり必要となる医師の証明は不要となっており、手続きが簡略化されています。申請期間が14日以上の場合には、保健所が発行する証明書又は「療養状況申立書」を添付します。
 給付額の目安は、自分の給料のおおよそ2/3の金額です。支給期間に応じて日割計算して支払われます。傷病手当金は受け取っても非課税になりますので、税金はかかりません。
 申請しないともらえませんので、該当しそうな方はぜひ検討してみてください。

家 田

令和5年1月保育料で悩む、子育てと働き方

 2019年から3歳児以上の保育料が無償となりましたが、0~2歳児については依然として保育料がかかっています(住民税非課税世帯は無償)。各自治体や住宅ローンの有無などによって異なりますが、世帯年収500万円で、おおよそ一人あたり月3万円の保育料がかかるそうです。
 「時短勤務やパートで、配偶者控除が受けられる103万円以内で働こう」と考えていても、保育料と相殺されて手取りが少なくなってしまうため、働くことを諦める方が一定数いるようです。0~2歳児の保育料の無償化が進めば、働き方の選択肢が増えるのかなと感じています。
 最近では、独自の子育て支援をしている自治体があります。ご自身が所属する自治体の取り組みを確認して、積極的に活用することをお勧めいたします。

堀 木

令和4年12月コロナ第8波と全国旅行支援

 10月11日から「全国旅行支援」が実施されています。ワクチン3回目接種など、必要な条件を満たせば、旅行代金の一部の補助してもらえるなどの特典があります。一方で、新型コロナウイルス第8波について、専門家から危機感を示す発言が相次いでいます。
 第8波が懸念される中での旅行支援は少し戸惑いますが、旅行をする場合には、気を抜かずに感染症対策をして楽しみたいですね。
 会計事務所はこれから繁忙期に入っていきます。マスク、消毒、換気など、しっかりと感染症対策をして、業務に取り組みたいと思います。

堀 木

令和4年11月マイナンバーカード実質義務化か?

 10月13日に2024年秋に現行の健康保険証を原則廃止して、マイナンバーカードと一体にしたマイナ保険証に切り替える方針が発表され、実現すれば実質的にマイナンバーカードの取得が義務化されることになります。
 マイナ保険証については、医療機関にマイナ保険証への対応を義務付けるなど一体化に向けた準備を推し進めている一方で、マイナンバーカードはコンビニでの戸籍謄本や住民票といった各種証明書の交付サービスが、未対応の市町村があったり、取得できない証明があるなど中途半端な状態です。
 民間に負担を強いてマイナンバーカード取得の義務化を推進する前に、行政として十分なメリットの提供をして、国民の不安・懸念の解消に努めて欲しいところです。
 最後に、マイナポイントの申し込みを予定している方は、2022年12月末までにカードの申請をした人が対象で、ポイントの申込期限が2023年2月末までとなっています(10月14日現在)ので、申し込み忘れのないようにご注意ください。

塚 本

令和4年10月キャッシュレス法について

 2022年11月にキャッシュレス法が施行されます。これは、「国の歳入等の納付について他の法令の規定にかかわらずインターネットバンキングなどでの決済を可能とする」というものです。
 現状、国税や国民年金保険料などがキャッシュレス決済に対応しています。今後は車検費用、パスポート発給手数料、登記関連手数料などが順次対応していくようです。
 現状の課題として、国税をクレジットカードで納付した場合には決済手数料を負担しなければならない一方で、国民年金保険料の手数料は国が負担しているなど、手数料の取扱いに差異があることが挙げられています。
 キャッシュレス決済を利用すれば、わざわざ銀行の窓口等に足を運ぶ必要はありません。積極的に利用して時間を有効活用したいですね。

堀 木

令和4年8月税理士試験 受験資格緩和

 税理士試験は年1回、8月に行われます。令和5年からは受験資格が緩和されます。
 必修科目の簿記論と財務諸表論は受験資格が撤廃され、どなたでもチャレンジ出来ます。
 又、税法科目は大学等の単位要件について、「法律学又は経済学」から「社会科学に属する科目」と緩和されます。
 具体的には、社会学、政治学、ビジネスコミュニケーション学、福祉学、心理学、統計学なども受験可能となるようです。
 これにより、特に若い受験者の方が増えるのではないかと予想されます。
 簿記論と財務諸表論の2科目は必修で、他に税法9科目のうち3科目(所得税又は法人税は必修)が合格できれば税理士試験突破です。何年かかっても合格科目が5つ貯まればいいので、仕事をしながらでもチャレンジしやすい試験ですヨ。

木 村

令和4年7月マイナポイント第2弾が始まります

 令和4年6月30日からマイナポイント第2弾が始まります。カードを新規で取得した人や、健康保険としての利用申し込みをした人などが対象となります。
 総務省の発表によると、令和4年5月1日時点でのカードの普及率は44%にとどまっています。政府は今年度末までにほぼ全国民への普及を目指しており、来年度の国から地方に配られるお金(地方交付税)を算定する際に、カードの普及率を反映させる考えを示しました。
 マイナンバーカードにより、コンビニで印鑑登録証明書や住民票を手軽に取得することができるようになりました。今後の普及により、さらに便利なサービスが出てくることが予想されます。マイナンバーカードの今後の情報に注目してまいります。

堀 木

令和4年5月中小企業のDXについて

 経済産業省HPで、「中堅・中小企業等向け『デジタルガバナンス・コード』実践の手引き」(以下、「手引き」)と、「中小企業向けAI導入ガイドブック」(以下、「ガイドブック」)が公表されました。これらは中小企業のDX推進を目指すものです。これまで、上場企業向けのDX事例は紹介されていましたが、中小企業には参考にしづらいものでした。
 今回公表された「手引き」には中小企業向けのDXの概要や導入事例について、「ガイドブック」には具体的な導入手順などがまとめられています。中小企業でもイメージしやすいものとなっていますので、DXにご興味がありましたら、ご一読いただくことをお勧めいたします。

堀 木

令和4年2月スマホで確定申告 特定口座も対象になります

 最近では、一部の所得について、スマートフォンとマイナンバーカードを使って手軽に確定申告ができるようになり、少しずつ便利になりつつあります。
 令和3年分の確定申告では、スマートフォンで申告できる範囲がさらに拡大しました。従来の給与所得などに加えて、特定口座年間取引報告書(上場株式等の譲渡所得等・配当所得等)などについてもスマートフォンで申告できるようになります。
 ただし、マイナンバーカード対応NFC搭載のスマートフォン(iPhone7以降など)でなければならないなど条件がありますので、確定申告ができる機種であるか確認が必要です。
 これらの条件を満たす方は、税務署への郵送手続きなどが不要になりますので、スマートフォンでの申告をご検討いただければと思います。

堀 木

令和3年12月自分の業務範囲はどこまで?

 税務申告をお手伝いするにあたって、依頼者から取引状況をお聞きし、必要に応じて資料を用意して頂きます。その資料を基に税計算をして、申告書を作り上げます。この過程では資料だけでなく、依頼者の取引・行動を想像しながら作業を進め、少しでも疑問があるときは納得出来るまで質問を繰り返します。資料だけで判断すると、どうしても見落とす部分が発生し、ミスにつながります。
 又、税務署内では提出された申告書を基に、計算ミスや申告漏れ、さらには不正の有無をチェックしているはずです。
 税務署員がチェックする様子、方法を想像しながら作業し、余分な疑問がきっかけとなって税務調査に発展しないよう気を配っています。
 仕事は流れていて、自分の前(依頼者の取引や資料収集)と後ろ(税務署員のチェックや税務調査)にも各々の仕事が連続しています。
 申告書の作成に限らず、仕事をするとき、自分に割当てられた業務だけでなく、自分の前と後ろの業務にも意識を広げることによって、ミスやトラブルを防ぎ、仕事の質を高めるよう心掛けています。

木 村

令和3年11月来年1月から変わる電子取引の保存方法

 ここ最近、来年1月から改正される電子帳簿保存法についての話題が増えてきました。
 簡単に説明すると、下記のような取引がある場合、電子データ化されている請求書や領収書は、紙で保存するのではなく、電子データのまま保存しなければいけないというものです。

  • 取引先からメール等でPDFの請求書や領収書をもらっている
  • アマゾンや楽天などで商品を購入して領収書をデータでダウンロードしている
  • クレジットカードの利用明細をホームページからダウンロードしている など

電子取引を電子媒体で保存するだけであれば印刷する手間なく簡単そうに思えるのですが、保存の仕方に関するルールが多いため、中小零細企業などには負担が増えるのではないかと感じています。
 なるべく手間や費用がかからない方法を模索しお伝えしていければと思います。

芦 田

令和3年4月新社会人となられた皆様へ

 社会人となった途端に、生命保険の勧誘員が、やたらと愛想よく言葉巧みに近づいてくることに気付きませんか。
 社会人となって責任感に燃えている皆さんは、今後、毎月給料が入ってくることもあって、万一に備えて、生命保険くらいは入らねばなどと洗脳されてしまいがちです。
 一旦契約すると給与から毎月何万円も天引きされ、社会保険料や所得税、更には、就職2年目の6月から天引が始まる住民税と合わさって、手取額が激減します。買いたいものは後から後から沸いてくるのに。
 一生のうちで、生命保険はマイホームの次に高い買い物といわれています。月々は数万円でも、ほぼ一生に渡り払い続けるのです。
 そんな大きな買い物を、中身がよく解らないまま、勢いで契約するのは賛成出来ません。どうしても健康が心配なら、掛金の安い県民共済などに加入し、保険について詳しくなるまで様子を見てもいいのではないでしょうか。
 給料の手取りをどう配分するかで、5年後10年後の財産は大きく異なってきます。
 お金を稼ぐのは大変ですが、お金を使うのも、同じくらい難しいです。

木 村

令和3年3月コロナワクチン接種はじまる

 令和3年2月17日(東海地方では19日)より、新型コロナウィルスに対するワクチンの接種が開始されました。先ずは、医療従事者を対象に実施し、その後順当に進めば、4月12日以降に高齢者から基礎疾患を有する方へと、順次対象を広げるとされています。国民全体が接種可能となるのはまだ先のことですが、感染収束に向けた、明るいニュースだと思います。
 しかしながら、ワクチン接種の副反応や、ワクチン接種後も感染防止の有効性が100%ではないことを考えると、まだまだ気は抜けません。
 また、ワクチン接種は無料で、全額が公費とされています。このような、コロナ対策に係る財政支出について、昨年12月には新たな経済対策に40兆円などの報道がありました。コロナ対策には多額の支出がなされており、その穴埋めに今後、増税など歳入を増やすための動きが予想されます。
 ワクチンの接種の進捗・感染の状況も引き続き気になりますが、収束に向かうにつれて、歳入確保の動きが、どのような形で私たちの生活に影響してくるのか、今後の動向が気になるところです。

塚 本

令和3年1月謹 賀 新 年

本年もよろしくお願い申し上げます。

 令和3年度税制改正案では、ウィルス感染による経済の落ち込みを税制面でも支援するため、税負担軽減策や軽減制度の延長など多岐に及びました。
 特に印象的な改正は、今年4月以降に提出する税務関係書類のほとんどを納税者の押印不要とする案です。押印を必要としないだけで、面倒な税務署や役所手続の印象も、かなり改善されるのではと思います。
 又、令和4年以降は、会計帳簿の電子保存がしやすくなります。従来、専用システムの導入や経理スタッフの配置など条件が厳しく、小規模の事業者は導入が困難で、大量の情報を紙で保存せざるを得ませんでした。
 感染防止をきっかけに会計業務、申告業務は古い慣習が見直され、合理的なスタイルへ急激に変化していくこととなりそうです。

木 村

令和2年9月コロナ禍における税理士試験

 年に1度の税理士試験。今年8月もその季節がやってきました。しかし、コロナ禍の今、税理士試験が実際に行われるのかどうか気になるところでしたが、予定通り実施され、私も受験をしてきました。
 ただ、今年はいつもと違って、マスクの着用が義務付けられ、試験会場の入り口ではサーモグラフィーによる体温の計測、アルコール消毒の設置など感染防止対策がなされました。
 関東や関西では密を避けるため試験会場が分散されるなどして、受験の直前に試験会場の変更通知を受けるなどあったようでした。
 今年はコロナへの不安を抱えるまま試験を迎えることとなった状況ではありましたが、無事に試験を受けることが出来てよかったです。

芦 田

令和2年1月謹賀新年

本年もよろしくお願い申し上げます。

 「令和2年度税制改正大網」を眺めて、個人に関しては、海外との取引や海外財産に関する項目が多いなと感じました。

  • 国外居住家族について30才以上70才未満の場合、扶養控除の条件を厳しくする。
  • 国外中古不動産の賃貸の赤字を他の所得と通算する条件を厳しくする。
  • 国外財産調書を提出しない場合等の罰則を強化する。

などが目につきます。
 又、国どうしの情報交換も大幅に増やしているようで、課税漏れとならないよう力を入れています。
 今後も“人”“物”“金”について、海外との往来が増えていくと予想されますが、税法ルールを意識して行動する必要があります。

木 村

令和1年11月揚げ物税導入

 揚げ物税の導入という単語を見つけ、驚いたのは私だけではないのではないでしょうか。
 この揚げ物税、日本全国で導入されているわけではなく、ヤフーが社員食堂で導入した、社員の健康増進のための施策で、揚げ物をメインとしたセットメニューの価格を上げ、魚料理をメインとしたセットメニューの価格を下げることで、社員の肥満・メタボリックシンドロームなどの健康リスクを低減させるものとの事でした。
 しかしながら、社会保障と税の一体改革を政府が推進している昨今、国として導入がされたとしても決してあり得ないことではないのかもしれません。海外では実際に、砂糖税・ジャンクフード税などと呼ばれる税金を特定の飲食物に課している国が存在しています。
 また、たばこ税については、健康目的のために課されている側面も否定はできず、加えて、この度の消費税増税における軽減税率の品目別の適用の実施により、導入により生じる可能性のある混乱の一部はクリアされ導入しやすくなったとも考えられます。
このような税制が導入されたとしても困らないため、何よりも自分自身の健康のため、生活習慣の改善を検討していきたいと思うニュースでした。

塚 本

令和1年11月税理士の仕事って何だ

 「パパはどんなお仕事をしているの?」5歳の息子が父親の仕事に関心を持ち始め、そう尋ねてくることがあります。しかし、税理士の仕事の内容や税金の役割を言葉で伝えるだけではイメージが膨らまず、なかなか理解できていないようです。
 さて、キッザニアという子供のための職業体験型テーマパークをご存知でしょうか。キッザニアは約80職種もの職業を楽しみながら疑似体験し、社会の仕組みを学ぶことができる施設です。そのキッザニアでは、昨年から期間限定で税理士の仕事が体験できるパビリオンが出店しているようです。そこでは、子供たちは、依頼者のお店に行ってお金の流れを確認する事で、依頼者の夢をかなえるためのアドバイスを行い、申告書を作成するそうです。
2020年には名古屋でのキッザニア開業が予定されています。息子にはまだ少し早いかもしれませんが、税理士の仕事が体験できるパビリオンが出店するようであれば、ぜひ行って体験させてみたいと思います。

水 谷

令和1年10月キャッシュレス・ポイント還元事業

 消費税の増税にあわせ、2019年10月1日から9か月間限定でキャッシュレス・ポイント還元事業がスタートしました。これは消費者が中小の小売店や飲食店などでクレジットカードや電子マネーで現金を使わずに買い物をすると、購入額の5%分(大手フランチャイズチェーン加盟の中小企業は2%分)をポイントとして受け取れるものです。なお、コンビニエンスストアの一部やクレジットカード大手5社などではポイント還元ではなく、その場で5%分を値引きすることとしています。この事業により、政府は増税による国民の生活の負担軽減や、景気対策及びキャッシュレス決済の普及を進めることを目的としています。
 経済産業省のホームページやアプリでは、地図上でこの事業の対象となっている最寄りの店舗やその店舗で対応している決済手段なども簡単に確認できるようにしています。
 この事業は複雑な部分も多く、当初は混乱する部分もあるかと思いますが、消費者としては賢く利用し、事業者としては上手に利用して差別化に繋がることを期待します。

水 谷

令和1年7月デジタル手続法の成立

 2019年5月24日に行政手続きのデジタル化を推進するデジタル手続法(デジタルファースト法)が成立しました。この法律は、国や地方自治体で行われている転入や転出・相続等に伴う行政手続きを原則インターネットで行えるようにし(地方自治体については努力義務としています。)、住民の行政手続きの利便性の向上や行政運営の簡素化、効率化を目的としています。
 例えば死亡・相続手続きにおいては死亡届をインターネットで提出すると公的な医療保険や年金の資格喪失についても手続きができ、遺族の方は行政機関へと足を運ぶことなく一度に手続きを行うことができるようになるそうです。
 また、税務申告においても電子申告の普及が進んでいますが、申告書に記載すべき情報については、ほとんどのものが紙で受け取った資料から必要な金額を拾い、入力する必要があります。将来的には政府運営サイトの「マイナポータル」において、個々人の年末調整、生命保険料、住宅ローン残高、医療費などの情報を収集し、その情報を確定申告書に自動入力し、電子申告できるよう進めているそうです。

水 谷

令和1年5月走行税

 外国で既に導入がされている走行税をご存知でしょうか?
走行税とは、車が走る距離に応じて課せられる税金のことをいい、燃料を使わない電気自動車の本格的な普及や、車を所有せずに共有するカーシェアリングの活発化により、自動車の税収が急速に落ち込むとみられるため、自動車に関する税金の見直しとして、日本でも将来導入が検討されています。
 既に走行税が導入済みであるニュージーランドでは、最低でも1,000キロで5,000円だそうです。
 確かにこの先、電気自動車に変わっていくことを考えるとガソリンや軽油などの燃料に代わる税収は必要だとも思います。
 ただ、まだ具体的な内容が明らかでないため、公共交通機関が少なく生活に車が欠かせない地域に住む人たちや、運送業者などの税負担が重くなるのではないかと不安の声も多いようです。

芦 田

平成31年4月税について楽しく学習

 税金について簡単な調べものがある場合、国税庁のホームページを利用しています。その国税庁のホームページに「税の学習コーナー」があることをご存知でしょうか。「税の学習コーナー」では税金の目的や使い道などを文章、ゲーム、クイズ、動画、絵本、紙芝居などを使って、小学生から大人まで誰でも楽しく税について学習できるよう随所に工夫が凝らされています。
 先日、動画と紙芝居を息子と一緒に見てみました。小学生用のため未就学児である息子にはやや難しいのかなと感じましたが、内容を理解しているかどうかは別として、また見てみたいと言っていました。普段なかなか税金について学習する機会がないので、とても良い経験になったと思います。
 皆様もご興味があればぜひ一度「税の学習コーナー」をご覧になってはいかがでしょうか。

水 谷

平成31年3月マイナンバーカードの普及なるか

 2016年1月から始まったマイナンバー制度ですが、現在マイナンバーカード普及率は10%強に留まっているそうです。
 マイナンバーカードの交付を受けると、自治体によってはコンビニ等で戸籍や住民票などの証明書を取得できるほか、カードリーダーを利用して確定申告などを電子申告することができるようになります。
 また、政府は2021年3月からは原則全ての病院においてマイナンバーカードを健康保険証として利用できるよう検討しているそうです。現状ではマイナンバーカード取得のメリットも限られるため普及率も伸び悩んでおりますが、政府が掲げる世界最高水準のIT国家を目指し、安全で効率的な社会の実現を目指し取り組んでほしいと思います。

水 谷

平成31年1月緑色のリュックの配達員

 最近、昼休憩や帰宅中に緑色のリュックを背負って自転車に乗っている方々を見かけるようになりました。気になって調べてみるとウーバーイーツというサービスの配達員でした。
 このサービスは、提携している既存の飲食店の料理をウーバーイーツに登録した配達員が宅配を依頼した利用者の自宅やオフィスなど指定した場所まで運んできてくれるものです。飲食店にとっては、自前の配達員や宅配用バイクを手配せずに売上を上げることができるというメリットがあります。一方、ウーバーイーツの配達員にとっては、既存のアルバイトとは異なり、空き時間などの好きな時間だけ働き収入を得ることができるというメリットがあります。
 ウーバーイーツは飲食店と宅配を依頼した利用者の双方から手数料を得ています。それらの手数料と配達員の報酬を調整することにより需給バランスを取ることで、雨の日など需要が高まる日でも配達員の報酬を増やすことなどによりサービスを滞りなく提供できるよう工夫されているそうです。
 今後、遊休資産を有効活用するシェアリングエコノミーは各方面に普及していくことが予想されていますが、新しいサービスが生まれてくるのを楽しみにしたいと思います。

水 谷

平成31年1月謹賀新年

 以前は紙の申告書を税務署に提出していましたが、最近は、所得税、法人税、消費税をはじめ、年末調整、法定調書なども電子申告を行っています。
 導入当初は、初期設定などに時間がかかり、アナログ世代にとっては抵抗感が強くありましたが、慣れてしまえば、やはり便利で、今後は不動産譲渡や贈与申告にも電子申告を取り入れねばと考えています。
 政府はキャッシュレス社会を目指して、消費税増税時のポイント還元を考えており、ネット取引、キャッシュレス決済など、どんどん増えていくのだろうと予想しています。
 簡単な申告ならスマホで確定申告ができる時代ももうすぐです。
 紙の領収証、請求書と通帳をいちいち照合して決算書を作っていく今のやり方もいずれは、消滅するのかもしれません。
 とはいっても、年々、改正により税制は複雑になる一方。
 便利さをうまく取入れながら、より高度な税務アドバイスが出来るよう頑張っていかなければと思います。
 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

木 村

平成30年12月慌ただしい時期こそご注意を

 先日、「民事訴訟管理センター」から私の父宛に、滞納分の利用料金の支払いを求めるハガキが届きました。
 身に覚えのない父は、ハガキに指示されている通り、記載された電話番号へ、「何かの間違いだ」と、電話をかけようとしていたようです。ハガキを見ると、書かれている内容は胡散臭いもので、インターネットで名前を検索すると、国民生活センターの注意喚起のページが見つかり、架空請求の詐欺ハガキだということが、すぐに判明しました。
 知らずに、電話をかけると、弁護士だと名乗る相手から、お金の支払いを指示され、お金を騙し取られる。以前から同様の手口の詐欺あり、冷静になって考えれば、詐欺だと分かりそうなものですが、いざ、自分の手元に届くと、「差押」「最終通告」「裁判・訴訟」といった言葉に冷静さを失うようです。
 今回は、たまたま夕食の席で話題になり、実際に被害には至りませんでしたが、12月に入ると、年末にむけ、慌ただしくなることもあって、冷静な判断をしづらくなり、併せてお金の出し入れも多くなることから、詐欺被害の件数も多くなるようです。
 また、ハガキではないですが、最近は本物の警察官が、警察署から詐欺の電話をかける事件などもありました。自分や家族の財産を守るためにも、慌ただしい時だからこそ、一息ついてのからの判断・周りへの相談が重要さを増しそうです。

塚 本

平成30年8月カジノ法案成立

 先日、カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法が成立しました。世論では賛否両論あるものの、自治体のIR誘致活動が本格化しており、愛知県や名古屋市でも誘致検討を発表しております。
 さて、ではカジノで勝った場合、税金を納める義務はあるのでしょうか。宝くじなどの当選金は非課税所得として、所得税・住民税はかかりませんが、カジノで得た利益については一般論では一時所得として課税の対象となります。そのため、他の一時所得がない場合50万円までは税金がかかりませんが、50万円を超える場合、税金を納める義務が発生します。
 今回のIR実施法では、カジノ施設への入場には入場税として6,000円が徴収されるようです。また、カジノ運営事業者には関連収入の3割の納付金の納付が義務付けられるようです。
 健全なカジノ事業により、訪日外国人観光客の増加や、雇用創出、地域経済の活性化につながることを期待したいと思います。

水 谷

平成29年6月今後のトレンド?!事業性評価融資

 「事業性評価融資」という言葉を聞いた事はありますか?
 金融機関は顧客から融資の依頼を受けた場合、店内稟議や本部稟議を経て融資実行に取組みます。この稟議で重要なのが、担当者が起票する稟議書です。この稟議書の出来によって融資の可否が変わることがあります。つまり、皆さまの融資は担当者の力にもよる、という事です。
 昨今、金融機関は膨大な業務量に追われ、担当者のヒアリング能力や稟議書作成能力が落ちつつあります。業績が厳しい企業ほどその影響を受けやすいとも言えます。そこで最近着目されているのが、事業性評価融資です。これは、財務データや保証・担保にとらわれず、経営者の経営能力やビジョン、事業の内容や成長可能性なども適切に評価して融資の可否を検討するものです。財務内容を良くする事はもちろんですが、自社の事業性を分析してしっかりと説明できることも今後重要となります。

大 見

平成29年5月ロボットから税金を徴収する?

 ロボットが普及すると人間の仕事が奪われるとして、ロボットからも人間と同様の税金を徴収することでロボットの普及速度を抑制し、またその税金を職業訓練にあてるなどして人間の雇用を守ろうという議論があるようです。ただ、日本ではもし導入すればかえって工場が海外に逃げて雇用が減るなどの懸念からか、あまり活発に議論されていないようですが。
 人工知能が普及すれば税理士もいらなくなる、なんて恐ろしい話(!)を耳にすることもあります。ただ、単純作業をロボットや人工知能が担ってくれれば、より付加価値の高い作業に専念することができますので、生産性が向上するというメリットもあります。私たちも、ロボットには到底できないようなきめ細かなサービスで、お客様に選ばれ続ける事務所でありたいと思っています。

山 下

平成29年3月トランプ政権と国境税

 トランプ政権が発足してから約1か月が経ちました。当政権は、現在も世間を大いに騒がせていますが、今回注目したいのはトランプ氏が提案している国境税についてです。
 国境税とは、メキシコなどの諸外国に生産拠点を移し、米国に製品を輸出する企業に対して、最大35%の税金を課す、というものです。国境税を課すことで、米国での雇用を増やそうとする狙いがあるようです。
 経済学の考え方に自由貿易というものがあります。これは、個々の市場で完全競争が行われた場合、市場全体で最大の利益を得ることができる、というものです。WTO(世界貿易機関)でも、各国が自由貿易に近い形で取引ができるように努めています。
 国境税が成立してしまうと、この自由貿易が大きく阻害され、経済全体が得られる利益が縮小してしまうことが懸念されます。
 今後のトランプ政権と各国の対応について注目していきたいですね。

木村

平成29年1月新年 おめでとうございます

平成27年に配布が始まったマイナンバー。法人のナンバーは公表されているため、情報もれに気をつかうことなく、今後の法人税申告書等に表示していくこととなります。
 個人のマイナンバーについても、確定申告書等に表示しなければなりませんが、しばらくの間は、ナンバー表示がなくても申告書等は受理されるようです。

・情報がもれて悪用されないか
・必要以上に税金が取られるのではないか
・本人確認の手続きが複雑でわかりづらい
・社員から預かったナンバーの保管方法で悩む

など不安で、ナンバーの活用に否定的な方も多いのが現状です。
 私個人は、長期的に見れば、マイナンバーによって行政サービスが効率的になされ、税務署、市役所、県税事務所、社会保険事務所につきものの無駄を減らすこととなると考えています。
 不安、不満は多くありますが、時代の流れには、半歩遅れくらいでついていくのが良いと思っています。
 本年もよろしくお願い申し上げます。

木 村

平成28年11月健康のための課税

 世界保健機関(WHO)は先日、糖類を多く含む飲料に課税するよう加盟国・地域に呼びかけました。メキシコではすでに導入され、イギリスやフィリピンでも導入を検討しているそうです。
 近年、世界では健康のための課税が広がっています。たとえば、2011年にハンガリーでは肥満防止のために「ポテトチップス税」が導入されました。WHOが発表した統計によれば、成人の24.8%が肥満だそうです。「ポテトチップス税」はポテチだけでなく塩分や糖分の高いもの、ジュースも課税の対象としています。
 また、砂糖が入った炭酸飲料に税金を課す「ソーダ税」は、フランスで2011年に、アメリカのカリフォルニア州バークレー市でも2015年に導入されました。
 近年、日本では医療費が増大しています。健康のための課税を取り入れることによって生活習慣病などを防止することができるかもしれません。

木村公子

平成28年9月オリンピックと税理士試験

 先日、日本中を熱狂させたリオ・オリンピックが閉幕しました。特に印象に残っているのは男子400mリレー決勝です。日本はアジア新記録である37.6秒をたたき出し、銀メダルを獲得しました。4年間の練習の成果の全てが、この37.6秒に込められているのかと思うと、非常に胸に迫るものがありました。
 オリンピックの真っ只中である8月上旬、年に1度の税理士試験が実施されました。私も税理士を目指していますので受験致しました。税理士試験に向けた勉強は、長く辛いものではありましたが、その成果を出し切ることができたのではないかな、と感じております。
 試験が終わって、勉強以外のことに使える時間が増えました。やりたいことはたくさんありますが、幼いころからやっていたピアノと、学生時代に力を入れた長距離走をまた始めようと思っています。
 選手の方々が4年後の東京オリンピックを目標に、再び練習を始めるように、私も4年後、またさらにその先のビジョンを明確に持って、新たな目標に向かって日々邁進していきたいと思います。

木村公子

平成28年9月オリンピックが終わって

 8月はリオデジャネイロオリンピックに沸きました。日本のメダル数は過去最高の41個となり、日本人が世界と対等に渡りあえることが証明されました。
 ところで、メダルを獲得した日本人には日本オリンピック委員会(JOC)から金メダリストには500万円、銀メダリストには200万円、銅メダリストには100万円の報奨金が支払われるようです。ではこの報奨金には所得税がかかるのでしょうか?答えは、このJOCからの報奨金については、所得税法上非課税、つまり税金がかからないことになっています。アスリート達は日々血の滲むような努力されているのですから、所得税を課さないとする税法が少し粋に見えますね。
 しかし、メダリスト達が所属の一般企業などから支払いを受ける報奨金については、賞与(給与)として課税されます。

大 見

平成27年1月新年あけましておめでとうございます。

 2015年となりましたので、東京オリンピックまで5年、リニア中央新幹線開通まであと12年と1年ずつ短くなりました。近い将来のビッグイベントへの期待に加え、政府の経済政策がうまく機能して、中小企業や個人事業の経営者皆様にも明るい一年となりますよう心より願っております。
 一方、2010年に1億2,806万人であった人口が35年後の2050年には9,708万人まで減少するとの研究発表(国立社会保障、人口問題研究所)があります。これは経営戦略を考えるうえで常に意識しなければならない重要な前提条件です。
 経営者は短期的な視点と長期的な視点の両方をバランスよく進めていく必要があります。
 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

木 村

平成25年5月利益が出ているのに、預金が減っていくのはなぜ?

 それは税金を納めているから、とお考えの方もいらっしゃるかと思いますが、原因はそれだけではありません。税金(法人税・所得税)のように、お金としては出ていくのに経費(損金)にならないものとして、借入金の元本返済があります。借入金の返済額のうち利息分は経費になるのですが、元本はあくまでも借りたものを返しているだけですので、経費にはなりません(借り入れたとき、お金は増えますが収益には計上しませんよね?)。また、固定資産は原則として減価償却という形で耐用年数にわたって徐々に経費に算入されるので、車などをキャッシュで購入された場合にも、お金の動きと利益の間に差が出てくるのです。
 このように、債務の減少や固定資産の増加によって預金が減少している場合がありますので、貸借対照表を見て原因を探ってみてもよいかもしれません。

利益が出ているのに、預金が減っていくのはなぜ?

山 下

平成24年11月手帳歴20年!

 年末が近づくと書店などでは手帳の売場が増えます。また、手帳の使い方に関する本もたくさん出版されます。
 私は、古典的な能率手帳を20年以上使い続けてきました。当初は1年使った手帳を見直してみても余白が多く、十分使いこなせていなかったと思います。
 毎年同じ形式の手帳を使ううち改良が少しずつされ、今では手帳の余白がかなり減ってきました。
 手帳を仕事だけに限らず、家庭や趣味などプライベートな事柄も一旦、全て必ず手帳に書き込み、手帳を眺めながら毎日行動します。私に指図する上司といった感覚です。
 頭だけで記憶して考えるより、はるかに多くの情報の整理が可能で、仕事、家庭、趣味の作業も効率的に行えます。約束を忘れることもありません。
 手帳を書く、持つことは一見面倒に思えるかもしれませんが、慣れると脳の一部になってきます。特に忙しい経営者の方におすすめです。
 来年は手帳にこだわってみませんか。

木 村

平成24年8月お盆が明けたら税務調査!

 7月中旬の税務職員移動を終えてお盆休み明けから11月下旬まで税務調査が活発に行われます。
 小規模法人の場合、通常税務職員が2名、2日間にわたって会計帳簿を調べに来ます。最も多く時間を割くのは売掛金の計上もれがないかどうか。直前期の売上をどの時点で区切ったかを納品書、請求書等を照らし合わせ、もれがないか調べます。
 私個人の考えとしては、万が一売掛金がもれていたとしても次の事業年度でその分多く売上が申告される訳ですから、税務職員が長時間かけて、すなわち、血税を人件費に投入してまで行う価値があるのだろうかと疑問に思います。
 ・・・といっても税務職員には通用しませんよネ。
 とにかく調査の連絡が入ったらすぐに御連絡下さい。駆けつけます。

木 村

平成24年1月エコカー補助金復活!しかし・・・

 昨年12月20日にエコカー補助金が復活しました。一定の基準を満たした新車を購入し、平成23年12月20日以降に新規登録を行った方に、原則一年以上の所有を条件に10万円(普通車の場合。軽自動車の場合は7万円。)が支給されます。対象期間は平成25年1月31日登録までですが、期間前でも予算額の3,000億円に達し次第応募が締め切られるそうです。
 また、平成21年に始まったエコカー減税は今年に終了する予定でしたが、対象車を絞って三年間延長されることになりました。
 しかし、消費税との二重課税が問題となっている自動車取得税・重量税の廃止は見送られることとなりました。これらの税の廃止に期待されていた方も多いのではないかと思います。エコカー補助金の復活やエコカー減税の期間延長の恩恵を被ることができる方がごく一部の自動車ユーザーに限られることを考えると、取得税・重量税の早期廃止に期待したいですね。

山 下

平成23年8月税理士試験

 8月2日~4日の間、年に一度の税理士試験が行われます。
 科目は必修科目が簿記論と財務諸表論、選択科目として法人税法、所得税法など、9税法科目の中から3科目を選び、受験します。年に1科目のみの受験も可能で、何年かかろうと合格科目を5科目ためて、実務経験2年以上あれば税理士になります。合格率は約12%。私が受験した20年以上は会計学や税法をひたすら丸暗記していましたが、最近は暗記力よりも理解力を試す出題が多くなったと聞きます。
 仕事を持ちながら、又は子育てをしながらでもコツコツやれば年1科目合格は十分狙える試験です。資産家の方なら相続税や固定資産税の科目は趣味と実益を兼ねてチャレンジする価値はありますよ。

木 村

平成23年7月税務署に文句を言う方法

 税務調査等で税務署の見解に納得出来ない場合、まず所轄税務署長に対して異議申立てをすることが出来ます。平成22年度は5,103件ありましたが、納税者の主張が部分的にでも認められたのはたったの476件(9.32%)。
 次に、税務署長の見解に納得出来ない場合は、国税不服審判所に対して不服申立てが出来ます。平成22年度は3,084件申立てのうち、部分的にでも納税者主張が認められたのは479件(15.53%)。
 それでも納得出来ない場合は国を相手に訴訟することになります。平成22年度は354件の税務訴訟終結のうち、納税者が部分的にでも勝ったのは27件(7.62%)。
 もう少し納税者の主張を尊重してほしい気がします。

木 村

平成23年5月ガソリン価格は高止まり?

 現在、ガソリンに関する税の議論が活発になっています。
 普段私たちが購入・利用するガソリンには特例として1リットル53.8円の税金が課されています。一方、ガソリン価格が上がる(3か月続けて160円を超える)と原則の1リットル28.7円となることになっています(ちなみに価格が落ち着いた頃に特例は復活します)。その価格差たるやおよそ25円、値下がりを待っていた方は多いと思います。
 しかし、

① かつての暫定税率期限切れのときのようなパニックになってしまうこと、また、
② 国にとっても大きな減収となること

などを考慮し、東日本大震災からの復興のため、税率低下のルールそのものの廃止が検討されているようです。
 国民の理解を得るには、ルール廃止で確保する税金を復興のために具体的にどう使うのか、明確に公表する必要がありますね。

加 藤

平成23年1月新年 明けましておめでとうございます。

 さて、昨年12月中旬、平成23年度税制改正案が発表されました。法人税率引き下げで企業はニコニコですが、反面、高所得者の所得税は給与所得控除の制限で大幅増税。又、資産家に対する相続税も基礎控除の引き下げで大幅増税。私には選挙のための人気稼ぎの改正に思えてなりません。
 この改正案は3月までに国会で可決されれば、正式に実行されます。高所得者、資産家の方は、税対策を今まで以上に強化する必要があります。
 是非、木村会計事務所にご相談ください。
 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

木 村

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